クライマックス、シリーズ第7回目です。
閑話 買取専門店
忙しい一日が来た。
昨晩登録した売却サイト経由で、私の携帯電話が鳴る。
合計2社。1社は9時に来るというので査定をお願いする。もう1社は約束ができず、2時にずれ込む。
1社目はボルボフランチャイズを経営する大きな会社。走行距離少なめ、色あせ無し。上物と呟く彼は、プジョーディーラーでの下取り額を聞いてきた。
正直に答える。
即決価格はというので、指3本を指定した。
買取査定のもう一社をキャンセルしてくれとお願いされる。悩んだふりして、オーケーを出す。買取屋さんのお願いは、価格を決定する為の手段にすぎない。下取り額を聞けばプラス5万円くらいに落ちつけられるし、ライバルがいなければ無理な勝負をする必要もない。
実際は誠実さで取引する私を、どこまで見破ることができるだろうか。とにかくここは買取屋さんに従い、キャンセルするから高値を出してとお願いした。
もちろん、もう片方はキャンセルしない。わたしの良い人ポイントは、マイナス1されたことだろう。
午後、額面を連絡すると約束を頂き、彼はディーラーへ向かうわたしを見送った。道の真ん中でお辞儀をする。
危ないからね。嬉しいけどね。
閑話 カローラツーリングを見に行く
家内に、プジョーに行く前にひとつ、シトロエンを見たいとWEBを見せるが、
家内 えー
と言われたので、やっぱりいいと自ら引いた。
すると、カローラが見たいと言うので、日本のスタンダードも良いかなと思い、予約を入れてカローラ店へ行く。カローラ店の人のクオリティは凄い。お辞儀。接客。店内の清潔さ。はあ、カローラ店良いなあ、なんて思わせる。
カローラは進化していた。
すでに昔のカローラレベルではなく、椅子の座り心地も室内のクオリティも、かなり上のレベル。ハイブリッドに感動する子供達。いつもエンジン音うるさくてゴメンな。いや、あれはロードノイズか。
カローラツーリングはリアシートを倒しても160cmも長さがなく、試乗車の平均燃費が12km/Lだった事もあり、多少オススメできるレベルに留まった。カーテンエアバッグが無いのが一番痛い。
第6章 フランスからの贈り物
泣き顔
いろいろ日本車なら気楽でいいな、とか。普通すぎるクルマ選びは嫌だな、とか考えたいるうちに。プジョーに着いた。
セールス お待ちしていました。
通されたのは、大きなソファーの部屋。買うの前提っぽいぞこれ。と思う。
まこまち 最終の見積もりを頂きたい。カラーはパールホワイトへ変更して下さい。延長保証も切ってください。
セールス わかりました。
欲しいオーラを出さない為に、アリュールグレードはやはり無いのか確認する。申し訳ありませんとセールス君。これで、仕方ないから特別仕様車で商談するかというオーラを出す。
このディーラー、お金の計算が凄く早い。いくつか注文を出して、計算してきますと下がるが、写真を撮りに行こうと席を立つと戻ってくる。
セールス す、すいません、在庫が無くなっていました。同姓セールス君は、半泣きの顔で現れた。
最後の商談
もちろん、えっとなる。
ただ、安堵もある。
急いで買うものほど、失敗する可能性は高いからだ。機能の有無を見落とすことも多い。ゆっくり考え直そうかなと思った時、泣き顔のセールス君に、笑顔の先輩が耳打ちした。
セールス え・・わかりました。あの、1台だけ他のディーラーに割当たっている車がありまして、いまそれを回してもらえるか確認します。
少しお待ちくださいと言いながら、セールス君は事務所へ戻る。
PEUGEOT 308 TECH PACK EDITION BlueHDi
ディーゼルを感じない静かな走り。
青とオレンジのステッチで飾られた小粋なインテリアデザイン。
アルカンターラが奢られた特別なスポーツシート。
とはいえ、なぜモデル末期に近いこの時期に?と思う人も多いと思う。私自身も、3008だとか流行りのSUVにすれば良いのに、とは考えることもあった。
だが、背の低いクルマ特有の快適さ、目線の低さは、SUVでは得られない。荷物をたくさん載せて、高速道路をひた走る。どこまでも、どこまでも走り続ける。関東から西日本まで行ける。行けるエリアが広がる。
そう思うだけで、ワクワクする。
目線が低いから路面が広く見える。速さを感じる。走ってるを、実感できる。これらを高い次元でパッケージングするのが、ワゴン・エステートだと思う。やはり私は、エステートが欲しかったのだ。
SNSでは特別仕様車の情報を頂いたり、ワゴンは良いよと教えてくれたり、背中を押してもらうこともできた。さあ、決めるぞ!
