【ボンネット・クライシス】日産 EV and e-Power 燃費改善のその先へ

ボンネットが無くなることが、将来の自動車像で語られる事が増えてきた。高精細マップ、高精度GPS、AIによって自動車同士の衝突がなくなれば、パワーソースがコンパクトになれば、そのような車の実現は叶うのだろう。そんな車の未来を占う最新技術に触れようというのが、ボンネット・クライシスである。

 

今回は、日産のハイブリッド e-Power についてである。ハイブリッドカーはここから10年、車のメインストリームになるだろう。電動化されていない車が少数派になる未来は、すぐそこに迫っている。であれば、各社の特徴的なハイブリッド技術には触れておきたいと思うものだ。

 

日産エクストレイルとサクラ

 

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ハイブリッドの懸念点のひとつの解

私がハイブリッドが苦手だなと感じたキッカケは、エンジン音が一定回転数で鳴り響くからである。一番効率の良い回転数でエンジンを回しバッテリーへ充電するのが良いことは理解するが、身体が受け付けなければ仕方がない。

 

違和感がある中でイライラしながら運転することは、精神的に悪い。だが、燃費が悪いのも悪であるから、グリーンディーゼルに乗っていたというわけだ。その解決の方向性の一つが、ホンダスポーツeHEVであると前回は述べた。

 

ならば、ほかのメーカーはどうだろうか?ハイブリッドといえば今や気になる存在となったePowerを展開する、日産に行くことにした。

 

日産サクラ 電気自動車を体験する

日産サクラ シフトレバー
日産サクラのシフトレバーまわり。軽自動車を超えたインテリア・デザインは扱いやすく、見栄えも良い。

 

この日、まずは日産サクラに試乗する。ハイブリッドをひとっ飛びして電気自動車に進んでしまえば、エンジン音に悩まされずに済む、という考えだ。(本当は嫁ちゃんの強いプッシュによるものだが)

 

日産サクラは本当に良くできていて、右足、アクセル、モーターが一体となったような高レスポンス。軽自動車最大トルクも相まって、これは一家に一台あった方が良いと太鼓判を押すほどだ。

 

その気持ちよさに感動し、ならば発電をエンジンで、走行をモーターで行うePowerに俄然興味が湧く。日産オーラを試乗してみることにした。

 

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日産オーラ ハイブリッドは徹底的に静かにしつける

日産オーラ エクステリア
日産オーラ。前幅を広げて高級感を目指したノートだが、未来感たっぷりのエクステリアは好みが分かれそうだ。

 

するとどうだろう、やはりアクセルのレスポンスは感動ものだ。乗り味は日産サクラと大して変わらず、しかし車内は我慢のいらない乗用車だ。日産サクラよりもサスペンションのバタバタ具合は気になるものの、少しスポーティに走れるといえば、そうだろう。

 

そして、エンジンが一定速で回る事も気にならない。車内にエンジン音が鳴り響くことを徹底的に手当てしたようで、ロードノイズにかき消されて時速40km/hでは快適であった。やはり、私のようにエンジン音が嫌いだという意見があったのだろう、これならePowerも悪くないと言ったのも束の間だった。

 

加速で露呈するハイブリッド・エンジンの弱点

気分を良くしての幹線道路。アクセルを強く踏み込むと、エンジンの回転数がアップした。高い出力を得るために発電量を増やしているのだ。低い速度域では問題なかったエンジン音は、強い加速で弱点を露呈してしまった。

 

この挙動、想像していなかったわけではなかった。出力を上げればバッテリーサイズの限られたハイブリッドカーは充電を頑張るしかなく、ただ、遮音性能を上げてきたオーラであればと期待したのが間違いだったというわけだ。

 

正直、これではePower搭載車で山道なんて走れない。しかし、実はePowerの真髄は別のところにあったのだ。

 

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目指すのはドライバビリティの統一か

日産エクストレイル コックピット

日産オーラ インテリア
写真上:日産エクストレイル 写真下:日産オーラ   メーターパネルとインフォテインメントディスプレイの位置関係がぴったり。

 

日産オーラのあとに、新型日産エクストレイルに試乗する。流石の最新モデルとあって乗り心地は上々。金額もあるから仕方がないが、上質な乗り味ならエクストレイルに軍配が上がる。

 

ふと、気づく。サクラ、オーラ、エクストレイルと乗ってみて、シフトの形状を統一していることがわかる。プジョーのそれも同じだが、操作方法の統一を図る事で、ドライバーの迷いを軽減しようというわけだ。難しい操作方法ではないから、これはこれでアリだろう。

 

いや、よくよく見ていたらコックピットデザインも統一されている。メーターにインフォテインメントディスプレイまで、ほぼ同じ位置関係だ。操作感覚が変わらない事を優先しているのがヒシヒシ伝わる。

 

そして、日産エクストレイルを走らせていると分かってくる。アクセルの操作感覚がまるで同じだ。車重、アクセル開度、加速感が統一されている印象だ。ボディの違う3つの車で、ここまで統一感を図るとは。さらに回生ブレーキまで感覚が統一されている。

 

これがe-Powerを含めた日産の実力だ

日産エクストレイル インテリア

 

つまり、日産はEVとe-Powerを通して、車重があるからもったりとした加速だとか、小さいからキビキビだとか、そういう車の性格を排除しようとしているように感じるのだ。コックピットで受ける印象を統一し、同じ日産車なら同じように運転ができる、これを目指しているのではないか。

 

e-Powerの実力はエンジン音などという些細なことではなく、如何に同じように運転できるか、日産の走りのインフォメーションの統一化にあるのではないかと気がついたのだ。

 

この思想、ウケる人にはウケるのかもしれない。おかげで、日産サクラは軽自動車とは思えない上質なドライバビリティを手に入れていた。

 

感覚を大事にする為の研究技術として未来を信じたい

日産オーラ インテリア

 

しかしどうだろうか、自動車を操るには五感を使って車の状況を得なくてはならない。重たい車なら加速やブレーキの効きの悪さで重たい車と認識しにくてはならないし、小さく軽い車も、限界の低さを感じさせないことは間違いだ。

 

日産サクラ、日産ノート、日産エクストレイル。この3車種の違いは、もはや足回りとステアリングの感触のみ。少し危険ではなかろうか?

 

金太郎飴のような運転間隔のコピペは、もしかすると過渡期の技術の一環なのかもしれない。エンジンの気配が全くなくなった時(すでにサクラは無いのだが)車の印象を植え込むのはドライバビリティだ。他メーカーに先駆けて、その作り込みを始めたのなら大したものだ。

 

だが、車の印象は車毎に持つべきだ。でなければ、カーライフは全くつまらないものになるだろう。日産がこれを目指すのなら、操縦する充実感の作り込みに力を入れ、将来の人の感覚に寄り添った技術のベースにしてくれることを期待したい。