世界一安全なファミリーカーがファミリーを捨てる時

この記事は、about-VOLVO時代に書いたものです。2019年10月に掲載した本記事は、沢山のコメントをいただいた思い出深い記事です。
今回、aboutVOLVO傑作選として再アップするにあたり、お読みになる皆さんへ注意いただきたいのは、この記事はボルボ及びボルボ・カー・ジャパンに対する警笛、そして応援の意味が込められているという事です。またいつの日か、コンパクトで買いやすいボルボが復活し、安全性の高いクルマが沢山の人に選びやすい日本に戻ることを願い、本記事を再掲載いたします。

 

世界一安全なファミリーカーとは、ボルボに対する褒め言葉です。

 

古くは 1944年 の合わせガラス、さらに事故車の買取による自動車の事故調査など長い道のりを超えて、その称号を手にしていました。

 

しかし、ファミリーカーというのは「ファミリー」が手にするものであり、一部の裕福な人々の為のものではありません。いま、ファミリーカーからプレミアムカーへ移行しようとするボルボに、僅かながらの警笛を鳴らそうと思います。

 

なお、今回の記事は完全に私aboutVOLVO執筆者の勝手な意見です。事実に反していることは記載していませんが、考えを強く反映している記事であることをご承知おきください。

 

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安全無視の地獄から安全重視の天国へ

V50のリアシート

 

私が子供の頃は、「ボンバンブーム」と言われる”ボンネット・バン”が流行っているころでした。

 

軽自動車の小型乗用車を商用車に仕立てたモデルで、一応4人乗車が可能でしたが、後席の背もたれなど無いに等しく腰まであったかどうか。シートベルトの着用は義務化されていなく、ベルトがあったかさえも覚えていません。

 

はっきり言って路線バスのほうが椅子も乗り心地も良かったので、自家用車への興味なんて持てませんでした。もし衝突事故でも起こしていれば、今こうやってブログを書いていることもなかったかもしれません。

 

自分が大人になり、ハンドルを握るようになり、子供ができた時、クルマはすでに自分の手足のような存在になっていました。しかし子供の存在は、その手足には必要のなかった後席の安全性を考える必要があります。

 

ボルボは安全性の向上に取り組んでいる自動車メーカーであることは、自動車雑誌を読んでいた私は良く知っていました。そこで、エスクードというそれなりに頑丈で安全性の高そうな車から、本当に安全性を考えているボルボへ、乗り換える決心をします。

 

当時はV50という実用ワゴンが、300万円付近で購入できました。おかげで子供の安全性を確保し、移動という大きな危険から身を守ることができました。まだ吉利汽車ではなくフォード傘下PAG(プレミアム・オートモービル・グループ)に所属していたボルボですが、プレミアムという名に踊らされず、ゆったりと”のどか”で守られている感覚の大きい自動車を作っていました。

 

命を大切にできる自動車メーカーを選びたい

VOLVO144シートベルト
出典:Volvo car japan

少し話を戻しますが、有名な話では3点式シートベルトを開発したのはボルボです。また、サイドエアバッグもボルボの共同開発品です。衝突テストでエアバッグが正しく展開し、ドアが変形せずにしっかりと開くのは、長い間事故の調査を続けてきたボルボのノウハウの賜物なのですね。

 

もちろん、ABSや横滑り防止装置はボルボの手によるものではありません。しかし積極的に自動車へ安全装備を搭載することにより、世の中を牽引し、国々のルールの一部として組み込まれたことも、安全を正しく見つめているボルボ他自動車メーカーの努力によるものだろうと考えることができます。

 

そのような「命を大切にする」開発者がいる一方で、なぜこのような装備を作るのだろうと悲しくなる事もあります。

 

例えば、助手席の前のダッシュボード上に物が置けるスペースのあるクルマ。事故に合えば間違いなく、助手席に座る人へぶつかります。

 

「便利だから」だけで開発にGoを出す自動車メーカーは、いったい何を考えているのか。腹を立てた私は、ボルボの安全装備の素晴らしさに感銘を受けてボルボ乗りへと歩みを進めたのでした。

 

先進安全性能は特別であっても良いのか?

出典:Volvo car japan

ところが、そのボルボの車はプレミアム路線へのシフトが決定され、残念ながら庶民の乗れる車ではなくなりそうです。

 

VOLVO V40が今年もしラインナップから消えることがあれば、(注意:2019年当時の話。2020年10月時点で、VOLVO V40は販売終息を迎えています。)日本のボルボのボトムラインは VOLVO XC40 となります。世界で販売されているT3やD3などの安いモデルは、プレミアム路線を進むボルボ・カー・ジャパンは輸入しないことでしょう。

 

VOLVO XC40の一番安いモデルは、一応389万円のプライス。ですが、それは人寄せの為のカタログモデルであり、XC40 T4 Momentumの449万円が最低ラインになるでしょう。

 

せっかく付いている安全装備は、子供のためではなく、ファミリーの為ではなく、裕福な人の物になるのです。もちろん、裕福な家庭の子供が乗ることもあるでしょう。その家族は幸せになることに間違いはありません。

 

でも、それはボルボの望んだことなのでしょうか?

