自動車開発国の電力事情(前編)

緑は豊かな方が良いし、水は潤沢であってほしい。夏は程よく暑いのが良いし、冬は厳しい寒さとて、生きがいを感じるくらいの寒暖差ならそれでも良い。おかげで日本には四季があるし、この環境は後世にもつなぐべきです。

 

ところが、子供の頃と比べたって気候はすでに穏やかでなく、暑さ寒さの新記録を耳にすることも多くなりました。そろそろ本当に、人それぞれが自分でできることを模索するべき時代にやってきたのだと痛感します。

 

春が近づき、桜を目にすることも多くなってきましたが、デジカメに撮って楽しむなんて、もしかしたら 10 年たったらできないかも。電力統制があって持ち出し家電は一家に一台、なんて時代も来るかもしれません。

 

主要自動車開発国の電力事情

CO2削減は先進国だけでは達成できない

今回は、クルマと環境に纏わるお話。

 

近年、世界では電気自動車の普及が叫ばれております。二酸化炭素排出量をトータル0にするという、カーボンニュートラルを目指す世界。同じ目標に向かって進むことは、素晴らしいことですね。

 

この状況は後戻りできません。2030 年までに目処がたたなければ、地球はダメになってしまう。産業を維持しつつ、エネルギーをコントロールしなくてはならないという、きっと今までのどんなことよりも困難なことでしょう。

 

なにせ、先進国だけがカーボンニュートラルを達成すれば良い、という話ではないのです。世界のエネルギー需要、食料、資源開発の為の自然破壊を統制しなくてはならない世界。ODAなんて何倍になることやら。

 

かならず利権の絡む地球社会において、一言にCO2削減と口にしても難しいのが実情です。だからこそ、一人一人の行動が大事になっていくのですね。

 

自動車開発という利権

その利権のひとつが、自動車の開発です。

 

産業革命から世界大戦を経て、技術の積み上げは沢山の裕福を生みましたが、それまでに排出された二酸化炭素が戻ることはありません。

 

偏見な考え方かもしれませんが、今日の技術=二酸化炭素と捉えることもできるわけで、その技術が蓄積されていない発展途上国においては、自力で技術開発ができるわけでなく、開発の為のエネルギーも抑制されたりと、世界は結局、先進国がコントロールしていると思うこともあるでしょう。

 

その技術の結晶である「自動車産業」は、紛れもなく利権です。自動車を普及させたい先進国が、雇用の欲しい発展途上国に工場を作るのです。安くクルマを作ること自体、利権のばらまきと言えなくもありません。もう一度言います。偏見です。

 

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EV開発の本気の国

今後もこの構図は変わりません。お金と技術を持つ国が、お金のない国を支えるのです。ただ、EVへの考え方は変わってくると感じています。闇雲にEVへ行くべきか、そうでないかは、技術を持つ国の実情で意識が変わることでしょう。

 

その「意識」に興味をもって書いているのが、この記事です。

 

世界の自動車産業を牛耳っているのは、相変わらず「アメリカ」「欧州」「日本」そこに「中国」が加わります。そして各国EVへの注力に違いがあります。今回は、各国のエネルギーの実情を見ながら、EVへの本気度を考えてみました。

 

私はいつもディーゼルを残せだなんだと言いますが、今回は純粋に電気のことだけに触れてみようと思います。

 

表:主要自動車開発国の発電エネルギーソース(2019年)

石油 天然ガス 石炭 原子力 水力 再生 その他 合計
中国 6 236 4850 348 1269 723 56 7503
アメリカ 20 1700 1050 852 271 489 14 4400
日本 44 362 326 65 73 121 42 1036
ドイツ 5 91 171 75 20 224 25 612
フランス 2 38 1 380 55 55 12 545
イタリア 10 126 29 0 45 67 5 283
スウェーデン 0 0 0 63 65 33 0 161

単位:テラワット・時

注意:複数サイトより情報をあつめています。合計は、表中数値の単純計算ではありません。スウェーデンのみ、2017年のデータです。

グラフ:主要自動車開発国の発電エネルギーソース(2019年)

自動車開発国の電力供給

上の表をグラフで表したものです。欧州各国の電力事情が違うのは、日本で言うところの地域の発電事情が違うことと似ているような気もします。

 

グラフのてっぺんにある赤い領域は、石油による発電を表しています。各国の石油による発電は落ち着いてきていることがわかります。紫色の領域は天然ガス。アメリカ、日本、イタリアは天然ガスが大きな役目を担っています。

 

石炭発電もまだまだ多く、中国はダントツ。しかしアメリカ、日本、ドイツでも石炭は使われていて、必ずしも中国だけが二酸化炭素の使用が多いと責められないところもありますよね。

 

天然ガスは石油、石炭に比べれば二酸化炭素排出量は少ない。しかし、化石燃料であることには代わりありません。石油、石炭とともに化石燃料由来をまとめれば、日本の電力供給の約3分の2を担っていることがわかります。

 

EV急進国の電気事情と開発目標

中国はEV一辺倒

このように見てみると、中国がEVへ行きたい意味が見えてきます。

 

自国で算出できるエネルギーは石炭に隔たっていて、これを再生可能エネルギーに変えていきたい。人口が多いものだから、ハイブリッドカーでさえも大気汚染を起こしてしまう。

 

すでに日本とドイツを合わせた分くらいのエネルギーを、再生可能エネルギーで賄うことができている自信もあります。

 

さらに、自動車産業としては後進国だから、技術的にエンジンの進化は海外勢のちからを借りなくてはなりません。けれどもモーターだったら作れそう。わざわざこれから、内燃機関に走る必要が無いことがわかりますね。

 

