【ゴールド・ライン】《最終回》黄金の路とV40と

この記事は、「ゴールド・ライン」シリーズ及び、ボルボV40で行く信州絶景紅葉ドライブの続きの記事です。

 


 

2019年、秋晴れの日。

 

紅で染まるビーナスラインから、松本方面への黄金の路。登り坂はアクセル調整の難しいV40 D4だけど、下り坂ではどっしり重いエンジンのトラクションで、実にスムーズに、実にコントローラブルに、爽快なドライブを堪能できる。

 

木々に囲まれた道を進むと、遠くに子供の影が見えた。なぜこんなところに?と思いながら速度を落とすが、道はそのままオートキャンプ場を貫いた。今度遊びに来ようかな。

 

紅葉ドライブ カーライフ

 

道の脇に置き去りにされた、朽ちたバスを見ながら。

 

遠くに望む山を見ながら。

 

弾む道。弾むクルマ。

 

身体に馴染んだ上下左右。重くしっとりとしたステアリングで、車の鼻先を意のままに操る楽しさ。

 

視界の低さ。速度感。多少悪路で滑っても、踏みとどまる足腰の粘り強さ。

 

18,000kmの付き合いは、阿吽の呼吸を生み出して、家族四人を笑顔にする。

 

 

松本市街地に降り立ち、食べたことのない「チャーメン」なるものをいただく。初めて聞くその麺は、野菜と一緒に炒められたであろう幅広麺がとても美味。

 

試しに食べると言った私の皿から、あれよあれよと麺が無くなる。子供達の食欲に、呆れながらも笑ってしまう。

 

信州で食べる食事は、意外と外さない。少し奇想天外な場合もあるんだけどね。ラーメン屋で唐揚げを食べたのも信州が最初。感動的なソバもそう。大鹿村で食べた手作り蕎麦がき。私の好きな食べ物が、家族の好きな食べ物が揃ってる。

 

松川村ではあまりにも大きなキャベツに出会い、その誘惑を振り切って(?)リンゴとぶどう(シャインマスカット!!)を買い込んだ。採れたてのリンゴ、こんなにも旨いものなのか。

 

 

帰りにまた来よう。そう言ってキャベツはあきらめ、車を先に進めていく。iPodに溜め込んだスウェーデン&フィンランド。気分を北欧にシフトして、北へ、北へとタイヤは回る。

 

 

目的地の高瀬渓谷は、確かに紅葉真っ盛り。パッションレッドのV40とよく似合う。けれども天気の機嫌が悪く、翌朝トライすることにして、宿を目指した。

 

以前よりも古さの増した大町温泉郷。湯は確かだが、少しサービス落ちたかな。

 

 

 

 

暗いうち、肌寒い朝を楽しみながら、我慢できずに車へ駆け込む悲しき都会人。

 

コンビニでホットコーヒーと肉まんを買い、再度高瀬渓谷を目指していく。天気はどうやら、私たちの味方のよう。

 

 

弱く輝く、昇りきらない日を背中に向けて、渓谷を望む。さあ、終点までいってみよう。

 

人気のない道をゆき、野猿が陣を組む道をゆき、白い河の横を走る道をゆき、深い赤で彩られる道をゆく。生茂る紅色の木々に遮られるが、時々合間から見える山は若い白肌の女性のようで、見て欲しいのか見られたくないのか、気恥ずかしささえ感じてしまう。

 

 

写真を撮っていると、知らない人から声。私よりも10は上のお父さん。

 

「赤くてかっこいいクルマだね、お兄ちゃん!」

 

「ありがとうございます。お散歩ですか?」

 

「そうだよ。いいねぇボルボ。僕も一台持っているんだ。」

 

お散歩ですか、と言ったのは、付近に車がなかったからだが、市街地より5 km は来たであろうに元気な方もいたものだ。自然とともに生きている、その暮らしが羨ましいね。

 

高瀬渓谷は途中からマイカー規制がかかっていて、引き返すことにする。山が見たいのではなく、ボルボが見たいのさ。

 

ボルボV40と高瀬渓谷

ボルボV40と紅葉

 

ボルボV40。ファミリーカーと言うには美しすぎるボディを持ち、シェルターのように人を守る鬼才カー。

 

夏には弱く、バテ気味だけど、そんなところも可愛かったし、そのぶん冬は爽快に走ってくれた。

 

2リッターのディーゼルエンジン。少し高価なクルマの優越。深みのあるボディカラー。真似のできないサイドシルエット。

 

人を大事にするクルマ。人が大事に想うクルマ。揺れるボルボに似つかわしくない、どっしりと前を見据える最強Cセグショートワゴン。彼を忘れることはないだろう。

 

 

 

紅蓮の君は、まだ働けるのに、とは言わなかったね。

 

そういうこともあるさ、とも言わなかったね。

 

大事に乗ってくれてありがとう、とも言わなかった。

 

だから私は君に、まだ働いてほしかったし、こんなことは沢山だとぶちまけたかったし、もっとアクセルを深く荒々しく踏み込んでやりたかった。

 

 

これ以上の失敗はするなと、彼は背中を叩いて、私から去っていった。

 

今でも時より思い出す、君と旅したゴールド・ライン。この気持は絶対に忘れない。

 

 

ありがとう、ボルボ V40。

 

 

クルマには愛がある。クルマを愛する人がいるから、大事にしてくれる人がいるから、鉄の塊でしかないクルマたちにも、愛は生まれると思うんだ。

 

苦しくなるなら、ドライに付き合うことを否定はしない。選択は強要しない。

 

でも人が愛したクルマはきっと、ドライバーに語りかける。

 

今日はどういう走りにするか? 身体の調子はいかがだろうか?俺に乗れ。会話をしよう。1人で乗っても寂しさなんて感じさせない。

 

そんなモノを言う、彼らに会いたいというのなら。

 

 

 

大事な友と歩むように

英知を超えてクルマを楽しめ

 

 

 

 「ゴールド・ライン」END

 

 

 

ボルボV40をメインに書いた、「ゴールド・ライン」シリーズをお読みいただき、ありがとうございました。このシリーズは今回で最終回です。

 

最終回の落とし所は決めていたのですが、書きはじめに比べて文の構成がガラリと変わってしまい、申し訳ございません(^^)

 

最後の最後に、ボルボV40とのお別れを記事にできて、嬉しく思っています。

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