カーシェアのコスト高に悩みつつも、いろいろな車に乗れる日々は面白い。庭先に見えるカーシェアの車たち。そろそろ別の車に変わってもいいんだよ?などと、贅沢を言う輩がここにいる。
今日は TOYOA RAIZE に挑む。燃費を犠牲にするくらいならドライバビリティなんて飛んでいってしまうがいい!と燃費魔王に脅されるが、たしかに燃費は正義です。SIENTA先輩がガソリンだけで 25km/L を超えるのなら、もっと小さいクルマだったら 30kkm/L もお茶の子さいさい?
そんな期待をしていたのに、燃費の話になる前に意気消沈する結果だった。
燃費が良くて頑丈の象徴? TOYOTA RAIZE に乗りに行く
閲覧注意!
TOYOTA RAIZE オーナーは読まないでください。
そもそも私、TOYOTA に 2回乗っていた。最初のクルマは TOYOTA AE111 LEVIN。次のクルマは TOYOTA ZZT231 CELICA(スーパーストラットつき!)スポーツモデルと言えども快適性を無視しないクルマ造りに共感していたのは20年前。TOYOTA PRIUSバッシングのおかげで正確なクルマ評価がなされずに久しいが、燃費を見れば最先端なことはわかる。
周りのメーカーなんて、TOYOTA の作るクルマに並ぶまい、似るまいと努力するが、結局 TOYOTA に似たようなモデルを作られて消えていってしまうのだ。HONDA STREAMの「ポリシーは、あるか。」のキャッチフレーズ、懐かしいや。
それでも消費者にしてみれば、サービス拠点が沢山あって頑丈で燃費が良ければ、ひとつの選択肢になるわけだ。セカンドカーなんて、そんな選び方でも良いんじゃない? そんなラフな考えで、街中でよく見るタフなやつをターゲットというわけだった。
軽自動車メーカーが作ったとは思えない
TOYOTA RAIZE Xグレード。なるほど、コンパクトなのに角ばっていて、コンパクトカーによくあるナンパな印象が払拭されている。嫁ちゃんにはデザイン的にゴツイかもなと思う。欧州車に慣れ親しんだ私としても、ちょっとNGなデザインだ。でも、ちょっと格好良い。ここは好みの世界であるし、200万円を切るクルマ。多くを求めちゃいけないよね。
リアハッチを開けると、結構おおきなラゲッジが現れる。へぇ、これは良く出来ている。5ナンバーと言えどもコンパクトだ。あまり期待していなかったからこそ、SUVで大きなラゲッジはありがたい。
と、褒められるのはここまでだった。
ドアをあけてシートに乗り込む。ボディは小さいのに、サイドシルを跨ぐ動作が大きく感じる。ちょっとした車高の高さが、こんなところに現れるのか。コンパクトと思っていたから、意外だった。
衝突安全性要件があるのだろう。ドアを厚めにつくらなくてはならないから、その分サイドシルの幅があるのは仕方がない。しかし室内高の無い乗用車ライクな姿勢から、大きな段差を降りるのは苦痛である。スカートだって必ず汚れる。パッケージングの辻褄があっていないのを感じてしまう。作ったのは DAIHATSU だろうに?
