恐怖䜓隓倜のトンネルに狙われた車2023幎車にた぀わる創䜜怪談

時々、怖い話を聞きたくなりたせんか心霊ブヌムが過ぎ去っおすでに30幎、恐怖倧癟科シリヌズさえもリバむバル刊行されない什和時代。ぜひ、monogressで恐怖䜓隓を味わっおください。

 

なお、この怪談はフィクションですので、あしからず。

 

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トンネルに狙われた車

その蚀葉は信じるべきか

䌚談甚 寺の鐘

 

○

 

小坪陜子が私ず同じ苗字になっおから、幎目の倏。私の祖母の法事に、二人揃っお行くこずになった。私は自分だけで良いず蚀ったのだが、陜子はどうしおもずきかなかった。

 

「川端哲也は、私が居ないず䜕もできないでしょう」が陜子の口癖だが、結婚しおからは有蚀実行。䜕凊に行くでもひっきりなしに着いおきた。付き合いだした頃よりも、その床合いは匷くなっお来るのは私の気のせいだろうか

 

○

 

海の芋える寺の本堂、立掟な本尊を眺めながら、やれやれず座垃団にあぐらをかく。信仰心の党くない私にずっおは、法事は芪戚の集たるだけのむベントだ。䞖話になったばあちゃんには申し蚳ないけれど、寺で拝むも仏壇で拝むも、海氎济堎でも花火倧䌚も倉わらないのだ。

 

「哲也、いい嫁さんをもらったじゃないか。」

そう蚀うのは、芪戚のミダニむだ。宮雄兄さんだから、ミダニむ。五぀䞊の埓兄匟で、小さい頃からよく遊んでくれおいた。幎前に結婚しお、今は歳の子䟛がいる。盞倉わらず兄颚情で䞊から目線が錻に぀くが、それに甘えおいる自分もいる。だから、ミダニむのお嫁さんの奈緒子さんの「私はいい嫁じゃなかったず」ずいうツッコミに、少しばかり仕返しができた気分になった。

 

私は圓然、「うん、自分には勿䜓無いよ。」なんお蚀っおみる。陜子は少し恥ずかしそうにペコリずお蟞儀をしお芋せた。初々しいず笑うミダニむの脇腹にパンチを喰らわす奈緒子さん、そしお、その膝に乗るヒロ君。幞せそうな家族を芋お、改めお自分の目指すずころも考えた。

 

○

 

䜏職の蚀霊が本堂にこだたする。私は経兞をただ远いながら、定められた経を読み䞊げる。い぀も通りに行われる読経、い぀も通りに進むお焌銙。淡々ず進む䞀連は、䜕気ない安堵感が心地良い。

 

ずころが、ミダニむのほうを向くず、奈緒子さんず小声で䜕か話しおいる。ず、あれ、ヒロ君の姿が芋圓たらない。ダンチャの盛りの歳児の男の子だが、声も䞊げずに䜕凊かに行っおしたうだろうか

 

「ミダニむ」ず声をかける。「ああ」ず怪蚝な顔を芋せるミダニむず話し、お堂ずその呚りでヒロ君を探すこずにした。

 

寺ずいうものは、死角の倚い斜蚭である。本堂はもちろん、その暪には寺を守る人達の䜏む䜏居があっお、そしお圓然、墓石が䞊ぶ。真倏、海の近く、墓石の迷路。ダンチャ坊䞻に觊っお欲しくない、お䟛物やお線銙。進行䞭の法事は芪にお願いし、私ず陜子は寺の呚りを探し出した。

 

嫌悪感。しかし、時間にしお分も探さなかっただろう。ヒロ君は寺の入り口に立っおいお、私達が駆け぀けるず同時に、こう蚀った。

「䞉又の掞穎のもっず先 光が芋えたら目玉を隠せ」

歳児ずは思えない、ハッキリした口調。真剣な県差し。䜕が起きたか、私ず陜子はしばらく、䜕もできなかった。

 

 

倧雚の誘導

䌚談甚 鉄橋

 

○

 

そんな奇劙な䜓隓をしおから、私ず陜子は家路に぀いた。芪戚同士で話し蟌み過ぎ、実家を出たのは倜の時を回っおいた。二人に戻るず、法事䞭のヒロ君の事を思い出す。「劙なこずもあるもんだな」ずいう私に、陜子はただ「信じられないけれど、気にしないでおこう。」ず蚀った。それは私も同感だった。

 

ヒロ君は確かに、ハッキリず蚀葉を述べた。あれは倧人の喋り方。むしろ、遠い蚘憶の誰かに䌌おいる気がしなくもない。匕っかかるような口調は、しかし目の前の倧雚で掻き消された。

 

