プジョーを選ぶとき、斬新に映るのはやはり、コックピットに違いないだろう。
私たちがクルマを選ぶとき、「ディーラーの前を通りかかって初めて知った」というような事は無くなり、ウェブの世界ですでに情報を得ることができるようになった。そこでひときわ目をひく、PEUGEOT i-Cockpit。
各社メディアでは相性の問題として片付けられてしまう、i-Cockpitについて、詳しく触れていくのがこのシリーズだ。
i-Cockpit 小径ステアリング
ステアリング。プジョー i-Cockpitの構成に必要な、小径ステアリング。
見た目はとてもスポーティ。
小さなステアリングはおよそ、ハンドルの持ちて一本分小さい感じ。
ステアリングの上端は、インフォメーションディスプレイやメーター類を確認しやすくするためか、欠き取られている。下端も同様。
身体に「馴染ませる」ドライブポジション
プジョーはこのステアリングをもって、「操作時の動きを最小限に抑え、リラックスしたドライビングポジションで、ドライバーのより俊敏なレスポンスを可能にする」としている。
それは真実?と言われれば、真実な人は真実であるし、そうでない人もいるだろう。
私は「真実」になった1人。
まず、ブレーキペダルの位置でシート位置を調整し、体を起こす。そこには最初、ステアリング上端とメーターが重なる後景が広がっていた。最初に感じるのは、やっぱり使いづらいかな?という感覚。
そのままステアリングを握れば、小さいステアリングだな、と感じるだけ。i-Cockpitのメリットなんて、何も感じない。今までの延長線で運転席に座れば、そうなる。
仕方がないので、ステアリングをテレスコ機能を使って下げる。結構下げる。驚くほど下げる。
ステアリングの上端とメーターとが干渉しなくなったところで、太股付近を見ると、余裕があることがわかる。窮屈ではない、不思議な感覚。
さらに、ステアリングを自分の方へ引き寄せる。すると、肩から自然に腕を落とす感覚に近い位置で、ステアリングの位置が決まった。
試しに一度、クルマから降りてみる。問題なく降りれる。乗れる。へぇぇ、と感心した。
見た目のスポーティさも受け入れる
見た目に感心するそのステアリングは、外から見てもスポーティで。無闇にスポーティにしなくったっていいじゃないか、なんて言う人には、拒絶されること間違いなしだ。
そういう人は、世の中の大多数のクルマから好きなものを選べるから、問題ないだろう。
プジョー車は、どの車も軽くエグくて軽くスポーティなデザインだし、i-Cockpitと良く似合う。トヨタ クラウンにはi-Cockpitは似合わないだろうけど、プジョーは大丈夫。フラッグシップの508だって、ラグジュアリーとスポーティを見事に調和しているし。
いや、トヨタだってプリウスで、楕円ステアリングを採用していた。センターディスプレイで視線移動の少ないメーター配置もされていた。楕円ステアリングはどうやら廃止になったようだけど、それらをドライバー優先に仕立ててカッコよくしたものが、i-Cockpitと言えなくもない。
写真上から、Peugeot 508 GT-Line / Peugeot 3008 GT-Line / Peugeot 308SW TECH PACK EDITION。508や3008は新生代i-Cockpit。308は前世代だが、雑味がなくシンプルさが好印象(自分のクルマだしね)。
疲れを無くし楽しく走る為に
i-Cockpitの小径ステアリングに馴染んでいくと、その目指したものがわかるようになってくる。
小径ならではの、腕の移動量の確かな減少。大げさというなかれ。少しステアリングをきるだけで、車の行く先を変えているような心境になるんだ。
身体が、楽だなって感じる。騙されているみたい。
そして実際、騙されていると思う。ステアリングを切る角度に対して、車が曲がる変化量が普通の車と変わるわけではない。とくにクイックに仕上がっているわけではない。
それでも掴んだ握りこぶしの移動量は確実に少ない。だからこそ、ステアリングを切る量が少ないと感じるし、身体への負担も少ないと感じるのだろう。
負担が少ない、という事は。カーブが、交差点が楽しくなるという事だ。
両手をつかってスルリとステアリングを切る。リニアに向きを変える感覚。スポーティでホールド感の高いシートのおかげでボディへの負担も少ない。リアシートの人の事を考えればスパスパ曲がるわけにはいかないが、1人で乗る時の楽しさは、格別!
小径ならではの欠点も
さて、私個人の感覚だけど、軽く操作できる代償かな、と思える場面もあった。高速道路だ。
ステアリングの切る量が一般道に比べて減る高速道路。とは言え、ドライバーは無意識のうちに車の進行方向を調整している。ステアリングや目から入るインフォメーションに対して、反対の力をかけたり修正したりして、車線の維持に結構集中している。
また、車線を移動するときでも、ステアリングを動かす量はごく少ない。
この時、i-Cockpitの小径ステアリングの弱点が見えてくる。それは、小さいがゆえに微調整が難しいことだ。
普通のステアリングの車から乗り換えたばかりだと、無駄に力を入れてしまい車がグラっと動いてしまう。パワステの介入も多めのようで、ステアリングは雲をつかむように軽く感じて、足回りの情報を掴みきれなくなってしまう。
もちろん、しばらく走れば直ぐに慣れてしまうのだが、初体験だとビックリするかもしれない。508ならスポーツモードでステアリングも重くなるから、慣れない人は508を買おう(笑)
とは言っても、高速道路も直ぐに慣れる。はじめは戸惑うけれど、人の体は正直で、軽くて少しの力で動かせるステアリングの「楽さ」は、これでいいと堕落させる(笑)
細かいクセもあるけれど、それは別の機会に。
あとがき
一回全て書き直したので、発信が遅くなってしまいました(^^;)
プジョーは今の所、208 Allure / 308SW GT-Line / 308SW TCHPACK EDITION / 3008 GT-Line / 508SW GT-Line に乗ることが出来ていますが、まあ見事にみんな同じような触り心地で!
GTはどうだろう?308 GTiにも乗りたいな、なんて思いながら記事を書いています。
次はパワステの話しの予定です。