(移住先を探す信州旅)筑北村と麻績村 目指したい未来の欠片が見える

どうして移住がしたいのだろう。

どうして道を走るのだろう。

自分はどこまで行けるのだろう。

自分の将来と家族の未来。大事なのは後者のほうだ。家族とは世界で唯一、自分が自由にできる心。だから私は、その心が脅かされない場所を目指す。いつか旅立つ時がきても、笑顔で安心して行けるように。

 

そんな演歌が聞こえそうな、筑北村の雪化粧。左も右も雪だらけ。幸いにして道路は良好な状態だけど、翌朝には凍るはず。山間というより谷間といえる筑北村の街道を走る。ちらりほらりと、民家も見える。

 

Peugeot308SW 長野県筑北村の雪化粧

 

嫁ちゃん  ここはちょっと住めないね

 

田舎道にある家の灯火。この家の人は、なぜここに住んでいるのだろうと思う時がある。人それぞれ色々な理由があるだろう。先祖から続く土地だからと居続ける人、都会に出たけれども戻った人。たぶん、そこに居たいからという理由の人は、あまり多くはないのではなかろうか。

 

なにせ、都会は便利なのだ。投入された税金も莫大だから、沢山の社会福祉に溢れている。気の合う仲間も見つかるし、年をとったら都会でマンションが一番住みやすいはずだ。

 

それを判らないはずはないから、わざわざ田舎に引っ越してくるなんて変な奴だと思われるだろう。きっと何か悪いことを企んでいるに違いない、うちの隣に住まないでほしい、そう思われるに違いないと、地方の不動産会社と話していると身にしみて感じるのだ。

 

長野県筑北村の雪景色

 

だけど私は、家内と子供の身体の弱さを助けたいだけなのだ。そのためには、キレイな空気が必要なんだ。収入が落ちようが地位が消えようが関係なく、私は私の住みたいところに行きたいだけだ。遠くの山の景色なんて、オマケみたいなものなのだ。

 

筑北村から麻績村(おみ村)に入るとき、そんな叫びを心の中で繰り返した。自分が嫌になるほど繰り返した文句のメリーゴーランド。だから、その後に目に入った景色はビックリするくらいに突然に輝いた。

 

黄金色の麻績村の景色

 

目の前を列車が横切る。田舎の真ん中でのかなりレアなシチュエーションだ。

 

街ナカに活気は見られない。見られないけど、なんだか良い。夕暮れを楽しむ時間、もし自分が田舎の家の縁側にいたら、この時間はどのように感じるだろう。日常的でつまらないか? ならばそれは贅沢だし、目指すところはそこにある。

 

まこまち  高速道路の入口だけどさ

嫁ちゃん  うん?

まこまち  なんだか気分が良いものだから このまま松本まで下道でいこう

嫁ちゃん  いいね!なんだか見晴らしが良さそうだもんね!

 

筑北村で見る篠ノ井線と雪化粧

 

とても素晴らしい景色だったか?と言われれば、即答はできかねる地域である。山に囲まれた谷間だから、遠くまで見通しが良いわけではないのである。それでも、私も掴みきれないなにか不思議な良さがあった。

 

またもや、列車がさしかかる。その鉄の壁を隔てて、都会の空気と田舎の空気を分け隔てる。列車はここまで来たところで、比べてみれば車外の広さには敵わない。走り去る特急列車を見ながら、今の時間がどれほど贅沢なのかを噛みしめた。

 

筑北村の雪化粧

 

嫁ちゃん  わたし このあたりの景色はちょっと好きだなあ

 

珍しく気に入ったなんて言い出す家内に、良いところだよねと相槌をうつ。麻績村と筑北村は長野・松本の両都市の中間地点にある、とても寂しい地域である。ほとんどの人は長野道を使って一気に通り抜けるだけだ。その大きなコンクリートの橋の下に、こじんまりとしながらも見事な景色の繰り返しがあるなんて、ほとんどの人はわからないことだろう。

 

そして、しっかり行き届いた田畑を見るに、農家の方々の力によって日本の景色が守られていると、今更ながら感じ直した。

 

自分はカフェなんていうけれど、別の選択肢も考えるべきなのかも。そんな感覚を見出した長野県の小さな村は、私と家族の未来の道に、背比べのような優しい傷をつけた。

 

長野県筑北村 道の駅さかきたの景色

 

翌日、あまりにも印象が良かったので再度訪問(^-^)。えへへ、信州ドライブ旅行編の最終前に写真をフライング起用したぞ。道の形が良いものだから、ドライブコースとしても良さそうだ!