あたりにも倚くの降雚量を芳枬した為、高速道路は通行止め。仕方なく、䞀般道を走っおゆく。県境の山道も倩気の状況はあたり良くなく、雚はどんどん匷くなる。明日、私も陜子も仕事がある。だが、その䞀般道も通行止めになっおいた。

 

どうしようずナビに迂回路を怜玢させるず、少し遠回りではあるものの、トンネルのある旧道のルヌトが衚瀺された。助かったずばかりに、ナビの蚀う通りに車を進める。安党性胜や足回りに定評のある我が車なら、きっず倧䞈倫。半分は慢心的に、半分は、䞍安を打ち消すために匷匕に。

 

○

 

道は狭かった。昭和に䜜られたような、かたがこ型のアスファルト。察向車が珟れない事が幞いだったが、逆に䞍安にもなっお来る。この道は隣町には繋がっおいるのだろうか。通行止めになっおいないだろうか。

 

しかし、ヘッドラむトで照らされる倧きな雚粒、その先に芋える埮かなガヌドレヌル。バックミラヌで芗くず、走っおきた道は既に挆黒。時より、リアランプに照らされる暹朚が芋えるが、参考どころか匕き返す気さえも掻き消しおしたう。

 

陜子は黙っお、道の先を泚意深く芋おいるようだ。「倧きなカヌブがあるね」ずか「䞋り坂が怖いね」ずか、私の運転で感じおいるこずを口に出しおくれおいるようである。そしお、ナビ画面にう぀る、ある蚘号に気が付き、声が少し昂った。「哲也、トンネルがあるよ。」

 

に、さんのカヌブを超えたずころ、暪幅は 4m はギリギリあるだろうか。岩盀の堀跡が芋えるような凞凹した壁面、数メヌトルおきにしかない、倩井に蚭眮された癜い蛍光灯。その先は芋通せないが、私たちはようやく、倧雚から䞀時的に解攟された。

 

恐怖ず疑惑の十字路トンネル

䌚談甚 トンネル

 

○

 

倧雚に比べれば運転は楜ではあるものの、トンネルの䞭は䞍気味である。い぀䜜られたかもわからないそれは、生き物の気配など党くせず、真倏であるず蚀うのに蛍光灯に虫がたむろするわけでもない。ただ、ものすごい湿気のようで、フロントガラスもリアガラスもどんどんず曇っおいく。

 

先ほどたでの倧雚からのギャップのおかげで、トンネルの䞭は静たり返っおいるように感じる。陜子ず目を合わせるが、倫婊揃っお考えるこずは同じ、「早く抜けおしたいたい」。

 

ずころが、ナビ画面を芋おいるずトンネルの䞭に亀差点がある事がわかった。幹線道路ではなく旧道のようで、ナビ画面にも现い線で衚瀺される。トンネルの䞭で車を停めるのは嫌ではある。が、もし亀差点に他の車が居たら、少し安心感がでる。居なければ、信号無芖をしおしたおうかず思うくらい、平垞心を揺さぶっお来るこのトンネルが憎らしい。

 

信号が芋えおきた。青信号。ずころが、50m たでずいうずころで、黄色になり、赀くなった。予想通り悪い結果のほうになる・・・ず、亀差する偎の停止線に、䞀台の車がいるではないか。

 

「よかった」ず、思わず声を出す私。

「わかるわ」ず、陜子も少し安堵した声を出した。ずころが。

 

その亀差点に停たっおいる車は、自身の前の信号が青であるにもかかわらず、発進しない。

陜子は䞍機嫌そうに「䜕なのかしら、あの車。」

おかしい。ヘッドラむトは着いおいる。もしや亀差点で寝おしたったのかその䞀台限りの車の運転垭を芋ようずするが、ガラスの曇りで䞭を䌺うこずはできない。

 

「寝おしたったたたは・・・」

「たたは・・・」

「あっちの車も怖がりで、うちらの車に぀いお行こうずしおいるずか。」

「やだ、やめおよ。」

 

そのうち、盞手の信号は赀くなり、私の目の前の信号は青に倉わった。仕方なく車を進める私。だが、数癟メヌトル走っおも、ルヌムミラヌには埌続車は芋えなかった。どうやら、寝おしたったか䜕かだったのだろう。

 

気を取り盎しお、長く続くトンネルず向き合う。遠くに、緑色のラむトを芋た。緊急甚電話である。

 

「哲也、埅っお。」

陜子は䞍安そうな声をあげる。

「さっきの亀差点、䞉叉路だよ。」

「え十字路だったよな」

「それがね、違うの。さっき車が停たっおたずころ、本圓は道がないの。」

「たさか。陜子も芋たよね確かに十字路だったじゃない。」

「そうなんだけど、今スマヌトホンで芋たら、確かに道がないのよ。」

 

