e:HEVの冬の燃費は良い?悪い?CIVIC 19,000km走行からの考察

車に乗る人なら、燃費が一番悪化するシーズンは「夏」だと知っているでしょう。炎天下に置き去りにされた車のエンジンをかけ、涼しくなるのをひたすら待つ——あの地獄のような時間は、同時に走る為のエネルギーを費やします。エアコンがフルパワーで稼働し、エンジンはせっせと電力を生み出そうと頑張る。これが燃費悪化の大きな要因でした。

 

ところが、ホンダのハイブリッド「e:HEV」に乗ると、ちょっと違う景色が見えてきます。実は、冬のほうが燃費が悪いんじゃないか…?そんな実感を、データとともにお伝えしていきます。

 

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e:HEV、冬の燃費は本当に悪めなのか?

CIVIC e:HEV 冬でも元気に走るぞ
残雪がまばらに残る、長野県。風邪をひいて、1週間ぶりにリハビリドライブ。相変わらず爽快です!

 

私の愛車であるシビック e:HEVは、納車からちょうど2年が経ちました。総走行距離は19,400kmほど。現在の生涯平均燃費は20.5km/Lと、なかなか頑張っている感じです。高速道路に、何キロメートルも信号のない丘陵地帯を走るのだから、燃費は伸びるのは当然です。

 

では、真冬の燃費はどうだったのか? 1月から2月にかけてのデータを見てみましょう。

 

日付 ガソリン消費量 走行距離 平均燃費
1/5 1.0L 19.9km 20.9km/L
1/18 2.8L 55.9km 20.2km/L
1/25 2.7L 58.6km 21.8km/L
2/1 1.4L 22.1km 15.6km/L
2/9 1.3L 23.8km 19.0km/L

 

5日間の平均燃費 19.6km/L

 

この5日間の平均燃費は19.6km/L。全体的には20km/L前後を維持しているものの、2月1日の数値がガクッと落ち込んでいます。この日は家族総出で買い物巡り。大人4人が乗り込み、渋滞にはまりながらの移動だったため、燃費も当然のごとく悪化しました。e:HEVといえども、寒さ×渋滞×フル乗車という三重苦には勝てません(笑)

 

しかも、風邪が治った直後の、ひとりぼっちの気晴らしドライブだった2月9日も燃費は落ち気味。このシビックはサマータイヤ。今や買い物はサクラにお任せで、シビックは渋滞路を避けての自由気ままな走行なので、基本的には燃費は伸びる方向なはずなのですけどね。

 

夏~冬の燃費比較、e:HEVの燃費はどう変わる?

CIVIC e:HEV 冬のフロントタイヤ
シビックにスタッドレスをはかさない、その訳は…今年はサクラとフィットに買ってあげたから。来年はスタッドレス買うぞ!

 

せっかくなので、夏から冬にかけての燃費の推移も見てみましょう。今回は、「Honda Total Care」アプリのデータを使用します。このアプリは、6ヶ月間の走行距離とガソリン消費量を記録していてくれるスグレモノ。車もデジタルの世界になりましたね〜

 

ちなみに、燃費情報は以下のように記録されています。ガソリン消費量、走行距離、平均燃費が見えるようになっています。

 

日付 ガソリン消費量 走行距離 平均燃費
1/18 ① 0.1L 2.1km 17.9km/L
1/18 ② 0.8L 15.4km 19.5km/L

 

ここで違和感。ガソリン消費量がザックリしています。上の例で言うと、1月18日の①の走行距離 2.1km を平均燃費 17.9km/L で走行した場合、ガソリン使用量は 0.117L と表示しなくてはなりません。ですので、ガソリン消費量が少なめに表示されているということになります。

 

一方、1月18日の②の走行距離 15.4km を、平均燃費 19.5km/L で走行した場合、ガソリン消費量は 0.789L ですので、0.8Lは多めに表示されています。これは、平均燃費が高めに表示されているのではなく、ガソリン消費量が多めに表示されていると私は見ています。いくつかの走行データの整合性を計算しましたが、基本的にはガソリン消費量が多めに表示されています。

 

ということで、ここから先で皆さんにお伝えする燃費情報は、平均燃費を手で計算しました。月毎のトータル燃費を出す為に、走行距離と使用燃料量から燃費を算出し直す必要があるからです。つまり、燃費が悪い方で記載されていると思っていただいて良いと思います。勘違いだとしても、誤差っていうことでお願いしますね(^^;)

 

