私は、ワゴンが好きである。
セダンのように伸びやかで、SUVに匹敵するユーティリティを持ち、スポーツカーのように速い。車高が低いから揺れなくて快適だ。なぜみんなワゴンに乗らないのだろう?
そりゃぁ、セダンに比べればフォーマルさは多少欠けるし、SUVのように見晴らしはよくないし、スポーツカーのようにボディ剛性めっちゃ硬でないことはわかる。でも、それを高次元で融合しているのが、ワゴンじゃなかったか?
モーターファン(WEB版)の記事を読んで、いや違う!そうじゃない!ワゴン選びはこうなんだ!という気持ちがみなぎってきて、いつになくやる気になって元気が出てきた。ここはひとつ、まこまち流イチオシワゴン 2020年版 をお送りしようじゃないか!SEOなんて無視して、書きたいこと書いてやる!
楽しいワゴンを吟味する
マコ というわけでこんにちわ!about VOLVOが廃版になってから出番がなかった、仮想座談会「Meeting!!」メンバーのマコです!
エイジ え?あれ?いいんですかね、こんなタイミングで我々が現れて!
シンゴ 勢い余ったんじゃないかな。ウップンも沢山溜まっていることだろうし。
座談会コーナー「Meeting!!」はaboutVOLVOでも人気のコーナーでした。筆者の思わないことまでズイズイ言っちゃうキャラクター達が送る、名物コーナーだったのである!
エイジ そういえばマコさん、ボルボV40は元気ですか?
マコ 売っちゃいました♪
エイジ ぼ・・ボルボ愛はどこに行ったんですか・・・
マコ 無くなったわけじゃないんですよ。新体制に期待しているし。でも私が似合う価格帯のクルマじゃなくなってしまいましたので。
シンゴ 今やしっかり高級車。安全はクルマに乗るすべての人が手にするべきだという思想は、どこへ行ったのだろうね。
エイジ Project DIVAに受け継がれたんじゃ?
マコ エイジさん、それは初音ミクのゲームです。Project E.V.A.ですよ(-_- ;)
とにかく、2020年度版のオススメワゴンをどうぞ御覧ください!
日本の自慢の四駆ワゴン スバル・レヴォーグ
きっかけは、レヴォーグである。2020年秋にフルモデルチェンジを受ける「スバル・レヴォーグ」は、スバルの起死回生モデルであることには間違いない。すでにレトロと言えなくもないシンメトリカルAWDを搭載する、ミスの許されないクルマなのだ。
レヴォーグを語る上で、どうしても出てくるのが「スバル・レガシィ」だ。キング・オブ・ワゴンであったレガシィは、「トヨタ・カルディナ」や「日産・ステージア」など並み居る強豪を尻目に、ワゴン王者の座を不動のものとしていた。
ところが、トヨタはワゴンから舵を切る。乗用車ベースのSUVである「トヨタ・ハリアー」は、一度は乗りたい車高の高いクルマ族である男ども(ほぼ全員?)を夢中にさせる。その大ヒットに他メーカーも追従。するとワゴンは売れなくなった。
スバルはスバルで「B9トライベッカ」などで負け返す。つられてレガシィも肥大化。モデルチェンジを繰り返すごとに大きくなって、最後にはツーリングワゴンは無くなった。
その教訓を活かし生まれたのが、スバル・レヴォーグ。インプレッサのプラットフォームがベースと、小型堅持に舵を切った成果は大きく、日本のツーリングワゴンの代名詞へと返り咲く。だからこそ、次世代レヴォーグに期待をせずにいられないのだ。
マコ e-Boxer やら、リーンバーンやら聞こえてきますが、スバルの良さってそこですっけ。
エイジ のっけからぶっこんできますね(笑)
シンゴ 燃費の悪さを払拭できれば、スバルは未来へ進むことができるんじゃ?
