ノベル風旅行記、3話目はとうとう、クルマブロガーのお二人に逢うところです。
私に先行して、当日の様子を書いていただいています。内容は三者三様。読み比べると面白いですよ!リンクは記事の最後につけてあります。必読です!
まこまちは、頭に響く声と葛藤を続けながらも、最後には心から楽しむようにと送り出される。駆け寄る2人のカー・ブロガーと、幸せな時間が始まるのでした。
北信濃オフ会旅行記 その3「プジョー・ブロガー・ミーティング」
駆け寄ってくる二人に、クルマの中から手を振替し、お互いが誰だかを認識し合う。
クルマから降り、握手をする。彼らがクルマブロガー、UUさんとくるすぺさんだ。初めて出会う二人、しかし初めてという感覚は、どこか薄い。SNSでは散々語り合った仲だから、お互いのことはよく知っている。
それでも、第一印象がアベコベになってしまうから、想像していた人物像というのは当てにならない。彼らを最初、さかさまに認識してしまったのは不思議なことだ。
くるすぺさんは、寡黙(かもく)な印象を受ける人だ。話を盛り上げようと試みても、思ったような反応はない。彼は自分で「表情には出ない」と言うけれど、なにせSNSでは明る人だ。そのギャップに少し驚きながら、だからこそ、芯がしっかりした感覚もついてくる。
UUさんは、これはもうSNSのとおりの人だった。気を利かせ、こちらをガイドし、そこに嫌味を感じない誠実さ。長身から発される乾いたような声は安心するし、何よりも場の盛り上げ方とコントロール力に長けていた。引き込まれるような魅力がある。
ただ、何せSNSでは二人とも明るいから、逆さまに捉えてしまったわけで。
「はるばる遠くから、来てくれてありがとうございます。泊まりでまで来てくれるなんて、でなければ3人でのオフは実現しませんでしたよ。」
というUUさんだが、彼らも遠く2〜3時間はかかる距離だ。県跨ぎでの集合だから、それぞれ移動には時間もかかるし、お金もかかる。私のわがままも含まれているのだから、お礼を言われるなんてとんでもない。
「不思議な感覚ですね。いつもツイッターで会話しているから、初めて会ったとは思えない。」
気の利いた話の出来ない自分にゲンナリするが、精一杯の気持ちを込めて言ってみた。
「くるすぺさんと初めて会ったときも、そういう感覚でしたから。」
UUさんとくるすぺさんは、ブログの中でも話されているように、2度会っている。金沢と新潟では随分距離もあるだろうけど、それを見た私も羨ましくなって、この2人には特に会いたくなったものだ。
「マコさん、野尻湖には”ぞう”が居るんです。景色も良いので、今のうちに写真をとると良いですよ。」
促されるまま、湖畔へ向かい、写真を撮った。確かに、良い景色。野尻湖はマップソフトで見るよりも、大きく、静かで、雄大だ。対岸はすぐそこに見えるようだが、右手奥に湖は続いていて、自分が端の方にいることがよく分かる。
日の当たりにくい北側の、山の斜面を見ているからか、紅葉は薄く見える。すこし残念に思ったが、遊覧船と鳥居があって、そちらに行ったらさぞ気持ちのいい景色が見えるのだろう、と想像が膨らんでくる。
珍しい像のオブジェと野尻湖のマッチングを楽しんでいたら、UUさんとくるすぺさんは談笑している様子だった。そういえば、マコさんと呼ぶ人は付き合いの長い人になってきたなあ。少し前のペンネームがくすぐったいが、そろそろ戻って、クルマの話をしてみようじゃないか。
◇
オフ会とは、共通の趣味を持つ者たちがあつまり、時間を共有する行為だ。私達3人は、ブロガーであり、プジョーオーナーであるし、ツイッターで繋がりがある。3人は2020年の春に、同じプジョー仲間になったばかりだ。
私はボルボからプジョーになった。Peugeot 308SWが今の愛車だ。508も視野に入れたが、取り回しを考えての308の選択だった。プジョーにしても大丈夫だろうという安心感は、くるすぺさんが Peugeot 5008 に乗っていたからというのもあった。初めてのフランス車だから、トラブル無く乗って楽しんでいる人が居ることは、とても安心できることだ。
