【モーター・アーツ】新時代を選んだ秀作 Peugeot SUV 3008

クルマにどうして人気がつくか。運動性能・扱いやすさ・燃費、さまざまな理由が思い当たる。流行りというものも存分に影響するだろう。クルマに興味がある人、使えれば良いという人、ひたすらに安さを求める人。クルマに求めるものが違うからこそ、秀でたクルマは人々の人気の的になる。

 

プジョーで言えば、Peugeot SUV 3008 がそれだろうか。フランス人がこだわり抜いた、宝石箱のようなSUV。

 

いつの間にか、「SUV」は新ジャンルではなくなって、沢山の人々が選ぶようになった。かつて軽自動車がハイトワゴンに主軸を移したように、日本での普通車はSUVがメインストリームにかわった。大人がゆったりと座れて、荷物も積めて、見晴らしが良くて、前後長を短くできる。狭小住宅に住まう日本人にとっても、とても都合の良いクルマ。Peugeot SUV 3008 は、日本人の求めたクルマそのものだ。

 

 

Peugeot SUV 3008

モーター・アーツ

 

 

ところが、Peugeot SUV 3008 を購入するには、国産車とは違う「輸入車を買う」というハードルがある。”高価だ!”とか”変人だ!”というような偏見は薄れてきてはいるものの、ディーラー網の少なさは致命的。にも関わらず手にする人が多いというのは、どうしても欲しくなる要素がきっと、あるのだろう。

 

それらを「良い車」の一言で片付けてよいのだろうか。Peugeot SUV 3008 はたしかに優秀なクルマだが、数多の優秀なSUVと比べたとき、きっと光る何かがあるから、プジョーの代表選手に選ばれるようになったのだ。

 

ならば、その「光るなにか」は何なのだろう。ワゴン乗りのワタシでさえも思わず欲しいと唸らせる、Peugeot SUV 3008 の真の実力を見ていこう。

 

Peugeot 3008 2021年モデルのフロントマスク
次世代プジョーに合わせるために、大幅に造形を変えたマイナーチェンジモデル。写真で見るより、本物のほうがカッコいいぞ。

 

Peugeot 3008 GT
Peugeot SUV 3008 全長 4,450 mm x 全幅 1,840 mm x 全高 1,630 mm ホイールベース 2,675 mm 車重 1,480 kg(ガソリンモデル)

 

Peugeot 3008 2021年モデル リアコンビランプ

 

プジョー 3008 雨でも映える!

 

プジョー3008 左サイド

 

UUさんの3008
マイナー・チェンジ前の Peugeot SUV 3008。表情は Peugeot 308 に似ていて、同じクラスに属していることをわかりやすく表現していた。

 

エクステリア・デザインは、SUVの中でもチャレンジングな造形だ。

 

メッキ素材を巧みに使い、Aピラーからルーフを描く。風を描いたようなディティールのウインドウ・モールと合わせることで、優雅で綺羅びやかな印象をつけている。それなのに、ドアパネルはなかなかマッチョ。この相反するような要素を融合しているのが、3008 のエクステリアの見どころだろう。

 

交差点で止まっていて、目の前を横切る 3008 のサイド・シルエットを目にすると、他のクルマのデザインをつまらない物にする。これはプジョーシリーズ全てに言えることだと(自己満足として)思うのだが、3008 は突き抜けている。

 

クルマのスタンダートな造形から昇華された 508 は素晴らしいが、新ジャンルでここまで自分を主張するクルマは、あまり見ない。

 

プジョー 3008 ステアリング

 

しかし、である。正直に言おう。

 

やはり Peugeot SUV 3008 の「優秀」は、デザインを語ることを躊躇うくらいに絶品なドライバビリティなのである。姿勢の制御の安心感はとても大きく、良いクルマに乗っていると感じる時間は、プジョーの中でも一位二位を争うだろう。

 

下り坂でブレーキを踏んでも、グッと踏ん張る安定感。姿勢の崩れが無いものだから、少しクルマをいじめるようにi-Cockpitのステアリングを強引に曲げても、何事もなかったようにスイッと廻る。カーブの出口はトーションビームでヒタリと姿勢を立て直す。

 

そう、オン・ザ・レールな爽快感など眼中になく、クルマとしてしっかり脚を動かして、懐の深い限界の高さを見せつける。驚いてしまう。思い出そう、こいつは背の高い、SUVなのだ。

 

これもプジョーが極めたクルマの乗り味のひとつの形。

 

Peugeot 3008 i-Cockpitでドライブを愉しむ
ブロガー仲間の UU さんの 3008 を、私が運転しているところを、くるすぺさんが撮影。正直、運転が楽しいと感じる SUV は初めてだった。

 

プジョー 3008 i-Cockpit

 

Peugeot 3008 フロントシート
肉厚なシート。輸入車の中でも、かなりレベルの高いフロントシート。腰への負担が少なく、適度なホールド性があって快適である。

 

プジョー3008 ステアリング

 

プジョー3008 シフトレバー
美しい造形をみせる、Peugeot 3008 のシフトレバーまわり。メッキされた素材は、助手席に乗る方の姿勢維持用。前のモデルの機能を継承し、デザインと融合させた。

 

プジョー 3008 コンソールパネル

 

プジョー 3008 ダッシュボード

 

プジョー3008 ドアパネル
ダッシュボードとドアパネルとの目線をつなぐ、ラウンドしたファブリックが貼られるゾーン。性能としてはまったく無駄なのだが、安心感を演出することに一役買っている。

 

だからこそ、Peugeot 308 や 508 に比べて空間設計の巧みさを感じるインテリアは見事に似合う。クルマの基本に忠実な動きと、キテレツを装った i-Cockpit のハーモニー、そこにあるのはカジュアルを一歩昇華した、新感覚の造形美学。

 

ダッシュボードの奥にある、フロント・ウィンドウに沿うような溝の妙、ドアパネルからラウンドする広大なファブリック。無駄な線と思うなかれ、奇妙な造形というなかれ。包み込むような感覚を与えるように練られた、計算された奇跡がここにある。

 

これを、アートと言わずになんと言おう。

 

高級感もヒエラルキーも問題ない、型にはまらない新世代。優秀と奇作の混ざる秀作は、絶対的なレベルを誇るジーニアス&ストレンジャー。これこそが、Peugeot SUV 3008 のモーター・アーツに他ならない。

 

Peugeot SUV 3008 GT 2021モデル

 

とどのつまり、このクルマは優秀だ。総合力の高さゆえ、秀でたものは決して尖らず、車の良さを高め合う。

 

何がどうして、ここまで良いクルマになったのか。そんな問いに対する答えを探したところで、勢いのあるプジョーの実力としか言いようがない。

 

選んだあとに困るとすれば、高ドライバビリティ i-Cockpit + スタイリッシュSUV という唯一無二をいつ手放すか悩むことだ。しかし、使い続けることは素晴らしいこと。次の恋をするその日まで、愛せるクルマを持つ喜びを。さあ、Peugeot SUV 3008 を手にしよう。