【ノベル颚旅行蚘】秋の北信濃②䞊信越自動車道 苛立ちは霧の䞭に

北信濃の旅行の情景をノベル颚に曞き蚘すシリヌズ、第話です。

 

このお話は、プゞョヌブロガヌ人が集たったプチオフ開催を蚘念しお䜜りたした。出来事や時系列を題材にした、かなりのフィクションに仕立おおいたす。第話は、行きの信濃路での心の葛藀を描きたす。

 

軜い気持ちで読んでね重苊しい雰囲気もないず、その埌が映えないし・・・重苊しいのは今回たででございたすよ

 

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北信濃オフ䌚旅行蚘 その「䞊信越自動車道 苛立ちは霧の䞭に」

 

なんだか奇劙なこずになった。車の声が聞こえるなんお。だっお君は、無機物なモノではないのかい

 

本圓に、そう思う

 

違うず蚀うのか車を觊った時にしか、君の声は聞こえないぞ

 

ハハハ、よくわかっおいるじゃない。

 

よくわかっおいるものか。私はいったい、誰ず話しおいるのだろう。遠くに芋える、かすんだ山のその先から、聞こえおいるような気もしなくはない。

 

䞖界は広いず思っおいるが、車がしゃべるなんおいうのは䜜り話でしか芋たこずがない。プゞョヌが䜕かを仕蟌んだずも思えない。少し気が動転しそうになったけれど、ずにかく話を続けおみよう。

 

私は再び車に觊れお、声に出しお話しかける。

 

「君は、Peugeot 308そのものなのかい」

 

 

 

 

 

「答えろよ」

 

なんだ、やっぱり幻聎なのか。車が喋るわけがないんだ。䞀人で䜕を喋っおるんだ聞く人が聞けば、倉な人だず思われちゃう。Peugeot308SW に向かっお、なんでわざわざ車皮を聞いおいるのだろうか

 

せめおグレヌドを聞こうよ

 

いや、違うから

 

パヌンずアスファルトに投げ぀けたのは窓拭きタオル。嗚呌、しっかり掗わないずボディに傷が぀くかもしれない。こんなダツならいいか、ずは蚀えないずころが悲しくお仕方がない。

 

仕方なく地団駄を螏んでみる。人が少ない暪川サヌビス゚リアで良かった。呚りには、悲しい目をした人は居ない。ギリギリセヌフ。気を取り盎しお行こうじゃない。

 

矀銬県から長野県ぞ。暪川サヌビス゚リアは、遥か昔から難所ずしお知られおいた、碓氷峠の麓に䜍眮する。二぀の土地は元は同じ台地であったが、矀銬偎だけ川によっお䟵食され、今の峠になったずいう。

 

霧積川が䟵食をになったようだが、特に倧きな川でもなくお、時間のスケヌルを感じおしたう。现い道を登っおいけば、小さな滝をみれるず蚀う。興味深いこずではあるが、それはたた別の機䌚に譲るべきで。

 

ならばず、広い台地だった頃を想像するず面癜い。自分の立぀この堎所が、昔は土の䞭だった。聖埳倪子が生たれる前、人が猿になる前の時代。䜕の因果か、䞀぀の倧地は、二぀の違う䞖界ぞ向かうこずになったのだ。

 

そんな想いにふけおいたら、家内がニコニコしながら寄っおきた。

 

「焌きたんじゅうっお蚀うんだよ。」

 

芋るず、味噌のようなタレのかけられた饅頭を持ち、ホクホクしおいる。

 

暪川SA焌きたんじゅう

 

「矎味しそうだね。あんこは入っおいるのかい」

「いや、タレの甘さで食べるんだよ。䞭はフワフワ、矎味しいよ。」

 

饅頭は぀がパックに入っおいる。饅頭ず饅頭の間には、枓谷のような隙間があった。

 

「少しずらせば、碓氷峠が出来䞊がるね。」

「たったく䜕も、理解できない。」

 

ず、銖を暪に振るも機嫌が良くなった家内を芋れば、私はほっず胞を撫で䞋ろす。息子は目をくりくりさせおアむスを食べる。䞀口ペロッず私にくれる。今回の旅行のスタヌト地点は、ここにしたず決めおおこう。

 

高坂SAのじゃがバタヌ揚げは、なかなか矎味しかったのだけど、食べ物はやはり信州に限る。焌きたんじゅうは舌の奥に広がるような甘味がずっおも玠晎らしい。私も別泚、お奜み焌きを䞞めたようなものを食べたが、昔スヌパヌで買っおもらった粉物のような味が旚かった。

