舶来品に夢うつつ まこまちの車選び 2025 地獄沼編 第3話

マツダCX-60に試乗したあとから、選択肢の最適解が見つからない私。毎日ガレージでただいまと言えない今の環境では、正解なんて無いのかもしれない。本当に今乗りたい車を探す、自動車選び地獄沼編。一体どんな車を選ぶのか、自分自身でもわからない…

 

そんな時、昨年同様、信州輸入車ショーの開催情報を手に入れた。そういえば、思ってた以上に輸入車乗りやら特殊な車やらが走り去る我が家周辺。Peugeot 308SW を手放した理由を思い出しつつ、自らのモチベーションは輸入車にあるのではと、藁をもつかむ想いで会場に足を運ぶのだった。

 

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自分探しの輸入車ショー

信州輸入車ショー会場

 

昨年どおりの、やまびこドームのエントラスンは、中古の輸入車がズラリと並ぶ。アウディ、ボルボ、Jeepもある。お手頃価格でありながら、スペシャルな存在感はため息もの。あぁ、やっぱり輸入車はいいよ、ねえ?

 

信州輸入車ショーに並ぶ中古車(Audi)

信州輸入車ショーに並ぶ中古車(C40)

 

私が輸入車を愛した13年間は、自分のアイデンティティを確立するための13年間。輸入車は、生きざまだ。自分のライフスタイルやファッションに見合う車を探し、好きを鋭く貫くのだ。北欧デザインとエステートに生きた私だが、今は何を求めるだろうか?

 

目つきが可愛いFIAT500e

fiat 500e のフルショット

 

入り口で目に止まったのは、FIAT 500e。この車、実は密かに候補に入る車である。なにせ、小柄なボディが魅力的だ。いつでもどこでも、ピカピカにボディを磨く幸せは、愛車人生を豊かなものにしてくれるはず。しかも、EVになって少し「悪め」になったヘッドライトが、可愛い顔しているのに無理しちゃってさ!という愛嬌を感じてしまい、やたらと心をくすぐるのだ。

 

それではと、運転席に乗り込んでみる。見た目がクラシックで期待を裏切らないフロントシートは、座ってみれば特に感動があるわけではない座り心地。だが、きっとこれで良い。スポーツしたいならアヴァルトに乗れば良い。イタリアのプロバンスを松本平で感じる人生…あぁ、私には似合うだろうか(笑)しかし、欲しい人はこれ一択で良いと思う。

 

fiat 500e のコックピット

 

小さい車はボディが愛でやすくて良いのだが、さらに良いのは軽いことだ。一般道での制限速度が60km/hとジメジメした我が国においては、それなりの加速をしてくれれば充分に楽しいのである。FIAT 500e はトルク220Nmで、車重は1320kg。我が家の小型EV、日産サクラが、トルク 195Nmの車重1070kgだから、ほぼ同等の走りかな?低いアイポイント、広いトレッドと考えれば、こいつは楽しい車に違いない…!

 

いきなり元気になったところで、次の車を見てみようぞ。

 

全てを捨てて乗りたい ABARTH595

ABARTH 595 のフルショット

 

ABARTH 595!あれ、販売終了していなかったっけ?と思っていたら、この車は中古車だった。そういえば、あまり中古車は購入対象に入れていなかった。なにせ、新車のように保証が付くわけでもなく、燃費が良いわけでもない。あまりメリットを感じない。

 

ところが、昔乗りたい車が目の前に現れたらどうだろうか。しっかりメンテナンスされていれば、やはり欲しくなるのだろうか。

 

それにしても、小型スポーツは魅力的だ。過去にはスタタボ(トヨタ スターレットターボ たしか130psだったよ)が欲しかった時期もあったが、そこに更にイタリアというダメっぽさも加わって、魅力が10倍になったのがアヴァルトだ。

 

ABARTH 595 のコックピット

ABARTH 595 のエンブレム

 

イタリアの国旗に、サソリのマークが誇らしげ。一時期、ちょいワル親父が流行ったけれど、やっぱりなるなら、格好良い親父が良い。Tシャツジャケットの黒スーツだって似合うだろう、アヴァルト595を見ていると、家族との長距離ドライブを手放せば、こんな楽しげな車が手に入る…などと言う邪さがよぎってしまう。長距離ツアラーと街中でセッセとスポーツする車との2台持ちも、憧れても良いかもしれない。

 

いつか自分達が歩んだ道 BYD SEAL

BYD SEAL 驚愕のお値段

 

お次は…おぉ、BYDがあるじゃないか!こんな田舎で(失礼)BYDが見られるなんて!