 

安全装備は、一部の人だけに与えられる特別な装備、という事で良いのでしょうか?

 

もちろん、突き抜けた安全性能をどんどん開発し、すべての国々で標準化される事はボルボにとっては素晴らしいことかもしれません。続けていて欲しいです。

 

一方、国の標準になるまでには時間がかかります。今見渡しても、ボルボほどの先進安全装備を装着している自動車は皆無なのです。その間に命を落とすファミリーもいるのです。

 

だとすれば、自動車の安全性について積極的な議論、情報公開、装着を心がけるべきだと思いませんか。

 

ひとつの結論を出します

そこで、aboutVOLVOの執筆者である私は1つの結論に達しました。

 

それは、ボルボユーザーではない人への安全装備の情報発信です。

 

aboutVOLVOは「ボルボ」に関する情報をあつめたブログです。ですから、検索サイトでは「ボルボ」で検索した人にのみ、私のブログへのリンクが生まれます。しかし、真に世界の安全性を願うのであれば、安全性について理解のあるボルボユーザーへよりも、ボルボ以外のクルマを買おうとしている人々へ情報を発信するべきでした。

 

私はこの点について、どのような情報発信が良いかを模索しています。今後また、ブログ内で発信できればよいなと考えています。

 

私の愛したボルボはもう居ないのか

出典:Volvo Car Group Global Media Newsroom

さて、話を戻しますが、ボルボの安全機能が庶民に手に入らなくなることについて。

 

このブログへお寄せくださったコメントには、「次はもうボルボを買えない。」「この経営体質では将来付き合いきれない。」というご意見も多く寄せられています。

 

今回命への致命的な危険には発展しませんが、ディーゼルのリコール届出について、車検見積もりの予約を入れたにも関わらず一言も話はありませんでした。

 

折しも、ボルボの顧客満足選手権の実施についてプレスリリースにあげたにも関わらず、どうやら現場にはしっかりと顧客重視の思想は徹底されていないことが明白になりつつあります。

 

来週には車検の話をしにディーラーへ行く予定ですが、ディーラー側よりリコールの話が出ないようであれば、なぜ話をしないのかを徹底的に聞こうと考えています。カタログ値を超える排気ガスを出してしまうなど、大気汚染、そしてその空気を吸う子供達、子供のいる家族が不幸になるだけです。

 

言いたくはありませんが、ボルボはこのままでは「安全性を武器にしただけの、安全性など考えていない自動車会社」だと言うしかなくなってしまいます。

 

  • リコール=大気汚染についてユーザーへしっかりと情報伝達をしない
  • 先進安全装備は裕福な家庭にしか使わせない
  • 燃費の悪いエンジンしかラインナップしない

 

私の愛したボルボは、もう目の前には居ないのかもしれません。

 

旧来のボルボユーザーを捨てる覚悟はあるか

V40とV50

私の言うことが屁理屈なのでは、と考える方もいることでしょう。

 

しかし私は、情報を発信する責任として、自分の考えをしっかり伝えます。アヤフヤにはしません。

 

なぜかといえば、自分の考えを固めるには、人の意見を聞くことが一番だと考えているからです。ですから、ボルボの安全性への考え方がたとえストイックであったとしても、私の考え方を読んだ読者の皆様がしっかりと自分の意見を固めてくれれば、それで良いと考えています。

 

今年、VOLVO V40が1度目の車検を迎えます。

 

このブログを続けるために車検を通す予定ですが、XC20などの小型で安全性の高いボルボが現れるまで、待てるかどうか不安です。

 

そして、そのように考えている人は少なくはない。ボルボは、旧来のボルボユーザーを捨てる覚悟はできているのでしょうか。

 

本来設定できるはずの低価格車をラインナップに加えず、プレミアム路線へ進むこと。選んだのはボルボ・カー・ジャパンあなた方です。

 

その答は、目の前に迫っています。

 

ーーー ということで、ほぼ原文のまま再掲載しました。実際、ボルボはファミリーカーとして行きていくにはコストが高く、世界全体での戦略を見てもプレミアム化へ進んでいます。
それを受け入れることは、今までのボルボユーザーは離れるしかなくなってしまう。しかしメーカーとしては存続をしなくてはならない。難しい舵取りがメーカーやインポーターには求められる。その中で、低出力のエンジン搭載車を導入しないこと。あくまで価格帯を上げていくことに、私の懸念ポイントがあったんですね。