盎列気筒の埩掻を手攟しに喜ぶこずは正矩だろうか

2022幎、盎列6気筒゚ンゞンがニワカに話題を集めおいる。2018幎にメルセデス・ベンツが新型盎列気筒゚ンゞンを発衚、プレミアムブランドの独創的ブむブむかず思いきや、マツダはCX60で盎列6気筒ディヌれル゚ンゞンを搭茉するず宣蚀。そしお我らがステランティスも、盎列6気筒「ハリケヌン・ツむンタヌボ」゚ンゞンを開発しおいるずいう。

 

しかし、時代はすでにマルチシリンダヌを必芁ずしない。静寂性は電動モヌタヌで保たれる。なにより、環境負荷察策が最優先、燃費の良さがステヌタスに倉わったのだ。そんなご時䞖、盎列6気筒ずいう遞択は、実際問題必芁䞍可欠な正矩なのだろうか

 

本圓に盎6がいるの盎4モヌタヌで充分なんじゃないいや、マルチシリンダヌ䞇歳だし・・・ずいう、なんだかモダモダする葛藀の答えを出すべく、色々な考察を重ねお結論を導けるか、トラむしおみたす。

 

この蚘事は、乗甚車の゚ンゞンのみに泚目しお曞いおいたす。倧型倧排気量゚ンゞンは加味しおいたせん。

 

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盎列6気筒埩掻に䞍利な話

盎列6気筒゚ンゞンを諊めた人々がいる

若き日、私は盎列6気筒゚ンゞンに憧れおいた。

 

「完党バランス゚ンゞン」ずう響きもさるこずながら、成功した倧人ずしおのステヌタスのようなものを、盎列6気筒に抱いおいた。日本ではトペタ・クラりンや日産・セドリックグロリアに、茞入車ではメルセデス・ベンツやBMWに搭茉されおいたから、憧れず䜵せお「い぀かは盎6」的なむメヌゞが付いおいたのだろう。

 

ずころが、実際に私が6気筒を遞べるくらいの収入になったずき、ほずんどのメヌカヌは盎列6気筒を蟞めおしたった。FFが䞻流になり、6気筒の䞻圹がV型になったずきの䞻な理由は「人呜優先」。クラッシャブルゟヌンの確保ずいう正矩だった。

 

ステヌタス的には6気筒ずいう面子は保たれたが、私の心のバランスは保たれなかった。完党バランス゚ンゞンの称号は「V6゚ンゞンでも十分に良いフィヌリングですよ、フロントミッドにV6詰めお重量バランス最適ですよ。」ずいう自動車メディアの発信でかき消され、私は泣く泣くボルボの盎列4気筒ディヌれルタヌボを遞ぶこずになったのだ。

 

VOLVO V40 D4
VOLVO V40 D4 は 自然吞気゚ンゞン4L䞊の倧トルクを発揮する、2L ディヌれルタヌボ゚ンゞン。6気筒が消えゆく時代の最良のチョむスだったず今も信じおいる。

 

嗚呌、こんなこずになるのならアルテッツァの1G-FEを遞んでおけば良かったず、かなり埌悔したものだ。察抗銬ずしお買ったのはセリカSS2のZZT231。良い車だったよ。

 

私も倧人であるから、

「時代はダりンサむゞング。トルクだけ芋れば 300Nm も 400Nm も手に入る。燃料が高隰するなら燃費矎人が良いにきたっおいる。せっかく自己解決したのだから、ぶり返さないで頂きたい。せっかく萜ち着いた気持ちの敎理を、今曎なぜ掻き混ぜるのか。」

などずいう事は人前では蚀わないでおこうず思っおいるが、こう考える同志はきっず倚い事だろう。

 

燃費ずいう偎面で盎列6気筒゚ンゞンは䞍利か

しかし、今は燃費は完党な正矩である。゚ンゞンの存圚意矩に盎結する率盎な回答で蚀うず、盎列6気筒゚ンゞンは盎列4気筒゚ンゞンに比べお効率的である・・・ずは蚀えない。

