「え?HONDA CIVIC?あのType-Rとかあるクルマでしょ、随分やんちゃなクルマだね。」なんていう印象を持っていたら、それは間違い。2021年に発売された HONDA CIVIC FL型は、大人のスポーティカーである、と信じています。
実際には米国では「Z世代向け」らしいのですが、(その国をまたいだ収入差にがっかりこそすれど)シンプルにまとまったインテリアはラグジュアリーを好まない私には結構響くし、実際日本では20代と50代でよく売れているという。日本では、サイズといい形といい充分すぎる実用ハイパフォーマンスカー、それが新しい CIVIC と言えるでしょう。
さて、今回はそんな CIVIC の内装写真を、e:HEV の写真を用いて存分に堪能していただきますよ。
CIVIC 内装ハイライト
CIVIC 前席内装ガイド
デザインのハイライトは、なんといっても「パンチングメタル」と言われる、左右に広がるように配置されたエアコン吹出口の加飾。効果は一目瞭然、今までのクルマに必ず存在したエアコン吹出口がなくなりました。この効果はとても大きくて、別のクルマに乗り込んだときにエアコン吹出口に野暮ったさを感じるほど!
CIVIC e:HEV 前席エリア全景
視界のノイズになるようなものは排除され、スイッチ類が整然と並ぶ前席エリア。ドアパネルには夜間に赤色に染まるアンビエントライトが装備されているが、運転の邪魔になるようなものではない。ところで、スポーティといえば日本人は赤色になるが、LX グレードの白ステッチも素敵・・・シビックの「爽快」というコンセプトには、LX インテリアがマッチしているかもしれません。
CIVIC エアコン操作パネル
機能的に配置されたエアコン操作ダイヤル類。どんなにカー・エアコンが進化しても、外からの日差しでエアコン温度を変えたくなることは多い。最近のクルマはディスプレイオーディオで操作することも増えてきたが、実際にはダイヤル式のほうが使いやすいのです。
エアコンアウトレットの内装加飾 パンチングメタル
パンチングメタル+ピアノブラックで格好良く決まっているダッシュボード。新型 CIVIC のデザインハイライトですよね。ここが気に入ったなら◎!革を使用して豪華に見せるテイラードダッシュボードが流行る中、その方向とは逆に走るのがホンダらしい。(Z-RVは革路線だが・・・)
ピアノブラック加飾部はよく手があたる部分にもなるので、私は納車直後にすぐに保護剤を塗っておきました。超簡単!車のピアノブラックにスマホ用ガラスコーティング施工してみたも読まれたし。
CIVIC e:HEV & EX フロントシート
たっぷりとボリュームのあるフロントシートは、最大の販売地域のアメリカ向け。日本人には少し大型を思わせるサイズ感。だが、ホールド感は適度で、肩口から背中を包むように支えるから快適です。日本車にも、こんなシートがあったのかと感じさせる、カタログには現れない仕様に惚れ惚れでございます。
ちょっと残念なのは、お尻があたるところのシートの厚み。張りがありすぎるのか、お尻が痛くなってきます・・・
CIVIC フロントドアパネル
流石に前席優先のスペシャリティカー的要素を感じる、HONDA CIVIC。ウインドウのAUTO開閉スイッチはフロントのみにしか装着されていないが、必要十分。ドアノブはかなり拘ってデザインしたと、どこかのすべて本に記載がありました。
CIVIC コックピット内装ガイド
オーソドックスにまとまる、CIVIC のコックピット。液晶メーターというトレンドは抑えるも、ディスプレイオーディオとの一体配置は避けている。全高は低いけれども、見晴らしは良いから運転しやすい。ボンネットもわずかに見えるので、車両感覚を掴みやすいのも美点です。
ディスプレイオーディオ(ナビゲーション画面)は、運転の邪魔にならない高さ。Aピラーの後退はトレンドだが、オーバーな加飾が無いためか、ダッシュボード全体からくる主張や圧迫感がなくて極めてクリーンな印象を感じます。
CIVIC e:HEV コックピット全景
肉厚なフロントシートはスポーティに赤いステッチが入っていて格好良いが、もう一捻りあってもよかったかな。例えば、爽快のテーマにあわせて水色とか。コックピットにプレミアム感は無いのだけれど、無難にまとめた素っ気なさ感もなく、しっかりと造形を考えた形跡があるのが良い。新時代のプレミアム?
