乗り比べで面白いハイブリッド車と それらを蹴散らす輸入ディーゼルの想い出

面白そうなパワーユニットには目がないけれども、家計の都合で尖りすぎたクルマ選べなくて悲しいやら幸せやらでおなじみの、まこまちです、こんにちわ。あぁ、フェアレディZほしいなぁ〜

 

今回はコラムをお届け。先日乗った e-Power の味付けから、自動車メーカーのパワーソースの目指すところに触れた気がしたもので、自分勝手に3社のハイブリッドを評価。輸入車乗りにとっての対抗馬になるであろう輸入ディーゼルを引き合いに出し、パワーソースを追求することの楽しさを語ります。

 

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今 和製ハイブリッド車が面白い

日産ノートe-Power 実用車としての最高峰か

日産ノートe-Power
日産ノートe-Power用 EM47型モーターは 116ps / 280Nm のスペック。街なかをスイスイ走り回るには丁度いい出力だ。

 

先日、長野に行ったときにレンタカーを借りました。雪予報が出ている中でノーマルタイヤのシビックさんでは危ないよねと、過保護を装ってクルマの試乗を楽しんだわけですが、狙い撃ちでレンタルしたのが「ノート e-Power」。3代目ノートはデザインがスタイリッシュで、所有する喜びが得られそうなクルマですね。

 

みなさんもご存知でしょう、NISSAN e-Powerは、エンジンで発電してモーターでクルマを駆動する、シリーズ・ハイブリッド。エンジンとタイヤとは一切つながることがなく、エンジン音が鳴り響く以外は EV と同じ走行感。リーフで培った EV ノウハウが詰まったエンジン車として、一時は販売台数トップに躍り出たのは記憶に新しいですよね。

 

さて、そのノートe-Powerは、雪の降る中アクセルを踏み込むと、シフトショックは当然のように無く、ほぼ無音でスイィーと走り出した。エンジンは走行中の5割程度は回っているし、Bセグメントカーらしくエンジンの回りだしのショックは少なからず感じるけれど、ストレスには感じません。乗り心地もスタッドレスタイヤの割にはソコソコで、フロントシートは肉厚感があっていい気分。人におすすめしやすい車でしたねぇ。

 

日産ノートe-Power 大トルクのジャジャ馬を期待してはいけない

日産ノートe-Power メーター
日産ノートのメーターはデジタル表示だが簡素。ドライブの楽しさを追求するよりは、使い勝手を優先している印象だ。

 

面白いなと感じるのは、ノート e-Power のモーターのトルクは 280 Nm と 2.8L 自然吸気エンジン並のトルクがあるにも関わらず、無駄に車を加速させたりしないこと。あくまでも燃費を良くして、毎日の通勤やお買い物の負担を減らそうという理念を感じるんです。だって、280Nm ですよ。シビック e:HEV が 315Nm なので、車両重量まで含めたらノート e-Power のほうが遊べちゃう可能性があるじゃないですか。

 

AWD モデルだったら、リアに 100Nm のモーターまでついてしまう。もしかして、雪道最強のBセグメントカーなのでは・・・オーテック版がさらに激しいのなら、ちょっと触れてみたいですね。(マイナーチェンジ前の顔のほうが好きだったけれど・・・)

 

日産e-Power EV開発経由の異端シリーズハイブリッド

日産ノートe-Power フロントガラス

 

さて、今回どうして「ノート e-Power」から話を始めたのかと言うと、ハイブリッド車としての完成度が高いなと感じたから。洗練されているというか、EV を基本的な戦略として、そこから派生したハイブリッドというところで日産の意地を感じるんですよね。

 

トヨタがプリウスを世の中に出したあと、ハイブリッド技術の開発で追従したのはホンダでした。性能こそトヨタには敵わなかったものの、インサイト、フィットと小型自動車で製品化に漕ぎ着け、なんとかハイブリッド車メーカーとして、日本の技術集団として面目を保ったホンダを横目に、日産はアルティマにトヨタの技術を使ったハイブリッドを搭載したり、リーフでEVに傾倒したり、ハイブリッドとは距離を置いているように見えたんですよね。

