大好評(笑)の、まこまちのクルマ選びシリーズ2話目です。クルマ選びは楽しいのです!
第1章 プジョーの本気ディーゼルに触れる
まずは人を感じたい
実は、プジョーには期待していなかった。
好みの形ではあるが、シトロエンのほうがファニーだ。同じグループならプジョーよりもシトロエン、なんて考えていた。だからディーラーへ電話した時も、燃費が良いことと荷物が乗ることを優先したいとだけ伝えていた。
それよりもセールスさんの出方に興味があった。プジョーという初めて行くブランド。正直に言えば、得体が知れない。心細い。どことなくレクサスじみた外装は、接客のわるかった某ディーラーに似たような感覚を抱いてしまう。ならば、まずは車でなく人を感じたい。
だから、スタッフの満面の笑みの挨拶を見た時、かえって心を掴まれた。
香りのしないフランス
黒い床、白い壁。フランスのプロバンスの風などとはかけ離れたインテリア。
プジョーを代表するブルーは使わず、店内展示するクルマも白と黒。カッコつけてるな、と思う。清潔感のある店内は当然だが、商談ブースには曇りガラス。どことなく閉鎖的。これもフランスのイメージとはかけ離れている。
ショールームはプジョー車が3台並んでいる。行きつけのボルボの半分程度のサイズ。立派なSUVの間に小さく可愛いクルマを見つけた。
プジョー2008だ。
コンパクトSUVだが、エクステリアもインテリアもかなり精巧に作られている。リアシートに乗り込むと、横3座シートが並ぶ。面白い。シートは硬めだなと感じる。どれくらいリラックスできるだろうか?リアシートメインの子供を想う親心、なんてね。
なんだか凄くかわいいね、と嫁さまが言う。
確かに可愛い。だがシトロエンはもっと可愛いはずだぞ。
グレーが似合う、良いクルマだね、と嫁さまが言う。
確かに似合うが、地味じゃないかなあ?
ベニヤ板、乗るかな?と嫁さま。
あれあれあれ?気に入っちゃったの?
用意の良い私はメジャーを取り出す。シャキーンという効果音が聞こえるくらい、これ見よがしに出すアイテム。これはあれだね、ドラえもんだね。
測ってみれば、2008は残念ながら、ベニヤ板は乗らないようだった。コンパクトだから当然なのだが、デザイン良いだけに少し残念。でも、見たことのないクルマに触れるのはやっぱり楽しい。
心配を払拭するプジョーの接客
同じ苗字のセールスさんは、くったくのない笑顔で私たちの前に現れた。
プジョーは猫足だぞ、プジョーは歴史が長いぞ、などというゴタクは一切聞かされず、何か載せなくてはならない物でもありますか?と質問から入ってくる。
よく、自動車ディーラーに行くと「ご興味のある車はどれですか?」とか、「(例えば)V40がご興味ですか?」とか聞かれる。そりゃ興味あるから来たんだよと。反応は人それぞれだとは思うけれど、当然のことを聞かれてもつまらない。
同じ苗字君は、ベニヤ板を持ち帰りたいと言う私たちへ、その願いが叶う車がありますよと素敵に案内してくれた。
自動車紹介 peugeot 308SW
プジョーらしさを楽しめる
フロントマスクは精進だけど、リアからみると丸っこい。
キュートなお尻の丸みはなんだろう?いや、これは獣の後ろ足だ。
なるほど、猫のようにか、豹(ひょう)のようにか?いやいや雌ライオンか。
プジョー 308 SW。JC08モード燃費は 21.4km/L。1.5Lディーゼルエンジンを8速ATで楽しめる。出力130馬力は控えめだが、トルク300Nmは力強い。坂道の多い市街地走行も難なくこなす。静寂性はジャーマンスリーのガソリン車に迫り、ディーゼルの揺れは皆無である。
安全装置はボルボV40並。すなわち、人や障害物を検知する自動ブレーキ、高速道路で頼もしいアダプティブクルーズコントロール、レーンキーピングアシスト、ブラインドスポットインフォメーションを搭載。エアバッグもカーテンエアバッグまでしっかり装備だ。
ボルボのお家芸である衝突回避支援アシストは無いが、これで充分。V60のような高級車ではない訳だし。
嬉しいのはバックモニターに、アラウンドビュー機能も搭載されているところ。(注 バックモニターに写った画像をつかって擬似的に再現されたものです。)ディーラーでの車庫入れが大変楽ちんだった。
そして噂の猫足はトタトタと。気持ちの良い音を残して突起もくぼみも軽く手を添え、越えていく。
とても優しいクルマである。
安い!というのが、見積もりを提示された、私と嫁さまから出た最初の言葉だ。
ラゲッジからスイッチ1つでリアシートが倒れる使い勝手の良さ。ベニヤ板もしっかり乗る余裕の室内に、私も嫁さまもメロメロだ。笑顔で進む商談。けれども…不満がないわけでは無いぞ。
昔選んでいればと悔やんでしまう出来のよさ
家族からは、いつも眉間にシワを寄せていると言われる私。多分この時も、シワが寄っていたことだろう。クルマにもセールス氏にも不満はない。あるのは、なぜ3年前にこのクルマに目が止まらなかったのか、という自分への不満。
ベニヤ板こそ載せられるけれど、ボルボV40と同じ系統のクルマ。だからこその安心感だが、乗り換える意味を見出せない。
インスピレーションで車を選べ!と言う自分のなかで、プジョー308SWは確かに輝いている。良いクルマを選んだ。良いクルマに乗っている、という満足感は得られることだろう。けれども少しパンチが効かない。もう一押し欲しいのだ。その眉間のシワが見えたかどうかは解らないが、千葉県出身という同じ苗字君は口を開いた。
この後お時間はどれくらい頂けますか?
さあ、値引き交渉が始まるぞ。
ーーつづくーー