マコ 私は「節々の良さ」で選んだから。ボクサーはいい音だけど、それだけじゃ買えないよ。高いもん。
エイジ 直列4気筒のFFベースAWDを作ったって、スバルは良い車をつくるでしょう。でも足かせは個性ですから、難しいところです。
あまりにも室の高いジャパンスタンダード トヨタ・カローラツーリング
ワゴンというジャンルについて、苦労しているのはスバルだけではない。王者トヨタもワゴン開発は苦労している。「ビスタアルデオ」「カムリグラシア」そして「カルディナ」と世に送り出しては消えていく。プレミアムワゴンを目指し、「マーク2ブリッド」「クラウンエステート」とラグジュアリーに振ってみても、失敗した。
気を吐いたのはやはり、「トヨタ・カローラ」だった。待ちに待ったハイブリッドワゴンは、プライベートからビジネスまで幅広い指示を集めていた。トヨタの舵は今や原点回帰。力を入れるはカローラとクラウンだ。数々の失敗を知ったトヨタはやはり、強いトヨタに戻っていた。
「トヨタ・カローラツーリング」。年寄りグルマと言わせない、シンプルなキャラクターラインは昨今のトヨタとは一味違う。車格が上がったように見えて、実はしっかりカローラしてる。
マコ リアがダブルウィッシュボーンですよ。ゆるせない!
シンゴ サスペンションが逸品だね。ロードノイズもショックも抑えている。
マコ ・・・すこしフワッとした感覚ですが、コーナーリングでは踏ん張っていることがよくわかります。
エイジ ショックアブソーバーの開発がキーだったようですね。摺動部の摩擦を適切にすることで、理想の減衰力特性を作り上げたと。
シンゴ それなのに、ハイブリッド特有のエンジン音のフラット感が、若干惜しいよね。
本当に世界一 フォルクスワーゲン ゴルフ・ヴァリアント
世界のカローラに対抗できる車といえば、すでにゴルフしかないだろう。「フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント」は、Cセグ世界の王者である。
走り出せばわかる、そんなキャッチフレーズと共に現れたゴルフ7も、もうすぐフルモデルチェンジである。レヴォーグ、カローラと共に激しいライバル争いになることは想像に難くない。カローラは進化したが、その数歩前を歩くのが、ゴルフなのだ。
ヴァリアントは、ハッチバック派生のワゴンである。メルセデスやBMWとは少し違い、あちらはセダンベースのワゴン。そんな生まれの違いはパッケージングに現れる。ショートボンネットに広いラゲッジは、ワゴンを求める実用主義の人々にはもってこい。
それなのに。ボディ剛性に不利なヴァリアントであるにも関わらず、用意される「フォルクスワーゲン・ゴルフRヴァリアント」。4MOTIONでも差をつける。走る道は世界のアウトバーンなのだから。
シンゴ 良いこと言ったなって思ってるよね。
マコ 解説にツッコミを入れないで下さい。
エイジ 310ps、4MOTIONですから、STiも驚きです。パッケージングも乗り味も優秀。これぞスポーツワゴンですね。
シンゴ ローンチコントロールがついているの?どこで使おうか(笑)
マコ もしも富士山にクルマで登って、キャンプする競技があったら、このクルマをチョイスしたいです!
オシャレなのに実力高い プジョー308SW
ゴルフに対抗するとなれば、忘れてはならないクルマ、それは「プジョー・308SW」。
マコ キターーー!♪
エイジ シーーーーー!
高性能で押すゴルフRに対しては、残念ながら308SW GTをもってしても勝負にならず、ならば308SWは何が良いのかと言われれば、力の入れ加減の素晴らしさだと私は思う。
性能で言えば今回の選抜ではあきらかに力が足らない「プジョー308SW アリュール」ではあるものの、面白さで言えば1位2位を争うだろう。それぞれ個性的だが「良い車」を目指すゴルフやカローラを意識しつつ、違うベクトルで”楽しんでいる”のが308SWに他ならない。
ワゴンらしい大きな窓は、”実用”の2文字の他に”センス”がある。ちょっと特殊なi-Cockpitも、カッコつけて乗るならもってこい。ゴルフと同じくハッチバックがベースであるから、ショートノーズが特徴的で実に可愛い、いやカッコいい。
ステアリングを切ってみれば、背中に感じる重さの大きいこと。ワゴンに乗っている!という気分が存分に味わえるクルマなのだ。
エイジ マコさん、次の車って。
マコ あい!プジョー308SW TECH PACK EDITIONです!
