偽りなしの輸入車選び BMW 218i GranCoupe M Sport

良い車とはなんなのでしょう。クルマが好きな人たちは、それぞれ自分が感じた良いクルマを紹介してくれます。私にしても、プジョーを皆さんへ紹介し、ボルボもオススメしてきた過去があります。

 

結局の所、これは紹介する人の主観であって、紹介する人とされる人との主観が合わないのであれば、「良い車」というキーワードは成立しないのではないか?そう思う私は、昔から「クルマ選びはインスピレーション」と言い続けてきました。

 

しかし世間には、「欧州車こそが一番良い車」というような風潮もあって、私はその意見に反発し、メルセデスやBMWには試乗さえもせずに来ました。毎号毎号メルセデスとBMWばかりを特集するクルマ雑誌にも飽き飽きしていました。

 

BMW 218i M-Sport ヘッドライト

 

けれど、これは私の食わず嫌いなのではないか?

 

そう思うようになったのは、ボルボからプジョーへ乗り換えて、クルマの魅力がガラッとかわったのをその身で感じたから。であるのなら、皆さんにクルマを紹介する以上、世間で評価されているクルマもしっかり知っておきたい。

 

今回は前置きが長くなりましたが・・・ monogress 200 記事記念。今回は 199 記事目。人気シリーズ「偽りなしの自動車選び」で、ついに「駆け抜ける喜び」を体感します。

 

BMW 218i エンブレム

 

偽りなしの自動車選び BMW 218i GranCoupe M Sport

派生の派生は前輪駆動

そのクルマは、BMW 218i グランクーペ。前輪駆動のBMW 1シリーズの派生車種。華麗な4ドアクーペは最近のトレンドのひとつだが、Cセグメントで行うあたりに興味が湧いた。

 

メルセデスではAクラスにあたるだろうサイズ感、ボルボではラインナップから外れた、懐かしの V40 と競合する。プジョーでは 308 と、フォルクスワーゲンではゴルフのあたり。何れにしても量販車種かつ最重要セグメントへ、BMWのほうから下ってきた感のあるサイズの車だ。

 

昔からのルーツを大事にするのなら、BMWはこのサイズのクルマは作りたくなかったのではないか? 3シリーズから始まる後輪駆動BMWこそが本流、そう考えるBMWファンも多いだろうし、メーカーサイドにも仕方なく出したという人も少なからずいるだろう。

 

しかし、世の中ダウンサイジングなのである。BMWも、エンジンを小さくしたり、ボディを小さくしたりとやり繰りする他なくなって、とうとう1シリーズを開発し、2回めのフルモデルチェンジから前輪駆動へスイッチした。

 

そのバリエーションのひとつが2シリーズグランクーペ。私の中でもこのクルマは、派生の派生。そう考えて試乗に挑んだフシはあった。

 

BMW 218i M-Sport シフトゲート

 

電子制御にはかなわない

クルマの発進、停止には違和感がある。BMWでもこうなのか、と安心する・・・最近は電子制御が入るおかげで、「時速 0 km/h」付近は違和感の塊だ。

 

ブレーキを離すと、すこし間を置いてゆっくりクリープが入ってくる。BMW 2 シリーズグランクーペは、デュアルクラッチトランスミッション。このクリープは半クラッチなのかもしれないが、いきなりアクセルを踏むようなシチュエーションには合わないようだ。

 

しかし慣れてしまえば、一緒に乗る人には実に快適なスタートだと感じる。後になって気づいたのだが、ドライブモードをスポーツにすればもう少しレスポンスが上がるのかもしれない。けれども、これは今の世の中、慣れの一言で収まるようになってしまった。BMWも、それに甘んじたと捉えておこう。

 

BMW 218i M-Sport ステアリング

 

