私はプジョーのステアリングを握っていると、良い車だなーっていつもホクホクしています。
気持ちのいいエンジン音に、すいっと動くサスペンション、身体に馴染むシート。こんなに良い車、他にないよねって思っちゃう。
他にない・・・いえ、他に、ありました。出ました。プジョー渾身の、最後のマイナーチェンジモデル(と思われる)Peugeot 308 2021年モデルの登場です。
※今回の記事にある写真は、マグネティック・ブルーの308を写真加工して、まるで新ボディカラーのように見せています。ご参考くらいのつもりでいてください。
Peugeot 308 2021年モデル
変更点トピックス
カタログを見比べて、トピックをいくつか紹介していこう。
- デジタルインストルメントディスプレイを全車に採用
- GTグレードの 2.0L ディーゼルエンジンが廃止 1.5L ディーゼルエンジンを搭載=GT-Line が GTになった
- 2.0L ディーゼルエンジンは「Peugeot SELECTION」として限定販売 デジタルインストゥルメントパネルかは不明
- 特別仕様車「ROAD TRIP」を設定 ステッチの色は違うがTECH PACK EDITIONに準じた仕様
- パノラマガラスルーフが Allure グレードで装着不可になった
- 左ハンドルに用意されているフットレストの装着はなし
- DENON オーディオの装着もなし
- 青色は新色に変更 ボディカラーは減少
- 価格上昇は概ね8万円程度
マイナーチェンジはもう少しあとだと思って、先日「たまには愉しいクルマ談義を」にマイナーチェンジネタを書いたのに、一週間もたたずに来てしまいました(汗)今回のマイナーチェンジについて、いくつかピックアップしてみます。
出典:Peugeot 公式
デジタルインストルメントパネルの刷新
大きなトピックは、デジタルインストゥルメントパネルです。この商品力アップの効果は大きい。508と308をどちらを選ぶか躊躇していた人は、良いキッカケになるだろう。
カタチもサイズもPeugeot 308が欲しいけれど、コックピットは Peugeot 508 のようなデジタル表示がいいな、という層はいるはず。GTであればレッドステッチインテリアでダッシュボードも少し豪華になる。(羨ましい限りですよ。)
Cセグメントカーには強力なライバルが多い。微細なメカ感が良いVolkswagen GOLF もいるし、ハイブリッド大王のTOYOTA COLLORAだって、Cセグを意識した車。各社デジタルメーターを採用しているところを見れば、いま必要なアイテムだというのは明白だった。
Peugeot 308 SW に乗っていて、小さなデジタル速度計を見ている私としても、大型化された液晶パネルは興味津々だし、さらに積極的に推すことのできる車になったと言える。価格上昇の 8 万円も、この内容なら文句は無い。
※ パノラミックガラスルーフも合理化の対象に。写真は TECH PACK EDITION。
合理化によりオプションが減少
一方、ラインナップの集約と合理化は否めない。パノラマガラスサンルーフは Allure には装着できない。ROADTRIP で装備できるあたり、メインの販売グレードは ROADTRIP だと言いたいのだろう。実際、Allure は導入するタマ数を制限して、特別仕様車を多く販売しているようだ。
今回のマイナーチェンジで型式がAllure〜GTまで同じになったのだから、装備でグレードの差をつけなければならないのだろうが、パノラマガラスサンルーフはプジョーの今のラインナップの中でも Peugeot 308 SW にのみ用意される誇りある装備である。大事にして欲しいと感じる。
ボディカラーを見てみれば、イメージカラーであった「マグネティック・ブルー」が「ヴァーティゴ・ブルー」に差し替えられた。地味系カラーが多かったプジョーのラインナップにおいて、きらびやかなブルーは購買層の開拓に一役買うかもしれない。
「ハリケーン・グレー」と「ダーク・ブルー」もひっそり販売終了。次期 Peugeot 308 は明るいイメージで出てくるのかな。シックな大人系カラーは、軒並み消えてしまった。
カラー | MC前 | MC後 |
---|---|---|
パール・ホワイト | ● | ● |
ビアンカ・ホワイト | ● | ● |
アルタンス・グレー | ● | ● |
ハリケーン・グレー | ● | – |
ベルラ・ネラ・ブラック | ● | ● |
ダーク・ブルー | ● | – |
マグネティック・ブルー | ● | – |
ヴァーティゴ・ブルー | – | ● |
アルティメット・レッド | ● | ● |
※廃止になったマグネティック・ブルー
新色 ヴァーティゴ・ブルーとの相性は?
