monogress 年末恒例仮想座談会、2021年末の後編をお届けします。前回は少し真面目なお話「内燃機関の今後」について、エネルギーの観点からお話ししました。後編はすこし気軽な話にいたします。
マコ お気楽は脱線するんじゃないです?
ーーーいいえ、今回もとってもmonogress的なお話ですので大丈夫です。とっても素直なテーマです。クルマというのは、性能や乗り心地はとても大事な要素です。燃費も然り。これらはある程度は数値で見ることができますが、見れないところもまた、多いです。例えば、格好良さとか。
シンゴ 確かにそうだね。
ーーーそこで皆さんには、車の評価軸として数値で表すことのできるところを徹底的に排除して頂き、感性や感覚でしか表現の効かないところを評価してほしいです。
エイジ 感覚の評価?曖昧ですね。。
ーーーその結果を比較して、今年の最優秀monogressカーオブザイヤーを決めていただきます。
マコ え?え?車にはそんなに乗ってないんですけど、比較って何と何をどのように?
ーーーエントリーカーは以下の通りです!
- Peugeot 508
- mazda 3
- Volvo V60
- Volkswagen PassatAlltrack
マコ このラインナップはもしや
エイジ ええ、きっと「まこまちさんが欲しいと思ったクルマ」ですね。
シンゴ 新車でもないし。無茶振りにも程があるな・・・
ーーー(まこまち)いいんです、流れで話していただければ記事は完成しますからね。
マコ 試乗に行ってないからってオフ会で乗せてもらった車まで入れているし。
ーーー緊急事態宣言が厳しかったんだから仕方がないでしょう。早く話し始めてください、怒りますよ?
エイジ 逆ギレでメチャメチャになる前に始めますか・・・
感性で考えるカーオブザイヤー
プジョーはアナログ ワーゲンはデジタル
シンゴ 感性でという話にすると難しい。フランス車は感覚や感性は大事にする。なら、ワーゲンはしていないのかと言えば、初見で言えばそうだと言える。けれどもそれは、大事にしているポイントが違うとから、そう感じるのだと思うよ。
エイジ 人生経験豊富なシンゴさんらしい意見かもしれませんね。各々の車のポイントはどこだと思いますか?
シンゴ プジョーはエンジン音のチューニングは相当しているんじゃないかな。走っている時の爽快感はピカイチだと感じるよ。Peugeot 508が良いと感じるところって、アクセルを踏んだ時に脳に刺さるエンジン音、ビックリするくらい深みのあるサスペンションストロークで生み出される姿勢の良さだ。

マコ シンゴさん、わかってる。私がPeugeot308SW で感じているのもそこですよ。世の中、プジョーは猫足というけれど、猫足という言葉だけでは語れませんよね。
シンゴ そうだね(笑)プジョーはエンジン重量とサスペンス調整で、車全体のフィーリングを上手く作り上げてくる。では、フォルクスワーゲンはどうなのかというと、足回りは表現的には「しっとり剛性」だ。
エイジ しっとり剛性!もう少し詳しく話してください。
シンゴ オッサンの独壇場に、なっちゃうよ?(笑)私がワーゲンについて感じるのは、積極的に制御された精巧な機械感。ラフが少ないというか、ひとつの動き・・・例えば、同じカーブを曲がるにしても、気候や季節でクルマの挙動って変わるわけじゃない。でも、ワーゲンの車ってしっかり同じ感覚で曲がってくれる。期待を裏切らないというのかな、設計されたマニュアルがあって、その通りに動いてくれる。
エイジ 何となく、シンゴさんの言うことはわかる気がします。私はGolfに乗ったとき、足回りのしっとり感、操作やボディの剛性の高さを感じました。でも、ラインを狙った時の正確さは桁外れとは言えませんでした。品質は高いんですけどね。ということは、シンゴさんの評価はきっと、Passat Alltrackならではなのかもしれませんね。サスペンションに電子制御が入っていますから。
マコ それを言えば、Peugeot508にも入ってますよ?
シンゴ そう、どちらも入っている。けど、曖昧さを大事にしているのがプジョー、正確さを大事にしているのがワーゲンだね。アナログとデジタルみたいなものだよ。
マコ その差はどこかでわかりますか?
シンゴ わかるよ。Passat Alltrack は精巧だからこそ、アクセルをラフに踏み込んでも怖いと感じないんだから!(笑)
エイジ はああ、人には色々な評価方法があるんですね、勉強になりました・・・

