【モーター・アーツ】高感度スタイルワゴン Peugeot 308SW

なぜクルマに乗るのが楽しいのかと言われれば、ステアリングを握った時の高揚感が堪らないからと言うしかないし、なぜクルマへの興味が途絶えないのかと言われれば、数千点にも及ぶ細かい部品が織りなす芸術が、クルマごとに違うからだ。

 

そんな、少し捻り気味な回答を持ってこなくても、クルマは一緒になる全ての人が楽しいもの。クルマが好きな人が、自分の裁量でクルマを買える時代は素晴らしい。

 

今この世界で、自分が今ここにいて、好きな車に乗れたことは、とても喜ばしい。この世界を大事にして次世代へ渡したい、という気持ちは、何かへの感謝から生まれるのかもしれないね。

 

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多様なクルマが生まれれば、趣向性も多様になる。クルマが好きな人全てがスポーツカーが好きではないし、クルマのサイズの好みもマチマチだろう。

 

ただ、クルマは精密な機械であり、現代における素晴らしいカラクリの頂点であるから、やはりクルマの最初の目的であり本質である、移動すること、走る、曲がる、止まる事をしっかり操作できることは、妥協せずに選びたいとは誰もが思うことだろう。

 

その車選びは、経済性や社会性、家族とのつながりも大事にしながら、バランスをとりつつ行わなければならない。私がワゴンが好きなのは、このバランスが高次元で纏められているからだ。

 

 

Peugeot 308SW
モーター・アーツ

 

 

Peugeot 308SW。プジョーのミドルサイズワゴンは、いつでもチャレンジングな試みの中を駆け抜ける。

 

ファミリー向けど真ん中なサイズ感、余裕のある居住スペース。ハッチバックベースであるから、ミニマムなボンネット。だから、スポーティだとか、スタイルが良いだとかのスポーツワゴン的な要素は、言葉だけでは伝えることの難しいクルマだ。

 

日本人が作るとどうだろう?ドイツ人なら?たぶん無理ではなかろうか。フランス人だからこその独特なスタイルには、一つの哲学の集大成を魅入ることができるはずだ。

 

プジョー308SW 夕日写真
Peugeto 308 SW 全長 4,600 mm x 全幅 1,805 mm x 全高 1,450 mm ホイールベース 2,730 mm 車重 1,430 kg (1.5L Diesel + パノラミックサンルーフ)

 

プジョー308SW カッコいいリア

 

プジョー308SW 三浦海岸ドライブ
サイドからのシルエット、とくにウインドウ下端の見え方は、角度によって大きく変化する。弧の曲がり方に注目だ。

 

プジョー 308SW ヘッドライト

 

プジョー 308 リア

 

Peugeot 308 と桜並木
単なる機械ではあるのだが、そのスタイルには誰もが拘るのもクルマ独特の文化だ。ついつい見惚れるボディラインに、自分がそのクルマが好きだということが実感としてわいてくる。

 

ドアーを開ける。リアシートに乗り込めば、広大な視界が現れる。助手席に座ってみれば、運転をしない贅沢感を味わえる。俊敏で切れのある走り味に富んだ Peugeot 308SWの印象は、ドライバーズシートでなくても感じることができる。リラックスしてそれぞれの空間を楽しめる。

 

クルマを選ぶ時、同乗する人のことをどれだけ考えるべきか、悩む人は多いだろう。プジョーには、よりラグジュアリーなスタイルを楽しめる Peugeot 508や、走りの楽しい Peugeot 208 がラインナップされていて、リアシートを考えないとき、この2台の魅力は最大限にまで登り詰める。

 

だが、どうだろう。身内にいるライバルと比べると、モデルとして古い(2022年には新しくなる!)Peugeot308SW には分がわるい比較と思われがちだが、頭上空間や実用的な広さ、使い勝手、室内の健康的な明るさは、商用車ベースのRIFTERを勝るところも多くある。