CIVIC e:HEV センターコンソール部
e:HEVはシフトレバーを廃止し、ボタン式になったことは好みが分かれるところ。メカ式でないとしても、ゴルフとのように電気式シフトレバーにして欲しかった、という意見も。とはいえ何もないスッキリ感は、充電スペースへのスマートフォンの出し入れに苦労しないとか、ペットボトルを掴みやすいとか、実は利点もあるのです。
ただ・・・やっぱりシフトレバーは欲しいです。そこを考えると、CIVIC EX が一番高級感はあるのかも。
CIVIC e:HEV & EX ステアリングスイッチ(クルーズコントロール等)
上段はスイッチのみ。ステアリング右はアダプティブクルーズコントロール用スイッチです。ステアリング左は各メディアのセレクトスイッチ。主に楽曲送りに使用します。中段は上下にセレクトするタイプで、ステアリング右はクルーズコントロールの速度調整、ステアリング左はサウンドのボリューム調整。中断スイッチはカチカチ音がして使いにくいと、私は思います。
下段はダイヤル式兼押し込みスイッチと、左右にスイッチが。ダイヤルスイッチは液晶メーターの表示モード変更に使用します。
CIVIC e:HEV & EX ウインカー・レバー(ステアリング右)とパドルシフト
まったく違和感なく操作できるウインカーレバー。ライトはAUTOが標準で、OFFに回すとヘッドライトは消えてくれます。その後にはAUTOに戻るので、慣れるまでは違和感あり。なんのこっちゃ・・・
e:HEV のパドルシフトは回生ブレーキを4段階の強さでかけるもの。ここでは詳しくは書きませんが、エンジンと協調してエンジンブレーキのような減速フィーリングを味あわせてくれる。ワインディング+スポーツモードで楽しみたい逸品装備。
CIVIC e:HEV & EX ワイパー・レバー(ステアリング左)
ワイパーレバーは上に上げることで1回だけワイパーを動かすが、動作がとても早いのが面白い。
AUTOでのワイパー動作はとても快適。雨量によって最適な間隔でワイパーを動作してくれる。中央のダイヤルは、ワイパー頻度の調節に使う。決めの細かい動作は日本車の美点だと感じています。
CIVIC e:HEV 液晶メーター
左側はパワーメーター、右側が車速メーター。それぞれ、Carplayと平均燃費を表示しているが、純粋にタコメーターのハリだけを表示させることもできます。液晶メーターの右側には燃料計、左側にはバッテリー残量の表示を装備。
ナビ画面が表示されるというような、派手な演出はありませんが、ナビゲーションやCarplay(AppleのMAPソフト等)の方向指示は表示されます。シンプルなのが良いんですよね。
CIVIC 後席内装ガイド
外観からは想像できない、かなりの居住快適性をもつ HONDA CIVIC。デザインはオーソドックスでありながら、落ち着き感とスポーツの融合を予感させます。単調なブラックと赤ステッチは若干古臭いけれど、インテリアに映える小物を置いて自分らしさを演出しましょう。
バッテリーユニットを座面下にもつデメリットはまったく感じさせず、クッション性に飛んでフロントよりも乗り心地の良いリアシートはCセグメントでは上級な部類。そのシートの厚み、フロントにも分けて欲しい。
CIVIC e:HEV & EX 後席エリア全景
リアシートの広さは充分だが、基本は2名までの乗車でしょう。全高 1415mm の中で、若干でも視界が良くなるようにシアターレイアウトを採用し、身体を少し寝かせ気味にしてリラックスムードを作り込んでいます。
CIVIC e:HEV & EX リアシート内装
人によっては、すこし寝そべった感覚を覚えるというリアシートの素材は、フロントシートと同様ですが、張りが柔らかく作られていて意外と快適。左右のホールド感は、フロントシートと比べると少ないのは仕方がない。特に、座面のドア側はゆるゆる。これは3名で座ることを考えての事でしょうね。
ちなみに、シートヒーターは付かない。さらに後席の居住性を上げたいなら、ZR-Vがオススメです。悔しい。
