直6…華麗なる奏での世界へ まこまちの車選び2025 地獄沼編 最終話

憧れとは、なんだろうか。

 

それは目標であり、いつか叶うと信じて突き進むためのエネルギー。人生とは、憧れがあるからこそ頑張れる。

 

私が憧れたマルチシリンダーの記憶…昔、ミドルカーといえば直列6気筒だった時代、車がステータスだった時代の、人生の勝ち組は直6セダンという勝手な記憶だ。トヨタクラウンはもちろん、マーク2三兄弟、日産ならばスカイラインにセド・グロ、BMWもベンツも直列6気筒が載っていた。ホンダは斜めにV6に手を出し、スバルは水平対向6気筒。「シックス」はひとつの到達点で、いつか手に入れたいエンジンだった。

 

ところが、いざ手を伸ばせるようになった頃には、世の中はダウンサイジングの真っ最中。4気筒にターボやらハイブリッドやらを組み込んで、6気筒を遥かに超える複雑なパワーソースの時代になった。

 

この流れに、ただ身を任せていて良いのだろうか?ふと湧いた疑問が、忘れていた憧れの記憶を呼び起こし、私をとある、中古車専門店へと誘った。(いざなった)

 

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人生最良のボルボ選び

まこまち  ウッヒョ!ボルボがいっぱい!ディーラーよりも目移りする!

 

歓喜を上げる自分。車選びが待ち遠しくて堪らなかった数ヶ月。実は直列5気筒も狙っていた。あまりにも稀少な直5体験は、人と被るのが嫌いな私にピッタリだからだ。

 

ボルボ専門店の空気は、ワクワクを加速させる。
まるで決定を遠ざけようとしているかのように、すべてが魅力的。

 

クラシックなVOLVOはスポーツと気品の融合体

VOLVO XC70(P2)のエンブレム

 

まこまち  ウォア!古ボルボ!

嫁さま   今見ても古くないね!

 

スポーティさと気品とを兼ね備えた、V70。控えめなグリルではあるけれど、高い顔が世界的な主流である現代において、むしろコチラの方が大胆か。

 

VOLVO V70 サイドショット

 

ピアノブラックを使わない造形にも拍手。ボルボもプジョーも、ホンダもそうだが、ドアパネルのブラックガーニッシュには飽きてくる。いやいや、ボルボやっぱり最高だ!V70にしようかな…直列5気筒だし…

 

VOLVO V70 R

 

まこまち  青いねえ…

嫁さま   青は洗車が大変よね…

 

ターボを積んだV70 R。ボルボというメーカーは、安全だなんだと言いながら、スポーツモデルも必ず用意する。「FRの方が滑らないのだ!」とか、「死亡事故0にするんだ!」とか言いながら、スッと路線変更したりする。これはバイキングの戦略なのか?(笑)

 

AWDでプラスアルファの安全性を

ところが、いざ選ぼうという時になって、AWDモデルが欲しくなった。理由は、信州の雪は時々家に入らなくなるくらいに積もるから。四駆を買って、冬の移動を確実なものへと押し上げたい…それは、シビックでは叶わなかった夢である。

 

VOLVO XC90 3.2

 

直列6気筒のXC90 AWDモデルだ。ショルダーの張り出しや、面を使ったデザインテイストが、大変に私の心を揺さぶってくる。が、インテリアがクロカン・クロカンしてるから、好みから外れてしまった。とりあえず保留にしよう。

 

VOLVO XC70 Dynamic Edition

 

XC70 ダイナミックエディション、かな?コックピットに座った瞬間、その大ぶりでフワリと身体を受け止める気持ちの良いシートに心を奪われる。やっぱり、これが本命。ただ、摩耗が激しいところが悩ましい。

 

本命 直6ステーションワゴン

VOLVO XC70 T6 SE

 

XC70 T6 AWD SE。これはーーー

 

まこまち  これ、良いな。これが良いかなー

嫁さま   お、決まりそう?