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精度の高さが感動を呼び寄せる

アクセルを踏み込む。ぐっと身体が前に出る。踏み込み操作に対するレスポンスは、考えた通りのトルクを出した。踏み込む速さも計算されているのか?いや、昔のクルマはこういうものではなかったか?マニュアル時代のクルマの動きを少し思い出し、アクセルを入れたり抜いたり楽しんでみた。

 

いや、この動き自体は、どのクルマでも同じはず。それでも踏み込んだアクセルの量と速さを細かく読み取り、狙った加速感を味あわせてくれる・・・何度か楽しむうちに気がついた。これはエンジン音と加速感のシンクロだ。

 

デュアルクラッチの恩恵だろうか。エンジン音は本当に低い領域から回転音と加速感がシンクロする。今になって、アイシン製8速ATにトルコン制御が入っていることに気がついた。急な踏み込みのときのATの滑りは、最近は感じないレベルにまで小さくなっているのだが、あらためてデュアルクラッチに乗ってみると、さらに細かく動けることがよく分かる。

 

BMW 218i M-Sport ホイール

 

「足回りは硬い」と、セールスさんは言っていたが、Mスポーツの18インチをしっかり履きこなしているのがよく分かる。低い着座位置もあいまって、ピッチングもローリングも最小限。たしかに路面の揺れは拾うけれど、揺れを増幅させることは一切なく、おかげで硬くても快適な走行を味あわせてくれる。

 

あぁ、ここにもクルマ作りの哲学の違いを感じ取れる。クルマに乗ることは、本当に楽しくて仕方がない。

 

ステアリングが太いのは、Mスポーツならではらしい。久しぶりの標準サイズのステアリングは、指がかかりやすくて楽しい。微細な操作にもしっかりクルマがついていく。遊びは無いのに、車側が余裕を作り出しているような感覚。敏感なのに柔らかい。素敵なステアリングフィーリングは、一般道でもライントレースを楽しんでしまう。

 

うん、街なかでも充分たのしい!クルマを進ませて、曲げて、揺れて、止まる。ほんとうに、思ったとおりの動きをするから、すぐに身体に馴染んでくる。こいつはなかなか、「良い車」だ!

 

BMW 218i M-Sport ダッシュボード

 

価格制限がもたらしたすっぴんBMW

そう、やはりBMWは「駆け抜ける喜び」が大事なクルマなんだ。その事が、価格制限のある2シリーズだからこそ、わかる。

 

それは、エクステリア、インテリア。そしてシート。2シリーズのすっぴんモデルを見るとわかる、そっけなさ。ダッシュボードのデザインは、3シリーズ以上のBMWのダッシュボードを模倣してはいるものの、そこにプレミアムは存在しない。

 

シートはしっかり座れるけれど、北欧のクルマと比べても座り心地が良いとまでは言えないだろう。フランスのクルマと比べても、オシャレとは・・・そこを語るのは難しい。気に入ったのは、サイズのわりに4名がしっかりと座れること。よく言えば、基本をしっかり抑えている、悪く言えば、実用主義で素っ気ない。

 

BMW 218i 標準シート

 

エクステリア・デザインにしても、フロントマスクもサイドも、良いデザインでまとめてある。しかしリアのデザインはどうだろう。凝ったように見えるプレスラインも、なんだかもっさりした印象。下手をすると新カローラのほうが纏まりがある。

 

つまり、BMWのつくるクルマとは、良好なドライブフィールに偏ったクルマ作りだと言えるだろう。日本人が崇めるようなプレミアムは実際のクルマには存在しない。3シリーズになれば価格は跳ね上がるものだから、プレミアムを感じるような作り込みはしっかりされると思うけれども、1、2シリーズは特別なクルマを作っているわけではないのだろう。

 

今回試乗している BMW 218i Mスポーツ であれば、セミバケットのシートがつくし、太いステアリングも付いてくる。走りへの拘りをみせる様々なドレスアップがされてくるから、運転を楽しみたいのなら良い選択肢だと言えるだろう。

 

