今回私の購入したシビックは、最初からTypeRの性能を考えて欧州で開発したとか。走りと言えば欧州欧州となんだかヨーロッパかぶれなのが日本人。だが、おかげでラバーバンドフィールが無くなったのは嬉しい限り。
しかし、欧州仕込みの言葉を聞けば誰だって車の性能アップに期待してしまう。歴史こそあるけれど、昔の大衆車が400万円なのである。裏切ったら許さんぜよ!とは叫びたくもなりますよね。
そして、為替の不安定さに輸入車Cセグメント乗りも慄いている。日本車を信じて良いのか?いやBセグメントにしなきゃいけないのか?情報収集に余念のない皆さんにこそ、今回の記事は相応しい。
元輸入車乗りが日欧を比較検証 エントリーする3台
そう、今回は「海外では爆売れという日本車は輸入車を超えたのか?」を、私の過去の経験から考察致します。安全性とシートの良さに定評のあるVOLVO V50、暴力ディーゼルファミリーカーの先駆者 VOLVO V40、足回りと程よいディーゼルに定評のある Peugeot308SW と乗り継いだ私は、まさに欧州Cセグメント評論家(爆)多様な特徴のあるこのカテゴリーの解説には、まったく私が相応しい!
え!?過去愛車と比較するだけじゃん、なんて言わないで!図星だから!!(笑)でもでも、評論家よりも信頼できるソースというのであれば、所有した事がいちばんの情報源。輸入車歴 14 年という歴史の長さは、ちょい乗り評価よりも大きいのです。
さて、今日評価するにあたり、対象となるのは次の3台。
VOLVO V40 (D4)
安全安心のファミリーカーと思いきや、400 Nm の大トルクディーゼルで直進番長グランドツアラー。誰がなんと言おうと、ボルボのシートは世界一。今はプレミアムうたってるけど、10年前はバリバリ準プレCセグだった。一世代前のV60を狙う方にも参考になるかも。
参考購入価格 380万円
Peugeot 308SW (TECH PACK EDITION)
軽快なフットワークと猫脚準拠の足回り。当時世界最強のCセグメントと言われたVolksWagen GOLFと張り合う実力を示した乗り味には舌鼓をうってしまう。1.5Lディーゼルは新型車にもキャリーオーバー。フランス流はベクトルが違くて面白いぞ。
参考購入価格 360万円
HONDA CIVIC (e:HEV)
ZR-V目当てでスポーツe:HEV乗りに行ったらコロリな、クーペルックな4ドアハッチバック。欧州車を超えたと評判であるが、実際にはどうだろうか?背が低いけれど視界が良い、走りは良いけれど燃費が良い、という、今まででの相反性を覆した夢のスーパーウェポン・ジャパニーズ・スポーティ大衆車の実力は如何に。
参考購入価格 410万円
世界的にはSUVが主流になり、VOLVO XC40 やら Peugeot3008 やら T-ROC やらが販売台数で上位に入る。けれどもこの記事を読む人は、きっと地を這うセダンタイプがお好みじゃない?