シンゴ なるほど・・・猫脚は健在なのかい?ショックアブソーバーはKYBでしょ?
マコ 路面のざらつきはカローラ・ツーリングより拾いますが、少し飛ばしたときの足さばきは良いですよ。しっとりではなく、タッターンと飛ぶ感じと、粘る感じです。
エイジ リアがトーションビームのせいか横滑りは感じますが、挙動がわかり易すいので操っていて楽しくなるクルマですね。
おしゃれバランスの高さが自慢 プジョー508SW
ワゴンといえば、いまやDセグメントに華があるのかもしれない。プジョー308SWの兄貴分にして、プジョーフラッグシップの「プジョー508SW」は、シューティングブレーク・デザインと評判のミラクル・ワゴン。
トルクで押す2Lディーゼルも悪くないが、BMWと共同開発の1.6Lプリンスエンジン搭載グレードはオススメだ。クルマというのはエンジンなのだと感じられる1台で、シュンシュン聞かせるエンジン音に、軽いノーズでクルマとの一体感を得られるのだ。
アクティブサスペンションは全グレード標準装備。ノーマルセッティングは路面のウネリをそれこそネコのようにイナして進む。少しフワッと感はあるけれど、そんなヒトはスポーツセッティングでドイツ車のようにどっしり走ればいい。
フラッグシップのエステートモデルは、607には無かったもの。407からの系譜を引き継ぐ508SWは、2019年の登場以来プジョーの代表モデルになった感じだ。
シンゴ 同じメーカーの308SWと508SWだが、味付けも方向性も全く違う。むこうはカジュアル、こっちはコンフォートが強く出るね。
エイジ それでいて、どちらも全体的にはスポーティに感じます。308SWに強く感じますが、コーナーリング性能が高いんですよ。
マコ i-Cockpitのポジションも良い。評論家がいつまでも嫌いという意味がわからない。
シンゴ ガラスにうつるヘッドアップディスプレイのほうが、使いやすいと言いたいのだろうね(笑)
エイジ インストゥルメントディスプレイは、少し遊びすぎな感じもします。けれど、それも個性。洒落てんなーで済ませられる人が乗れば良いのですよ。
端正だって美人の証 フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント
プジョーのDセグがでるのであれば、フォルクスワーゲンのDセグにも出ていてもらおう。
「フォルクスワーゲン・パサートヴァリアント」は、やはりフォルクスワーゲンのフラッグシップ・ワゴン。パサートの名前を豪華なモデルに引き上げたのは、現行モデルからであろう。プジョーが「革新的」であるならば、パサートは「コンサバ(保守的)」と方向性の違いも楽しい。
ワーゲンの中で、先進的な特殊装備を与えられるパサートは、過去にはV型5気筒エンジン、W型8気筒エンジン搭載など実験的なものも多かった。しかし現代パサートは、「ゴルフの上」を目指している。
明らかに質感の高い外装は、”端正”という言葉が相応しい。各社の個性が際立つDセグにあって、コンサバ系での最高質感はパサートに軍配が上がる、が、それはマイナーチェンジで引き上げられた様子。ゴルフの良さは認めるものの、もう少し豪華であってほしい。そんな人にはぴったりな、そして今なお進化の途中のクルマである。
マコ いまやプラットフォーム云々は意味が無いかもしれませんが、MQBプラットフォームの最上位でゴルフとも共通です。
エイジ 安いDセグの殻を破って質感は大幅上昇中です。ゴルフほど目立ちませんが、逆にそれが良い気がしますね。
シンゴ オレはワーゲンをインテリアで断念したことがあった。洒落てる系が好きだからだが、パサートは懐かしい感覚が蘇ってきて悪くないね。
マコ シンゴさんは木目に負けたんでしょう?