 

しかし、EVと信州のシナジー効果は、実は抜群なのである。なにせ、他県よりもガソリン代が高いのだ。だから、県境に住む人は、隣の県にまで買いに行く。長野県民なんて、某新潟県から「迷惑なんじゃ!」と言われるくらいに、深刻な国土の問題なのだ。

 

BYD SEAL のCDピラー

BYD SEAL のリアショット

 

それにしても、このBYD SEALはよく出来ている。やはりセダン大国である中国らしく、逸品のセダンが出来上がっているじゃないか。最近はパリパリとエッジの聞いたけどデザインの車が目立つが、こういうヌメッとしたボディもイヤラしくて悪くない。

 

全体的なフォルムを見ると、一昔前のクラウンっぽいな、とか、フロントとリアのリズムが違うな、とか、色々不満も出てきそうなのだが、一昔前のマーク2だってメルセデスっぽいなとか感じたわけだし、ヴェロッサなんてアルファロメオだと冷やかされた(今見ると似てないけれど…)

 

そもそも500km以上走行するEVにして、この価格かよと手放しに泣きたくなる。

 

BYD SEAL のインテリア(ゲーミングPCみたい)

 

それでもって、このゲーミングPCみたいなコックピットよ。いますぐネットゲームができるんじゃないかと勘違いできそうな、ピカピカ光るインテリア。これに似合うファッションは、正直私には想像がつかないのだけど、チャイナドレスの女の子が出てきたら、もう一度手放しに泣きじゃくるに違いない。SEAL、何だか元気になる車である。

 

MINI ACEMAN 日本にできないものばかり

MINI ACEMAN のサイドビュー

 

しかし…今まで横幅1800mmを超えた車を入手したことのない私にとっては、BYD SEALは大きすぎる…と感じるままに横を見ると、見覚えのあるあるシルエット。ああ、MINI CROSSOVERかな?相変わらずファニーだけれど、目は四角くなったのねと近寄ってみる。

 

MINI ACEMAN のエンブレム

 

ところが、こいつの名前は「ACEMAN」。エースマンって何?と調べると、なんでも、MINIの新しいエースになる、ということらしい。ミニクーパーに敵うものか…と牽制しつつもコックピットを覗いてみると、あぁ、と、いつも通りの丸い液晶が目に入る。

 

MINI ACEMAN のダッシュボード

MINI ACEMAN のフロントシート

MINI ACEMAN のコックピット

 

シートにあしらわれた、オレンジ色のパイプ処理。海外勢は、カジュアルデザインがとても良い。日本車はついつい高級路線に行きたがるし、デカいグリルにツヤツヤ本革が好きである(偏見である)が、このエースマンのようにカジュアルに乗る文化を、どうして作り上げないのだろう?

 

ファブリックシートのインテリアにしても、シートに一色混ぜるだけで満足感が上がるものを、真っ黒で終わらすのが日本車だ。それよりも、ジーパンや短パンやミニスカートが似合うMINIの方が、よほど幸せじゃなかろうか…改めて、日本ではMINIが売れるわけだ、とウンウンうなづいてしまうのである。

 

ちなみに、私はMINIの似合う男にはなれなそうにないので、現場からは以上です、マイクお戻ししま〜す…あ、車見すぎて元気になってきたかもしれない(笑)

 

BMW 2シリーズグランクーペ 走りの帳尻最高潮

BMW M220 GranCoupe 正面からのフルショット

 

ここまで見てきて、何となく私が感じるものは、コンパクトカーって良いな、という感情である。大きくてドッシリした車も良いのだが、選ぼうという時に、どうしても洗車の手間だとか扱いにくさを考えてしまうのである。それでも同乗する家族の快適性を考えて、そのセグメントの中で最大限の居住性能の車を選んできたつもりだった。

 

しかし、その自分に課した制限と、欲しいの気持ちの間で、車選びを難しいものにしていたんじゃないかと思うようになってきた。小さなアヴァルトだって乗りたいし、大きなJeepにも乗りたいのだ。好きな車を選ぶ時に、足かせはできるだけ外した方が良いのだろう。

 

その足かせの帳尻を本当に上手に合わせてくるのが、BMWである。

 

BMW M220 GranCoupe のダッシュボード

 

BMW 2シリーズグランクーペは、一度試乗したことのある車である。その時は、プジョーにも敵わない感動の薄いエンジン音にドン引きだったが、エクステリアをブラッシュアップし魅力を引き上げた新しいグランクーペは、なんだか引き寄せられるような魅力があった。Cセグ好きが俺様に乗らないのか?と言われているようである。

 

そこまで言うならと、フロントシートに身を沈めてみる…しかし、安堵。このグランクーペはMスポーツの名前こそついているが、のめり込むような雰囲気はそこまでではない。装備は少し豪華になったくらいのようだった。これなら、ハニカムメッシュでクラシックな雰囲気を上手く取り込み、どこまでもスムーズで静かなパワーソースを持つシビックe:HEVに軍配が上がるはず。私ほどになると、コックピットに座るだけで大体のことがわかるのである。(ウソです、すいません…)

 

BMW 220GranCoupe と M135

 

まあ、アクセル踏まないと評価なんてできないよね〜と含みを持たせつつ、ところが、2シリーズの奥には1シリーズが。名は、M135。様々な輸入車を見て、元気をもらった私だったが、やはりもう少し濃い味も見てみたい…小さなヤンチャは、意外と私のキラーキーワードなのか?…BMWのトゲの鋭さを増しに増したM135のコックピットはブラックホールのように愛おしく、私は吸い寄せられてしまうのだった…!

 

つづく!