「なるほどね〜。N-BOXが39,800円ね〜」
嫁ちゃんがウンウンと頷く。ホンダディーラーに勧められた、ホンダ・マンスリーオーナー。カーシェアの新しいかたちのこのサービスは、納車までの繋ぎが欲しい我が家にはちょうど良い。
「なんだか、自動車ローンみたいな価格だよね。」
嫁ちゃんは首を傾げながら、どうするべきかと悩んでいるようだ。
ホンダ・マンスリーオーナーという選択肢
HONDA N-BOXは、なかなか興味深い車である。カーシェアで一度借りたが、程よいユーティリティは使いやすい。軽自動車にこんな金額支払うのか?と疑問に思っていたが、安すぎるリッターカーより何倍も魅力を感じる。
人はしっかり座れるし、大きな窓は視界も良い。スライドドアを襖に見立てれば、四畳半カーと言ってもあながち大袈裟にはならないだろう。
嫁ちゃんとしてもN-BOXは興味があって、しかも自分でも乗りやすいサイズ感。軽自動車を将来のセカンドカーにと考える上でも、良い経験になるはずだ。
頭金ゼロ円、保険料込み、整備点検費込み。中古車につきもののトラブルからも解放される。既にカーシェアの月額支払いは3万円を超えてしまった。しかも、時間に自由が無いのが一番辛いところだ。自分の生活が、かなり車に依存していたと思い知る日々だった。
「ママさん」
「ん?」
「移住地の契約は、もう少し時間がかかるらしい。長野の往復は、思ったよりも少ないかもしれない。」
「うん。」
「最初は高速道路の往復とか、移住先に持っていくことも視野に入れてのセカンドカー選びだったけれどさ。」
「うんうん。」
「車を買わなければできる事もあるんだよね。」
セカンドカーは今選ぶべきタイミングではない
え?という顔をする嫁ちゃん。カーシェアは思っていたよりも大変で、お金もかかる。車を借りる度に感じるストレス。健康の為にウォーキングを兼ねられるとか、色々な車に乗れるとかメリットはあるのだけれど、それで正当化したところで生活の便利さが改善されるわけではない。
不満が爆発してしまう前に、セカンドカーとして車を得ようと考えた。その答えが車は買わないというのは、ハテナになるのは仕方がない。しかし。
「セカンドカーは、やはり田舎暮らしに合う車を、ママさんの好みで選んで欲しい。今不便だからとホイホイ選んで良い車じゃなかったんだ。」
「ふむふむ。」
「ママさんには、NISSAN SAKURA とか SUZUKI JIMNY とか、好みの車があるわけだから。やっぱり好きな車が良いと思う。」
「最近はHONDA N-VANも良いかもって思ってるけどね。」
「そうなのね(笑) ならば余計に、いまセカンドカーを選ぶべきではなかったんだね。」
「そうねえ。こっちに車がある以上は駐車場代もかかるしね。」
「そこで、ちょっと高いけれど車の所有と同じ感覚でいられるホンダマンスリーオーナーにしてしまおうよ。HONDA CIVICの納車の時まで、好きなタイミングで解約できるし、不便とはおさらばだ。車選びは大事にしたいし、ホンダマンスリーで楽しい車選びを先送りしちゃおうよ。」
久々の明確な提案に、嫁ちゃんは少し悩み気味。それでも、いろいろ心の整理を終えて口を開いた。
「結局、カーシェアっていくらかかったの?」
請求月 | 走行距離 | 請求額 |
---|---|---|
8月 | 11 km | 1,870円 |
9月 | 265 km | 20,350円 |
10月 | 332 km | 36,046円 |
※タイムズカーシェアとカレコ・カーシェアリングサービスの合計額。記事内ではこれから契約するように読めますが、実際には 10 月上旬にマンスリーホンダの契約を済ませています。
私はざっと算出して、嫁ちゃんに報告する。
「約2ヶ月で58,266円。最近は使用頻度も走行距離も順調に増えてるね。」
「N-BOX の 39,800円 よりは安いけれど・・・」
「やっぱり、不便だよね。いつでも借りれるわけじゃない。しかも、装備は悪いし車内も汚い。(※注意 タイムズカーシェアは最低グレードのクルマが多い。カレコ・カーシェアリングクラブは中間グレードのクルマが多い実感。)」
「これで、長野に行く時があっても距離別料金を気にすることもない。」
「箱根の温泉だって何度でも行けるよね。」