セールス パールホワイトのパノラミックサンルーフ付き、テックパックエディション、確保できました。
まこまち それはそれは。
セールス君は笑っている。嘘つけないね、この人。
さて、ここからが勝負だ。と息を巻く私。家内は今日は、のほほんと見ている。
セールス 先ほどのご希望通りに、見積もりを作り直してきました。ご覧ください。
まこまち これで少し下がったね。
家内 うんうん、なるほどね。
前に出る私。
メガネをあげる家内。
セールス それで、今回せっかく、もう一度来て頂いて、このままおかえり頂くのも申し訳ありませんし。
まこまち (ん?このパターンはもしや・・・)
セールス 今後の長いお付き合いをさせていただく上でも。
まこまち (あれ?ブログにカッコいい事書けない!?)
セールス 前にお話した分プラス、この端数を切らしていただいた価格でお願いできますでしょうか!
実は、私達夫婦はシブい値引きをあまり見たことがない。
ひとつの理由は、最新モデルを買わないから。人気モデルも選ばないかもしれない。とにかく、世の中でもてはやされている車には乗ったことがない。
もうひとつの理由は、セールスさんとニコニコしながら話すからだと、私は思っている。どれだけ私達とセールスさんがフェーズがとれるか、が重要。値引きも嬉しいが、人の良さで買いたいと願うからだ。
下手をすれば、セールスさんとの縁なんて一度限りかもしれない。彼らは今後のお付き合いと言うが、転勤だってある。引っ越しだってある。だから、目の前にいるセールスが、今後良いセールスに成長するのか、ここまでなのかをよく見るために、よく話す。この人から買っても良いか、よく考えるのだ。
そのおかげなのかは判らないが、欲しい車の値引きは勝手に大きくなる事が多い。
まこまち 片手超えたね。こんなもんで良いか。
家内 今後の付き合いもあるし、ね。
我が家のカーライフに、欧州エステートが返り咲くことに決まったのだ。
まこまち 俺もオシャレしようかな?
家内 なんで?
まこまち フランス車だし。
家内 前からオシャレしていても良かったんだよ?(笑)
家内が笑った。私も笑った。セールス君も笑った。この価格を出してくれて、ありがとう。
第7章 はじまり
挨拶は大きなプレゼント
ん? 途中、泣き落としかよ!と突っ込みたくなったが、実力かもしれない、と諦めた。
最後に、セールス君は「支店長が挨拶したい」と言う。出てきたのは、耳打ちした先輩セールス氏。支店長だったのね。お土産にとシャンパンのプレゼント。心遣いが嬉しいディーラーだった。
今後もよろしくお願いします。
買取はこの後、2社同じ額が提示された。プラス指1本が限界のようだが、十分だ。最後は、人の会社を貶めた回数の少ない方に決めた。彼らはどうしても、ライバル会社の文句を吹き込みたいらしい。
プジョーの後に伺った「大きなクルマ」を意味する買取専門店は、ライバルだけでなくディーラーをも不安にさせる事を言ってきたので、不安になったので買取も辞めたと断った。
契約を決めた買取専門店も、電話で店長から挨拶を受ける。結果として人との繋がり、礼儀を大切に考えている会社にできて、良かった。
クルマが好き
動画配信サイトで、パーキングアシストの性能を見て家族で驚いたり、オレンジと青の組み合わせで服をきていたら、テックパックエディションだと笑ったり、TECHのロゴ外れたらいいのに、などと言ったりしてクルマが来るのを楽しみに待つ。
クルマが好きな人にとって、クルマや、それを囲む人たち、会社は、とても大事な存在だ。
クルマだけを愛する人も居れば、私のようにディーラーやメーカーまでこだわる人もいる。それは人それぞれだから、自由でいいと思う。
願わくば、私はクルマが好きな人の「囲む人」になれれば良いと考えている。その為に、カフェの夢も叶える。クルマ好きが集まるカフェ。大事な物を見せ合うカフェ。楽しそうじゃないか。
八方美人も、きっとそこで役に立つ。かも?
いつかお客様と談笑できることを願い、ブログを書き続けよう。
【まこまちの自動車選び】シリーズをお読み頂き、ありがとうございました。
このシリーズ記事はここで最終回です。少しコンテンツに力を入れた後、また短編小説のようなものを書きたいと思います。
2019年の年末〜2020年年初、私は北欧好きから欧州実用車好きに転身することになりました。今までaboutVOLVOを支えてきてくださった皆様、私は今でも北欧車は好きですが、様々な理由でこのような形になりました。ご理解いただけると幸いです。
今後もmonogressをよろしくお願いします!