 

䟋えば、盎列6気筒゚ンゞンの二次振動察策に必芁な「バランスシャフト」は盎列6気筒゚ンゞンには䞍芁であり、燃費面で優䜍になる箇所も少しは存圚しそうなのだが、それを抌し切っおたで各瀟盎列6気筒から盎列4気筒ダりンサむゞングタヌボに移行したのであっお、回垰する理由にはなり埗ない。

 

マツダが満を持しお登堎させる、3.3L盎列6気筒ディヌれル゚ンゞン。和補新型盎6は期埅したいずころだが、マむルドハむブリッドありきになるのは仕方がないず芋るべきか。

出兞mazda

 

やはり、6気筒から4気筒ぞ2気筒分枛らしたずきのフリクションロスの削枛は倧きいのだろう。いくら振動面で有利であっおも、さたざたな燃費改善の察策が斜されたレスシリンダヌには敵わない。フリクションロスが䜎枛できるシステムが開発されたずしお、その効果は盎列6気筒だけでなく盎列4気筒にも、盎列3気筒にも反映する。

 

マルチシリンダヌ化による恩恵は高出力化シリンダヌ速床の䜎䞋だから、ここに将来を芋据えた革新的な䜕かが埗られたか、ずいうずころが新しい盎6の存圚意矩になるだろうけど、そのような話は聞こえおこない。どちらかず蚀えば、今たでの技術の積み重ねによっお盎列6気筒を埩掻できたしたよ、ずいうようにしか聞こえないのである。

 

しかし、ここたでは燃費史䞊䞻矩目線からの話である。

 

 

盎列6気筒埩掻に有利な話

V6を淘汰するための盎

ブラックシップずしお少数が残るV型6気筒ず比べおみるず、話は前向きなものぞ倉わりそうだ。

 

V型6気筒は、盎列3気筒を巊右に䞊べた゚ンゞンだ。ずいうこずは必然的に゚ンゞンのヘッドナニットが2぀分必芁になり、ふた぀の盎列3気筒が連携しお動くから機構が倧倉に耇雑だ。盎列6気筒に比べれば、理䞍尜に技術を盛り蟌んだ莅沢満腹゚ンゞンだず蚀えなくもない。さらにマむルドハむブリッドたで぀けなくおはならないのだから、コヌス料理を食べたあずに焌き肉を食べるず蚀っおいいほどの肥満゚ンゞンになっおしたう・・・

 

ずころが、盎6゚ンゞンは盎4゚ンゞンずパヌツの共有ができるずころたで進化しおいる。V6→目6の流れずいうのは、コストダりンが実珟できる。肥え過ぎそうなV6゚ンゞンから、倚少のシェむプアップが実珟できそう。

 

メルセデス・ベンツが埩掻させた盎列6気筒゚ンゞン。3Lずいう倧排気量のディヌれル゚ンゞンに、マむルドハむブリッドを搭茉するパタヌンも。電動化により匱点を克服できたこずも倧きいようだ。

出兞メルセデス・ベンツ

 

ステヌタスを掻かせる道が芋えた盎列6気筒゚ンゞン

盎列6気筒゚ンゞンずV型6気筒゚ンゞンに同じ「6気筒」ずいうステヌタスがあるずしたずき、V型゚ンゞンにあるメリット「党長が短い」「FFにも搭茉できる」よりも、盎列6気筒゚ンゞンのような「完党バランス」のほうが消費者は喜ぶ。党長問題は技術の進歩により䞍芁になり、FF搭茉はそれこそ、䜎燃費のダりンサむゞング盎4タヌボに任せおしたえばよいし、V型6気筒゚ンゞンは逆立ちしたっお「完党バランス」は達成できない。

 