UUさんは、スバルからプジョーになった。選んだのは、Peugeot 3008。まさかの出来事だった・・・というのは、私がプジョーを選んだときの、UUさんとくるすぺさんも同じ印象を抱いたに違いない・・・彼はレヴォーグを選ぶと思っていたからだ。前々から、輸入車とディーゼルに乗りたいと言っていたから、もしや?とは思っていたが。だが、おかげで自分の自動車選び、特にメーカー選定には間違いがなかったと認識できた。
くるすぺさんは、プジョーからプジョーになった。Peugeot 508SW を選んだが、これはUUさんと私がプジョーを選んだことも強く働いたようだった。彼も当初はレヴォーグ推しに見えていたし、ところが 508 を選んだと来て、これは間違いなく良い自動車メーカーを選べたのだと確信した。フラッグシップに乗る彼の行動は、やはりキング・オブ・プジョーブロガーだと言えるのだ。
その3台を並べて、眺めて、黙々と写真を撮る。みんな好きなアングルで、場所をクルクル替えながら。三連星の周りをまわる、三つの惑星のように周る。他人が見たら、少し滑稽な状況だろうことは想像に難くないが、そんなもんお構いなしに、じゃんじゃん写真を撮りまくる。
「Peugeot 308 と Peugeot 3008 は、サイズは違うけど兄弟車の面影がありますね。フロントマスクはかなり似ている。」
「サイドビューは Peugeot 3008 には鋭さを感じて、新世代ならではの新しさがあるよね。」
「Peugeot 308SW のサイドビューは、伸びやかでおとなしいけど、 Peugeot 508SW とは似ていますね!」
「少し下から見たときの、アーチを描くようなウインドウの下端の処理が大好きでさ!」
思い思いに好きなことを言っては、互いにウンウンと頷きあう。私に比べれば2人の声は沢山のクルマを見てきたという実績がついてくるから、情報に重みがある。私は少し、軽めだなあと思ったりもする。これもブロガー同士の差だと思えば、なかなか面白いことでもあった。
◇
時は試乗会へと移る。それぞれのクルマを、それぞれが運転するのである。
試乗コースは、野尻湖から妙高へ続く幹線道路。冬の雪のはかなり積もるのであろう、道路はかなり大きい2車線道路で、おかげでゆったりとドライブを堪能できる。遠くに近くに森があって、色づきはほのかである・・・きっと、あまり日の当たらないエリアなのだろう。遠くの山の頂きは、素晴らしい色づきを見せていた。私達はその道を、交互に入れ替わって運転する。
まずはくるすぺさんがハンドルを握る。選んだのは、私の Peugeot 308SW である。私は初めてのリアシートを体験できてご満悦。私のクルマに、UUさんとくるすぺさんが乗っている。不思議なことだ。
くるすぺさんは、クルマに乗ると豹変した。
「あぁ、やっぱりこのエンジンは最高ですね。とても1.5リッターとは思えない。エンジン音も、ディーゼルっぽさがまるで無い。今オススメできるエンジンのひとつですよ。Peugeot 508 の、このエンジンの搭載車が出れば買うのになあ。」
くるすぺさんはアクセルを少し強く踏んでみたり、離してみたりを繰り返しながら、会話を続ける。車に乗る前の寡黙な印象とは打って変わって、クルマから得られるインフォメーションをつらつら述べる。
「ステアリングも、508より少し重い?このフィーリングも 508 に欲しいですね。走るクルマという印象が強いです。プジョーは車種毎の優劣をつけないと思っているけど、やっぱり 308 は 508 とは別のクルマ。モデル末期なのに、この出来は迷いますよね。」
当然、褒められて嬉しくなる私。リアシートの感触も悪くなく、購入してから初めて見る、パノラマ・ガラス・サンルーフの大きさも素晴らしい。良い買い物をしたなと、今更ながらに思うのである。
「くるすぺさん、私はこのクルマのエンジン音、2速で 3,000 rpm くらいまで回す時が一番好きなんですよ。つまり、交差点からの発進をしたときなんだけど。」
「え、ならマニュアルモードにしてもいいですか。」
「もちろん。」
くるすぺさんは、マニュアルモードに変更して、パドルシフトでポンポンとシフトを下げていき、ぐっとアクセルを踏み込んだ。
いい音を聴かせてあげてな。
(よしきた!)
