カー・ジャーナル

人の価値観とブランド戦略の難しさ

ボルボユーザー時代、車両価格の上昇は、次の愛車にボルボは無いだろうと思わせるものでした。そして、プジョーはどうなるか。メーカーのブランド戦略と消費者の価値観のせめぎ合い。長期的な尺度で見た時、このせめぎ合いに意味はあるのか。しっかり観測していきたいと思います。

 

記事内に広告が含まれています。

お正月があけて、最初の土日。久しぶりに Peugeot 308SW を走らせた。やっぱり、いいクルマだな〜って思う。

 

今までに無いハイペースで、通販型自動車保険の価格は上げることになったけど、それも後悔していないくらい、気に入ったクルマになってる。自分で選んだクルマだから、好きでいたい・・・などではなく、単純に飽きずにいられるのが、とても嬉しい。

 

身の丈にあったクルマに乗って、好きなところへの移動を愉しむ。これほど嬉しいことはない。

 

プジョー308SW 斜め上はかっこいい

 

スポンサーリンク

人の価値観 メーカーのブランド戦略

プレミアム=喜ばれるわけではない

でも、誰もが好きなクルマを買えるわけではないのは、確かだろう。コロナ渦の影響で、この先の収入に不安があれば、クルマなんて買えたものではない。今まで輸入車に乗っていても、これからはもう少し価格の安いクルマに乗り換えようか。そう思う人も居ると思う。

 

プジョーやボルボというメーカーに、私はひとつの期待をしていた。もちろん、今もしているのだけれど、輸入車というカテゴリーの中で、比較的価格が安いプジョーというブランドは、我が家族にピッタリの選択肢だったと思っている。同じことは、最初にボルボを選んだときも一緒だった。

 

それは、「プレミアム・ブランドではないコト」である。

 

メルセデス・ベンツやBMWは、私の場合、今のままでは乗りたくても乗れないことだろう。プレミアム・ブランドのクルマを買うと、家内としては大変らしい。地域のコミュニティの中において、旦那が高いクルマに乗るということは、道楽させていることと等しいという。

 

クルマが趣味だから・・・これも道楽だ。つまり、ある一定のコミュニティの中において、主人の道楽をセーブすることは家内としての力の強さを表すらしい。いまやプレミアム・ブランドでさえ買いやすい価格帯のクルマを出して入るのだが、ブランドのちからというのは変えがたい、普遍的なものを身に着けているのである。

 

BMW 218i M-Sport ステアリング

 

価値観は人それぞれ

そして私自身、プレミアム・ブランドには興味を示さない。クルマとしての性能にはもちろん興味はあるのだけれど、「プレミアムなブランド」というものにはまったく興味が沸かないのだ。ベンツやBMWのクルマとしての魅力はあるが、ブランドとしての魅力は感じない。これは価値観だから、仕方がない。

 

入社したてで、ベンツ買いました!

 

良いとおもう。クルマの維持に給料の大半をつぎ込む。面白いじゃないか。若者のガムシャラは見ていて楽しい。先を見渡せる力がつくと、どうしても及び腰になってしまう。結婚する前に、好きなだけクルマを楽しむといいだろうね。

 

自分の人生へのご褒美に、BMWを買う。

 

良いでしょう。自己肯定を好きに表現する。なかなか庶民の買えないものを、一度だけ買う優越感。高い時計だとかもそうだけど、憧れていたものを人生の宝物としてひとつ、手に入れる。私はいったい、何を買うのだろう?

 

人より良いものが欲しいから、メルセデスを選んだ。

 

良いんじゃない?まさにブランドを使っての表現だ。自分は人より優れている。それを表現したいし、自分でもいつまでも感じていたい。だから、高い車を買って乗り回す。私にはこの価値観は無いと思うが、人の価値観には口を出さない。変えられるものではないからね。

 

しかし、人によってはプジョーでさえも、ひとつのプレミアム・ブランドとして見えてしまう可能性はある(塗装ツヤツヤだしネ)。おかげさまで、日本ではレアな輸入車である Group PSA の車たちは、どちらかというと「フランス車が好き」というある意味キワモノのようなブランドのおかげで、カモフラージュされているとは思うけど。

 

私としては、クルマに「見栄」を感じるブランドは、手をださない。これも私の価値観。ただ、私の中でなにかが変わって、今あるプレミアム・ブランドへの「見栄」感が払拭できたら、周りを気にせず選ぶ可能性はある。人の価値観は絶えず変わるものだから。

 

VOLVO XC60 コックピット

 

選ばれようと躍起になるメーカー

ところが、そういった各々の価値観はやはりあくまで個人のもので、メーカーはブランド作りに躍起になる。私の好きだったボルボにおいては、「準プレミアム」から「プレミアム」へ上がっていった。少なくとも、価格は上がった。

 

もともと高額価格帯のクルマは存在してはいたのだが、ボトムラインを引き上げた。V40 の後継車が出るまでの時限措置?いやいや、XC60は年次改良毎に価格があがり、すでに 50 万円以上は上がっていることだろう。