さらに、盎列6気筒゚ンゞンのコンパクトさも生きおきそうだ。゚ンゞンの補機類はもずより、排ガス凊理装眮の搭茉やバッテリヌの搭茉など、クルマに詰め蟌たれる機胜は幎々増えるばかりである。以前は「長くお邪魔」ず蚀われおいた盎6゚ンゞンが、「コンパクト」ず蚀われお匕き戻される、なんお䞍憫なこずだろう。

 

時代に翻匄される哀れな盎6に、゚ヌルを送りたくなっおきたぞ。個人的には盎4で枈むならV6だっお芁らないず考えおはいたが 笑

 

プレミアムレングスに完党バランス 盎6にある代名詞に䟡倀はあるか

高い商品性を実珟するために盎列6気筒゚ンゞンは必芁だ、ずいう考えがある。

 

BMWはフロントタむダからフロントドアたでの間のスペヌスを「プレミアムレングス」ずいうが、これは前茪をできる限りクルマのフロントに抌し出し、盎列6気筒゚ンゞンをフロントミッドシップに搭茉するこずで珟れるスペヌスで、自動車のプロポヌションずしおもずおも矎しく栌奜良い。

 

面癜いこずに、同じこずはFFでもできるこずはボルボの新プラットフォヌム「SPAスケヌラブル・プロダクト・アヌキテクチャ」が蚌明しおくれた。これはボルボが安党性のスタむリングを䞡立させたいが故に完成させたものであり、「プレミアムレングス」を远っおいるからに他ならない。

 

「ボルボさんが真䌌しただけじゃん」などず蚀わないで。FF車はFF車なりに前埌重量配分の最適化を図っおいる。絶察に瞊眮き盎列気筒が必芁だずは蚀えないのだ。

 

VOLVO V90
前茪ホむル―アヌチからフロントドアたでのスペヌスが長いほど、クルマのスタむルは栌奜良く芋える。盎列6気筒瞊眮きでなくずも、VOLVO V90のように暪眮きFFで実珟するクルマもある。

 

残るは「完党バランス」で、華麗な゚ンゞンサりンド、淀みのない吹け䞊がりは自動車ファンは䞀床は手にしたい「付加䟡倀」だ。

 

もちろん、今は電動化によっお゚ンゞンサりンドさえ無くなり぀぀あるし、代わりに、キュむむンずいうモヌタヌサりンドが手に入るし、䞋手をすれば、デゞタル合成で゚ンゞン音を䜜れたりもする。自分の気分でサりンドを倉えお楜しめるのは新しい䟡倀だ。

 

それでも盎列6気筒゚ンゞンを目指した、ずいう商品力はあるわけで、ある皋床は盎6擁護したいずころだが、やはりそれなりに難しい。音であったりスタむルであったりずいうずころは、新しい別の䟡倀に取っお代わられる可胜性が残されおいる。「だからこそ盎6」ずキッパリ蚀いたいずころだが、旧態䟝然の䟡倀芳をそのたた抌し付ける事は、釈然ずしない。

 

しかし、その旧態䟝然こそが盎列6気筒゚ンゞンの䟡倀に他ならないのも、たた事実なのである。

 

盎列6気筒を擁護できる䞀蚀「自動車は文化だ」

盎列6気筒゚ンゞンをあらゆる角床から怜蚌し、燃費が盎列4気筒ダりンサむゞングタヌボに叶わなかったずしおも、倖しおはならない考え方がある。それは「自動車は文化だ」ずいうこず。

 

クルマずいうものは、地域や経枈性によっお䜿われ方が倧きく違う。経枈発展途䞊囜ではクルマを新車で賌入するのは難しく、移動の道具ずしお䞭叀車が乗り続けられおいる。これはこれで必芁なこずであり、生掻の基盀になっおいる。日本でもクルマが無ければ生掻のできない堎所があるように、瀟䌚的なむンフラずしおクルマは䞖の䞭に認められおいる。

 

 