さらに疑問は続く。車内は静かである。高音を積極的にシャットアウトしているのだが、エンジンの低音はカットされず気持ちの悪い淀みが残る。そこへエアコンの細い音だから、目立ってしまって苦痛である。こうなるなら、消音対策なんて無いほうが良いだろうに・・・
走りはギミックのオンパレードで危険としか言いようがない
走らせてみると、今度は「ギミック」のオンパレード。力強さをアピールしたいエンジン性能、低回転域のトルクが多いのは認めよう。アクセルに対する初動が敏感すぎる。スタートダッシュはカッ飛びモード。再加速はCVTが素早い制御でギアダウンだが、エンジンのトルクの大きいところを低い減速比で走らせるから、ドライバーが思っていたよりも加速する。
そしてピッチング。車高が高くタイヤの大きいクルマだから、ホイールベースが短くなって発生するピッチングだ。ファッションと割り切って乗ってしまえば文句はないが、ピッチングが起きるたびにアクセルの踏み込み量が変わるから、加速と減速を繰り返してしまい疲れてしまう。
なんだこれは?危険である。動けば人を殺めることもある機械だぞ、人の操作の感性に合わさずにどうするんだ。人の意思をオーバーライドする積極的な加速、こんなクルマは人にすすめることは出来ない。家族をのせることはできない。
挙句の果てには、シートベルト。運転席も助手席も違和感を感じる。それは、締付け強度が変わること。強くなるのではない、緩くなる。クルマが揺れたタイミングだ。恐ろしくて仕方がない。
「だめだ!このクルマはシンドイ!」
と、思わず叫ぶ私。欧州車で培った感性で走る感覚が、嫌というほど蔑ろにされる不快感。ドライビング言語が違うかのように、私のアクションに対し TOYOTA RAIZE の反応はことごとく裏切りに傾いている。
「燃費が良くて安全=トヨタって考えていたのに、このクルマの動きはないよなあ。」
「まあ、いいんじゃない?今回乗ってそれがわかったんだから。」
私を優しくなだめる嫁ちゃん。ごめんよう。
制限のある価格帯だと教えてくれた
しかしなるほど、セカンドカー=コンパクトカーと考えたとき、これは意外にも難しい選択肢なのかもしれないな、と感じた。各社価格を抑えての開発だから、四捨選択はあるはずだ。TOYOTA RAIZE はたまたま私との感性が合わなかったし、シートベルトに違和感を覚えたからNGとなったが、グッと踏めばギュンと行くのが良い人にとっては良い選択肢になってしまう。
ボディが軽くて燃費が良ければ、燃費至上主義な人にとっては、あとは形が気に入るかだ。ドライバビリティがどうなのと言ったところで、価格の安いクルマに求めることではない、人が調整すれば良いと言われるに違いない。
だからこそ、捨ててはいけない感性があり、伝えなくてはならないことを痛感する。輸入車ライフで培われた、VOLVO や Peugeot 、 Volkswagen に教わったクルマの正しい使い方。私がセカンドカーを選ぶなら、コンパクトカーを選ぶなら、正しく理由を述べなくてはならないだろう。
これは、なかなか楽しいミッションじゃないか。ようしやってやる、セカンドカーも感性を大事に選んでやる。メインで運転する嫁ちゃんの為、将来運転するであろう娘のため。まこまちの決意は固まり、明日のシェアカーを見つめるのだった。
TOYOTA RAIZE はアリ?ナシ?という議論にたどり着かず
・・・という話を嫁ちゃんに改めてしてみたら。
「確かに、しっかり走ってくれないとね。でもNGばかり言ってたらだめだよ?」
「え?」
「いやさ、ビュンビュン走るのが駄目なら、エコモードで走ろうとかさ。クルマを開発した人が居るんだし。好きでビュンビュン走るクルマにしたかったわけじゃないかもよ。」
そう言われてみれば・・・たぶん TOYOTA RAIZE は、SUZUKI HASTLER のような商品が欲しくてダイハツに作らせたクルマだろう。すると、意外と燃費の悪い軽自動車のユーザーボイスを集めた結果「燃費の良いクルマ」とか「加速の良い車」などの市場要求に答えなさいと開発現場が言われた可能性もある。(それがNGなんだけどね。)
「なるほど・・TOYOTA RAIZE は、ちょい踏み加速でスーパー燃費を叩き出そうぜ、とか言ってみようか?」
「良いんじゃない?私は欲しくはないけれどね!」
「そうなんかい!」
もしも TOYOTA RAIZE を作った方が私の記事をご覧下さいましたら、ぜひアクセル踏み込み量のギミックを取っ払って下さい。もしかしたらハイブリッドでは治っているのかも知れませんが、この制御は安全とは思えない。人命に関わるのはアクセルペダル。様々な安全デバイス以上に、アクセルを理解するべき。それだけは強く伝えたいです。
さて、次に乗るのは、今は TOYOTA 系メーカーのひとつになりながらも、走りのスタンスは一切変えない今をときめく和製自動車メーカー、mazda のアイツです。
ーーー つづく ーーー