 

炎天下の中、私の車選びに付き合ってくれる良妻、最高妻、いや宇宙一。ところが、嫁さまは助手席にも座らず、「良いんじゃない?」と、そっけない。あたりまえか…

 

白いボディに、ブラックのモールで表現されたツートンボディは、実は私の大好物だ。日本車でコレをするには各メーカー技量が少なく、妙なアクセントを入れて自滅する。輸入車ならでは!を一番に感じられる、遊びと品を融合させたエクステリアは、それだけで「買い」なのだ。しかも、コイツは直列6気筒。シリンダーの奏でを聴きながら、遊び心のボディを携え、ゆったりと高速道路を流す自分を想像し、気持ちの良い気分に期待する。

 

そして、直列5気筒も良いかな、などと考えながらも、やはり直列6気筒に乗りたい自分がいる事を、改めて認識する。この1気筒が、天と地ほどの差を作るのだ。

 

でも、内外装ともに疲労が目立つ。ボディこそセーフだが、ホイールは傷だらけ。シートのシワも見過ごせない。前のオーナーの扱いの荒さが見えるなあ…そんな時、店員さんは「お悩みのようなので」と、一台のSUVを指差した。

 

逆転のスタイリッシュSUV

漏れていた選択肢

VOLVO XC60 リアコンビネーションランプ

 

XC60 T6 SE(2014)。自社でメンテナンスをしていたお客様の車だそうで、中古車にありがちなメンテ不足が無いところがオススメポイント。たしかに、XC60も憧れたことのある車であるが、それはディーゼルモデルだった。V40を買う時、宗谷岬まで無給油で走破するPVが入ったDVDを頂いたっけ。

 

このモデル、フロントマスクは少々ヤボったさがあるけれど、サイドやリアからのショットは逸品。なにせ、目の前を走り去られたら、現行XC60よりも華やかなんじゃないかと感じられる、いつまでも「目の保養になる」車である。

 

まこまち  これは勉強不足なり…直列6気筒が載ってるの?

店員さん  はい、エンジンをかけてみましょうね…

プルプル…フォーーン!

まこまち  うわ!音が…音で買わされそうだ…

店員さん  日陰まで動かしますので、じっくりと見てくださいね。

 

XC70とXC60が並べられる。あっちに乗ったり、こっちに乗ったり。しかし、やはり若い頃の憧れだったXC70が欲しいかもしれない、いや、消耗が激しすぎて後悔するか…?

 

あれ、気に入っちゃった?

VOLVO XC60のエンブレム

 

気付けば、XC60のリアシートには、息子がご満悦に座っている。足下の余裕さは、XC70の方がありそうかな?狭くないかな?

 

息子くん   見晴らし、良いね。

 

ん…確かに、背の低い車愛好会を自負していたから、ミニバンのような車には乗らなかった。そういえば、息子くんはN-BOXのリアシートがお気に入りだったよね。

 

嫁さま   パパさん、パパさん。

まこまち  はい?

 

嫁さまは、息子くんと同様…なんとXC60の運転席に座っていた。

 

嫁さま   ボルボは良いね、背の低い私でも、シートポジションが完全に合うよ。なんだか乗り降りもしやすいね…!

 

え?きっとXC70も、ポジション合うよ?あれ?え?気に入っちゃったの???

 

ジワジワと気にいるいぶし銀 XC60

VOLVO XC60のコックピット

 

じっくり見れば、ソフトベージュの本革シートは消耗が少なめ。体重の軽い方が運転されていたのかもしれないし、確かにこれは、悪くない。それに、白黒の陰影に木目のパネルは、正直に美しいし、V50、V40と2台にわたって木目パネルを選んだ私には、見事なまでに突き刺さる。

 

もう一度、コックピットに腰掛けてみる。嫁さまが乗ったおかげで上がり気味になってたポジションだが、見晴らしの良さ、セダン型とは一味違う圧迫感の少ないダッシュボード、そして見切りの良さ…素晴らしい設計思想は、今までの車選びとは一味違う世界。

 

ウン、これは納得せずにはいられない…!