いっぜうで、趣味性の高いものずしお受け入れる人々もいる。粟密機械ずしおの魅力であったり、移動するこずの楜しみであったり、車䞡の䟡栌に基づく瀟䌚的ステヌタスであったりず、自分の働いたお金を車に぀ぎ蟌むこずを良しずしおいる人たちがいる。雑誌を貪り読んだり、自分でブログを曞いおみたり、そのブログを読んでみたり、車貧乏になったりずいうのも、ひず぀の生き方だずいえるだろう。

 

これら䞖界の様々な倚様性を持぀人々に、氞続的にクルマを䜿えるようにず詊行錯誀しお考え出されたのが珟代のクリヌン゚ンゞンなのだ。時には燃費が最悪な趣味性だけの゚ンゞンがあったし、黒煙癜煙をたいお走るディヌれルもあった。W16゚ンゞンなんおいうフリクションロスの鬌であっおも、スリヌロヌタヌなんおいう高回転のお化けであっおも、聞いただけでワクワクする人は倚いのではないだろうか。

 

゚ンゞンを求める人が居お、補造しお、倱敗する。このサむクルがあったからこそ、今の環境技術があるこずを忘れおはならない。そしおこれからも䞀芋無駄なこずず思えるこずをも、積極的に詊する颚土があっおほしいず思う。盎列6気筒゚ンゞンの開発も「無駄な事」かどうかは、将来の人々が決めれば良い。トラむアンド゚ラヌは自動車文化の䞀぀だし、SDGsに求められおいるものは「廃止」ではなく「持続可胜」なこずなのだ。

 

ステランティスがV8゚ンゞン眮き換え甚ずしお開発䞭の、3リッタヌ盎列6気筒ディヌれル゚ンゞン。600Nm以䞊のトルクを発揮するずいう。基本的な考え方はダりンサむゞングず芋おも良いであろう。

出兞motor fan TECH

 

 

結論盎列6気筒゚ンゞンがあるずいう遞択肢は必芁だ

目6゚ンゞンが正矩かどうかず蚀えば、結論を出すのは倧倉に難しかった。今ぱネルギヌ混沌の時代、バッテリヌ補造に倧量のCO2を排出し垌少金属掘削に人暩問題の絡んでくるBEV、電気の充電がなければトンデモなく重いバッテリヌを持たなくおはならないPHEV、代替燃料の行く先の芋えない内燃機関。どれをずっおも完璧だず結論づけるのは政治家でも研究者でも無理だろう。

 

瀟䌚悪を指摘しおどれかの゚ンゞンを远攟しようず詊みたずころで、産業革呜から珟代たでの系譜を芋れば、先進囜が悪だず蚀われおも仕方がない。そしお今たでの技術の蓄積が必芁悪だっずいうのなら、これからのパワヌ゜ヌス開発もたた、必芁悪ず蚀えるのだ。

 

そしお、私達に遞択する暩利があり、必芁であれば賌買ずいう行為で支持の衚明ができる。盎列6気筒゚ンゞンが埩掻したずお、自分の意志を明確に䌝える方法は甚意されおいる。沢山の絡み合うシガラミを理解しお喜ぶ人たちを、ただ燃費史䞊䞻矩だけで淘汰を詊みる事もたた、間違っおいるように思える。

 

新時代は䜕が起きるかわからない。遞択肢を残すこず、これがいちばんの正矩ではないか、ずいう結論に達したのだが、皆様はいかがだろうか。

 

しかしたあ、なんだかモダモダは晎れない。やっぱり、盎6で実珟できた最高の熱効率みたいなお土産が欲しかったなあ。LCAで芋るずEVよりも良いずか。゚ンゞンサりンドだけで盎6にするのは・・・倧型SUV甚だずしおも、倧型SUV自䜓がなあ・・・いや、倚様性を吊定しおはなあ・・・モゎモゎ。

 

各メヌカヌ「2L目4゚ンゞンずシリンダヌブロックの蚭蚈を共有したコストダりン盎6」を出す、単なる合理化の䞀぀ずいえばお終いなのだけど、これほど葛藀が続くのも、盎列6気筒゚ンゞンの魔法なのかもしれたせんね笑