 

2016年、日産 e-Power はノートに「小型車初のシリーズハイブリッド」として搭載。月間販売台数1位をもぎ取ります。ここでイキナリ、ハイブリッド小型車の世界で主役になったわけです。王者トヨタから一本とる感じ。トヨタを恨んでいるわけではないのですが、日本のトヨタ以外のメーカーがトヨタにひと泡ふかすのって、結構好きなんです、わたし(笑)

 

ホンダ CIVIC e:HEV 昔の高級車像にど直球

CIVIC と 娘ちゃん(赤ニット)やっぱり格好良いのがいいね
我らが? ホンダシビックe:HEV。184ps 315Nm の出力は特筆したものではないが、スポーツe:HEVの味付けが際立っていることが乗り比べで理解できた。

 

そんな「完成されたハイブリッド」で e-Power の上を行くと感じるのが、ホンダ e:HEV。ホンダはトヨタのハイブリッド戦略に負けまいと、多種多様なハイブリッドを開発。その中で今後の中核ハイブリッドとした2モーター・ハイブリッドを e:HEV と命名しました。

 

我がシビックさんに搭載される e:HEV は、「スポーツ e:HEV」と呼ばれるもの。低燃費を目指す他社製ハイブリッドとは一味違い、瞬発力の高さやエンジン音の協調制御、アクティブサウンドコントロールがアドオンされ、運転を楽しい時間に変えてくれるホンダらしいエッセンスの加わったハイブリッドです。

 

ちょっと過敏すぎるかな?と感じるアクセルの反応も、慣れてくれば簡単に調整できるし、ちょっと踏めばスイーっと爽快に加速する様は正に昔の高級車が目指したもの。ロングノーズ・ショートデッキのハッチバックスタイルは少しヤンチャを思わせながらも、ステアリングのしっとり感やロードノイズの徹底排除、良く動くサスペンションによる乗り心地の良さは意外性の塊で、輸入車勢の心にも響く車ですね(^^)

 

ホンダ スポーツ e:HEV 直結しなくてもエンジンを感じるハイブリッド

HONDA CIVIC と キレイなビル
プリウスに負けまいと2年遅れでインサイトに搭載されたハイブリッドから23年、シビック生誕50年のメモリアルイヤーに発売されたスポーツe:HEVは面白いぞ。

 

ホンダのハイブリッドは、元々エンジンを主役にした1モーター+エンジンから始まったもの。今で言うマイルドハイブリッドに似たようなもので、1999年にインサイトに搭載された、エンジンとトランスミッションとの間にモーターをはさんだ「ECA型エンジン」が元祖。マニュアル・トランスミッションでも操ることのできるハイブリッドという、トヨタには実現できない手法を採用したことが思い出深いですね。

 

そのおかげもあってか、シビック e:HEV はエンジンを感じるハイブリッドに仕上がっているのがミソ。ボディを軽々と前に押し出す大きなトルクも楽しいのですが、アクセルを深く踏み込んだときのリニアシフトコントロール機能によるエンジンのステップ制御、パドルによる仮想ダウンシフト(回生力の多段制御)で、車を操る楽しさを忘れさせないところに、ついつい惚れてしまったのでした(笑)

 

なお、ホンダ e:HEV は高速道路ではエンジンとタイヤを直結します。その切替は正直、気づけない。こんなところも、ホンダの意地を感じますね。

 

トヨタ ハイブリッド 洗練度で他2車に遅れはじめた?

TOYOTA PRIUS 斜め前からの眺め
私は敢えてスポーティな味付けを避けたと考えている、格好良いトヨタ・プリウス。各社のハイブリッドカーの味付けの違いも、車好きとしては見過ごすことはできない!

