【ノベル颚旅行蚘】秋の北信州④善光寺ず心の姿勢

秋の北信州オフ旅行。ノベル颚で䌝える第話目は、䞻に善光寺での䜓隓です。

 

この物語は実䜓隓を基にしたフィクションですが、行動時間や感じたこずは、ほがそのたた曞き綎っおいたす。

 

もしも、善光寺関連の怜玢でここに来られた方は、本圓は最初から党郚読んでほしいけれど蚘事䞭皋たで進んでください。善光寺のお朝事やお店関連の情報を少し、䞊べおいたす。

 

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【ノベル颚旅行蚘】秋の北信州④善光寺ず心の姿勢

真っ暗闇の北信濃を、快走する。街灯など存圚しない、人里離れた道をゆく。四階建おの建物ほどの朚々が連なる森を走り、小刻みなアップダりン、少しき぀めのカヌブを抜けるず、時より長野垂街の人の営みがチラリず芋える。呚りはあたりに挆黒だから、灯りを恋しく思っおしたう。

 

道は䞋り坂に差し掛かり、カヌブはどんどんキツくなる。カヌブずいうより方向転換ずいう方があっおいるが、これを登るのも楜しそうだ。が、ただ時半前でこの暗さは、フランス車に乗っおいるず少しだけ䞍安になった。ただただ完党に、このお囜柄を信じきっおいないらしい。

 

しかし、Peugeot 308SW はその性胜を持っお、ハむビヌムを良いタむミングで自動で぀けお、察向車が珟れれば、良いタむミングで消しおいた。

 

 

しお欲しい操䜜を、車は勝手にこなしおくれる。昔芋たレヌスアニメのように、車ずのやりずりを完党にできるようになったわけではないのだが、ずいぶん以心䌝心できるようになったものだ。

 

実際のずころ、たずは動いおくれるこずが䞀番で、もちろん賌入しおから䞀床たりずも止たっおしたった経隓はないのだが、むタフラずいうポンコツをもじった印象を受けるキヌワヌドには、もう少し慣れる必芁がある事を自芚した。

 

巊カヌブ、右カヌブ。ステアリングの操䜜にクルマがピタリず指瀺通りに動く気持ちよさ。ブロガヌオフで䞉぀のプゞョヌを䜓感したが、なんだかんだで自分の遞択が自分に䞀番合っおいたな、ず感想をいだく。これは皆そうだろう。

 

私には、ハむスピヌド・ツヌリングカヌであり沢山の荷物ず人を茉せられる、Peugeot308SW が身䜓に銎染む。自慢の゚ンゞンを蜟かせながら、長野駅ぞ向かっおいた。

 

良い操䜜だねカヌブの先が芋やすいよ

 

それは君の性胜のおかげである。Cセグワゎンでありながら、ミニマムな錻先はコヌナヌの内偎に入れやすい。リニアに反応するものだから、匷匕に舵を切らずずもヒラヒラずカヌブを駆け抜けおくれる。

 

ああ、遠くに察向車が芋えおきたね。秒埌にハむビヌムを萜ずすからね

 

先のヘアピンカヌブに灯るヘッドラむト。暗闇の䞭、たずはコチラの存圚を知らせおおく。少しの時間の経過をみお、迷惑にならないようにハむビヌムはカットされた。

 

萜ち葉ず濡れた路面の巊カヌブのコンボだね。足回りを譊戒するよ

 

少し早いペヌスのたた、ステアリングを切り蟌んでいく。少し悪い路面状況にもかかわらず、皋よく脚を屈䌞させお、分かる範囲内でリアをずらす。バりンドを蚱容しお、柔らかい足回りはそのたたに、クルマを信じお姿勢を䞋げるず、もう䞀぀の足回りの調敎領域が珟れる。突き䞊げずは違う、独特の粘り気を楜しみながら、カヌブの先にあるコヌスを目芖し次の操䜜を考える。

 

良いね。朝たで続けられそうだ

 

たったくだが、その蚀葉をきっかけにしお、今から自分がやりたい事を思い出す。長野駅に着く嚘のこずを劎いたい。家内ず息子ず合流しお、今日の旅の収穫を共有したい。

 

ナむスな心がけだ。僕も今日はずいぶん走り蟌んだから、明日の朝は遅めにしたいよ。

 

心がけずいうよりは、やりたい事が明確になっおいた。オフはずおも楜しい時間を私に䞎えおくれた。ここからは、私が遞んだ家族旅行を満喫しおいきたくお。寂しがり屋の欲匵りだず思わなくもないのだが、旅の思い出話は、䞀人でするより家族みんなでしたいものだ。

 

「明日は寝坊するず良い。垰り道も長いだろうから、ね。」

 

その蚀葉に察する返答はない。ああ、声に出しおはいけなかったか。ただ、私はきっず、旅の始たりに比べれば前を向いお走っおいる。それだけは良く理解できおいお、仕事や将来の自分のこずずか、頭によぎる数倚の䞍安も、党お良い方ぞ倉換できる。

 

善光寺門前の倜

善光寺 付近の宿坊ず倜

 

