まこまちの車選び 2025 地獄沼編 第1話「その愛車 愛でて良いのか?」

私は思うことがある。車好きという趣味は、まごうことなき底なし沼だ。ズブズブ沈むしかない。なにせ、どんどん新しいテクノロジーが生まれ、感動的な走りが心を鷲掴みにする。そして気付けば、欲望がアクセル全開で暴走している。

 

車の進化は日進月歩。そこへ足並みを揃えるには、相当な覚悟と「好き」という感情の燃料が必要で、それはとてもつもなく楽しくって仕方がない。

 

だが、この消費活動に、私は時々呆れてしまう。新鮮で感動的だと持ち上げられて、たった2年で過去の車。美しいともてはやされても、見慣れたなんて一言で消滅だ。そんな文句を言う私とて、「愛してるよ、相棒…」なんて言いながら、手放した愛車はいったい何台だっただろう。

 

そんな馬鹿げた理由に悶々としながらも、私はまた、次の一台を考えてしまう。馬鹿げている。でも、やめられない、この底なし沼は、地獄のようだ…!

 

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冬に芽生えたシビックへの不満

CIVIC e:HEV 冬山と青い車
春は近い。凍結路が減ったおかげで、シビックが走ることも増えてきた。だが、これでよかったのだろうか?

 

2023年に我が家に来た、ホンダCIVIC e:HEV。この春、2年目の点検の時を迎えた。相変わらず調子が良く、走りの楽しさに劣化はない。唯一不満を言うとすれば、冬季の燃費  17km/L くらいだろうか。

 

いや…、実は少し不満が積もってきていた。

 

その一に、メインカーの座が日産サクラに奪われたこと。シビックがお休みできるのは良いとしても、雪の降り出した12月から2月まで、シビックは1,000kmも走らなかった。愛車を休ませて、楽しいのか…?(スタッドレスを買えばよかったのだが…)

 

その二、二拠点生活における都市間ツアラーとしての役割を果たせなかったこと。信州へ移住したものの、平日は東京で働いている。週末に家へ帰るたび、高速バスを利用するようになった。理由は明白——高速料金とガソリン代が、一人移動には高すぎた。

 

計画していたライフスタイルとの、微妙なズレ。これを私は、こう考えたのだ。シビックが悪いわけじゃない。もっと走ってくれる人が乗った方が、シビックは幸せなのではなかろうか、と。ガレージで大事にされることは、シビックの性に合っていないはずなのだ。

 

自分の世界を作ることの大変さ

CIVIC e:HEV に荷物を載せちゃった!
シビックe:HEVのすごいところは、その積載性能。広い間口は当然の大きな買い物にも対応する。

 

ところで、移住してからというもの、私の趣味は爆発した。古民家の改修に、畑を使っての家庭菜園、家具などのDIYだ。これらの資材の運び手は、相変わらずのシビックだ。彼は、ハッチバックの優位を使い、さまざまな資材を運んでいた。

 

そして、私は思うのだった。

 

まこまち   スーツ姿でクワを振りかざさないのと同じように、シビックに板だとか石材だとか、さらには鶏糞だとかを載せるのは、何か違う…

 

シビックよ、お前はアスファルトを駆けるために生まれたんだろう? なのに、お前のラゲッジには土や肥料、無造作に転がる木材……。この状況、どう考えてもシビックの本懐ではない。私は、こいつを田舎の資材運搬車にしてしまっている。果たして、それでいいのか?

 

まこまち  やっぱり、中古の軽トラを考えようか?

嫁さま   うーん、そのペースでお金を使うと、来年には底をつくよ。急な出費に耐えられないよ。

 

え…なんということだ、私が使わないシビックを磨いているうちに、MONEYがLOSTしかかっていた…!その時嫁さまは、苦渋の決断だっただろう、寂しそうに警告したのだ。

 

食費も社会保険料も上がる 愛車を磨いている場合ではない?

CIVIC e:HEV 冬のフロントタイヤ
真冬、時々ガレージから出しては、傷を少しづつ消していく。愛車の為なら、手が赤く腫れても構わない…!?

 

これは大変恥ずかしい話だが、全国の車好きの皆さんにはぜひ、警鐘を鳴らしたい。家族を養うために必死になって働いて、ビールは発泡酒に変えて、昼ごはんは肉まんひとつで我慢したとて、知らない間に使いすぎていることがある。私のように家庭の財政を嫁さまに任せっぱなしで、充分稼いでいるような顔をしている馬鹿者は、特に注意をした方が良い。ホクホク顔でクルマを磨く旦那を見て、言うに言えず枕を濡らす奥様は、都会の駅前の木の中に潜むスズメよりも多いだろう。

 

今の時代、給料のベースアップが食費のアップに追いつかない。たとえ少し上がったとしても、その何割かは社会保険料に取られてしまう始末である。鼻歌を歌いながら、ワックスをかけている場合ではなかったのだ。

 

考えが纏まらない!見えない正解はどこに?

シビックのコックピット
走らせてみれば、やはりシビックe:HEVは現代のベストバランスCセグメント。世界的ベストセラーは、やはりたくましい。

 

だが、やっぱり車にはワックスを塗りたいじゃないか。小さな傷を見つけたら、補修したくなるじゃないか。家を直し家具を作り、自分の世界を作りたいし、趣味は多い方が良いに決まっている。しかしそれを叶えるには、現実を見るべきだ。月に200kmも走らなくなった愛車を磨くことは、我が家にとって幸せか。

 

いや、軽トラあきらめろよ?わかる!でもやっぱり欲しいんよ!

じゃあシビック売ってしまえよ?いや、それはちょっと…ワックスで愛でる相棒には居てほしいのよ。

 

TypeRやRSほど強烈ではない個性でスマートにキメる生真面目シビックを維持するべきか、それとも単に新しいものが欲しいのか、移住先は意外とクセのある車が多いから、一度諦めた輸入車が欲しいのか!?今になって、マルチシリンダーに手を出したいのか!?

 

私にとっての、真の幸せをもたらしてくれる車は何!?わからない、わからない…!

 

VOLVO V40 大町にて
泣きながら手放したボルボV40は、私のブログ生活の礎を築いた感謝の車。パッションレッドよ、永遠に。
プジョー308SW さくらが丘公園にて
田舎探しと引越しツアラーの役目を見事にこなしきった、フランス産デザインワゴン308SW。マイナートラブルを笑顔で流すのは、なかなか難しいものだ。
シビックと初心者ドライバー
娘ちゃんの初ドライブカー、シビックe:HEV。この車が、教習車のクセを払拭し、後の娘ちゃんの車選びに強く影響することに。

 

ちょっとした不満と、ライフスタイルと我が家の財布。さまざまな要因をかき混ぜて、新たな出逢いを求めるべきか葛藤するストーリー。「まこまちの車選び2025地獄沼編」では、できればシビックを手放したくはないのだが、家の改修にお金を割きたい私にとっての、愛車というポジションを見つめ直す、車ブロガーの危機的状況を綴る不定期連載。

 

いきなり車を入れ替えるか、新しい道筋が見つかるのか。お付き合い頂ければ幸いです。

 

まあ、でも、とりあえず、新しい車に触れてみようかな?