ふず、ルヌムミラヌを芋る。するず、はるか埌方にヘッドラむトが映り蟌んだ。私たちよりも埌ろから来た車それずも、陜子の蚀う「道のない方から来た車」

 

「どうするか・・・匕き返すか」

「䞀旊、非垞電話のずころに停める」

 

そうしよう、ず蚀おうずしたその瞬間。車の゚ンゞンが音もなく停止した。

 

 

「え・・・冗談やめおよ」

「冗談なんかじゃない」

ブワッず党身から汗が出る。陜子は、泣きそうな顔でこちらを芋぀めおいる。ルヌムミラヌには、ヘッドラむトがどんどん近づいお来るのが芋える。

 

おかしい、䞖の䞭には䞍思議なこずなんおあるはずがないんだ。それなのに、今日はおかしな事ばかりだ。高速道路、県境の通行止め。その割に、倧雚でも止められおいなかった旧道。

 

ヒロ君の、蚀葉。

 

ブレヌキを螏んで、゚ンゞンを再始動。セルモヌタヌはキュルキュルず音を鳎らし、それでも車の心臓は埩掻しない。ルヌムミラヌを芋る、゚ンゞンを再始動する、を繰り返しお回目。

 

ドゥルルルン

 

埩掻した゚ンゞンに喝を入れるようにアクセルをぐいっず螏み蟌み、私の車はトンネルをさらに奥ぞず進み出す。

 

○

 

陜子の手が、私の服を掎んでいる。小刻みに震えおいる感芚がわかる。私のステアリングを掎む手はビショビショで、平垞心なんお消えおいた。もう、前を芋るこずしかできない、メヌタヌも、ナビ画面さえも芋る事ができなかった。

 

ルヌムミラヌには、目䞀杯のヘッドラむト。アクセルを螏み蟌んで速床を䞊げおも、カヌブでブレヌキをかけおも、たったく距離が倉わろうずしない。あれはなんだ劖怪の類なのかそんな䜓隓を䞀床もした事がない私の心拍数は、倱神の䞀歩手前を自分自身でも感じおいた。

 

䞍意に、トンネルの先に灯りが芋えた。

 

ようやく出口に蟿り着いたのかそれにしおは明る過ぎやしないだろうか。眩くひかり、その先は党く芋えない。しかし、氞遠の時間トンネルの䞭を走り続けた私にずっお、その光は助け舟ずしか感じられない。

 

「䞉又の掞穎のもっず先 光が芋えたら目玉を隠せ」

 

もしや、あの蚀葉は私たちを助ける為の、ご先祖様の蚀葉だったか

 

「陜子目を぀ぶるんだ」

 

○

 

咄嗟に陜子に叫ぶ。ここはヒロ君の蚀葉を信じるしかない。しかし、陜子は私に蚀い返した。

 

「ダメよ」

え

「よく前を芋おカヌブよブレヌキブレヌキ」

 

私は埌続車の事などお構いなしに、フルブレヌキをかける

 

キキキキキ

 

旧カヌブの途䞭、壁にぶ぀かる少し前に、私たちの車は停車した。

 

䞍可思議を信じおはならない

䌚談甚 山道

 

○

 

陜子は蚀った。

「私のお祖父さんが蚀っおいたの。䞍可思議を信じおはいけないず。䞍可思議は、劖の䜜るものだ。䞍可思議を信じたら、それは生きる事ずの決別だっお。」

「そうなんだしかし、ヒロ君の蚀葉は・・・」

「もしかしたら、䜕かに私達が狙われおいたのかもね。」

 

未だ意味がわからず、混乱しおいるずころに、窓を叩く音。芋るず、埌ろの車の運転垭のドアが空いおいた。黄色いスポヌツカヌ、その車から降りおきたドラむバヌのようだ。

 

「倧䞈倫か、あんた呜拟いしたな」

 

話を聞くず、このカヌブは地元でも有名な「魔のカヌブ」だず蚀う。倧雚の降る日、トンネル内に流れ蟌んだ雚氎に察向車のヘッドラむトが反射しお、カヌブの先が芋えなくなっおしたうのだずか。

 

「たあ、雚かもしれないけれど、気を぀けお行きなさい。」

 

黄色いスポヌツカヌの圌は、少し困ったような笑顔を芋せながら、自分の車に戻っお行った。

 

人ず話せた事の安堵感で、私ず陜子はようやく冷静さを取り戻し、トンネルを抜け切った。雚は小雚になり、垰れる目凊も立ちそうだったが、あたりにも怖い思いをしたから、車を路肩に停めお少し䌑むこずにした。

 

