ルノーカングーの色あせ問題に心乱れる第5話です・・・
自動車紹介 RENAULT Kangoo ZEN
色あせを楽しめる?
黄色いカングーを狙っていた私たちは、色あせの事実に憤りを覚える。
イエローの色あせは、わざとだと言う。古い質感を出すために、あえて塗装を安っぽくしていると。メタリックカラーなら色あせの心配はないとの事だが。
素直に明かしてくれたルノーのセールスさんには感謝するが、イメージカラーであるのなら、対策を講じてくれても良いだろうに。
セールス氏はいう。
皆さん工夫されて、色あせを目立たなくしているんですよ。それもカングーの楽しさだとおっしゃいますが・・・私が別のクルマのディーラーから転勤してきた時、最初にショックを受けたのが色のことでした。
よく見れば、点検で入庫しているクルマは青が多い。色あせる言われれば、ほかの色にせざるを得ないだろう。
古さを隠せないのではなく 隠さない
ルノー カングー ゼン EDC
JC08モード燃費は14.7km/L。
1.2Lガソリンエンジンのパワーを、6速デュアルクラッチでシームレスに路面伝える。
この大柄ボディを1.2Lで?と心配になるが、街乗りでは問題ない。高速道路では、わからない。
安全装備はどうしても、モデルの古さを感じてしまう。
幸いなことにエアバッグは充実していた。しかしリアシートは3席ほぼ独立。つまり、窓側の人にはカーテンエアバッグが突き刺さるのではないかと心配になる。真面目さが伝わってくるのはシートベルトの高さ調整。できる限りの事はやったと言える。
普通の車とは景色が違う
試乗してみるとやはり、カングーは魅力的だ。
独特の大空間は、DIYで住居仕立てにすることができる。まさに移動する家。サイズ的には座敷だろうか。茶室くらいなら作れそう、などと想像してしまう。畳を置いて、タンスを作って。
眺めはどこまでもよく、そして路面からのショックは少ない。ふわりふわりと走るはさまは、カングーのエクステリアに似合っている。交差点を曲がるたび、アールを描いたフロントドアが目に入る。この形状は他にはなく、楽しい。
ふとみると、家内も子供も笑顔だった。みんなが楽しくなれるクルマ。なかなか無い。
エンジンはとてもつまらないし、運転席から見るインテリアは素っ気ない。ボディカラーで損をするが、手を加える楽しさと引き換えだ。
と、ワクワクしていたら。
なんだか気持ちが悪い。高い視点、柔らかな脚。あまりにも慣れない挙動にどうやら、酔ってしまったようだった。
第4章 苦悩のはじまり
元気なセールスに心がなごむが
見積もりの作成には少し時間がかかったが、本体価格が安いので、プジョーよりも安い見積もりが出てきた。
驚いたのはオプションで、すべてディーラーオプション。後付け可能だという。こういう趣向も面白い。バックモニターが欲しいと言ったら純正が無いらしく、社外品のバックミラー一体型を薦められた。
セールスレディさんが戻ってこられて、商談が始まった。
セールス かわいいですよね、カングー。まだまだ人気です。
まこまち ところで、新型の噂は本当ですか?
セールス 欧州ではコンセプトカーが出ています。もし発表されても、日本に入ってくるのは2、3年後だと思いますよ。
すでに13年が経過した現行カングー。まだつくるのか。日産ADバンみたいだね。
セールス なんでも詰めるのが強みです!
セールス ベニヤ板ですか?助手席をたためば乗るかもしれません!
セールス トゥインゴのキャンパストップからクリスマスツリーを出してココにきたユーザーさんもいらっしゃいました!
跳ねるように話すセールスさん。この人、良い人だ。こちらから話さなくていい。楽ちん。
まこまち そこで相談なんですが、買いやすくできませんか?
セールス そうですね・・・
と、提案されたのは指2本。下取り額は、プジョーよりも指3本安い価格。
セールス でもですね、カングーはリセール高いですよ!
長く乗り続けられる車がいいんだけどな。
別れ際に、カングーの助手席を倒す実演。座席全体が沈み込む。ベニヤ板はこの「助手席もつかっちゃえ作戦」で切り抜けられる事がわかり、買いやすさ問題だけは残るものの、土俵に残ることとなった。
虚しい時間
しかし、ルノーディーラーで話をしていた実感が無い。ひとつは車酔いをしていたこと。もうひとつは、売りたいという感覚が伝わってこなかった事だ。
もちろん車は値引きだけで買うモノではない。けれどもキッカケはやはり、値引きだったりする。顧客とディーラーの駆け引きは、ベクトルが合えば自然と契約は成立する。
どこか遠くにある感じのするカングー。ボルボV40で来店し、プジョーで商談してきた私たちには、似合わないと言っているのだろうか?
そのモヤモヤは悩みとなって圧しかかる。カングーにするべきか308SWにするべきか、夫婦で意見がわかれているのがわかる。お互い自分の意見を押し付けるのは嫌いだから、面と向かってこの車がいい、とは言わない。いや、実際どちらにしようか、悩んでいる自分達がいる。
いつもは2人が同じ意見なら、会話に弾みがかかるのに。今はカタログを見ながらスマホで検索。良く見える機能はないか、ライフスタイルを示している人はいないか。そのどれもが失敗に終わり、疲れ果てて寝てしまう。
そんな日々が4日続いた。
ーーつづくーー