自動車談義というのは、一人で行うものではない。一人で談義していたら独り言にしかならないし、同じ意見の人が談義をしてもまた、新しい物事はうまれない。
先日 Peugeot 308 の延命措置について書いたブログに、SNSでコメントをいただきました。デジタル i-Cockpit の装備自体にも興味があるが、今回の小変更にはどのような意味があるのだろうか?
私は「フォルクスワーゲン・ゴルフの研究用に2年の延命をしたいから」と言い、彼は「新プラットフォームでのEV対応の為かも」と言っていた。今回は、新型308の延命がなぜ起きたのか?というお話しです。
最新 Peugeot 308 の情報を、以下にアップロードしています。合わせて読んでくださいね。
小変更で延命のPeugeot 308 その理由
SNSでも気になる人続出
彼が誰かって? Peugeot 3008 乗りのUUさんです。(Wonderful Car Life 執筆者様です。)ボルボ乗りとスバル乗りでワイワイやってた頃が懐かしい。今やどちらもプジョー乗りブロガーになりまして。
そう、人と話すということは、自分の思考を拡張できる。気づけなかったことに気づくことができる。
自動車談義なんて、基本的には「あれがよい、これが駄目」みたいなものが多いけれど、将来を見通すクルマ談義だって面白い。みなさん、SNSで繋がりましょう〜
で、欧州の自動車ニュースでは 2021 年に Peugeot 308 のフルモデルチェンジだなんて出ていたけれど、どうやらそうでは無さそうな雲行きになってきた。一体、次期型 308 はどうなるのだろう?
この手のニュースは、海外サイトにも溢れているけど、どれも似たりよったりだ。3D i-Cockpitを搭載だとか、PHEV AWDで300 hp超えるだとか、そんなことは考えればわかること。どれもこの先の進化を読めば、自ずと導き出される答えである。こんなことにパケットなんて使いたくないわな。
だから、考える。UUさんの言うこと、私の考えを混ぜ合わせて、グルグル考えて想像する。
新鮮味のない GOLF 8 を研究するため
少なくとも、フォルクスワーゲン・ゴルフを研究することは間違いない。
前回、2011年にフルモデルチェンジされたゴルフは、欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。次いで2012年、今度はプジョー308が欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。この2台はライバル関係なのである。
ゴルフのフルモデルチェンジがあれば、当然のようにモデル末期の308は売れなくなる。そのテコ入れとして、デジタル i-Cockpitを投入した、と考えるとわかりやすい。
しかし、モデル末期の308にデジタルi-Cockpitを搭載したところで、ゴルフを脅かす存在になるかといえば、本来ならば「ならない」が正解だった。しかし、今回は「ならなくはない」とPSAが考えた可能性が見て取れる。
それは、発表された新型ゴルフが、結構キープコンセプトで、エクステリアデザインが地味だから。新鮮味が無い、フルモデルチェンジした”かい”の無い新型ゴルフだったからだ。
新型ゴルフ8。最近は黄色のイメージの車が多い気がする。
VWのEV戦略
もちろん、中身は大いにバージョンアップしていることだろう。ゴルフは世界の名車なのだから、妥協するはずがない。
しかし、今回のフルモデルチェンジでは、48Vマイルドハイブリッドこそ搭載されるが、EVの宣言はされなかった。なぜか。それは、フォルクスワーゲンには「iD3」というEV専用車が存在するからだ。
ここにプジョーの「308を延命できる理由」が現れた。
プジョーの考えはこうだろう。
「フォルクスワーゲンは、大衆車を”今までの延長線”と”新物(EV)”に分けることにした。別のクルマに仕立てることで、新しさに興味がある人はEVへ、今までの延長が良い人はゴルフ8へ誘導し、販売台数増加を見込む。」
iD3の戦略は悪くない。例えばEVゴルフがあるとして、バッテリー技術革新の激しい昨今、急にエネルギー密度がアップするなんてことも考えれなくはない。すると、EVをバージョンアップすることができる。しかしその時、以前買った人はどう思うだろう。性能アップしたEVゴルフが現れたら、少し古いEVゴルフは単なる性能の低いEVゴルフになってしまう。
EVとしてiD3を作ることで、新しい乗り物というステータスを明確にできる。性能向上も素直に受け入れられるのではないだろうか。
そこで導き出される答えが、「次期型308がVWと同じことをしたら負けるけれど、ゴルフの脅威は下がりぎみだ。」である。
208はEVとガソリンを同時発売
出典:Peugeot
慎重に開発したい挑戦者 308
なにせ、308はプジョーの屋台骨を支える大事なクルマだ。フルモデルチェンジが1年遅れようが、問題ない。その後販売台数が増加すれば、それでも良い。幸い、ゴルフは超キープコンセプト。少し時間を稼いでもよさそうだ。
フォルクスワーゲンと張り合う。その為には、同じEV路線であっても違うアプローチで攻めなくてはならない。プジョーが今できる最大の戦略。それはたぶん、「EVとガソリン車を同じボディで作ること」だろう。
(2021 年 1 月現在の、海外リーク情報はこちら。やはり、EVを同じボディで見えるように開発しているようすです。)
年末年始、様々な買い物に出かけては、翌年のブログのネタを探していたわけですが、ウェブを見ていたら「プジョー」だとか「ボルボ」だとかで久しぶりにメディアが湧いておりました。 といっても、海外の話なんですけどね(笑) […]
実際、208 / e-208 は完成した。ユーザーは何の差別をせずに、パワーソースをチョイスすることができる。まさにフォルクスワーゲンの行わなかったこと、避けたことを、プジョーはやってきているのだ。
この戦略を 308 でも使いたい。UUさんの言う通り、EMP2プラットフォームのEV対応と、ゴルフ8にあって次期308に無いものを、しっかりと作り込む。この「手当」の時間分で、フルモデルチェンジを1年先に伸ばすことにする。
同時に、e-208 で出るだろう様々なトラブルを、新型 e-308 では出ないように調整する。細かく細かく手当を繰り返すことによって、新型308は比類なきCセグメント実用車の代表になり、ゴルフの前へ出て、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを取りに行くに違いない。
ここに結論。プジョーデジタルi-Cockpitを現行308に載せる理由。イコール、次期308をCセグメントの王者にするべく、ゴルフ8とe208のネガティブを徹底的につぶし、販売時最良のEV & 内燃カーを作るため、である。
あとがき
などなど、想像すると面白いですね(^^)
Peugeot 308 のデジタルコックピットディスプレイの搭載には、このような理由があると私は見ています。新型308を待つ人には悲報ではあるけれど、世界が認める素晴らしい 308 が作られるのであれば、これは仕方のないことです。
延命によって 2022年の登場が濃厚になった次期型308。どのようなクルマになるのか、今から楽しみですね!