 

さて、ハイブリッドと言えばトヨタですが、ハイブリッド・リボーンを引っ提げて現れたプリウスのハイブリッドシステムの仕上がりはどうか?と言われると、実は私の中では、e-Power や e:HEV に比べると完成度は高いけれど、洗練度は低いと感じています。トヨタ式ハイブリッドは複雑なシステムにより最高の燃費を目指すため、走りのスムーズさやドライバビリティよりも、どれだけ燃料を節約するかに着目しているからだと感じます。

 

それもそのはず。1997年に世界初ハイブリッド乗用車として登場した時は、モーターもバッテリーも性能が低かった。その時の最高効率を出す手法をバージョンアップして使っているのだから、トヨタ式ハイブリッドは当然のように最高燃費を狙ってくるのです。

 

TOYOTA PRIUS リアから見たボディサイド
プリウスはこの格好良さの中に、プラグインハイブリッド車もラインナップしているところが凄い。バッテリーはいったい、どこに消えたのか・・・。本文では語らないけれど、総合力ではプリウスPHVが最強かも。エンジンのブイイーが消えるんだから。

 

だからなのか、プリウスはアクセルが思った以上に重くて、車速を上げることができません。それでもさらにアクセルを踏み込むと、今度は大きめのエンジン音が鳴り出します。ノート e-Power以上にノイジーなドライブになってしまい、アクセルを踏み込むことを、ついつい躊躇ってしまうのです。

 

でも、これで良いんじゃないかと思うんですよね。プリウスは幅広い年齢層が乗る車です。簡単に速度の出る味付けにしてしまうと、ただでさえ勝手につけられてしまった「事故が多い」という汚名を、さらに助長してしまうことになりかねません。個人的にはアクセルレスポンスが良いほうが危険回避がしやすくて良いのですが、過去のプリウスの伝統を大事にするほうを選んだのでしょうし、それが正解だと私も思います。

 

ハイブリッド・リボーンはハイブリッド技術だけにあらず

TOYOTA PRIUS サイドシルエット
いや〜格好良いよね、プリウス!悔しいけれど、トヨタの造形美には脱帽。ただし、数が多いから見慣れてしまうのが玉に瑕。

 

その代わりと言ってはなんですが、プリウスは車好きが振り返ってしまう格好良さを手に入れました。先進安全技術も、PDA(プロアクティブドライビング・アシスト)はとても実験的で少し厄介ですが、挑戦的です。パーキング・アシストも、車庫入れが苦手にな方へは優しい装備と言えるでしょう。

 

パワーソースとしては、確かに物足りない。シリーズ・ハイブリッドの良さが目立つようになった世界で、トヨタ式ハイブリッドが古いものになりかけています。私は今こそ、プリウスには新しいトヨタ式シリーズハイブリッドを開発・搭載するべきだと思います(ダイハツのではなく!)。または、EV化かな?カタログ性能が高ければ良かったのは昔。今は、特徴ある味付けが必要です。

 

トヨタ・日産・ホンダ。私が輸入車に乗る前は、この日本三大自動車メーカー合戦が大好きでした。オデッセイにガイアをぶつけたり、ストリームにウイッシュをぶつけたり、ハイエースとキャラバンが戦ったり。今、ハイブリッド車というジャンルで、もう一度この戦いを見れることが大変うれしい。日本の切磋琢磨精神をもって、世界の自動車を圧巻する世の中を、また見せてほしいと思います。

 

輸入ディーゼル車 過去の栄光と巻き返し

輸入ディーゼルはバリエーションが減ってきている?

