【まこまちの車選び2022】第五章:お目当てのクルマを目の前にして

新型 Peugeot 308 のオリーブグリーンは、私の悩みを上手くまとめる、落ち着きのあるカラーだった。輸入車との決別・・・言うほど高い車を選んできたわけではなかったが、日本にはない文化を感じられる輸入車達の面白さ、きっとまた欲しくなるに違いない。

 

でも、きっと日本車の面白さも進化しているはずである!さて、何を選ぼうか?

 

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Peugeot 308SW の査定は思いがけない高値が付いた

善は急げ。心変わりしないうちに出来ることをしてしまう。先ずは愛車の査定である。中古車市場の現在は賑わっていると聞くではないか。我が Peugeot 308SW はリセールなんて気にしない勢いで購入したが、売却の瞬間はそうは言っていられない。「期待しないでください」といいながらスーパー値引きを出してくれたセールスさんの言葉がよぎった。

 

いつもは一括査定をお願いするが、VOLVO V40 の一括査定で結構酷い思いをしたので、GoogleMap で評価の高い地元の買取店に持って行く。気さくなオジサンがヒョイヒョイと査定して、痛快な蛇足とともに 308 の金額を提示した。

 

Peugeot 308SW フロント

 

「通常はこの価格での取引ですね〜」

 

私は胸をなでおろす。その価格ならローン完済できるねえ、よかったよかった。

 

「で、うちの本部の指示価格というのがあって、それがプラス20万円です。クルマピカピカですもんね。」

 

なんと! 頭金が増やせるじゃないか。よきかなよきかな。

 

「それと、TECH PACK EDITION って今まで取り扱いウチでなくて、結構レアですよね?サンルーフも加点がついて、プラス18万円ね。」

 

おお・・・グレード上げられそうだなあ、あっぱれあっぱれ・・・

 

「今度のオークションで同じような車の出品があるか、よく見てみます。価格が上がりそうならウチも上げますよ。もちろん、最低価格はこの価格で行くから安心して!」

 

やばい、あれよあれよで話がまとまる戦法に手も足も出ない・・・しかし話し込んでいくと、とても面白いオジサン(店長)で。中古車市場の裏話を色々教えてくれたりする。リセール狙いはこの車種ならこのグレードだとか、希少金属が入っている昔の車が、実は高値取引だとか。ただ、今まで経験したことのない乱高下、たぶん今はバブルだから気をつけて、と。

 

なんだか面白いオジサン(店長)だし、この人になら多少損でも任せたい。そんな気分で席を立つ。

 

パサートオールトラック ダッシュボードの時計

 

ふと気付くと、そこには Volkswagen Arteon が置いてあった。(注:上の写真はパサート・オールトラック by 10maxさん)伸びやかなスタイルがワーゲンらしくなく、欲しいクルマの一つだった。聞くと、オーナーは買ったはいいものの直ぐに擦ってしまったそうで、サイズが合わないと諦めたそうだ。

 

サイドから眺めてみる。買ったばかりなのにオーナーに嫌われるなんて、なんて可愛そうなクルマ。買ってあげようか?・・・おっと、自制自制(汗) しかし、クーペスタイルは素直に格好良い。こんな車、日本にはアルカナ?あ、ルノーのアルカナも見たかったなあ。

 

やっぱりスタイルは気にしないといけないよなあ、雑誌を見ながら、選びきれない日本車の数々にため息をついた。

 

 

展示車紹介:HONDA ZR-V

お盆明けの土曜日、HONDA ZR-V の展示車が来るという。WEBでパッと見た印象は、日本車離れの造形感。HONDA CIVIC で体験したスポーツe:HEVが搭載されるSUV。日本車の私の期待はこいつだった。せっかくだから実車を見て検討したいと、一人で東京駅へ繰り出した。

 

 

特徴的なグリルが楽しい。鼻か口かと言われれば、ヒゲと答えるが正解だろう。マセラティと揶揄されるが、そこまで似ているとは思えない、宇宙船のような顔である。ライバル各社、威圧感の強いSUVが多い中、出来るだけ印象は軽く、それでもキメなテイストで仕上げたかったことが伺える。

 

フロントフェイス、Aピラー、フロントドアと見て回る。すると、意外とコンサバな印象に変わる。Dピラーには特徴的なエッジが入るが、印象は変わらない。力強さを感じる要素は肉付きの良さ。少し古めかしいカーブで表現されたそれは、フロントマスクのチャレンジとは逆方向。

 

リアに回り込む。不思議なくらいのホンダヒップだ。バンパーがリアゲートとつらいちで目立たない・・・サイドシルエットを大事にしたのだと思うものの、機能的には疑問が残る。

 