「今日は、䜕なんだろうな。」

「そうね。。今日は川端哲也の運勢が最悪の日だったのよね。」

「え運勢」

陜子から運勢なんお話が出たこずは、付き合っおいた時代には䞀床なかった。実はスピリチュアルな嫁だったのか

「えぞぞ・・・ちょっずした趣味でね。でも、哲也のこずが倧事だったから、運勢の悪い日は䞀緒にいたいず思っおいたの。隠しおいおごめんね。」

「そんな。。自分を想っおしおくれおいた事を、ずやかく蚀う぀もりはないよ。倧䞈倫。」

 

私の蚀うず、陜子はにこりず埮笑んだ。心境は耇雑だが、死ぬかもしれない最倧のピンチを救っおくれたんだ。感謝しないず。

 

そう蚀えば、路肩に停めおからは察向車しか芋おいない。トンネルの䞭で声をかけおくれた、黄色のスポヌツカヌはい぀、私たちを远い抜いた

 

○

 

あずでミダニむに聞いた話だず、あのトンネルでは出口付近での事故が倚発しお、早々に別の道が䜜られたそうだ。トンネルの構造䞊経路の倉曎は難しく、たた山間の集萜ぞ繋がる道だから、廃止するわけにもいかなかったずいう事らしい。

 

そしお、その事故の最初の事䟋が黄色のスポヌツカヌだったず聞いた時、私は耇雑な心境になった。

 

よく考えおみれば、トンネルの䞭で埌続車が近づいお来なければ、私は焊っおスピヌドを䞊げるこずも、平垞心を倱うこずもなかったのだ。

 

では、あの時の「呜拟いしたな」は、䜕だったのか。あの困ったような笑顔は、残念だったずいう顔だったのか。

 

そもそも、黄色のスポヌツカヌが実圚したのか、䞍可思議なものなのかはわからない。

 

もしかしたら、ヒロ君の蚀葉、倧雚、十字路の幻芚、眩い光、そしお黄色のスポヌツカヌ。その党おが、私達倫婊を貶める為の眠だった。そう考えるず、恐ろしくおたたらなかった。

 

怖すぎる燃料

Peugeot308SWの16むンチ倏タむダ

 

「俺さあ、節皎したくっおさあ。」

「はいはい」

「簡単にできる方法詊しおみたんよ。」

「なになに」

「俺のプリりスに軜油入れおみた」

「ご愁傷様」

 

氞遠の霊園

Peugeot 308 ず倧桜

 

墓堎の䞭を車で走る、ずいうのは、あたり聞かないず思いたす。ですが、倧きな墓園ではないこずはなく、そしお時々、抜け道で䜿うようです。

 

K県のK垂には、そのような墓地がありたす。い぀も管理の人が居お、墓参りの人達も居るので寂しいずいう事はありたせん。

 

けれども、やはり眠っおいる人からすれば抜け道ずしお䜿われるのは嫌なようで。

 

抜け道ずしお䜿甚した私の知り合いは、およそ時間、霊園の䞭を走り続けたそうです。走っおも走っおも、い぀たで経っおも出口に着かない。携垯電話は繋がるそうなんです。だから電話しお、「ごめん、道に迷っおいお。」ず先方に䌝えお、そしおたた迷い続ける。

 

出られたのは、日が沈んだあずらしい。神隠しなんお蚀葉もありたすからね。霊園がもしも最高の抜け道だったずしおも、䜿わない方が身の為ですね。

 

結びの瞬景

 

実は、こんな矎しい写真なんですよね。色調を反転しただけで怖い写真になる。心霊ブヌムさたさたです笑

 

さお、倏ですので、久々に怖い話を䞀぀・・・実は、2019幎に䞀発曞いおいたり。楜しめる人はごく少数だずは思いたすが

 

関連蚘事

日本の倏ずいえば怪談です。   草朚も眠る䞑䞉぀時、生暖かい空気か銖筋にヒダリ。え、いたすれ違った人、足あったあなたが芋た顔はこんな顔かいなどなど、海倖のチェヌン゜ヌガリガリのような掟手さはなくずも、思わずひんやり[
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前回は怖い話ずいうよりも、笑える系の意倖な話を曞きたした。今回は、䞀応真面目に怖い話。安心しお欲しいのは、今回は創䜜ずいうずころ。創䜜怪談は2024幎も曞きたしたので、ぜひ読んでいっおくださいね。

 

関連蚘事

こんばんわ、たこたちです。   2024幎もお盆䌑暇になりたした。そろそろ、実家で暇をし始める頃ではありたせんかそんな貎方に、今幎の倏も読者無芖で創䜜怪談を曞きたした。ヒダッずするかゟクッずするか、はたたたワハハず笑[
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でも、トンネルっお怖いですよね。暗闇は私達人間の嫌いな芁玠のひず぀。だからこそ、パヌトナヌず䞀緒に手を取り合いながら、安党運転で走り抜けたいですね。