2024年9月の CIVIC e:HEV の燃費データ

日付 ガソリン消費量 走行距離 平均燃費
9/1 1.3L 31.2km 24.0km/L
9/7 2.7L 59.4km 22.0km/L
9/13 8.4L 192.2km 22.9km/L
9/14 2.2L 40.6km 18.5km/L
9/15 8.7L 201.5km 23.2km/L
9/16 12.5L 295.7km 23.7km/L
9/20 9.3L 204.1km 21.9km/L
9/21 5.2L 130.0km 25.0km/L
9/22 1.0L 21.2km 21.2km/L
9/28 4.8L 115.2km 24.0km/L

 

9月の平均燃費 23.05km/L

 

残暑が厳しかった2024年9月の燃費は、1,291.1kmを56Lのレギュラーガソリンで走行し、結果は23.05km/Lでした。我が家は長野県の中でも比較的涼しい地域にあり、9月の平均気温の記録は、23.7度。(8月は25.5度。)炎天下で車が焼かれる心配が少ないのが幸いです。さらに、ガレージ(という名の農機具小屋ですが)があるおかげで、直射日光を避けられるため、夏場の燃費悪化もある程度抑えられる傾向にあります。

 

ガレージに泊まるのが軽トラではなく、シビックというのもまた一興ですね。

 

2024年10月の CIVIC e:HEV の燃費データ

日付 ガソリン消費量 走行距離 平均燃費
10/5 1.6L 43.0km 26.9km/L
10/6 0.4L 5.5km 13.8km/L
10/12 2.2L 42.2km 19.2km/L
10/13 2.0L 47.1km 23.6km/L
10/14 2.5L 56.5km 22.6km/L
10/18 8.0L 182.9km 22.9km/L
10/19 11.7L 237.7km 20.3km/L
10/26 3.0L 71.1km 23.7km/L
10/27 1.6L 38.2km 23.9km/L

 

10月の平均燃費 21.36km/L

 

秋の入口となる10月は、724.2kmを33.9Lで走行し、平均燃費は21.36km/Lでした。平均気温は15.9度と下がり始め、エアコンの使用頻度も減ってきたにも関わらず、9月より燃費が悪化しているのは気になるところです。普通なら「涼しくなった=燃費向上!」と期待するところですが、e:HEVの燃費はそんな単純な話ではないようです。

 

やはり、気温が下がるとエンジンが作動する頻度が増えたり、暖房の準備運動が始まったりするのでしょうか。シビックが秋支度を始めた、そんな印象を受けます。

 

2024年11月の CIVIC e:HEV の燃費データ

日付 ガソリン消費量 走行距離 平均燃費
11/1 4.1L 86.9km 21.2km/L
11/2 20.1L 371.5km 18.5km/L
11/3 4.2L 91.8km 21.9km/L
11/4 2.0L 42.1km 21.0km/L
11/9 4.0L 89.2km 22.3km/L
11/10 1.6L 34.3km 21.4km/L
11/16 1.8L 41.4km 23.0km/L
11/17 6.0L 129.9km 21.7km/L
11/24 2.2L 41.8km 19.0km/L
11/30 3.5L 59.5km 17.0km/L

 

11月の平均燃費 19.97km/L

 

今年はなかなか寒くならなかったとはいえ…2024年11月の燃費は、988.4kmを49.5Lのレギュラーガソリンで走行し、19.97km/Lという結果になりました。ついに20km/Lの壁を割る時が来たようです。

 

思い当たる要因はいくつかあります。まず、寒さ+雨のダブルパンチ。平均気温は8度台と下がり、雨の日にあたることが多かったことも重なって、ヒーターの使用が増えました。シートヒーターも「ちょっとだけ…」のつもりが、気づけばポカポカ快適「最強」モードへ。さらに、娘ちゃんの自動車選びでディーラー巡りが増えたことも影響大。ちょい乗り+渋滞走行は、ハイブリッドシステムであってもリカバリーは難しいぜ。

 

エンジンも、「寒いからちょっとウォームアップさせてね」と言わんばかりに頻繁に回るようになり、e:HEVの冬の燃費の宿命を改めて実感する11月となりました。

 

2024年12月の CIVIC e:HEV の燃費データ

日付 ガソリン消費量 走行距離 平均燃費
12/1 1.5L 32.7km 21.8km/L
12/15 2.8L 60.5km 21.6km/L
12/21 3.0L 62.3km 20.8km/L

 

12月の平均燃費 21.3km/L

 