マツダのトータルコーディネートは尋常じゃない
シンゴ エイジ君はこの4台を比べると、どういう比較になるの?
エイジ そうですね、シンゴさんの話に乗ってみます。mazda3を引き合いに出してみましょうか。このクルマ、プジョーともワーゲンとも違う世界観に生きています。走りの精巧な感じはワーゲンに近いです。着座位置からくるスポーティはプジョーにも似ています。ならmazda3がこのラインナップの中で最高かと言うと、そうではありません。
マコ 性能や雰囲気が似ていても、一番ではないのですか?
エイジ はい。エンジンの色気は不足しています。扱いやすいエンジンを積んでいて日本では走りやすいパワーを出します。しかし、そこまでなんですよね。プジョーは508のエントリーモデルでも、気持ちのいいプリンスエンジンが載っています。
シンゴ mazda3は俺も乗った。エンジンは確かに普通のエンジン。だがそれは、価格差から言えば仕方のないことだろう?
エイジ はい。マツダはやはり日本車なのだろうと感じますよ。絶対的性能では輸入車の上を行きます。しかし、感性では勝たない。勝とうとしない。勝てないところでは勝負しないんです。
マコ なら、mazda3は負けなんですか?
エイジ いいえ、ここからがマツダの怖いところです。コックピットに座った時の雰囲気やワクワク感が、このクルマは何せ良い。ナビゲーション用のセンターコンソールのデザインも良くて、質感も高いんです。

シンゴ そうだね、マツダのインテリアには一貫したテーマがある。CX30に乗った時も感心したが、車内の空間設計も含めて隙がない。
エイジ そのトータルコーディネートの品質の高さは、恐らく技術の裏打ちがあります。演出に力を入れている。踏み込んだ時のマフラーの音、コックピットに座る時の視界の広さ、シートを無駄に倒さない為の操作性など、目や耳で感じることに本気で取り組んでいる。だから、多少エンジンフィーリングが落ちたって問題ないんです。むしろ、mazda3に気持ちのいいエンジンを安価に乗せたら、オバケクルマの出来上がりです(笑)
シンゴ メチャメチャ褒めたね(笑)
エイジ それでいて価格も抑えてあるんですからね。大したメーカーになりましたよ、マツダは。
マコ あらあ、そんな答えになってしまったら、三つ巴じゃないですか。
ボルボは座ることを中心に考えている
エイジ ではマコさん、バトンタッチいたしますよ。よろしくお願いします。
マコ うーん、私の愛車はエントリーから外れているので、元VOLVO愛からVOLVO V60を出しましょう。このクルマこそ、プジョー、ワーゲン、マツダとは一線を画す感性の持ち主かもです。
シンゴ 「かも」と言うのは?(笑)
マコ マイルドハイブリッドに乗れていないのです(汗)だから正直語りにくいんですけどね。でも話しておきましょうね。ちなみに私はもう、ボルボを指して安全性とは言いませんからね。
エイジ なんと!
マコ VOLVO V60は、美しいエクステリアやインテリアでの勝負ではありません。だって、そもそも他の車よりも質感が高いんですから。
シンゴ なんと!
マコ おっと間違えた。エクステリアやインテリアは好み。それぞれオーナーとカーデザイナーのインスピレーションが合えばそれで良いんです。確かに格好良いクルマというのはありますが、あまりにも価格が高かったり、スタイルが優先しすぎてユーティリティが疎かにされたりするので、私の中では評価しません。
エイジ 人が変わりましたね(笑)
マコ そのような中で、VOLVO V60が目指したものは、私は「クルマに座ること」だと感じました。

エイジ クルマに座ること。確かに、ボルボはシートの作りに定評がありますね。
マコ はい、ボルボも積極的に宣伝するように、人間工学に基づいて設計されたシートは、身体を包み込むように座らせるにも関わらず、窮屈感を全く感じない、とても優秀なものなんですよね。
シンゴ プジョーもワーゲンも、シートの出来は良い方だよ。それでもボルボを推すのは、何だろう?
マコ 各社シートの作りは良い「かも」しれません。例えば、私の感じ方によれば、プジョーも素晴らしいです。i-Cockpitは着座位置や姿勢を正そうとする力があります。しっかりとハマってあげないと、メーターがしっかり見れないから。i-Cockpitと正しくマッチングすることによって、プジョーのクルマは疲れにくく、とても走りやすいクルマになります。
姿勢の矯正のわずかな差
シンゴ さすが、愛車のことだ、語るねえ。
マコ プジョーとボルボのオーナーですからね(笑)それでもボルボを推すことの理由ですが、プジョーのように、矯正をいれなくてもボルボは疲れないことなんですよね。
エイジ ボルボも同じく着座姿勢の矯正の思想は入っているでしょうね。特に背中を収めるところから肩を支えるところまで。形状を工夫することで、正しい姿勢を取れば取るほど、快適だと感じるようになるシートです。
マコ プジョーにも似たようなところはあるんですけどね。プジョーはスポーティにしっかり身体を支えたくて、i-Cockpitに合わせる姿勢を取れるように、脇から下で身体を支えようとしてきます。ボルボは座った瞬間は、何にも支えられていないんじゃないかと感じるんです。北欧チェアに座ったような感覚。けれど、走り出してすぐに「腰」と「肩」を柔らかく支えていることに気が付きます。