シンゴ あたり(笑)
エイジ それでも、大幅に質感を上げてきているのは事実です。元々良い走りの質感も含めて、トータルバランスの高いクルマになったのが嬉しいですね。
プレミアムまでもう少し ボルボ・V60
あえてメルセデスやBMW、AudiそしてMINIを出さないのは、それらが欲しい人はこんな記事を読まないだろうという偏見からだが、そこを目指す「第3」のメーカーもある。ボルボだ。
実は日本でのステーションワゴン・ブームには、ボルボも大きく関わっている。240エステートや850は、ボルボを日本に知らしめた代表車。その後継モデルはV90と大きくなってしまった。
そこでコンパクトである40・50シリーズと、ラージラグジュアリーである70・80・90の間に生まれ、今のボルボの旗艦車種となったのが、ボルボV60である。
安全性、実用性、快適性を高い次元でまとめ上げたV60。ツマラナイ?いやいや!ステアリングを握ってみれば、スムーズでスポーティな走りも堪能できるぞ。
マコ 今更褒めまくっても仕方ないのですが、やはりV60は良いクルマです。
エイジ サスペンションは適度な硬さで、ドイツ勢よりも日本に合っていると感じますね。
シンゴ シートの良さはピカイチだな。売ればいいのに、レカロみたいに。
マコ 買います(笑)
エイジ とはいえ、少し高くなりすぎています。安全性でもワーゲンの猛追を受けている。そろそろ戦略変更が必要かもです。
あとはバランス感覚だけ マツダ6ワゴン
出典:マツダ
ここまでやってきて、やはり欧州勢にワゴンが多いのがよく分かる。日本ではワゴン自体がキワモノ状態。すると輸入車に走るしか無く、新型レヴォーグに期待するしかないのは確かである。
しかし、忘れてはならない日本製のワゴンがもう一台ある。マツダ6だ。以前はアテンザと呼ばれていたクルマは、残念ながらマツダの優秀なSUV群に圧倒されて元気がない。引き合いにV60が借り出されるほどに、質感は高いというのに、である。
2012年発売と古さを隠せないのは理由のひとつとは思うものの、私は顔が惜しいなあと思ってしまう。グリル大きすぎ。ボンネットから後ろのデザインは良いが、シャープな顔とどうしても合わない。(個人の感想です)
しかし100周年記念モデルを投入するなど、商品力の維持に力を注いでいることを伝えておこう。フルモデルチェンジは2022年が濃厚とされるが、もう少し頑張ってほしいところだ。
シンゴ マツダは昔から良い車をつくっているよ。カペラも良いクルマだった。バランスが良いというのかな。
エイジ 日本での「真面目なメーカー」のイメージを、スバルから奪わんとする勢いです。
マコ V8並の出力のエンジンは圧倒!あったら乗って帰りたいです(笑)
シンゴ ほんとう?
マコ ウソです。問題はここで、280万円〜430万円のラインナップは幅が広すぎてブレています。いっそ350万円からにして、本気のワゴンを目指して欲しい。
エイジ アテンザユーザーの受け口が無くなることが怖くって、こういう戦略なのでしょう。逆に考えれば、430万円のベース車を280万円で買えるんです。楽しんじゃいましょう!
これが世界のワゴンである!
敵を作ってしまったら申し訳ございません・・・褒めてばかりじゃ伝わらないこともあるもので。
ワゴンはレヴォーグが牽引するという言葉。これはスバルへの期待であるし、警笛でもある。人気のSUVに偏らずにハッチバックとワゴンに力を入れるスバルにとって、次期型レヴォーグでの失敗は許されない。
それは、並み居る強豪がワゴン衰退の中で生き残ったモデルばかりで、優秀なモデルしか無いことも理由のひとつ。もしもレヴォーグが失敗すれば、ユーザーは他に流れることになってしまう。
だからこそ、レヴォーグも本気で作り上げてくるはずだ。そこに対抗する他社もまた、力の入ったワゴンをラインナップする。どのクルマを選んでも、後悔することはないだろう。
実用性とスポーティを融合するときの最適解、ワゴン車をもう一度見つめてみてはいかがだろうか?
2020年5月21日 公開
2020年6月6日 更新