HONDA ZR-V

HONDA ZR-V フロントセクションのデザイン

HONDA ZR-V フロントマスク

 

HONDA CIVIC ベースの SUV ということで、インテリアのデザインテイストは同調している。CIVIC では赤色オンリーのシート・ステッチが HONDA ZR-V では洒落っ気のある茶色に変わる。コンソール周りは素材感は不明であるが、体を支えられそうな力強い、なおかつムーディーな造形があった。これまた、フロントマスクとインテリアにギャプを感じる。

 

不思議な印象のクルマである。きっと近くで見るよりも、遠くを走っている姿のほうが良く見えることだろう。個々のマテリアルを見てしまうと、その他とのフェーズが合っていないように感じてしまう。しかし全体で見てみれば、まとまり感が出ているのだ。これが吉か凶か、個人の主観に委ねるところは多いだろが、軽快感のあるスッキリとシンプルな印象を持つ ZR-V は、ホンダの将来を占うデザイン・プロトタイプ、そう感じさせるクルマであった。

 

HONDA ZR-V ダッシュボード

HONDA ZR-V センターコンソール

HONDA ZR-V インテリアをリウインドウから

 

まあ、少し時代を先取りしすぎて失敗するのもまた、ホンダなのだが・・・そのイメージを含めても、面白いクルマと言えるかもしれない。

 

選ぶきっかけの見つからない日本車達

しかし、やはりステアリングを握ってみないとクルマの評価は難しい。造形美は性能の裏打ちがあってこそ光るもの・・・いや、このクルマではないな、とピンと来る。なにせ私の購買意欲が全く動かない、乗っている姿が想像できない。ZR-V はきっと乗り降りしやすく実用的で、最近は生活感さえ感じさせる SUV が多い中、チャレンジ精神を貫いた貴重な車になるだろう。

 

東京駅からの帰り道。色々思考を巡らしてみる。どうやら私は背が低い方が好みのようだ。Volkswagen Arteon を思い出して、なだらかなルーフラインが私の心を掴み取ることを実感する。ZR-Vを思い出す。ラゲッジルームが欲しければ、ステーションワゴンを選べば良い。それは今の愛車である。サイドビューの素晴らしい実用逸品ワゴンを諦めてまで、私が欲しいものはなんだろう。

 

mazda3 フロントマスク

 

TOYOTA カローラ リア

 

ロングドライブ。家族や安全に快適に、目的地まで届けたい。

 

ランニング。省エネ性能でディーゼルに勝るものはないだろうが、日本車のディーゼルと言ったらマツダ一択。いきなりEVに行く前にガソリンハイブリッドも所有したい。

 

スタイル。フランス車乗りから見てみれば、日本車は絶望的な歌舞伎顔。だが、大ぶりよりは小さい車に少しの期待感はある。

 

テイスト。スポーツカーは難しい。ファミリーカーも難しい。

 

みんなよく日本車の中からクルマを選んでいるものだ。悩む、悩む。

 

エンジン音が高鳴りするのが嫌なんだよね

HONDA ZR-V 大人気!?

 

どうやら私は眉間にシワを寄せたまま帰ったようで、嫁ちゃんに「ZR-Vはダメだったの?」と質問された。

 

「やっぱり背の高い車は自分に合わないかなあ。」

「他のクルマを見て回るの?カローラとか。」

トヨタのハイブリッドには、乗りたくないんだよね。」

「なんでw」

「いやあ、エンジン音が高鳴りするのがね・・・この前、e-Power がそうだったでしょ。あれと同じ。」

「リアシートにいれば、何もわからないんだけどね。」

 

ふうん、という顔をしながら、嫁ちゃんは話を続ける。

 

「プジョーはどうする?」

「ん・・・結構良い値段がつくから、手放すよ。」

「あら、なら今度の長野行きが最後のドライブなのね。」

 

Peugeot308 スピードメーター(アナログ)

 

移住先候補の内見は、何度目になるだろうか。沢山の土地や建物、近くの観光名所を巡る旅。得意のロングドライブを快適に走りぬけた 2 年半は、家族との楽しい思い出がいっぱいだ。

 

神奈川県から、長野県への長距離ドライブ。長野、小布施、東御、佐久、松本、塩尻、諏訪に茅野。富士見町も狙ったっけ。移住地探しに専念ができたのは、疲れ知らずの Peugeot 308SW のおかげである。愛車とのお別れラストラン。VOLVO V40 は急な売却で惜しむ間もなかったことを思い出した。Peugeot 308SW との最後のドライブ、楽しんでいこうじゃないか。

 

そして、次の愛車候補はドライブ中の意外な場面で決まるのであった。

 

ーーー つづく ーーー