見方をかえると、世界の七分の一の人口を持つ中国をすべてEV化するということは、地球の為でもあるんですよね。電力をすべて再生可能エネルギーに変えた時、温暖化は終わるかもしれません。

 

中国のEV本気度:★★★★★ 石炭発電と自動車による大気汚染を解消する為、再生可能エネルギーとEVを普及させたい。

 

スウェーデンもEV一辺倒が可能

だからジーリーとボルボはタッグを組んだ。スウェーデンは環境については世界最先端なのです。今後の課題は原子力発電の低減になるのですが、すでに二酸化炭素をほとんど出さない世界を作り上げています。

 

ボルボは、仮に日本にある小さなブロガーがどんなに警笛を鳴らそうが、中国とスウェーデンでEVが売れれば、企業としては成り立つ。電力需要からも簡単に読み取れます。

 

ボルボは以前、たくさんの種類のエネルギーで走ることのできるクルマの開発をしています。その結果、一端はディーゼルに舵を切りましたが、フォルクスワーゲンの失敗を見るやいなや、EVへ大きく舵を切ります。一度挫折を味わったメーカーは、判断も早いのかもしれません。

 

出典:Energy in Sweden An Overview

 

スウェーデンではすでに、国のエネルギーのおよそ22%を占める自動車用エネルギーのうち、17%をバイオエネルギーに替えることができています。すでに内燃機関の無い生活を、化石由来のエネルギーを使用せずに済む生活を実証しているのですから、EVが正義になることもわかりますね。

 

スウェーデンのEV本気度:★★★★★ すでにゴールが見えているスウェーデン。EV急進国とタッグを組めば、自国の産業も安泰か。

 

ステランティスグループ構成国の電気事情と開発目標

フランスは原子力への偏りが著しく舵取りが難しい

peugeot e-2008 ライオンエンブレム

フランスの発電環境が原子力に依存していることは、世界の誰もが知っていること。だからEV化は容易いのですが、そう簡単に行かないのが実情だと思われます。

 

それは、環境に良くて低コストだった原子力発電が、日本の東日本大震災を受けてチェック体制が強くなり、コストが高くなってしまった側面もあるようです。

 

今後原子力発電の依存を少なくしなくてはならなくて、自然エネルギーへの転換が求められています。すると、一時的には電力が足りなくなる可能性も出てきます。EVでフランスが埋め尽くされてしまうと、EV用の電力を賄うことができなくなる。

 

だから、EVと内燃機関の「パワー・チョイス」をしばらく続けていく、という方針になるのでしょう。中国のように環境汚染で逼迫しているわけではありませんから、緩やかに移行すればよいとい感覚にもなりそうです。

 

フランスのEV本気度:★★★ EVにシフトをしたいのだけど、自国のエネルギーに影がある。強制的に政治で解決しようとすると、簡単にデモ行進やストライキを起こしてしまう国民性にも悩まされる。

 

イタリアは原子力0だから急速なEVシフトは難しい

狭い国土でエネルギーに乏しいのは日本と同じなイタリアは、日本から石炭と原子力を抜いたような構成です。再生可能エネルギーにシフトしつつ、残る60%の火力発電(石油+天然ガス)をどうするかという議論の真っ最中。

 

しかし化石燃料からの脱却は図らなくてはならなくて、狭い国土をどのように活かすのかが焦点でしょう。EVを普及させたくとも、まだまだ内燃機関に頼るしか無い・・・そんな感覚を覚えます。

 

だから、アルファロメオは相変わらずエンジン屋だし、けれども世界で球数を稼ぎたいフィアットはEV化を狙う。でも少し動きは遅く感じますね。沢山のブランドを持つ強みで、多少の遅れはカバーできる(最悪、EV化で非難されれば切り捨てる!?)。そんな見方もできなくはありません。

 

ーーー 🍷 ーーー

 

フランスとイタリアを足してみると、日本の目指していたエネルギー構成比に近づくように見えませんか。日本も国土が乏しいので、原子力発電を推進したかった。石炭と天然ガス、石油を減らして、原子力で賄う。もしも東日本大震災が無ければ、日本もEV急進派が生まれていたかもしれません。

 

そのフランスとイタリアの自動車グループが合併するというのだから面白い。プジョー・シトロエングループと、フィアット・クライスラーグループが一緒になって、ステランティスを作り上げます。

 

パワーソースはきっと、しばらくは内燃機関が生き残る。スケールメリットを活かして、内燃機関の開発を行いつつ、EVシフトも視野に入れたい。フランスとイタリアのタッグからは、そんな気配を感じ取ることができるのです。

 

イタリアのEV本気度:★★★ そもそもエネルギーが足りていないイタリア。多様なエネルギー政策を考えても、自国だけではクローズできない。産業を守るためにも、他国との協業は必要事項だったに違いない。

 

どちらかと言えばEV急進派のジーリーボルボとステランティス

ボルボディーラーのXC40

ステランティスが内燃機関を作り続けようがどうしようが、今まで見てきた各国は、私の印象では「EV側」のメーカーに見えます。

 

日本では発売されてはいませんが、ボルボはXC40 RechargeというEVを発売しているし、プジョーもEVを発売しました。今後EVはICE並の販売価格に引き下がるはずで、その両方の特性をもてるPHEVが一番高価なものになるのは、時間の問題ですね。

 

ここまでの国は、あまり多くのリソースをかけずに、効率よく美味しいところをチョイスする。日本のようにハイブリッド技術を駆使するのではなく、パワーソースの効率化を考えよう。そのように捉えられなくもないと感じます。

 

今回の記事は、書くことが多いので前編・後編にわけさせていただきます。後編では、技術と言えば日本、ドイツ。そしてそもそも電力使いすぎのアメリカを見てから、考察をしていこうと思います。