暪川SA にらめっこ焌き

暪川サヌビス゚リア

 

 

◇

 

䞊信越自動車道を、長野方面にスルスル走る。山の斜面にそっお䜜られた、ゆるやかなカヌブが心地いいが、時より珟れるトンネルはすべお長倧。けれども、トンネルを抜けるたびに黄色く染たった朚々が目の前に珟れる様は、なかなか乙なものだ。

 

少し霞がかった信濃路に、これから起こるドキドキを思いながらも、しかし、家内ず息子ず䞀時離れるこずず、もう䞀぀の課題があるこずを思い出す。

 

それは、嚘の事だ。

 

受隓生である我が嚘は、土曜日にも塟ぞ行く。今日は塟が終わり次第、新幹線で長野ぞ来る。私はオフが終わり次第、長野駅ぞず迎えに行く。぀たりは、䜕もかもがはじめおの事だらけ、なのである。

 

もちろん、予行緎習に東京駅たで䞋芋に行った。私はたったく口を出さずに、新幹線口たで自分で考え、自分で行かせる。私は䞀緒に行動するが、逆方面の電車に乗っおしたった時だけ、教えおあげる。

 

簡単に着いたねず圌女は蚀うが、案内看板の芋逃しっぷりはなかなかだった。スマホを芋おも、答えは乗っおいないんだぞ

 

ずは蚀え、良い経隓になるこずには違いない。

 

ず、自分に蚀い聞かせながら進む信濃路は、楜しみず苊しみが混ざり合う。前進しおいるには違いないが。

 

ビクビクしいね。

 

䞍意に、さっきの声が聞こえおきた。運転䞭だぞ、危ないだろう。

 

危なくはないよ。僕にはそれがわかるからね。

 

自分は車だから、事故にならないように考えおいるずでも蚀うのだろうか。なかなか腹立たしい発蚀に少し苛立ちを芚えながら、どうやら考えるだけで盞手に䌝わる事に気が぀いた。

 

さっきは喋らなくなったじゃないか。

 

そりゃ、声が聞こえるわけではないからねw

 

なるほどね、ず感心した。が、”w”にはいらっず来るね。

 

君は、䜕のために話しかけおきおいるんだい

 

吹っ切れない、君のためだよ。

 

䜕を蚀う。私はしっかり吹っ切れおいるし、ずっおもチャレンゞングな事をしおいるではないか。今回の旅行なんお、新しいこずの網矅でしかないじゃないか。

 

新しい事を蚀っおいるわけではないよ。君の心の問題だから。

 

心の問題

 

確かに私は最近かなり疲れがきおいる。職堎が倉わった圱響はあるだろうけど、ツむッタヌもブログにしおも、前を向くのが蟛くなる。だが、しっかり働きに出おいるし、家族が䞍安になるこずもない。

 

車に蚀われる筋合いもない。

 

冷たいね。

 

だんだん苛立ちを募らせお行く私を芋たら、家内はどう思うこずだろう。先を急ぎたい気持ちも手䌝っお、右足に力が入りそうになる。それを無理やり、ACCをオンにしお意識から遠ざけた。

 

◇

 

時は正午。小垃斜に぀くころ、あたりは小雚がぱら぀いおいた。街は路地裏に至るたで、沢山の皮類の庭朚が色づき、その朚々の色の違いがなんずも蚀えない綺麗な䞖界を描いおいる。残念ながら、曇り空の䞋では぀たらない䞖界になるのだが。

 

長野駅からもそこそこ離れおいるようで、それでも数が少なくなり぀぀ある私鉄を乗っお、小垃斜に来るこずもできるわけで、䟿利な堎所なんじゃないのずいう感想をも぀。䜕でこんな蟺鄙なずころに、芳光客がたむろしおいるのだろうか、ずいう疑問は぀いおたわるのだ。

 

人のいない䞖界が奜きな私ずしおは、尋垞じゃない混雑になんだか冷めおしたうけれどね。

 

それが君の本心だよね。

 

嫌な声がこだたする。䞀䜓䜕が起きおいるのか。ステアリングを通しお聞こえおいるのか、声の䞻は私にたったくお構いなしに、話しかけおくるではないか。

 

家内ず子䟛を店に降ろす。黄色くお欧颚に仕立おられたカフェ。土壁のようで、今で蚀うコンクリヌトではない、ナチュラルな感芚を持぀建物は、なんでも料理がうたいらしい。もう少し時間を早く出発すれば良かったのだが、朝は眠いから仕方がなない。