 

憧れは必ず叶う

VOLVO XC60(SPA) がズラリと並ぶ

 

契約書のサインが終わり、黄昏ている私の前には、現行のV60が飾られている。

 

私はこの、momentum のタンレザーが欲しかった。思えば、ボルボは欲しい車ばかりである。だが、デザインでいえばフォード時代のヌルリとしたエクステリアが好みだったし、インテリアも旧モデルのほうが削ぎ落とした美しさがあり、気に入っていた。それでも新世代の、SPAプラットフォームのボルボは輝かしく、いつかは選ぼうと決めていたが…ブログがキッカケでボルボから降りることとなってしまった。

 

私にとって、車選びは「家族のカタチ」の形成に不可欠な要素である。自分だけが良ければ、という考えになることはできなかった。ボルボから一旦離れたのは嫁さまの希望だったし、家族が快適に過ごせる車は、私の車選びのポリシーだった。

 

その最適解は、やはりボルボにありーー世界一のファミリーカーを自負したボルボの思想はやはり、私の心を簡単に掴みなおした。当然のことなのだ。

 

VOLVO XC60 と夕暮れ

 

アクセルを軽く踏み込む。直列6気筒は、無駄な振動を一つも立てずに、シュンシュンと気持ちよく回ってみせた。発進は、ボルボらしくゆったりが合うようで、優しいアクセルワークに応えるように、美しいハーモニーで耳を撫でるやり取りが心地よい。

 

アクティブサスペンションは、嫁さまとの車内協議の結果、一般道ではCOMFORT、高速道路ではSPORTSに。どれを選んでも快適性は損なわれないが、長い旅の為の車である、その時その時のベストを積極的に選べば良い。

 

2020年にボルボを降りてから、5年が経っていた。私は5年の進化を味わうどころか、さらに昔の車を選び、電動から内燃機関へと逆行した。

 

それは全て、憧れの為だった。

 

古民家ーー綺麗で、便利で、少し狭い新築マンションを手にした結果、趣きと広さが必要だと感じた。

移住ーー排ガスにまみれ、便利に侵された街を捨てる。家族の健康を最優先に。譲れないことだった。

直列6気筒ーーシリーズハイブリッドの最高峰を体験したからこそ、直6への憧れを思い出し、内燃機関の最後の灯火を味わいたくなった。

 

私を突き動かしたのは、全て「憧れ」。自分に無いものを手に入れたい、人と違う人生を歩みたい、そんな希望が力になり、私の人生を形取る。

 

憧れは、願いを叶えるためのエネルギーだ。

 

直列6気筒の奏でを聴きながら、家族の寝顔にクスリと微笑む。これが、良い人生の歩み方。そう自分に言い聞かせ、自分を褒め、あと半分を切ったであろう人生の糧にする。

 

VOLVO XC60 が新たな愛車に

 

ただいま、輸入車。

ただいま、ボルボ。

 

少し古びたXCは、誰の興味も惹かないだろう。ブロガーとしは、そこはちょっぴり寂しいけれど…再び車好きの人生を歩める喜びを噛み締めながら、大事に、少しずつ右足に力をこめた。

 

 

 

おっと、パーキングで休憩するんだった。ウェーイ、ブレーキ〜…

 

ガタガタガタ!

 

え!?え!?

 

XC60に、早速トラブルの予感。一瞬、308SWを思い出した。まあ、将来の酒のつまみが増えるのは良いことだと、なんて余裕ぶりながらも、私は購入元への受話器を上げた。

 

結びの瞬景

VOLVO XC40 がズラリと並ぶ

 

ということで、まこまちの自動車選びは今回をもって閉幕です。ボルボは長く乗ろうと決めていて、古民家とともにボロな人生を彩って欲しいなと期待しています。

 

様々な理由があり、今回はボルボを選びましたが、信州を縦横無尽に駆け抜ける車は欲しいので、小さなフランス車、もしくはホンダの小さなEVなどは、追加で買うかもしれませんね。

 

さて、最後にお知らせです。monogress は5年続けたブログで、そろそろ集中的にメンテナンスをしなくてはなりません。シェアボタンが相変わらずTwitterと出ているのも、直したい。そこで近々、更新を休止します。

 

サイトのリフレッシュの他、ブログの記事の作り方も、考え直したいと思っています。しばらくは新車の試乗もないだろうし、車オンリーも嫌なので…(それに、コラムは人気ないしね。)

 

シビックのお別れ記事と、直6エンジンの自慢記事を書いたあたりで、一時的にはお別れになると思いますが、そのうち帰ってきますので、定期的にチェックしてくれたら幸いです。今後も、monogress および まこまちを、どうぞよろしくお願いします。