お?
フォーーーンという、およそディーゼルとは思えないエンジンサウンドが、車内に鳴り響く。頭の真ん中上あたりを貫く、官能的なサウンドに、乗り込んでいる三人が一斉に「おぉぉーー!」という。2回、3回とそれを繰り返し、タコメーターは 4,000 rpm を超えていった。私も街なかでは 3,000 rpm が限界だから、このイナナキはあまり聴けない。選んだクルマの素晴らしさを、改めて理解するのであった。
UUさんの選んだ車も、私の Peugeot 308SW だった。
UUさんは、車を静かに運転する。ステアリングのフィーリングを大事にしたいと言っていた。加速減速はトルクのママを味わうという。
ステアリングをゆっくり切り込む。私は助手席に乗り、丁寧な運転にしばし、308SW の奥ゆかしさを堪能する。家内はいつも、こんな良い席でゆったりドライブを楽しんでいるのだなあ。
何を話しても、思った通りの回答が返ってくるし、思わぬ回答も簡単に受け入れられる。沢山のことを話し、それぞれの感想を明確にして行く。こういう仲間が、職場にもいれば良いのに、と思ったが、それは私が担って、作り上げていけば良いのだろう。
気分が晴れるのと同時に、視界もどんどん晴れて行く。小雨のぱらつくなかでのブロガーミーティングは、この時だけ晴れ間が見えた。
◇
私は、UUさんの Peugeot 3008 を選ぶことにした。508 は代車として何度もお世話になっている。くるすぺさんの 508 の、プリンスエンジンのサウンドも捨てがたかったが、3008 に乗れる機会はさらに数少ない。
i-Cockpit の調整位置は、身長差のあるUUさんのポジションで、そのままキマった。これは少し不思議な体験でもあった。視点の位置が違うはずだから、ステアリングの位置を修正するのは試乗車ではあたりまえだ。けれども、ステアリングを上から抱えるように掴むプジョー i-Cockpit は、そういう垣根も外れるらしい。
ディーラーの試乗車では位置は修正することはあるのだが、きっとあれは i-Cockpit に慣れていない人のポジションなのだろう。ぐんぐん下に下げることが、i-Cockpit の汎用性を拡張させる。よくできた配置である。
Peugeot 3008 は、SUVという印象が削ぎ落とされている、そんな印象だった。やはり私の中では最高のSUVの3本の指に入るもの。もう一本はVOLVO XC40だが、3008は明らかに車幅感覚が小さめだ。そこへ、丁寧に慣らされた400Nmのディーゼルエンジンが載っていて、スイッチさえ入れてしまえばパワフルな走行もできてしまうし、扱いにくさはゼロに等しい。
UUさんに撮っていただきました!ほんと、乗りやすいんですよね、3008。
「そういえば、V8サウンドが楽しめるんですよね?」
私の問いかけにUUさんが。
「スポーツモードにすれば、できますよ。」
「モード変更のボタンの場所がわからなくて。」
と言ったら、横に座るくるすぺさんが代わりにボタンを押してくれる。
スピーカーから発せられる擬音のギミックは面白い。そして、ブロガー同士の会話が楽しくて仕方がない。
「いやあ、このサウンドは大したものです!私の308にも欲しかったですよ。」
「インチダウンのスタッドレス、乗り心地良いですね!」
「路面からの突き上げがほとんどない、優秀なサスですよこれ。」
「なにせ、身体への馴染みの早さが良い。308と似たような挙動なんですかね?」
「このエンジンも捨てがたいなあ、日本で選べる最良のディーゼルのひとつですよね。」
「ダッシュボードの奥にある、溝の役割を視覚的な安定感の向上ですね!」
借りてる相手の車を褒める、という意識よりは、素直に車を評価する。丁寧に乗り慣らされた Peugeot 3008 は、最高のコンディションになっていた。
あまりにも楽しくて、もう少し乗りたかったなぁと漏らしてみれば、ならばとUUさんは湖を周回するコースを案内してくれる。
くるすぺさんに撮っていただきました!カッコいいアングルですねぇ〜(^^)
アップダウンと細かいカーブが連なるコース。くるすぺさんの Peugeot 508 で下見をしてから、私は再度UUさんの Peugeot 3008 で吟味し直す・・・いや、用意してくれた時間を有意義に使いたい。褒めるだとかそんな事は考えず、運転を楽しんだ。
少しの直線を走り抜け、急カーブへ侵入する。
ブレーキを使っての荷重移動は失敗し、カーブ手前で失速した。ならばとアクセルを使ってのコントロールを多少強引にしてみれば、3008 は振り回されるはずのリアをピタリと崩さずついて行く。FFだから当然の安定志向。けれども、ステアリングを元に戻して体制を整えるときの、緩やかなフィールは逸品だった。
早くもなく、遅くもない。私は思わず唸りをあげる!