 

プジョーに、一番いいクルマを求めてはならない。マルチに詰め込んだクルマは存在しない。どのクルマも違うベクトルを任されている。一言に「かっこいい」「スポーティ」と言っても、まったく別物を出してくる。Peugeot 208にもPeugeot 508にも、その上のモデルが存在しないし、Peugeot 308の上位互換も無いのである。

 

それは、デザインや使い勝手だけじゃない。

 

パノラマルーフと高速道路
大げさではない、Peugeot 308SW のパノラミックガラスルーフ。リアシート頭上までの大きな開口は、乗る人すべてが驚く。オーナーとして嬉しい場面をひとつ増やしてくれるのだ。

 

Peugeot 308 ラゲッジからの眺め
全長 1,820 mm のベニヤ板を載せられるのも、Peugeot 308 SW の魅力だ。スイッチひとつでリアシートが倒れる、ワゴンとしての使い勝手に妥協が無いのも嬉しい。

 

Peugeot 308SW TECH PACK EDITION

 

Peugeot 308SW TECH PACK EDITION

 

Peugeot 308SW Cockpit Photo
i-Cockpit はプジョーのアイデンティティ。思い切りステアリングを下げて、リラックスした姿勢になれれば、このコックピットとの相性が決まったと言うことができる。(赤と青のステッチは、TECH PACK EDITION の特別装備。)

 

クルマと対話する、という言葉は有名だろう。

 

良く整備された舗装道路を走る時、交差点を曲がる時、荒れた山道を注意深く進む時も、私たちは揺れや音からクルマの状態を判断する。ステアリングからの反力も、細かいモーメントも五感を通じて感じ取る。

 

プジョーが優秀だと思うのは、路面のインフォメーションを伝える力、そして情報から判断して操作した時のコントロール性能だ。そして Peugeot 308SW は、これを「カジュアルワゴン」の領域で達成しているから素晴らしい。

 

Peugeot 308SW

 

Peugeot 308 モノクロステアリング

 

交差点を曲がる時、強くステアリングを切った時の小気味良い旋回は、重量配分の最適化された小さなクルマを操作したかのよう。高速道路を走る時は、ひたすらに真っ直ぐ走る事を、雑味なくこなしてくれる。その全てを、i-Cockpitを通じて車とつながり、一体化する。

 

一人で乗るときは、キレッキレのフットワークを見せつける。重量物がクルマの中心にあるような、軸のあるスポーティ感覚は小さいのにパワフルなエンジンのおかげだろう。ファミリーで使うときは、少しオットリしてみせる。振り回すことを避けるような運転感覚。足回りの絶妙なセッティング。

 

クルマと対話ができること、乗る人を幸せにできること。Peugeot 308SW のモーターアーツは、高感度なバランス感覚。エステート/ワゴンという、今や希少になりつつある世界で光るひとつの星は、いつまでも美しく輝き続けるのだ。

 

プジョー 308SW スピードメーター

 

クルマとの対話は、連続的なメッセージのやり取りだ。これらを続けるのだから、そこそこ疲れるのは仕方がないが、人は贅沢なものだから、攻めたい気分なら積極的に敏感でありたいし、疲れた時は鈍感になりたい。

 

ノーズの素直な応答性や、アクセル、ブレーキの感度の良さ。人の操作の身勝手にどれだけ応えられるかが、良いクルマの指標だが、スペックに現れない領域だから困ったものだ。が、Peugeot308SWは間違いなく、見えない性能を誇れるだろう。

 

コダワリのある操作性は、走る・曲がる・止まるをドライバーの意のままにコントロール。スポーツカーでなくったって、高級車ではなくたって、16インチホイールであろうが、プジョーはその枠の中で最高のモノを生み出したのだ。

 

オーナーとして自信を持って言おう。このクルマは強い。走りも、デザインも、乗る人の想いも、開発者が込めた願いまでも。