CIVIC リアドアー内装
ドアパネルの手に触れる部分も、前席と差異なく作り込まれているのが好印象。ウインドウのスイッチ部の加飾、ドアを開け閉めする為のハンドルも質感は高い。流石に乗り降りはコツが必要。長いスカートは汚れやすいと娘ちゃんが言っていました。
CIVIC e:HEV & EX リアシートセンター部
リアシートは6:4の分割式。車両進行方向に向いて左側が6。残念ながら、センターアームレストを下げたとしても長尺物用の穴は開かない。アームレストに付くドリンクホルダーは左右でサイズの違うタイプ。ところで、アームレストは座面に付いてしまうのだが、これは地面と水平になるようにした為と思われます。
CIVIC 天井ランプ
日本の CIVIC にはサンルーフ仕様が無いので、すべての CIVIC に付いていると思われる、ルームランプ。当然ながらドア連動の ON/OFF 機能もあります。
CIVIC リアピラー部小窓
機能としては、ほとんどない。エクステリア・デザインのアクセントのひとつだろう。だが、この小窓があることによってリアピラー部の圧迫感が解消している。センサー頼りのドライブが多くなる昨今ですが、この小窓があることで見える車もあったりします。高速道路では意外と使える小窓さんです。
CIVIC ラゲッジルーム
ラゲッジカバーを備える、実用性も高い HONDA CIVIC。ライバルとなるプリウスには付いていない装備(らしい)。写真で見るとわかるように、リア〜ラゲッジにはスピーカーが3つ付いています。
HONDA CIVIC インテリア総評
クルマを買うときは、性能のみならず内装デザインも気になりますよね。クルマとの付き合いは、ドライバーはいつも車内なのだから、内装でツマラナい思いをしていてはクルマを愛することもできません。
HONDA CIVIC は、Cセグメントの中では中々上手い演出を施して登場しました。オーソドックスなトヨタ・カローラ、革張りで主張するマツダ3とは違う、スッキリとした造形を全面に押し出しつつ、今までにありがちなT字デザインダッシュボードよりも進化したイメージで攻めてきた。デザインのハイライトである、パンチングメタルがそれですね。
当初、もしかしたらかなりエグいデザインかもしれない、と、注文書にサインをしてから恐恐としていたのだが、実際に手に入れてみるとこれがなかなか、良いのです。まず、目線から外れたところにあるから意識がいかない。そして、何度も書くがエアコン送風口が見えないことの心地よさ。すでに、大多数のクルマのデザインを過去のものにしたと言っても問題ないでしょう。
愛車だから目が節穴なんだと言われるかもしれないが、そのスッキリ感はまさに「爽快」。むしろ、送風口が見えることにエグさを感じるようになってしまいました。それくらい印象深く、満足度の高いインテリア!
久々に得た日本車だが、充分に欧州車と対峙できる実力を持っている。そう言って過言が無いのが、今回の HONDA CIVIC なのである。
結びの瞬景
ま、褒め過ぎなのかもしれないけれども、私は特に無意味な加飾を嫌うタチで、無意味に入るステッチとか、無駄な段差だとかは毛嫌いしてしまうのだが、HONDA CIVIC のインテリアは見事。全体としてはレトロを感じるところもある、不思議でよく出来たデザインだ。
自動車のデザインは、所有感を満たすための見た目の良さと、操作ミスしない為のスイッチ類の位置、使い勝手が求められる。その要求に答えられないクルマは多く、人が慣れれば良いのだと押し付けてくる場合もある。HONDA のスイッチ類の配置は最近統一されていて、実に使いやすく、シンプルで飽きのこないものと言える。
あとは、シフトスイッチだけなんだけどね。リバースを終わる時、ついついもう一度リバースを押してしまう。これは、シフトレバー時代にはパーキング前にかならずニュートラルに入れていた癖の為だ。恐るべき、長年の癖。人間の誤操作を検知するシステムが入るまでは、従来のレバータイプが望ましい。ホンダさん、ここは改良すべきところですぞ。