日本車は輸入車に追いついたか 乗り心地編
妙技の光る Peugeot 308SW
乗り心地という面では、好みの差が大きく出る。スポーティな走り、コンフォートな走り。Dセグメントに目を向ければアクティブ・サスペンションで両立する車はあるのだけれど、Cセグメントではそこまでのコストはかけられない。だからメーカーは方向性を本気で考え、本気でベストをセッティングする。
だからCセグメントは面白いのだ。
どの車もよくできている。その中で比較の中央に置きたいのはプジョー。サスペンションをしっかり動かして大入力を跳ね返す粘りの良さと、コーナーで踏ん張る特性は日本車ではお目にかかれない。サスペンションストロークが当社比2倍と言われても納得感があるのだ。一般道では柔らかい足回りなのに、高速道路ではビシッと直進するのも、妙技としか言いようがない。
これに対して、VOLVO V40 は若干硬めな印象。グレード毎で少し差はあるのだけれど、ディーゼルを積んだV40 D4はフロントの余裕が少し渋くて大入力を素直に車体に伝えていた。高速道路の継ぎ目もしっかりドシンと音がなる。足回りならT3 1.5Lガソリンエンジン搭載車が軽やかつ素直で印象は良い。
この2台に比べると、明らかにスポーティに仕上げているのがHONDA CIVIC。少なくとも、時速40km/h以下で路面が荒れている時は、快適とは言えないかも。ところが、ペースが上がってくると雰囲気は変わってくる。フラットライド感が増してきて快適になってくる。
HONDA CIVIC e:HEV の実力は僅差
では、簡単に比較しよう。快適かつスポーティな足回りをキーワードにすれば、Peugeot 308SW は水を得た魚状態。一度乗れば、人々は異様なストローク感に心を奪われる。私のブロガー人生でもオフ会にはじめて参加できた思い出ぶかい車だし、足回りを徹底的に褒めぬいたから、そう簡単に足回りNo1は譲れない・・・そう考えていた。
ところが HONDA CIVIC e:HEVの実力たるや大したもので、18インチを履いた扁平タイヤにも関わらず、徹底的に路面のノイズを拾わないジェントルチックにメロメロ。「オーナー様どうぞこちらへ」「オーナー様ご気分はいかがですか?」とイケボで話しかけられているような雑味のないスムーズなサスペンションだ。やれ硬いだの速度低いとノイジーだのは見えぬ知らぬ。方向性こそ違うけれど、これは充分プジョーに追いついているんじゃない?
VOLVO V40 はこの勝負には少し相手にはならないが、仕方がない。2012年に発売された車なのだ。VOLVO の足回りは XC40 や V60 で確認済みで、極めて素直でわかり易い乗り心地。過去のクルマを引きずり出してゴメンねとしか言いようがない。
ということで順位はとてもつけづらいが、一番といえばやっぱり 308SW か。僅かに足らず CIVIC 。サスペンションの情熱が凄まじいプジョーから言わせてみれば、1,000 km くらい走ったばかりの CIVIC なんぞには負けんという感じ。308SWも、あるポイントで急に乗り心地がよくなった。CIVIC にも期待である。
他のライバルに目を向けて【VW GOLF】
本当ならCセグメントには VolksWagen GOLFという実力者がいる。実用車ではあるのだが、ジワリとした良いもの感は私の所有車を凌駕していた。シットリという言葉がシックリくる。硬い、柔らかいを考えずに一番良い足回りが欲しいのなら、VW GOLFは有力な候補に上がってくる。
日本車は輸入車に追いついたか パワーソース編
HONDA CIVIC e:HEV用「LFC」さすが最新式ユニットだ
走りの良さという括りで言えば、HONDA CIVIC e:HEVはかなりの実力。フットワークの良さに有利な低重心ボディは乗り心地面での不利さを吹き飛ばす。特にハイブリッド・パワーソース「LFC」の実力は、かなりのものだ。アクセルオンから発する 315 Nm の余裕のトルクは、トランスミッションで狭いトルクバンドをサポートしてきたICE車を過去のものへと追いやった。
なにせ、右足との一体感がたまらない。踏んだ分だけGを背中に感じるのだけど、右足の細かい指令に対する従順な働き具合がエンジン車には実現できない。あまりにも余裕に過敏に反応するから、街中ではECONモードにしてしまうほど。