出典:Peugeot 公式
GTグレードは1.5Lディーゼルエンジンへ変更
さらに残念なのは、2L ディーゼルエンジンの廃止。駆け込み需要用に少しだけ用意されたみたいだが(PEUGEOT SELECTION)、デジタル液晶かどうかは不明。たぶん、MC前のものと思われる。
消えた理由。2つ考えられますね。
ひとつは、CO2排出総量の削減。販売台数に応じてCO2の排出削減量が決まるユーロ規制だから、燃費の悪いクルマは消えて行く。2Lディーゼルは燃費は悪くはないけれど、パワーチョイスを維持したいとなれば 1.2Lガソリンエンジン は残さなければならないし、新開発の1.5Lディーゼルエンジンを残すのは当然と言えるだろう。
もうひとつは、生産ラインの効率化。Allureにパノラマガラスサンルーフが付かなくなったのも、このあたりが考えられる。
あと2年販売を続けるとしても、出荷台数はあきらかに縮小に入る Peugeot 308 は、次期型モデルの生産ラインを作る必要もある。ラストスパートを仕掛け、1年間で2年分の生産をするなどして、ソショーの工場の改修を行う必要が出てくるのだ。すると、生産工数を下げて、少ない労力で多くの Peugeot 308 を作る必要に迫られる。
そう考えると、現行 Peugeot 308 に乗りたい人は、早めのオーダーが必要になる。販売を1年残した段階であったとしても、希望のグレードがオーダーストップになっている可能性はあるかもしれないのだ。
インテリアがプチ整形
GTについては、ダッシュボードへのステッチも用意されることになった。ROADTRIPやAllureは今まで通りだ。
GTiに採用されていたレッドステッチインテリアが、GTグレードに採用される。GTは、MC前のGT-Lineに相当するグレードで、1.5Lディーゼルエンジンが採用されている。その「新GT」は新しい Peugeot 308 の顔になるように、美しいステッチが施されたダッシュボードがあてがわられるのだ。
赤いステッチがスポーティな雰囲気を醸し出す、レッドステッチインテリア。上の写真ではダッシュボードにステッチが入っている一方で、ドアのステッチが消えている。
実車を見ないとなんとも言えないが、カタログ上では下の写真のように、ドアパネルには3本のステッチが入っている。
GT-Lineは今回のMCで廃止になり、レッドステッチインテリアはGTに集約。Allure や ROADTRIP は、もう少しシンプルなステッチの入れ方になる。
ドアのグリップへの模様も違っていて、キャラクターに合わせているのが好ましい。ROAD TRIPはオレンジ&グレーのステッチが施されているというから、TECH PACK EDITIONよりもモダンなインテリアになりそうだ。
あと2年 がんばってプジョーを魅了するのだ!
それにしても、のこり2年あるかないかの販売にも関わらず、しっかりしたモデルチェンジであるイメージが強い。もともとシンプルな装備群ではあるけれど、ゴルフのように豪華装備満載グレードにならなかったのも、クルマの性格をよく考えられていて好印象だ。
(ゴルフはプレミアム・ゾーンを意識できるので、豪華装備満載も似合う。プジョーにそこまで求める人は、いないんじゃないかな?)
写真を見てもらえばわかるように、Peugeot 308 のスタイリングは逸品である。もしかしたら、次期型がお目見えした瞬間に、現行モデルがパッと売れるかもしれない。惚れ惚れする造形なのだ。
1.5L ディーゼルエンジンが残ったのも、個人的には嬉しいニュース。ハイパワーが好きなユーザーが惜しむのは仕方がないけれど、車社会全体が、ハイパワー思考よりも実用域での楽しさを意識するようになったのだと思う。
だから、トルク 300Nm で充分。回転数も気持ちよく上げられる。これこそ、次期 Peugeot 308 には装備されない可能性がある。New Peugeot 2008 ではディーゼルエンジンの輸入は控えられた。308も、そうなるかもしれない。
だが、今回のモデルチェンジによって、かなりの商品力アップが図られた。Peugeot 308のラストスパート、見ものである。
あとがき
ほんと、こんなテコ入れが入るとは思いませんでしたね。しかもフランスでの発表から3ヶ月。スピード感ある対応でした。
日本での販売台数はプジョー全体で増えているそうで、どんどんプジョー仲間、輸入車仲間が増えていくと嬉しいです(^^)日本車が駄目だと言っているわけではないけれど、クルマを文化だと見る風潮は、やっぱり輸入車に分があるなって感じるから。
今回のモデルチェンジで、若干整理の進んだ Peugeot 308 ですが、ハッキリ言って魅力的です。デジタルパネルは楽しそう。躊躇していた方は、ぜひぜひ飛びついてください(笑)
そして、アナログメーターのほうが好きな方。在庫を見つけて格安に買うチャンスかも。ディーラーに走りましょう〜