車の文化の先頭へ!棘のある個性的な車に乗ろう

同じ車とすれ違わないのが素敵、希少車こそ人生、普通選ばないレアグレードでホクホクしている諸君!こんにちは。沢山の人が愛しているN-BOXが納車されて良い気分のまこまちです(^-^)

 

え!?裏切り者!?いえいえ!私はしっかりと不人気確定の良い車を選んだよ!輸入車ではないけれど、車は背が低くてなんぼ同好会ノーマル車高支部代表としてHONDA CIVICをしっかりお供にと選びました!まだまだ元気にクルマ愛をふんだんにご提供いたします!

 

さて、今回はちょっと勢いつけてお送りする。2ヶ月間のカーシェアに、トドメのブロガーオフと来たもんで Peugeot 308SW を降りてから私が触れた車は10車種以上。ここでふと気付く。性能に棘のない車って、刺さらないよね?

 

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棘の無いクルマは刺さらない

TOYOTA COROLLA CROSS 優秀な乗り心地で満足度が高い

というのも、沢山のカーシェアに乗ってみると、「これは売れるな」「売れないなあ」とかついつい考えてしまって、最終的には「性能に棘がある売れない車はなんだか楽しいな!」となったのだ。別に売れている良い車をディスろうという訳ではない。良い車を良いと評価するのは当然だ。だが、良くても刺さらない車があるのも、確かなのだ。

 

例えば、トヨタ御自慢で私も納得の COROLLA CROSS。高い視界に癖のないステアリングフィーリング、4人がしっかり座れるシートとマイナスポイントのつけられない車だった。

 

トヨタカローラクロスをフロントより撮影

トヨタカローラクロスのメーター
やっぱり視認性の高いアナログメーターは素敵。商品力の高さはメーターの質感にも現れる。ファッションとしてどこまで残るだろうか。
トヨタカローラクロスと夕暮れ
カローラの切れ長になったリアコンビランプの印象を残す、カローラクロスのリアハッチ。セダンよりも似合うと感じる。クラウンではなく、カローラをブランドにしたら?

 

多分多くの人が良いクルマだと言うだろう。私も同じく言うだろうし、人に薦める時にも「決まってないならカローラクロス」と言うだろう。それだけ性能良しのバッチリカー。経済で世界的に置いていかれてる日本人は、ありがとうトヨタ様と言いたくなるようなバーゲン・カーだ。

 

HONDA VEZEL e:HEV カローラクロスに対抗できるスタイリッシュSUV

VEZEL e:HEVも良いクルマ。ハイブリッド搭載でアクセルを踏み込めば電動カーらしいモリモリトルク。けれどもハイパフォーマンスまでは求めなくて、気を遣わず扱いやすい好燃費SUVになっていた。COROLLA CROSSに比べるとデザインが個性的なのも評価ポイントだ。

 

ホンダヴェゼルe:HEVのフロントと川崎工業地帯

ホンダヴェゼルのリアと川崎工業地帯
力強さを感じる、HONDA VEZEL e:HEV。フィットベースとは思えないサイズ感だが、プラットフォームが車重に負けている感じはしない。
HONDA VEZELのコックピット
簡素なグレードはいかにe:HEVだとしてもつまらない。インテリアにもお金をかけて気持ちのいいドライブを楽しみたいクルマである。

 

面白いことに、この2台の乗り味が結構似ている。コックピットに座った時の視界、ボディの揺らしかた、アクセルから脚を離した時の安心感ある惰性の動き。この二社の求める「ニッポンの一般車の究極」のイメージが近いのかもしれないし、たまたま重なっただけかもしれない。

 

けれども、なんだか物足りない。良いクルマなのに私の心に刺さらない。しっかりと伝えたいイメージが無いというか、この2台はSUVだけれども、SUVになりたくてなった感触がないというか。

 

今までカローラセダンだった一級ファミリーカーが、カローラクロスになっただけ。

今みでフィットだった実用快適ハッチバックが、ヴェゼルになっただけ。

 

雑味がなくて褒めちぎっても良い、日本人の最適解のひとつである2台は、なんだかスベスベしていて刺さらない。そう感じてしまうのだ。

 

棘のあるクルマは刺さる(欲しくなる)

FIAT 500X 走りとオシャレの融合

それに比べると、棘のある車は欲しくなる。ワクワクする。若手自動車ブロガーアキタローさんの愛車は FIAT 500X。この車、刺さるんだ。

 

FIAT500X と川崎工業地帯

 

硬めのシート、硬めのサスペンション、アクセルを踏み込めばなぜか頭の後ろの方に響く官能的なギャギャギャ音。その特徴のあるドライブフィールを、妥協なく作り込まれたインテリアで堪能する。

 

乾式DCTトランスミッションはスタートダッシュのクラッチミートをエンジン音に反映させてドライバーに伝えてくるから楽しくって、発進加速はハッピータイムに変貌だ。試乗中に3回ほど不調に陥りエンジンオフオンするテヘペロもあったが、ひねくれ者で可愛いなんて言い出しそうだ。

 

FIAT 500X フロントシート
Nine nine First の執筆者アキタローさんの FIAT500Xのフロントシート。ロゴもオシャレだが、革シートの質感が良い。一昔前感はあるのだが、クルマに似合っていて好印象だ。
FIAT 500X コックピット
だから輸入車はやめられない・・・ムーディなインテリアはお金がかかっている感が素晴らしい。FIAT500Xはイタリア車だが、日本より怠けたクルマかと思ったら大間違いだ。

 

