LAMYの企業イメージ ドイツ教育から世界へ羽ばたく

道具を選ぶ上で、企業の成り立ちや今までの道のりを知ることは欠かせない。輝かしい成果、起こしてしまった間違いなどを総合的に捉えて、そのブランド、メーカーを選ぶが判断するべきである。

例えば、自分の感性に合わない事をメーカーがする事もある。プロダクトを出す場合がある。それが自分にとって軽いことなのか、重いことなのかによってメーカーへの印象は随分変わる。

私はこれをストーリーと呼ぶが、気にする、気にしないは個人の差がある。ここでは各企業の歴史や近年の動向を綴っていく。

 

ドイツの教育に根強く関わるLAMY

小学校教育に導入されている万年筆教育

万年筆の大手メーカーであるLAMYは、ドイツでは小学生から使用される。

半ば強引に使わされる、と言ってもいいのだが、子供達からしたら、感覚は日本の鉛筆とおなじようなものだろう。一方親や祖父母にとっては少し違っていて、綺麗な字が書けるようにと万年筆をプレゼントする習慣もあるようだ。

もちろん、子供が万年筆に簡単に馴染めるように、LAMY他ドイツ文房具メーカーは様々な展開を見せている。

まず小学生として学校へ入学する前後、LAMYで言えば、自社製の鉛筆やシャープペンシルを提供(販売)して手に馴染みを与える。やはり文字書きの最初は、鉛筆のほうが使いやすいのだろう。

2年生に上がるくらいに、万年筆に切り替える。

 

物を大事にする教育の一環

小学生から万年筆を使う理由は色々あるようだが、万年筆はインクを使って書く為、書き損じをすると痛い目に合う。訂正ができないからだ。だから、何を書くかしっかりと考え、丁寧に書かなければならない。ドイツでは、これを小さな頃から身体に覚えさせるようだ。(インク消しも存在し、使う学校もある。)

また、万年筆のペン先は壊れやすいので、モノを丁寧に扱う習慣にもつながる。几帳面で硬い性格の印象のあるドイツ人だが、基礎教育のころから養成が始まっているように感じる。

学校で使う万年筆の影響もあって、ドイツ人は大人になっても、同じメーカーの万年筆を使う事が多いようだ。少なくとも万年筆は手放せないらしい。つまり、大人から子供まで万年筆を愛用している。

国全体で万年筆を使う。沢山の人々が使い続ける。

LAMYはドイツで製造されているプロダクトだが、顧客の量は地元が一番多いとなれば、うなづける。

LAMY サファリ 万年筆

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LAMYの歴史

LAMY社の歴史は、驚くほど情報が少ない。

LAMYが設立されたのは、1930年。やはり筆記用具メーカーだったパーカー社から独立したカール・ヨーゼフ・ラミーは、企業の買収の末ラミー社を設立。

1952年にLAMY 27という万年筆を発表。

1966年、LAMY2000という大ヒットプロダクトを発表。精巧に作られたこの筆記用具は、機能美もさることながら、素材の継ぎ目を感じないほどの工作精度で当時の工業業界を驚かしたと言う。

LAMYの躍進はLAMY2000から始まるが、1930年から1966年までは、大きな活躍を見せていない。それでもこの小さな文房具メーカーが生きてこれたのは、教育というインフラに支えられたからなのかもしれない。

しかしそのような中でも、LAMYは独自の製品を開発し、新しい市場を開拓しようという欲求を絶やさなかった。永く製造されているLAMY2000は、それまでステンレスで作成されることのなかったクリップの製造を可能とし、筆記用具にデザイン言語という可能性を示した最初のプロダクトとなったのだ。

 

LAMYの展望

万年筆だけではないLAMY

ところで、多くのドイツ人が、万年筆を大人になっても使い続けるといわけでは無いらしい。

大学に進学すれば、会社に入れば、シャープペンシルやボールペンを使う事が多くなるそうだ。そこでドイツの文房具メーカーはやはり、シャープペンシルやボールペンを製造・販売する。

LAMYでいえば、同じシリーズ製品ではあるが「ペン先」を変えることによって、使い勝手に困らないようにした製品群になっている。

例えば、1980年に発売されたSafariシリーズは単色カラーが特徴的な製品だが、万年筆やボールペン、シャープペンシルまで、ほぼ同じボディ設計がされている。

 

LAMY サファリ 万年筆

LAMY サファリ シャープペンシル/ボールペン/万年筆

写真上の黄色から順に、シャープペンシル、ボールペン、万年筆が2本と、バリエーションを見せる。万年筆2本にはそれぞれ、赤インクと黒インクがセットされている。

力をいれるデザイン分野

そして昨今、LAMYが力を入れているのがデザインだ。

社外のデザイナーに依頼し、様々なプロダクトを開発している。実用品でありながらもコレクターがいることを考えれば、優秀なデザインプロダクトがある事はメーカーとしても良い事だろう。

例えば、この事業には日本人も関わっており、漆塗りのシリーズには小倉典彦氏が関わっている。

詳しくは… 出典 LAMY https://www.lamy.com/en/specs/lamy-specs-vol-5/urushi-master-norihiko-ogura/

漆と金粉。万年筆は「黒と金」というイメージは、もしや日本人だけのイメージなのだろうか?それでも、このプロダクトは楽しさに溢れていると思う。使えないけれど。

 

経営陣の変更は気がかり

最後に、LAMYの今後についてである。

商品を楽しみに待ち、愉快に使う我々にとっては問題のないことかもしれないが、単一株主による経営の為か、長年優秀に働いていたとされる経営陣の1人が、方向性の違いを理由にLAMYを去る事があった。

LAMY家は相談役に退き、若干の不協和音が聞こえてきた形だ。今は古くから働いている3人の従業員が、経営を行っている。

社員数500人に前後の小さな世界的企業LAMY。この歴史に影が落ちないことを、心より願っている。

LAMYのストーリー

以上が、私の調べた限りでのLAMYという企業だ。

商品のプロダクトについての情報は溢れているので、あえて大きくは触れていない。

調べてみれば、やはり「小学校から万年筆を使う」というところに情報が偏っているように思う。日本では鉛筆が用いられる為、ドイツでの小学校教育にはビックリさせられる、からだと思う。

一方ドイツからしてみれば、なぜ日本は鉛筆を使っているのだろう?せいぜいシャープペンシルのほうが良いではないか、なんて思っているかもしれない。

ただ、ドイツで万年筆を使っている理由は、特にないそうだ(笑)

日本で鉛筆を使うのは、はね・とめ・はらいが表現できるからだとしている。万年筆でも再現できそうだ。

 

万年筆を使った人たちの作る車 VS 鉛筆を使った人たちの作る車。世界の自動車工業の構図はこの二大勢力、と見るのも、誇張であるが面白い。

LAMYは日本も含め、世界にアンテナショップを作っている。文房具店でも手に入るが、様々な形の万年筆、シャープペンシル、ボールペンを触り、体験し、お気に入りの一本を見つけてみてはいかがだろうか。

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