一方、Peugeot 308SW に搭載の 1.5Lディーゼルエンジン「DV5」は、私としては世界最高と命名したいディーゼル・エンジンだった。日本の中では 300 Nm のトルクは十分。ディーゼルの不得手だった高回転域までしっかりまわるスムーズさ、官能的なエンジン音。新型308にも受け継がれたこの心臓は、グランドツアラー用ならピカイチ。高速燃費も半端ない。
少し懐かしくなってきた VOLVO V40 D4 のディーゼルエンジン「D4204」は、日本に輸入ディーゼル旋風を巻き起こした立役者だ。その重すぎるユニットはフロントヘビーで、タイヤをこれでもかと言わんばかりにギュウギュウと地面に押さえつける。その対価は、高速道路での余裕すぎる追い越し性能。ドロロンと鳴くエンジン音も上々だ。
その時代にあった最高のエンジンを選んできた
パワーソースを簡単に比較。すでに CIVIC e:HEV が一番と言ってしまっているが、それは当然だ。パワーソースは日進月歩。どんなに過去のエンジンが官能的で最高だろうが、低燃費と高出力を兼ね備える最新ユニットには敵わない。それに、その都度最高のCセグメント用エンジンを選んできた私としては、その時代の最高のユニットだったと褒めるしかない。でなければ、自分を否定することになる。
今、それぞれのエンジン・ライフを思い出せば、青春時代の甘酸っぱさのように、それぞれのパワーソースの特性が感覚として呼び起こされる。エンジン・サウンドは脳裏に焼き付き、加速Gは素粒子が身体を突き抜けるレベルまで印象強い。私は夢見る少女のように瞳がキラキラに輝き、過去すべてのクルマを売却してしまったことを後悔し涙するのだ。
しかし、過去は過去。選んだ相手を手元に囲っておくことの出来ない不甲斐なさにさいなまれる・・・それでも強い気持ちで順位をつけるとしたら、次点は Peugeot308SW に搭載のDV5。軽やかに回る楽しいエンジンだが、130psの実力通りパワーの頭打ち感がちょっと惜しい。VOLVO D4204 は日本では実力を使いきれないのと、うるさい。
でも、私の選んだエンジンは、次世代への期待が込められた最高のエンジン達だった。
他のライバルに目を向けて【TOYOTA PRIUS】
ここで注目しておかなくてはならないのは、やはりTOYOTA PRIUSだろう。ハイブリッドカーを一般車へ普及させた功労者は、ハイブリッド・リボーン と銘打って「愛車になれる車」として現れた。出力、燃費ともに CIVIC e:HEV を軽く超え、先進斬新スタイル、大径タイヤで一歩先ゆくハイブリッドカーに。受注台数も超えている(笑)
実はまだ試乗をしていないのだが、トヨタ車を見直す良いきっかけになるかもしれない。別にトヨタが悪い車を作っているわけではないのだが。
日本車は輸入車に追いついたか デザイン編
好みがわかれる自動車デザイン 個人的決めてはリアシート
エクステリア、インテリアは好みによるので判断は難しい。私の好みはエクステリアは気品、インテリアはスッピン&一点豪華。どれも要求通りであるから、勝敗をつけるのは難しいぞ。
インテリアで敢えて言うなら、リアに座る子供の為に居住性には注目してきた。VOLVO V40、Peugeot308SW、そしてHONDA CIVIC。大人サイズになった子供の為の居住性能を上げつつも、走りの良さまで追い求めるのは中々に難しい。余裕があればDセグメントに選択肢は様々あれど、私が恋するCセグメントはシビアなのだ・・・全幅 1,800 mm は越えたくないから仕方がない。
もし、Cセグメントで過去最高を思われるシートを装備したV40の後継車が現れていたなら、私の車選びは変わっていたかもしれない。恋はいつでも七変化、でも現れないから VOLVO にふられたということかな? 新型308はフロントシートはかなり好みだがリアシートがクーペ並みに狭すぎた。CIVIC e:HEVは若干背もたれは倒れ気味だが、クッション性能は上々だし足元は広々。良い相手に恋をしたやね。
他のライバルに目を向けて【mazda 3 FASTBACK】
デザイン性に待ったをかけるのが、mazda 3 ファストバック。エッジのかけ方、面の抑揚、ムーディな革張りインテリアは、Dセグメントに等しい。つまり、デザイン重視な方々は一度は見るべき。デザインだけでなく走りの実力も高いから、ベストコスパNo1かもしれない。あのトーションビーム、いいぜぇ・・・
コスト感は謎だけれど、マツダ地獄が大値引きから実力に移ったのは嬉しいかぎりだ。車が格好良ければ、中に乗る人も格好よくなる。そうでしょう?