MAZDA2 ディーゼルエンジンはスポーツ&楽ちんドライブ

大御所クルマブロガー UU さんの MAZDA2 も楽しかった。

 

マニュアルトランスミッション+ディーゼルは、問答無用で相性がいい。豊かなトルクはエンスト知らず。MAZDA2は熱中時間をドライバーに与えてくれる。

 

MAZDA2 XD サイドビュー

 

セカンドギア、サードギアとシフトアップ。感触の違うエンジンの伸びを堪能しながら、次のシフトチェンジポイントを探りながら道を進む。巡行したければトップギアで、あとはディーゼルのトルクに任せて加減速。少し加速に備えたいならギアを落としてエンジン煽ってクラッチミートだ。ヒールアンドトゥができなくたって、マニュアルトランスミッションは楽しすぎる。

 

MAZDA2のブレーキ
Wonderful Car Life の執筆者 UU さんの MAZDA2は、ブレーキが標準とは異なるほか、車高も少し下げている。効果は抜群、安定感のある走りが楽しめた。
mazda2 XD コックピット
mazda2をアキタローさんが運転中。やはりマニュアル車は面白い。頭の中が運転に集中しているのが良くわかる。

 

500Xはトラブルが多そうだし、MAZDA2 ディーゼルモデルはフロントヘビーで揺れるせいでリアシートの居住性はNGだった。車としての総合的な完成度は、走りやすさも乗り心地もCOROLLA CROSS や VEZEL の勝ちだ。けれども、欲しくなるのはどちらか?

 

この選択は、車好きかそうでないかの別れ道。きっと皆、FIAT 500X や MAZDA2 を欲しがるだろう。性能が良くて売れる車は、万人受けする癖のない車である。性能に棘があって売れない車は、出っ張った棘の分だけ魅力があって、車好きの欲しがる車だ。

 

棘のある車=新しいプラスアルファのある車

もちろん、この意見は偏っている。カーシェアで借りれるものはディーラーにあるようなショーモデルではない。VEZELならPLAYグレードを選ぶことでインテリアの豪華さが増してくる。COROLLA CROSS もグレード差は然りである。人によって刺さるポイントは違うだろうから、インテリアやエクステリアに刺さるポイントを増やしてしまえば、気持ちよくサクッと刺さる人はいるだろう。

 

クルマはこうあるべきだ、なんていうものは数多なのだ。方向性を変えて話せば、答えだって変わってしまう。COROLLA CROSS や VEZELが、世界が真似のできない優れた燃費と居住性を大事にして、さらにエクステリアやインテリアを差別化の要素にするのはアリ。特に燃費は現代の最大の価値である。

 

車のスタンダードを底上げし、大多数を満足させるこの2車種は本来、讃美の対象なのである。

 

対象なのであるが。

 

TOYOTA COROLLA CROSS のコックピット

 

やはり車好きには物足りない。スタンダードからのプラスアルファ、甘美で官能的な趣味的領域が作り込まれたクルマが欲しい。そして、歴史的に見ても棘が刺さるようなクルマが作られるということは、クルマ時代のひとつの文化なのではなかろうか。

 

考えてみて欲しい。車の歴史は100年超えだ。最初は動くだけ、馬の代わり、そこからステータスになって、庶民が手に届くようになってと、いつでもプラスアルファを目掛けて作られてきた。このプラスアルファを、私は車の棘だと言っている。

 

イラストで描いた格好良い車が、作ってみたら技術的な難点があって、結局違う車になってしまった。それでも今までの車よりは格好良く棘があって、その努力に対価を支払う人がいてくれた。例えば、TOYOTA 2000GT はこれだろう。100ps、200psと馬力を上げて、その棘が嬉しくて対価を支払う人がいてくれた。WRCカーなんて正にこれ。

 

おかげで車の性能はグングン上がった。ハイブリッドだって燃費の棘だ。車の棘の生み出すものは、車の進化にほかならない。進化があったからこそ、スタンダードは生まれた。必要十分で事足りる世界は、性能の充実から生まれたのである。

 

Peugeot 308SW in 伊那 鳩吹公園

 

だから、車好きとしては進化を目指した刺々しい車を支持したい。スタンダードが良いクルマだとはもちろん言うが、自分で選ぶクルマなら、選べる限り刺々しいクセのある車を選びたい。きっと将来、誰かがハッピーになるはずだから。

 

移動という行為にプラスアルファを求め、対価を支払う。そのプラスアルファがエンジン音なのか、デザインなのか、安全性能なのかは人によって違うけれど、広い家に住みたいように、グリーン車に乗りたいように、楽しい車に乗りたいはあって良いと信じたいんだ。

 

街中ですれ違うことがなくても、希少であっても、レアグレードに乗っていても、棘のあるクルマに乗ることは車文化の中心に居るということ。持続可能な世界の為に燃費だけは気にするべきだが、胸を張って個性的な棘のある車に乗ろうではないか。

 

結びの瞬景

パンプケンさんのMAZDA3 を横浜で

 

オフの終盤。相変わらずパンプケンさんのマツダ3はエロかった。見事に粘るトーションビームを感じながら座るリアシート。マツダの作る棘は、徹底的にクラシックな技術を磨くこと。

 

そして、別の記事でしっかり成り行きは書くとして、シビック到着までの間にお世話になることになったN-BOX。加速で唸るエンジン音とCVTが、頑張っている感があってなんだか可愛い。棘は、世界的に見れば一番小さな高級車という新カテゴリーかも。性能的には、悔しいがちょっと無い(笑)

 

HONDA N-BOX を川崎市内で撮影