良いオーナーと口癖と

日本全国、緊急事態宣言です。家の中で息の詰まる思いをしている人も多いことでしょう。

 

我が家は子供にトランプゲーム「大富豪」を教え、とりあえず私の休日は乗り切りましたが、在宅ワークの日もありますので、仕事が終わり次第また、大富豪をすることになりそうです。

 

在宅ワークで無い日がある?そうです、私は小売業界に生きていますので、出勤する必要が出てきます。

 

スーパー、コンビニ、飲食店。働いている方はマスクをしながら、頑張って労働されています。彼らは、ライフライン。お身体を壊さず、しっかり休憩を挟んで、頑張って欲しいと思います。

 

さて、小売業には、良いオーナー、悪いオーナー、色々いらっしゃいます。良いオーナーとは、売り上げが良いオーナーではなく、人当たりの良いオーナーです。

 

良いオーナーは、ここ20年で廃業に追い込まれました。でも、コロナ騒動の今、もしもあのオーナーが居たら、その店に買い物に行くだろうな、と思い出してしまいます。

 

自分の商売だけでない。人に優しくできるオーナー達。若い頃の懐かしい話を少し、いたします。

 

 

私がまだまた駆け出しで、頻繁にお店に出入りしていた時のお話。何度もお店にうかがっていると、顔が効くようになってくる。そんなお店を増やして、早く一人前になりたいと外を周り続けていました。

 

とあるオーナー。随分頻繁に伺っていたものだから、気さくに話しかけてくださるようになっていて。

 

オーナー「まこまち君、今日もきたんだね。困った時はほんと、助かるよ。」

 

まこまち「いえいえ、家近いし。直帰がてらですよ。」

 

なんて話をして、まあ、顔を売り込むというよりは、自分とフェーズの合うオーナーに入り浸るくらいには、仕事もできるようになっていました。

 

ある日、店舗の機材を入れ替える、時間のかかる仕事で先のオーナーの店に伺いました。

 

買い物をするお客様もいることから、注意しながら仕事をこなします。機材をあてた、服を汚したなんてことになれば、一大事です。

 

5時間くらいかかる作業。しかし、私も仕事には慣れていて、終盤にさしかかろうという時でした。

 

優しかたはずのオーナーが、怒った顔して、こちらを睨んでいるんです。

 

致命的なエラーを起こした覚えはなく、なぜ睨まれているのかわかりません。それでも、仕事の手を止めるわけにもいかず、ひたすらに残りの作業を、こなします。

 

バックヤード(店舗の、商品のストックが置いてある場所)に入り、機材の片付けをしていたところ、オーナーが近づいてきて、私に話しかけてきました。

 

オーナー「まこまち君。今、何時?」

 

まこまち「ええと、3時くらいです。もう少しで終わりますから。」

 

仕事としては予定通り、むしろ、少し早いペースで終わろうとしていました。

 

オーナー「いや、もう3時だろ?君、何時から作業してるの。」

 

まこまち「え、10時からですが。」

 

相変わらず睨んでくるオーナー。若い私は、どうしたことかと、焦る気持ちが顔に出ていたに違いありません。

 

オーナーは、私の予想もしないことを、言いました。

 

 

 

オーナー「あのねえ。お昼休み取ってないでしょう。ダメだよ。」

 

 

 

仕事を時間内に終わらせなくてはならない、制限時間のついている仕事であって、基本的に全ての作業が終わった後に食事をとるように決まっていたのですが、オーナーとしては無理して休まず仕事をしているように見えたのでしょう。

 

若かったので疲れ知らずではありました。けれど、見る人が見れば、無理な労働を押し付けられているように見えたのかもしれません。

 

制限時間がある、食事は後でとる。その事を説明しなかった、私のミスでした。

 

椅子に座らされ、お弁当とお茶を出された私。

 

「身体を壊されたら、壊す方は良いけどさ、壊された方はかなわないよ。」とオーナーの説教を聴きながら、同僚からはかけられない言葉に驚きと、感謝と、後悔を感じました。

 

本当に、優しい人もいたものだ。一業者である私にまで、気を使ってくれるなんて。

 

その後、オーナーは経営をやめられ、別の店に変わってしまいました。

 

しかし私は、懐かしいオーナーの事を思い出し、どんなに忙しくても、必ずお昼休みを取るように心がけるようになりました。

 

人の意志は、人を伝って広がります。

 

休憩を取ったのか? 今やこれは、私の口癖になりましたとさ。

 

 

本日も monogress をお読みいただき、ありがとうございます。

 

コンテンツの週間化の準備期間中の為、日記だけをお届けしています。

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