日本車は輸入車に追いついたか 総合評価
大事なのはムードである
最後に、その他のライバル車も交えて総合評価を書いておこう。
欧州Cセグメントに並んだか否かと問いかけた場合、私の頭に思い浮かぶクルマといえば、BMW 218i だ。陸上部のセミロングを思い起こさせる気品と美脚の優等生は、キャラクター的に指標としても良い。もちろん、よく出来たクルマである。
これにしっかり対抗していた、Peugeot 308SW を思い出す。パワーソースは Peugeot DV5 が官能的でホクホクだった。ハンドリングも、鼻が軽くて扱いやすいし i-Cockpit の小径ステアリングはスパスパ切れて面白かった。やはり自分の車選びは間違いなかった!と思いきや、BMW にはどうしてもムードで敵わなかった。
コックピットに座った時の景色、溢れんばかりの個性、ドライバーと車との一体感。308の個性は充分に私の心を掴んだが、DNAと言われるBMWのそれには敵わない。一括りにムードと言うには雑ではあるが、実は私がHONDA CIVIC に求めたものは、まさに車の色気たるムードだ。
ムードが追いついた最初のクルマは mazda 3
走りの実力で勝負を挑めば、上には上がいるのがクルマの世界だ。そんな勝負が好きな人も大勢いるし、憧れる心は当然わかるが、自分が手に入れるならば何処までかというポイントは人それぞれ。例えば、いくら恋をしたからといって自分に釣り合わないと感じれば、枕を涙でグショグショに濡らしながらも諦めるのが大人であり、そのポイントも人それぞれ。だが、ムードはどのクルマにも存在し、無料であるが、設計者の大事な意思であもる。そして良い車を決定づけるものである。
この”ムード”において日本車での先行は mazda 3 だった。mazda 3 はムードを得ることについては大成功を収め、あの三眼メーターを見ているだけで気分が良くなる代物になった。インテリア・エクステリアでは既に日本車を牽引する存在となり、低重心のフットワークは無闇にスポーツな味付けにしなくとも楽しい、懐の深い味付けだ。
HONDA CIVIC e:HEV はどうだろうか? まず、走りの実力では Peugeot 308SW や VOLVO V40 と肩を並べることは比較でわかった。ではムードという点ではどうだろう?
HONDA CIVIC は「爽快」を自称する。どのように人が爽快を感じるか・・・それは HONDA 自身が研究した成果だと思うが・・・私はこのキーワードはピタリとハマったと断言できる。なぜならば、私自身が CIVIC e:HEV を運転して「爽快だ!」と感じたからだ。
爽快をキーワードにレベルを上げた HONDA CIVIC e:HEV そしてせめぎ合いは続いていく
低い視点、少ないノイズ、適度に敏感に反応するハンドリング、そして運転に苦労しない広い視界。高速道路を走っていると、これがまさに爽快なんだ。キャッチフレーズが後付なのかそうでないのかは判らないが、明らかに爽快で走っていて楽しくなる。無駄に速度を上げなくとも、気持ちよく走っていられる。これは HONDA が築き上げた新境地、きっとムードと言えるだろう。
ただ、砕ききって話すならば mazda 3 も HONDA CIVIC も、すでに日本市場向けではないクルマだということだ。世界で戦っていくべき車たちで、日本市場の為にコストを削減して安く提供する・・・ということをきっと辞めたのだろう。だから、結果的に欧州車に並んだし、一部性能は欧州車も凌駕することになったのだ。mazda 3 はディーゼルエンジンで、HONDA CIVIC はハイブリッドと走行パフォーマンスで欧州で戦える実力と個性を手に入れた。
つまり、一部の日本車は大胆な性能と独特の世界観・ムードで欧州車に並んだ・・これが、今回の記事の結論と言えるだろう。
そして、TOYOTA は PRIUS が追従する。SUBARU からはインプレッサが、欧州からは GOLF も 308 も飛来して相変わらずせめぎ合う。メルセデスやBMWは完成されたムードで立ち向かう。混沌とした実力争いを繰り広げるCセグメントは、相変わらず面白すぎるジャンルなのだと期待せずにはいられない。
結びの瞬景
久々の VOLVO V40 。赤いクルマ、青いクルマ。色付きのクルマは写真写りが良くていいです・・・でも最強はやっぱり白かも?
久々に V40 のことを思い出すと、手放すのが惜しかったなとか考えちゃう。プジョーもそうなんだけど、あと数年支払いをすれば手元に残るものを、どうして買い替えてしまうのか。それでも、自分の土地がなければ買い換えるしか無いのですが。
そんな苦悩とも、もう少しでおさらばかもしれない。新天地でクルマとともに生きる人生を目指し、今日も夜中までブログを書きます。