シンゴ だいたいのクルマは、ボディを支えるアダプターみたいになっちゃうんだよね。ところがボルボは、卵の内側にいるみたいだ。
マコ そうです、そうなんです!私が思うのは、まあ、安全性の話をしないなんて言ったんですけど、予防安全を考えればドライバーが疲れないことは最善なんですよね。ボルボは随分質感が上がって、もう高級車の仲間入りをしているんですが、ドライブフィーリングは「素直で運転しやすい」の一言。
エイジ アンダーステアの傾向を残しています。ボディが他社より重いこともありますが、クルマの挙動としてわかりやすい、危険を感知しやすい仕上げ方はボルボの上手いところですね。
マコ 「クルマに座る」というのは、ボルボの車というのは運転を考えたときに、しっかり座らせることを基本に考えている印象が深いことから来た言葉でした。そして、Volvo v60は現在のラインナップ中、ラージプラットフォームでは最後発。色々なネガが取れているからこその高品質に、私もメロメロしていたというわけです(笑)
シンゴ なるほどね(笑)
マコ ただ、プジョーはそれこそ、3008や508からシート形状は手当していて、ずいぶん楽に座ることができるようになりました。はっきり言ってボルボに肉薄しています。
エイジ いろいろな考え方があるんだと思います。私はドライビングポジションはステアリングを握った時の姿勢だと思っていますので、i-Cockpitはそのイメージを進化させたものだと捉えています。ボルボは、普通のステアリング位置でそれができた。この差はやはりあると言っていいでしょう。
2021年 monogress的カーオブザイヤー
ーーーすいません、そろそろ 5,000 文字が近いので、カーオブザイヤーを決めてください。
シンゴ 決められないよ(笑)結局この「感性」というものって、その車が気にいるかどうかのポイントでもあるんだから。スペックだけで選んで失敗する人って、感性が合うか見ていない人だもん。
エイジ 脱線しなかったのは認めますが、答えに着地点がありませんね(笑)ですが、車高の低い実用車を並べても、これだけ大きな感性の差があるということは伝わるんじゃないかと思います。
マコ クルマの趣向がさ、まこまちさんの好きなクルマだもん。一番なんて決められません。
ーーーわかりました。それでは私が勝手に決めましょう。Peugeot 308SW でいかがでしょう。

マコ エントリーしていないクルマじゃないですか!?
シンゴ 自分の愛車をゴリ押ししてきたよ( ´ ▽ ` )
エイジ まあ、とりあえずエントリーの4台では一番は決まりません。
シンゴ 感性というのは、意味のわかりづらい言葉だけれども、車に当てはめると話題の尽きない言葉だ。それを確認するために試乗する。感覚的には、数値で見えるところを大事にする日本車と、感性を大事にする輸入車という住み分けを俺はしているけれど、そもそも作る国が違うんだ。性格の違う車ができて当然だよね。
エイジ 輸入車と日本車って、そこに価格差がありますね。ただ、マツダは感性を磨いてきていて、それでいて価格帯は日本車です。この車作りを大事にしてほしい。きっと他の日本車メーカーもわかっていますよ。それでも、日本人が好むのがスペックなんです。輸入車よりも性能が良いものに乗ることが、日本人には必要だった。
マコ プジョーやボルボ、フォルクスワーゲンが高すぎない輸入車を展開して裾野を広げてきた。感性で乗る人の受け皿になったんだと思います。今度は日本車が感性を全面に出すときです。輸入車に負けない感性の日本車の登場を、楽しみにしていましょう。
ーーーというところで、2021年の monogress の書き収めです。来年はもう少し日本車にも触れて、現代の車事情をもう少し掘り下げできるようにしたいと思っています。monogress をお読みいただきありがとうございました。来年は来年で、何か新しいことをしたいと思っています。何卒よろしくお願いします。