しかし、そこにプレミアムは存在しないことを、もう一度伝えておこう。そして、プレミアム感の無い高級欧州車のたどり着くところ。そこにはボルボやプジョーが前輪駆動の長い歴史を携えて、どっしり身構えているのだ。BMWとて、簡単に敵う相手ではない。

 

 

アスリートになったような スペックでは現れない素晴らしさ

最後にとっておいた、エンジンの話をしよう。BMW 2シリーズ グランクーペ MSports のエンジンは、1.5L 直列3気筒ガソリンエンジン。140 ps / 220 Nm を発揮するこのエンジンは、気持ちの良い回転フィール、とは行かないかもしれない。

 

期待していたシルキーなスムーズ感というよりは、ぐるっと回る力強いフィーリング。Peugeot 508 に搭載のプリンスエンジンには勝らない、どちらかと言えば、Peugeot 308に載せた1.5Lディーゼルエンジンに似たような感覚だ。この点でも、特別な感じはしなかった。

 

出力だけで言うのであれば、2L 400Nm のディーゼルを選んだ方がいいだろう。これは私が感じ取った、真実だ。ここだけ聞けば、良い車じゃないのではないか?と感じるのではないだろうか。

 

いや、これは良い車だ。とても勉強になったし、少し欲しいと思うところもある。

 

クルマを一言で言い表そう。「力強い瑞々しさ」。ドライブフィールに関する様々な雑味が取り除かれて、運転に集中する環境を優先して整えている。

 

水と油で反発しあうような強制感は無く、水と水が手を繋いだような、アクの抜けた、それでも、鼓動を感じるメカニカル。駆け抜ける喜び、人馬一体。路面とも楽しく付き合ってしまう感覚だ。

 

BMW 218i M-Sport

 

なるほどなと感じるし、実際街中でゆっくり走っても楽しいと感じる。

 

年をとって乗った時、このクルマは若さを与えてくれそうだ。ステアリングを握り、アクセルを踏み込む時、まるで身体が若返ったような感覚に陥るだろう。沢山の情報をクルマが伝えてくれるから、それに反応して操作をする。アスリートのような感覚は、流石BMWと言えるだろう。

 

BMW 218i。北欧にもフランスにも負けている部分はあった。プレミアムも感じない。それを気にせず、楽しいドライブの体感だけを切望する。運転に比重を持つ人であれば、かなりオススメしたい一台なのである。

 

BMW 218i GranCoupe M Sprot  Spec

BMW B38A15Aエンジン性能曲線

※エンジン性能曲線は、monogress の独自研究資料であり、実際の仕様とは違う場合があります。

 

紹介車 BMW 218i GranCoupe M Sport Spec


Engine 1,498 cc Line 3 DOHC Engine

Max Power 140 ps

Max Torque 220 Nm

Width 1,800 mm

Length 4,540 mm

Height 1,430 mm

Weight 1,420 kg

WTLC 13.8 km/L

安全装備 6エアバッグ / ドライビング・アシスト / ACC(オプション) / レーンポジショニングアシスト等

 

Next…

結果的に、プレミアム輸入車が秀でているかというと、私が感じる限りは価格相応。この感覚、もう少し吟味したい。その先に、「良い車」の答えが待っていると思っている。

 

そして、メカの知識が少ない私は、感覚でクルマを伝えることを研究して、記事を書いています。それで良いと思っているし、その分感動は伝えられてると思ってます。

 

だから、BMW218iはとても良い車。感覚的に、良い車。でも、一言では良い車は言い表しづらいことは事実です。このフワッとした表現を、次回定着させたいね。

 

あとがき

転勤は疲れますね・・・今回は少し体調を落として公開が遅くなってしまいました。

 

そして、このブログには畑違いのクルマが登場(笑)少しびっくりしたかもしれませんね!

 

でも、ボルボからBMW、メルセデスに行く人は多い。今回の体験で、私はさらにプジョーのお買い得感を感じることができましたし。そのあたり、200 記事目で集大成にしたいと思います。

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