「最高だあーー!」
◇
(心から楽しんでるみたいだね)
もう、まったくだよ。好きな車の話しができるし、ブログの話も面白いよ。
(それで良いんだ。何の邪念も持たずに、好きなこととして前を向いてくれれば良いんだよ。)
湖畔の喫茶店に入り、ブログの話をする。車の話とは打って変わり、こちらは運営の悩みだとか、アクセス数についてだとかを語る。それぞれの持つ情報をすり合わせる。あたりは暗くなってくる。それでも尽きない、ブログ談義。動画の動向、ブログの将来、思い描く、次の世界。
不意に、UUさんが私に声をかけた。そう、娘を迎えに行かなくてはならない。UUさんは仕切りに、私の娘を心配していた。
彼らはどれほど、私に気を遣ったのだろうか。それとも、内面が違うのか。今日のコースも順番も、全てが気遣いの中にあったに違いない。苛立つ時間があったならば、彼らに何か、思い出に残るようなことの一つでも、土産話でも、用意すれば良かったのだ。
されとて、そんな気遣いは不要だよという、彼らの声が聞こえるような、でもこれはきっと、私の勝手な解釈だ。だから、次に会う日を必ず作って、私はできる限りのことをしたいと思う。
「このプチオフは格別でした!」
「本当に楽しかった!ありがとうございました!」
「お元気で!道中気をつけて!」
最後に、ファンとクラクションを鳴らしあう。山々にプジョーの声がこだまして、夕暮れのファンファーレを思わせた。そして私達は、それぞれの場所へと帰っていく。
高揚感は平穏に変わり、達成感とともに心の中で暖かくなる。大事な何かを得たような、そんな気がして、いつまでも笑みが絶えなかった。
あとがき
話の流れ上、くるすぺさんの508に乗った時のことを抜かしていますので、ここで取り上げます!
Peugeot 508のリアシート。格別です。やはりシートには308との差があります。サイドのサポートが効いていて、リアに大人を乗せるのならば、Peugeot 508に軍配が上がります。
そして、やはり群を抜いて色っぽさがある、プリンスエンジンの音はうっとりできます。うっとりしながら、野尻湖周辺の美しい景色を見る事は、はっきり言って至福でした。くるすぺさんは 508 の扱いに当然ながら慣れていて、強いアクセルワークを披露してくださいましたが、その時のエンジンサウンドもなかなか豪快。本当に2L以下なのかよ!って感じです。
このエンジン、4気筒エンジンの中では私の記憶の中では一番の出来。BMWの1.5Lよりも上の印象だぁ。
今回とても残念ながら、くるすぺさんの508に触れる機会が少なかったので、次回は乗り回したいと思います(笑)あと、迎え合わせのワゴン比較写真も欲しいかもです!次回オフを楽しみにしたいと思います(^^)
どうも、くるすぺです。 Twitterではご報告済みですが、プジョーブロガー3人が長野に集結しプチオフ会をやってまいりま…
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ところで、ノベル風旅行記はもう少し続きます。善光寺と小布施をめぐる秋の旅路。晴れた心と、声の主の行く末を、お楽しみください!