輸入車に乗るということは、知らない世界に冒険にゆくことと同じことです。
他人が見ない世界に足を踏み込む。情報が少ないからこそのドキドキ・ワクワクを体感する。他の世界の人のつくった文化を知りにゆく。大げさかもしれませんが、私にとっての輸入車選びには、こういう考えがありました。
そして情報が少ないからこそ、グレードの差に憂鬱を感じる必要もなく、すきなタイプのモデルに乗れる。車格にとらわれず、コダワリのあるクルマ選びができる。「いつかはクラウン」的な日本車のヒエラルキーからゲダツができる、そんな想いで輸入車を選ぼうと考えたのが、2007年の秋。二人目の子供が生まれ、買ったエスクードに不満を覚えた頃でした。

赤くピカピカに光る VOLVO V50 は、「Aktiv」という、日本車でいうと普及グレード。パッケージオプションでインテリアは上級車並の美しさでしたが、パワーは 140 ps の低出力版 2.4L 直列5気筒 NAエンジン。それでも、念願の「4気筒を上回る」エンジンは手に入れられた次第でして。
とはいっても、車格やエンジンだけで選んだわけでなく。決めては「最高に使いやすいファミリーカー」の基準にピタリと収まったからでした。
- 燃費が良いこと
- 子供がクルマの中を歩き回らないこと
- 事故に対して安全であること
- 乳母車が載せられること
- 荷台でオムツが変えられること(超重要!)
燃費には「?」がつくかもしれませんが(笑)・・・当時のクルマは、 10 km/L を下回るなんてあたりまえ。NA レガシィは 7km/L を走れば良い方で、VOLVO V50 で実用燃費 8km/L を叩いたのは、とても幸せなことでした。燃費が1割以上伸びたのだから!
その他は子供のことばかり。2才児と0才児がいる以上、子供が生活の中心になるのはあたりまえ。ボディの大きなエスクードでできなくて、VOLVO V50でできたこと。それが「安全性の追求」と「便利な荷台」。ラゲッジルームでオムツ交換。これ最高(*^_^*)b

ワゴンといえば SUBARU REGACY 一択になってきていた時代において、ボルボというワゴンに出会えたことは幸せでした。なにかといえばバッジをつけたくなる日本人。ビルシュタインサスペンションだの、GTだのという「走らなきゃクルマじゃないぜ」なオーラの出ていた(と勝手に思い込んでいた)レガシィを買うためのお金を、すべてボルボに注ぎ込んでも、なんの後悔もありません。
メルセデス・ベンツやBMWといったように、お金持ち感が全面に出ていないのもキーポイント。実際には上位モデルはそれなりの価格になるのですが、当時 20 代だった私達夫婦にとっては、世間様から金持ちだとか贅沢だとか思われるのは嫌だった。
なぜかって?目立つんですよ、有名な輸入車に乗ってしまうと、羽振りが良いとか、あらぬ噂が立つんです。自分の住んでいる地域社会で、波風立たせず過ごすことが、子供を育てることへの最低限のコトワリです。実際のところは、かなり倹約してクルマと子供にお金をかけてるだけなんだけど、他人様はそんなところ見ないから。
良いクルマ、されど目立たないクルマに乗るための、当時の私たちの選択肢、これがボルボ。だからこその「準プレミアム」だったのだけど。この価値は、現代のボルボからは消えてしまいましたよね。
納車をうけたクリスマス。とりあえず御殿場アウトレットへドライブに行きました。重たいボディをNAエンジンにしては大きめのトルクで引っ張り出して、惰性で走る感覚は愉しくて、この冒険は私の人生の成功の序章だなんて、かってに優越にひたったりなんかして。
御殿場の山々に、美しく溶け込む赤いボディ。樹脂製の黒いパネルは、やや凝縮感のあるこのクルマを伸びやかなものに変えてくれる。広い駐車場に居て、誰とも被らないことに寂しさはまったく感じず。この先 8年付き合うことになるVOLVO V50は、私の輸入車ライフの序章として最高のクルマになったのでした。
あとになって色々出てくる、誤算の数々。セールスさんの転勤で希薄になるディーラーとのつながり。けれども、冒険に出たのだから仕方がない。
私の愛車 VOLVO V50 から V40、Peugeot 308SW へと続く輸入車ライフ。子育ての大変さ、ブログ開設からゴタゴタの結末、ブロガーとの出会いやSNSでのおしゃべりを綴っていきます。どうぞ楽しんでお読みください。