「・・・うん、N-BOXなら私も乗れるし、不満なし!よおし、私も使って使って、使い倒しちゃおう!」
私たちのセカンドカー改め、繋ぎカーは、HONDA N-BOXが担うことになったのでした。
戻ってきたマイカーライフの幸せ
考えてみれば、初めての軽自動車生活だ。SAKURA も JIMNY も N-VAN も、軽自動車。将来は必ず所有することになるだろう。その便利さを先取りできる、良いじゃないか。
走ってみれば、狭い道もスイスイだ。あぁ、これはやばい。小さい車、すごく良い。軽自動車に慣れてしまったら、全幅1800mmに戻る時は怖そうだ(笑)
息子は、相変わらずリアシート左側を自分の席にしたようだ。ホンダ・マンスリーオーナーを契約してから、いつ来るのかとソワソワしていた。軽自動車、けれども今までで一番余裕なリアシート。窓の外を見る表情はホクホク顔だ。
神奈川県は山北町の中川温泉まで、東名高速道路を使ってドライブ。ACCとレーンキープを使えば、真ん中の車線で楽々半自動運転だ。ロードノイズの遮音性には乏しいものの、久々のマイカー(仮)ドライブはとても楽しい。
期待していた温泉に入り、なんとなく不満をこぼす私。
「何だか泉質変わってたよね。」
嫁ちゃんも同じ意見。
「もう来ないかなあ。」
こんな会話ができるのも、時間に縛られずに車が借りていられるホンダ・マンスリーオーナーのおかげである。
「パパ、服買いに行くの手伝って。」
横浜まで、娘ちゃんと買い物ドライブ。欲しい服があったらしい。良いよ、良いよ。服代なんてパパが出すよ。
お目当ての一着を手に入れて満足そうな娘ちゃんに、「もう一着くらい選んだら?」と誘ってみる。色々なお店を見ては、自分に似合うか吟味する娘ちゃん。ニットのワンピースを試着して、大喜びでコレにしたいと、試着室で舞っている。
平成レトロなギャルな装いの店員さん、ニコリと可愛く微笑んだ。
「12,800円です!」
「「ヒギィィ!」」
我々親子は同じ顔で慄いた。あちゃー、値札見忘れてたわ(笑)
「パパ、ごめんなさいー」
申し訳無さそうにこちらを見る娘ちゃん。そんな顔しなくていいよ。
「気に入って大事に着れば、それで良いんだよ!」
「はあい!ありがと!!」
そう、気に入って大事にすれば、クルマも服も満足だ。家族で過ごすマイカー生活。一瞬一瞬が幸せに輝いて、微笑みが弾け合う。
人は時として、現在の人生に疑問を抱く。仕事でプライベートが汚されていないだろうか、今の生活は正しい選択なのだろうか、将来まで考え抜いているだろうか、変化をどこまで作れるだろうか。どんなに足掻いてももがいても、正しい答えは現れない。今を受け入れ、この先を見つめながら、少ない舵をあてるだけだ。既に敷かれているように感じてしまう日常を、苦労しながら走り続ける。
けれども。
私達は人生を広げる術を持っている。
時間が有意義になる瞬間を知っている。
趣味をひとつ持ち続けること。
そして決して手放さないこと。
我が家にクルマが戻ってきた。生涯輸入車に乗っていたいと希望して、今は軽自動車になったけれども、手に入る一瞬の楽しさは何の遜色も感じない。第8代目マイカー、HONDA N-BOXは、我が家の毎日に彩りある息吹を吹き込んだ。
「さあ、今日の買い物、ついでに何処か寄ってこようか。」
良き人生は、良き車と共にある。もう車は手放すまいと誓う2022年の車選び騒動は、戻ってきた幸せの余韻と共に、これにて幕を下ろすのだった。
ーーー おわり ーーー
というわけで、終幕となりました。1年に2回もクルマ選びをするとは思っても見なかった・・・コロナ・国際情勢・半導体不足の影響は、私の暮らしを思う存分揺さぶってくれました。
まさかまさかの軽自動車となりました。ボルボ・プジョーと輸入車推しを繰り返した私とは思えません(笑)が、輸入車乗りもビックリな、かなり立派な居住性をもっている HONDA N-BOX。たった半年のお付き合いになりそうですが、N-BOX愛(?)にチャレンジしつつ存分楽しんで行こうと思います。
そして、Story カテゴリーには別の新シリーズを書こうかなと思います。とうとう、カフェの候補地が見えてきた・・・!脱サラとの駆け引きもあるので開業時期はわかりませんが、嬉しいことは発信したい性分です。乞うご期待!!