D6があったなんて!ボルボ・ディーゼルTwinEngineってなんだ?

この記事は、aboutVOLVO時代に執筆した記事を一部修正し再掲載したものです。

 

売れるものは売ってほしい、だってボルボは10年乗り続けられるのだから。

 

という事で散々ディーゼルモデルを輸入してほしいと願い続けていましたが、残念ながらその願いは叶わない模様です。

 

思えばディーゼルエンジンは、もてはやされては突き放され、新技術によりまた持ち上げられるの繰り返し。ディーゼルエンジンだってまいってしまう。しかし、ボルボも一時期は強引にディーゼルを推進していたのでした。

 

出典:https://assets.volvocars.com/

 

日本には輸入されなかった、ボルボエンジンマニアには最高(?)に眉唾物なスペックのエンジンが存在してた。それが「D6 TwinEngine AWD」。

 

最高出力280ps、最大トルク640Nmを誇るこのシステムは、直列5気筒ディーゼルエンジン+電気モーターという、つまりDrive-E世代ではないけれども電気モーターつけちゃいました!なもので、欧州ではディーゼルを販売しないとやっていけない台所事情(燃費事情)がうかがえます。

 

D6 TwinEngine AWD spec
ENGINE Power 215ps/4000rpm
Engine Max Torque 440Nm/1,500rpm〜3,000rpm
Motor Power 68ps
Motor Max Torque 200Nm
System Power 280ps/4000rpm
System Max Torque 640Nm

気になる燃費は、データは残っておらずわからない。WEBで検索して確認できたのは、「55km/L〜10.4km/Lの間」のよう。プラグインハイブリッドなので、電気だけで動けるゾーンもあり正確な計測は困難です。

 

ただ環境性能はすばらしく、CO2排出量は48g/kmと、現代のディーゼルエンジンよりも上なんです。

 

出典:https://assets.volvocars.com/

 

PureModeなどのPHEVコントロール機能も搭載していた!? 現在のTwinEngineのベースは、2016年には完成していた・・・いや、XC90 には当初から TwinEngine(T8)が搭載されていたんだっけ?

 

さて、家の近くを電気で走り、長距離ドライブはディーゼルで燃費を稼ぐ。この夢のようなエンジンはなぜ後継モデルがなかったのでしょうか? 答えは簡単。

 

「重すぎるから」

 

このエンジンは旧V60に搭載されていましたが、XC90 T8 TwinEngineAWD よりも 約200kgも重い車両重量によりハンドリングは劣化(おかげで乗り心地はしっとりして大変良いらしいです)。ラゲッジスペースを電池とモーターの位置とした為、荷物の積載量も減りました。

 

Bringing that mass down to a stop is one of the V60 D5’s most unpleasant aspects, as not only does it require more braking effort than a lighter equivalent car without hefty batteries in the back, the brake pedal itself has very little feel and is too imprecise.

出典:AUTOEXPRESS

翻訳:その重量を停止させることは、V60 D5で最も不快なことの1つです。背中にバッテリーを積まない軽量なモデルに比べ多くの制動力が必要なだけでなく、ブレーキペダルのフィーリングがあまりにも小さく、不正確です。

※注意 AUTOEXPRESSのレビューはV60 D5 TwinEngineのものです。D5 TwinEngineもあった!(笑)

 

このモデルは「購入可能な実験車」だったようで、ボルボもこの車が今後発展するモデルでは無いとわかっていた。だが、2016年時点ではライバル不在の「ディーゼル・ハイブリッド・エステート」。当時のボルボがディーゼルの可能性を諦めていなかった証拠と捉えることもできそうです。

 

がんばったね!ディーゼルTwinEngine!!

 

ボルボV40で紅葉ドライブ 原村は曇り空も美しく見える

 

ドイツの自動車メーカーはどんどんディーゼルモデルを発表してきます。対して他の国の自動車メーカーは、ディーゼルを製造しない会社も出てきている。

 

今後はディーゼル派と電動化推進派とにわかれるのかな? 大規模自動車メーカーは燃費改善の基幹エンジンが必要で、もうしばらくはパワーソースの混乱は続くのだろう。

 

しかし、今の自動車会社はサプライヤーが命です。ボッシュやアイシンなどのサプライヤーがディーゼル用技術開発に成功すれば、また陽があたる事もあるかもしれません。

 

洗練された今の時代に、心臓の鼓動のように大きな音を立てて走るクリーン・ディーゼル車。その魅力の音は「無駄」なエネルギーかもしれないけれど、無駄は愛きょうにもなる。メーカーはぜひ、人に親しまれるクルマを作って欲しいですね。