 

モデル 税抜き価格
(MY2015) VOLVO XC60 T5 4,805,556
(MY2021) VOLVO XC60 B5 AWD Momentum 5,809,091

 

ボトムラインは引き上げられた。AWD の有無こそあれど、買いやすいクルマからの脱却を目指したことはあきらかだ。

 

モデル 税抜き価格
(MY2015) VOLVO XC60 T6 AWD R-Design 6,657,408
(MY2021) VOLVO XC60 B6 AWD R-Design 7,263,636

 

マイルド・ハイブリッドもついた。車両としての質もあがった。安全装備も沢山ついた。価格アップは 60 万円。これを、上げすぎと見るか妥当と見るか。メーカーの「ブランド」とユーザーの「価値観」のせめぎ合い。利益が出れば、ブランドが勝ったということだろう。

 

けれども、メーカーや日本法人の主張は置いて、実際に自分の所有しているメーカーがかなり価格を上げるのは、やはり寂しいと言わざるを得ない。日本の感覚で言うならば、同じモデルのフルモデルチェンジは同じ価格帯にいるものだが、ボルボはサラリーマンの給与上昇を凌ぐ価格アップ。

 

つまり、今までのユーザーを見ているのではなくって、プレミアム・ブランドを好んでいる新しい顧客層を得ようとしている。そういう面は、どうしても見えてしまう。

 

今、VOLVO XC60 を選んで所有している人は、胸を張って乗っていて欲しい。けれども、寂しい思いをしている人もいるというコト。収入と価値観。人のこれらの差を埋めるのは、難しいのだ。

 

プジョー 508SW ボンネット

 

プジョーはどうなる? 508 の価格に注目

そして、プジョーはどうなるのか。

 

先日、Peugeot 508 から Allure が消えてしまった。その後の追加モデルの話も出ない。ここは興味深いところではある。ボルボのように、ボトムラインの引き上げに入るのだろうか。

 

モデル 税抜価格
2020 Peugeot 508 GT Line 4,305,454
2021 Peugeot 508 GT Line ???

 

このあたりのクルマについては、注視して見ていきたい。メーカーや日本法人が、この先プジョーという「ブランド」をどのようにしていきたいか。価格が変わらなければ、今までの戦略を推し進めることになる。価格があがると、プレミアム思考がより、強くなることを意味するだろう。価格によってわかることは多いもの。

 

メーカーは「価値観についてこれる人だけ買いに来てください!」ではNGなんじゃないかな?今までの、自ら培ってきた歴史の上に、今のブランドのイメージがついている。プジョーの、高性能とデザインセンス、そして割り切りのメリハリは、今後どのようになっていくのか。

 

行き過ぎた戦略は、必ず身を滅ぼすもの。ブランドは価格だけじゃないことを、メーカーもユーザーもどれだけ認識できるのか。せっかくプジョーユーザーになったことだし、プジョーのこの先を楽しみにしていきたいと思います。

コメントで応援してください!

  1. ボルバー より:

    プジョーもプレミアム化を目指しそう。
    そのための木村社長なのかも。

  2. がー より:

    まこまち様

    どんなブランドを目指すのか、ブランド作りは難しいですよね。

    他業界ですが、私もブランドを扱う仕事をしています。
    単価を高く保ちたいと言うのが根本的にいつも意識されます。
    当然だと思います、利益訴求できるブランドを作り、維持していかなければならないので。
    私個人の意見としては、高額商品から低価格商品まで、しっかり色分けされたブランドであり続けたいと思っています。
    なぜならそこには必要としてくれる消費者がいるし、
    その世界の中だけでもある程度のリスクヘッジになるから。
    私のいる業界の話しですがね。

    PEUGEOTは安いブランドとは思いませんが、高いブランドでもないのかも知れませんね。
    でも仰る通り、高いブランドになっても安い製品をしっかり作り続けて欲しいなと思います。
    何と言っても、PEUGEOTは世界最古の大衆自動車メーカーなんですから。
    この謳い文句、好きです。

  3. なすたろー より:

    良い車とは世間ではプレミアムブランドを指すことが多いかと思います。

    でも、まこまちさんの仰るとおり、
    良い車=自分(家族)にとって良い(好い)車なんじゃないかと。
    自分で308SW所有してみて、新しい価値観が生まれました。
    正直なところ、プジョーの価格設定はリーズナブルだと思います。
    スタイリング、走り、安全装備を考えるとコスパ高いですね。
    これからもプジョーはそうあって欲しいと思います。

  4. まこまち より:

    ボルバー様

    PSAで持つブランドを、うまく活用できれば良いのですけどね。

  5. かなるる より:

    まこまち さん

    おはようございます^ ^
    車の適正価格とは…
    私の中ではよくわかりませんね。
    同じ様なカテゴリーで、似通った性能・装備…
    個人レベルでは客観的に判断することは難しいのではないかと思っています。
    まこまちさんがボルボの例を示して頂きましたが、あの様に見ると大きく値上がりしてますね。性能や質感を含めて客観的な品質は向上しているのでしょうかね!
    もっともその間の私達の収入がリンクして上がっていれば良い事ですが…少なくても私個人にはない 笑(^^;)
    今まで10台の車に乗ってきました。うち6台がトヨタでした。大きな不満は無く、故障もなく、ハイブリッド車は燃費も良いです。しかし物足りない…
    そんな事もあり、10台目にはフランス車を選択してみました。では…

  6. まこまち より:

    がー様

    大きなククリの中で言えば、私もひとつの大きなブランドの中で働く社員の一人です。
    ただ、あまりにも大衆的なものですから、どちらかといえばブランドが特徴づける価値よりは、
    法令遵守だとか誠実さだとかを考えているところが大きいです。

    でも、このブランドを買っておけば安心だろう、という話も聞きます。そういう時は少し嬉しくなりますね。
    だからかもしれませんが、企業からブランド・イメージを変えるというのは、少しばかり抵抗感があるものです。

    商品の魅力にダイレクトに影響するブランド力であるのなら、それを鍛えるのは大事なこと。
    けれども、今を守ることも大事なことだし、案外これも難しい。どこまでも続く課題のようです。

    PEUGEOTは、私の感覚としても安くはないし、高くもないです。
    嬉しいのは、ある程度のボディタイプと価格的ラインナップがあることです。大衆車でもありますから。
    そこから一定の商品を選定して、高級ぶるのだけは嫌だなあ。そんな想いをぶつけてみました。
    実際、Allure以下のグレードもあるのですけどね。その兼ね合いのコントロールが、PSA日本法人のさじ加減。

    世界最古の大衆自動車メーカー。本当に、いい言葉ですね(^^)

  7. まこまち より:

    なすたろー様

    プレミアム=贅沢 という感覚が、私はどうしても抜けなくて。
    贅沢がダメじゃないし、曖昧だけどプレミアムがダメなわけじゃない。どちらもあって良いものです。
    ただ、この2つは結びつきやすいものです。この感覚を否定したい。

    日常をプジョーで送る生活。とってもプレミアムです。特別感があるんです。
    これで十分なんですけどね。価格アップに結びついてほしくないなあ、というのが本音です。

  8. まこまち より:

    かなるる様

    私も収入がリンクしなかった人間の一人です(^^)
    いずれ XC60 が欲しいなあ。手に届きそうだなあ、なんて考えていた矢先、価格アップを繰り返しました。
    追い出された感覚が大きかった。

    だから、自分のライフスタイルに合う、満足できるベクトルが似ているクルマを探したら、Peugeot 308SW だったというわけです。
    きっと私としての適正価格だったのでしょう。装備は上級に比べて簡素かもしれませんが、見せ方で対抗している点を評価しました。
    つやつやブラックパネルは、見た目はいいですが傷は付きやすい・・・それでも、がんばりたかったんだなってわかるんですよね(笑)

    フランス車、もうすぐですね!かなるる様に楽しいカーライフが届きますように(^^)

  9. くろ より:

    今は日本車も高いですよね。
    品質に比べて良心的なプライシングしているスバルでも、
    レヴォーグ400万ですから、若い人にはなかなか手がでないでしょうね。
    軽自動車が圧倒的に台数が多いのも頷けます。とはいっても軽でも200万位掛かるみたいですが。
    街中見ていると外国車が増加している気がします。
    乗ってみて初めて分かりましたが、日本車にない魅力が多数あります。
    価格がそう変わらなければ選択したくなる気持ちが良くわかります。
    一生で乗れる車は何台あるでしょうか?であれば好きな車に乗って仕事に頑張るといった
    モチベーションもあるのではないかと。
    ちなみにBMWってプレミアムブランドって感じたことないっす。
    まあ、5とか7シリーズ乗れば違うかも知れませんが、VOLVOの方が高かったですし、
    今はプレミアム感あるような気がします。

  10. まこまち より:

    くろ様

    先日初めてBMWに試乗しました・・・2シリーズですけど(笑)
    インテリアの作り込みはボルボが上で、乗り味はやはりBMWが上でした。
    それでも2シリーズは顧客層を広げるために、ある程度のコストダウンをしたのでしょうね。
    先にプレミアムの印象がついているから強いけど、インパネの質感には少しガッカリでした(笑)

    100 万円で買える車が少なくなった今、日本勢は欧州輸入車と戦わなければいけませんし、
    自分たちのブランド作りにも必死です。マツダなんて、そんなメーカーだったっけ?っていうくらい、ディーラーに高級感を漂わせていますしね(^^)
    いつも自動車メーカーは、ブランド作りに必死の様子。庶民的なプジョーはどうなるのかな。そんな思いをぶつけてみた記事でした。

タイトルとURLをコピーしました