12月に入ると、娘のFIT CROSSTAR e:HEVが納車されたこともあり、私のシビックはすっかりお休みモード。燃費が戻ったように見えますが…走行距離が激減+4人乗車の機会が無くなった+暖かい日限定でのドライブになったことが影響しています。厳密な比較は難しいですが、11月の燃費の落ち込みを見る限り、やはり気温の低下がe:HEVの燃費に影響を与えているのは間違いなさそうです。

 

それにしても、シビックがガレージ(農機具小屋)でのんびりしている間に、FIT CROSSTARが元気よく走り回っているというのは、何とも不思議な感じ。「俺の出番は…?」と言わんばかりのシビックの視線を感じる気がします。でも、たまに乗るとやっぱりe:HEVのスムーズな加速は気持ちいいんですよね。寒い冬でも、シビックのドライブフィールだけは心を温めてくれます。

 

e:HEV の冬の平均燃費は「落ちる」が 良い点を上回る悪にはならない

冬のe:HEV、燃費を左右するのは「暖房」

CIVIC e:HEV 雪の上に佇む
青空に煌めくシビックの青いボディは、エコロジーのブルー。ホンダは塗装が薄いそうで、それもエコロジー…

 

ここまでのデータを見れば、夏から冬にかけて燃費は確実に下がることがわかります。そして、現在2月の燃費は、4名乗車で17km/L、1名乗車で19km/L。これは明確に下がったと言えますね。

 

これにはいくつかの要因がありますが、最大のものは暖房の使用。e:HEVはエンジンを極力使わないハイブリッドシステムですが、暖房を使うとエンジンが作動する機会が増え、結果として燃費が悪化します。冬場のエンジン・スタートは、明らかに夏よりもエンジンをブンブン回し、準備運動をじっくりと長くしている様子。

 

ブン回すのは、それはそれで仕方がない。けれども、e:HEVは回った分だけしっかりとバッテリーに電力を溜め込みます。すると、これから下り坂だというタイミングでは、もうこれ以上充電できない、お腹いっぱいモードになってしまいます。回生ブレーキを活用できないので、燃費が落ちてしまうんですね。

 

それでもe:HEVは冬でも十分燃費がいい

我が家の電動車三兄弟
我が家の環境対応自動車三兄弟(笑)EVやハイブリッド車を持つからこそわかる、冬場の燃費の悪さ。でも、エンジン車の夏の落ち込みに比べれば、どうってことはないのです。

 

では、冬の燃費が落ちるからといって、e:HEVを諦めるべきか? いやいや、そんなことはありません。

 

確かに燃費は下がりますが、それでもガソリン車に比べれば十分に優秀。夏の影響を受けにくく、冬は燃費が少し落ちるものの、「ちょっと下がる」レベルで収まっています。さらに、暖房の使い方を工夫したり、シートヒーターを活用すれば、ある程度の燃費対策も可能です。「冬は寒い。でも、e:HEVなら財布はそこまで寒くならない」 そんな絶妙なバランスの取れたハイブリッドカーなのです。

 

  • エアコンの暖房は極力使わない、または温度を下げ気味で使おう(半袖でヒーターガンガンみたいなのはダメ!)
  • シートヒーターも極力使わないようにしよう(電力を使ってしまうので!)

 

ちなみに、エアコンの温度を上げたらエンジンがかかった、なんていう動きもありましたね。

 

ちなみに、EVと比べてもe:HEVの良さが際立つのが面白いところ。エンジンさえ温まってしまえば、EVのようにPTCヒーターをガンガン動かして電費(=燃費)を削るようなことはなく、効率的に暖を取ることができます。

 

EVの冬場は、暖房を入れるとあっという間に航続距離が減り、「あれ…もうこんなに?」とドキッとすることもありますが、e:HEVならエンジンの余熱を活かせるので、そこまでの心配はいりません。寒い日は確かに燃費が落ちるものの、EVに比べれば「ガソリン満タン」の安心感は絶大です。

 

CIVIC e:HEV 冬道を行く
雪や山の背景と、見事なマッチングを見せるシビックe:HEV。このブルーはマイナーチェンジ前の設定色。もう中古でしか手に入らないのです。

 

こうして見てみると、やはり過渡期である今の時代、ハイブリッドカーが最強なのでは?という気がしてきます。燃費よし、走りよし、給油もすぐできる。e:HEVのバランスの良さは、冬の厳しさを乗り越えるたびにしみじみ実感するものです。

 

…さて、ここまで語りましたが、皆さんはどう思いますか? まだまだEVには課題が多い中、e:HEVのようなハイブリッドが「ちょうどいい存在」だと思いませんか?