プジョー308SW さくらが丘公園にて
Peugeot 308SW 1.5 ディーゼルエンジンは、6,000rpmまで回る軽やかさが自慢。実は、6,000rpmで頭打ちしちゃうところに不満が積もってしまったのでした。

 

さて・・・ハイブリッド車はエネルギー効率を高めるための技術ですが、実用燃費というところでは、今は頭打ちなんじゃないかと感じます。プリウス/シビック/ノートのWLTCモード燃費は、24km/L〜28km/L(プリウスは1.8Lが32.6km/L)。実用燃費なら8がけくらいでしょうか。

 

輸入車乗りで燃費思考の人たちは、ディーゼル車を選びます。高速道路がメインであればあるほど、ディーゼル車は燃費が伸びる。しかも、大きなトルクで爆裂加速も楽しむことができるからです。

 

悲しいのは、だんだんとディーゼル車の選択の幅が狭くなってきていること・・・ボルボはディーゼル車からは撤退。特に小規模自動車メーカーはEV移行を発表し、内燃機関から撤退しようとしています。一方、フランス勢はまだまだディーゼルをラインナップ。ルノー・カングーの日本仕様にもディーゼルがラインナップされたのは嬉しいですね。

 

ボルボもプジョーもディーゼル車の燃費はすごかった!

VOLVO V40 D4
私の車人生で最も大きなトルクを備えていた、VOLVO V40 D4。「直線番長」のあだ名は、アリストからV40に受け継がれた!?

 

第三のディーゼルというアイキャッチは、確か2014年頃でしたかね。VOLVO V40に搭載された2Lディーゼルエンジンは、トルクは最大400Nm!談合坂あたりを 1,500 rpm で図太く駆け上がる様は、とても幸せな時間でした(笑)高速道路だけであれば、燃費も20km/L〜25km/Lはマークします。

 

ただ、なにせフロントヘビー。ドライバビリティが良いかと言われれば、ちょっとねっていうのがVOLVO V40の弱点でした。そこで次に私が選んだのが、Peugeot 308SWの1.5Lディーゼルエンジン!トルクは300Nmと控えめ(?)ですが、燃費は良いしお財布にも優しい、鼻先が軽くて運転しやすい、素晴らしい相棒でした。

 

ディーゼル車のつらいところは、フロントヘビーになりがちなところと、街なか燃費が悪いところ。VOLVO V40で12km/L前後、Peugeot 308SWで15km/L前後。やはりここはハイブリッド車が強いのか・・・

 

冬場のディーゼル車は強い!?意外としか言いようがないハイブリッド車の弱点は「ヒーター」

HONDA CIVIC コックピット

 

と思いきや、真冬のシビックe:HEVの燃費は結構悪い!街なかでは15km/L前後でした。その原因は、たぶん車内を温めるために無駄にエンジン回しちゃう制御にありそうです。車内が寒くてエアコンの温度設定を上げると、エンジンが回りだす!おいおい、充電はしっかり終わっているだろう!?無情なエンジン音についついツッコミを入れたくなってしまうのですが・・・シビックだけなのかな?

 

エンジン回りっぱなしのディーゼル車には無い、ハイブリッド車ならではの悩みというのも、あるんですねぇ。和製ハイブリッド車は多様化を目指しバリエーションが増えていきますが、欧州ディーゼル車もまだまだ捨てがたい。どのパワーソースを選んでも、となりの芝生は青いんですね(笑)

 

ハイブリッド車 ディーゼル車 楽しいパワーソース履歴をつくろう

CIVIC PRIUS mazda3の信号ならび

 

多様化を進む世界の自動車メーカーのパワーソースを、数年に一度の車の乗り換えで新しく体感し直すのは、車好きとしては幸せとしか言いようがありません。この先、スバルはフォレスターにTHSを、マツダはロータリーエンジンを使ったシリーズハイブリッドをと、ついつい試乗したくなるような車が現れ続ける。これもまた楽しみです。

 

日産アリアも良いなぁ〜、Peugeot E308も良いなぁ〜と、どこまでも夢を追い求めていく人生もまた、楽しいもの。貴方と私のパワーソース履歴を将来語り合えたらと思うと、仕事も人生もまだまだ捨てたものではありません。

 

信じましょう。世界が平和になり、世界中の様々な車に乗れるようになる未来を。日本、米国、欧州だけでなく、中国、韓国、タイの車もきっと楽しい輝きを放っているはず。その光は、エンジニアとユーザーの双方が笑い合うことで、また輝きを増すのです。