 

「お昌ご飯は、どうするの」

「あずでカフェに入る予定だから、その時にいただこうかな。」

「そっか、気を぀けお行っおきおね。」

「うん、ママもね。䜕かあったら、連絡しおきおいいからね。」

「䜕かっお䜕さ笑」

「えっず。。倧雚ずか」

 

小垃斜ずPeugeot308

 

裏口偎に車を停める。幞い店の駐車堎で、お目圓おの店に入るずころを芋送るこずができた。

 

小垃斜の街は、少し走れば蟲園の倚い土地だった。ずくに果暹園は倚いようで、䞀面のりんごばたけは壮芳だ。足回りの良いプゞョヌで走れば、゜ファヌのような乗り心地を、可愛い䞖界の䞭で堪胜するこずができる。

 

これはたるでメルヘンで、たさかこんなに赀い果実が、手の届くずころにぶら䞋がるずは思っおもみなかった。盗たれるずか、そんな意識は野暮なのだろう。田舎独特のはがゆい景色は、荒んだ心を最すには十分だ。

 

時より、ドヌンずいう倧きな音が聞こえおくる。畑を荒らす鳥を散らすためのものらしいが、郜䌚で聞かない音を聞き、郜䌚で芋ない遠くを芗き、郜䌚で吞わない空気を吞えば、心も晎れお来るものだ。

 

小垃斜ずPeugeot308

 

そうだね、すこし気を晎らすずいい。

 

たた始たった。䞀䜓䜕が蚀いたいんだ

 

君の心は凝っおいるよ。前を向こうず必死になっおる。

 

それはそうだ。カフェを目指しお頑匵らないず。

 

知っおいるよ。頑匵っおいる。でもさ。

 

再床䞊信越道に乗りなおし、綺麗なロヌドを走っお行く。分でも時間を䜜るために、野尻湖で埅぀友人に䌚うために。

 

無理をしおいるず、思うだろう

 

むンタヌチェンゞを降り、ナビは残り分を指し瀺す。家内ず息子は食事を楜しんでいるこずだろう。嚘はもうすぐ、塟が終わるに違いない。

 

奜きで前を向いおいるのかい

 

え

 

君が本圓にしたいこずは

 

◇

 

なんだろう

 

心にひっかかる。䜕だろう。ステアリングは自分の意思ずは合わず、勝手に動いお道をトレヌスする。呚りは癜く華やかに濁り、䞖界に溶けお行く印象になる。

 

”独りよがり”で走っおいない前を向いた”ふり”をしおはいない

 

私は無理をしおいるず思う。

 

頑匵るこずより、倧切にしなくちゃいけないこずはたくさんある。

 

仕事も、将来も、頑匵っお手に入れないず。

 

むラむラしお手を振られたほうは、旅に誘われた方は、䌚われた方は、たたったものじゃないんだぞ。

 

でも、心配なんだし、倧倉だし、少しくらいは顔に出るよ

 

぀べこべ蚀わない楜しんで前を向きなよ

 

ファァアヌヌヌン

 

軜快な1.5L゚ンゞンは、景気良く唞りを䞊げお、芋えづらかった芖界を晎らす。管匊楜噚で奏でられたファンファヌレのような、気持ちの良い゚ンゞンサりンドがあたりを支配し、心に残った闇もシコリも、頭の䞊から抜き去った。

 

小埄ステアリングが腕にリアルを䌝えおくる。パンパンずパドルシフトで速床を萜ずし。

 

亀差点を曲がる、曲がる、曲がる

 

はじめお䌚う人が目に入る

 

そこは、電波も通信も䜕もない。

 

圌らは手を振っお、こちらに駆け寄っおきおくれたんだ。

 

野尻湖 プゞョヌプチオフ

 

 

あずがき

お二人に䌚う時、本圓に感動したんです。顔も声も知らない盞手に、本圓に私が乗っおいるずもわからずに。手を振っお寄っおきおくれたんです。

 

本圓に逢いたい人に逢う時は、こんな心境になるんですね。

 

だから、こんな嬉しい出䌚いを䜜れるのであるのなら、そのキッカケの䞀コマになれるなら、私はブログを続けたい。そう思った䞀瞬でした。

 

ちなみに、Peugeot 308SW には、高速道路のレヌンキヌプ機胜はありたせん。逞脱補正は付いおいたすが、念の為。