【ボルボVSプジョー②】安全性能比較は悪意に満ちている?

プジョーとボルボの比較。まずは安全性能から始めよう。

 

この勝負は、悪意に満ちている、とプジョーファンは思うに違いない。自動車の安全性能は、ボルボは特に秀でている。

 

ほかのメーカーよりも5年は先を行くボルボだから、勝負にならないのは仕方がない。それでも、プジョーにはプジョーの目指すものがある。

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予防安全の比較

ACCの精度の差

ボルボの安全性能は凄まじい。

 

アダプティブクルーズコントロールは、全車速追従をうたう。この性能の実現には、同じく標準装備されているレーンキープアシスト機能が要だ。

 

つまり、自分の進む車線を認知し、そこに車があると判断しなければ、追従クルコンは機能する理論を失ってしまうのだ。

 

前の車が車速を落とし、それに合わせて速度を落とす。前の車が止まれば、合わせて止まる。この当然の動きを手に入れるのに、プジョーはボルボより数年遅れて搭載にこぎつけた。

 

しかし、後出しジャンケンのプジョーアクティブクルーズコントロールは、精度にボルボの後塵を拝している。

 

ボルボの加速は自信の表れ

それは、反応のタイミングだ。

 

前の車と自分との間に車が入ってきた時、 ボルボはできる限り早めに車速を落とし、スペースを空ける。プジョーも同じ動きをするが、反応速度も制御速度も緩いと感じる。

 

お陰で加速制御はプジョー308SWに分があり、ゆったりと加速する制御を持つ。ボルボは加速で結構アクセルを踏み込むので、慣れていないもしくは日頃同乗しない人にとっては、びっくりするかもそれない。

 

それでも、これはボルボの自信の表れ。

 

どれだけアクセルを踏もうとも、大丈夫だと言いきれる性能への自信。前の車がしっかりと見えている証しなのだ。

 

再追従は明らかにボルボの勝ち

また、追従クルーズコントロールの時速0km/hからの復帰も、ボルボはしっかり機能する。ボタン1つ押せば、設定した速度に戻る処理を行う。

 

プジョー308SWといえば、時速30km/hまで行かないとアクティブクルーズコントロールをオンにできない。時速0kmでブレーキをホールドしてくれるが、設定速度までの復帰は、少なくとも時速30kmまでは人が行う必要がある。渋滞時は使いづらいと言えるだろう。

 

ちなみにレーンキープアシストは、ボルボは車線のギリギリではみ出さないように支持するタイプ。プジョーはと言えば、ハンドルを制御してクルマをレーン中央へ寄せようとする。どちらもしっかり実用的だ。

 

安全装備と言いながらクルーズコントロールの話になっているが、自動ブレーキに使う車両の認知能力が関わるので、はじめに説明した。ボルボはXC40以上のモデルでは、緊急回避支援が充実している。ドイツ勢と比べても、高い安全性能は眼を見張る。

 

ではこのジャンルにおいては、プジョーの出る幕ではないだろうか。

ボルボV40でビーナスラインを紅葉ドライブ

衝突安全性の比較

ユーロNCAPで星5つの実力

そうでもないかもしれない。

 

例えば衝突試験。プジョー308も308SWも、ユーロNCAPで五つ星を得ている。(EURO NCAPのページでは308のみ掲載されているが、プジョーUKでは308SWも星5つとしていた。)ドアやボディはボルボに比べたらとても軽いのだが、しっかりと衝突安全性を確保している。

 

エアバッグはサイドやカーテンエアバッグまでしっかり装備されている。予防安全性はボルボには敵わないとしても、衝突した時の安全性能はしっかりと確保されているのだ。

 

もちろん、ボルボはユーロNCAPで星に上限がなければ、6つでも7つでも取ってしまうかもしれない。乗る人の安全性にこだわる人なら、ボルボはいつまでもオススメのクルマである。

 

しかし、その分重量がかさみ、燃費は落ちる。このバランス感覚は両社の考え方の違いだろう。

EuroNCAP V40(2012) 308SW(2013)
Adult Occupant 98% 92%
Child Occupant 75% 79%
Pedestrian 88% 64%
Safety Assist 100% 81%

安全性能を何処までも求めるならボルボだが

ちなみに私も、ボルボを選んだ時に意識したものは安全性だった。

 

子供が小さく、将来を大事にする時期だからこそ、万が一の怪我のリスクは出来るだけ下げておきたい。だから、走るシェルターのようなボルボを選んでいた。

 

ボルボの魅力は安全性能だけではないが、クルマを選ぶ選定基準に大きく関与していたのだ。

 

プジョーにした今も、安全性能を全く考えていないわけではない。しかし、子供達だって、衝突してしまっても自力で車から逃げることができる年齢になった。ボルボV40は車内が狭い故に、家内は随分シートを前に出していた。子供も足を左右に曲げていたし、衝突時の足の怪我は免れない。

 

308SWの大きな室内は、足元のスペースを劇的に改善する。エアバックの無い足元は、シートに当たったりして多少痛めることになるだろうが、ボルボV40よりはマシなはずだ。

 

安全性能も捉え方の時代

モノの考え方を改めてみれば、クルマ選びの幅は広がるし、トコトン突き詰めることもできる。

 

プジョー308SWはボルボV40に対して、例えばシートベルト幅が狭くて快適性が少し下がったり、歩行者用エアバックが搭載されていなかったりと明らかに安全性能や快適性で劣る。

 

ただ、最低ではなく、ユーロNCAPでの星5つの実力を持っているなど、レベルは高い位置にある。

 

ボルボに足りていない部分は、視界の良さや小回り性で補う、と考えるのはいかがだろうか?