先月末の培倜気味のだらしのない仕事ぶり。今の私の実力では、終わらせられない量がある。ならば、䞀人でやるのはやめにしお、他の人が手䌝いやすい管理をしよう。

 

家を売っお手にした賃貞生掻。コロナの圱響の郜心からの人の流出。䞭叀家屋の優良物件が先に買われるかもしれない。けれど、それは地方にお客が増えるこずずもむコヌルだ。きっず自分は、道を倖さず歩いおいける。

 

家族のこず、家族のそれぞれの先のこず。私の呚りで起きるこずは、それぞれが良いず思う方向ぞ動けば良い。それを願うだけで良い。そんな気分になっただけでも、この旅は成功だず感じたのだ。

 

◇

 

「パパは栗が嫌いだろうけど、これは食べおみたほうが良いよ。」

 

家内が差し出した焌き栗を、恐る恐る口にする。するず、芋のような食感に、栗自䜓が持぀甘味ず枋みが口の䞭に広がった。嫌いなものが奜きになる䜓隓だ。むかし、凜通でりニを食べお、郜䌚のりニずの味の違いに驚いお、以来りニが奜きになった。そんな感芚を思い出しお、懐かしむ。小垃斜の栗には力があった。

 

「これは矎味しすぎるじゃないか。明日は小垃斜に行きたくなったなあ。」

「善光寺はどうするの」

「善光寺も芋お回る。」

「欲匵り時間が足らないよ」

「そうだけど、この栗は出来立おを食べたいから仕方がないよね。」

「なら、善光寺は門前たでにしおおこうか。お土産なら十分揃いそう。」

 

そんな話をしおいるうちに、倕飯の時間になっおしたう。続きは食事をずりながら、ず思ったのではあるのだが。

 

善光寺 宿坊の倕飯 粟進料理 野菜の倩麩矅

善光寺 宿坊の倜ご飯 粟進料理ず揚げたそば

 

料理の旚さに、私たちは蚀葉が出ない。

 

今回の旅行では、宿坊ず蚀われる宿に泊たった。ホテルではない、旅通でもない。本来は善光寺で働いおいるお坊さんが泊たるずころ。宎䌚をしたり酒を呑んだり、ぐだぐだテレビを芋たりする宿ずは少し趣向が違う。

 

粟進料理を䜓感しお、早めに颚呂を終わらせお、早めに寝床に぀かなくおはならなくお。それは、善光寺の朝の行事を芋るためだ。時半から始たる、朝のお祈りを間近で芋られる。ゆっくりゆったりのホテルや旅通ずは、わけが違う。

 

きっず厳しい宿だろうず思いきや、予想を裏切り、実に矎味い粟進料理を味わえた。

 

料理のキモは、玠材の旚さず、その味を匕き出すための調味料。特に出汁は気を䜿われる、倧事な芁玠ではあるのだが、その玠材がたったく想像が぀かなかった。粟進料理なのだから、鰹出汁ずいうこずは無いはずだ。だが、昆垃出汁の味だけではなく、いく぀かの䜕かが混ざり合った味がする。

 

それを突き止めようず思いたくもなるのだが、焌き加枛も揚げ加枛もパヌフェクトな料理の数々、ずりあえず矎味しくいただくこずが優先で、口の䞭で華やかに食材が螊っおいた。歯ですり朰し、舌に巻き蟌み、喉に通す。このどれもがドラマチック。

 

すっかり満足した私たちは、翌日の蚈画などすっかり忘れ、垃団に入る。時間はただ時過ぎだが、それぞれの冒険の疲れが来おいお、深い眠りに぀いおしたった。

 

善光寺 宿坊

善光寺 玅葉する宿坊の庭

善光寺 宿坊の入り口

 

◇

 

善光寺の朝は早い。

 

お朝事ず蚀われる、毎日欠かさず行われるその日最初のお祈りだ。本来、お朝事に立ち䌚う人は善光寺に宿泊しおいたずいう。今ではその圹目は宿坊が担っおいるが、芳光の䞀぀になったお朝事を楜しめるよう、宿坊がツアヌ的に説明をしお回っおくれる。

 

善光寺はずおも広く、歎史もあるものだから、知っおいる人に話を聞きながら境内を回るが楜で良い。神聖なものだからず、ツアヌ圢匏で行われるお朝事参りに煙たがる人もいるかもしれないが、䜕も知らずにがぅっず芋るより、䜕倍も意味のあるお参りになるだろう。

 

お朝事自䜓が初めおの䜓隓であるず同時に、家族党員で朝事から倖を歩くのもたた、初めおだった。この旅行は本圓に、初めおが続くのだ。

 

善光寺の朝

善光寺の朝

 

「昚日ね、新幹線のホヌムには迷わないで着けたんだよ。」

 

蚀い忘れたず蚀わんばかりに、昚日の新幹線䜓隓を私に話す嚘の笑みは、赀ん坊のそれず同じように、こちらも笑みが溢れおしたう。

 

「良いなあ。かがやき、パパも乗りたいなあ。」

「えぞぞ、速かったよう、楜しかったよう。」

 

䞀方、息子はずいえば小垃斜の北斎通で買っおもらった矎術曞を黙々ず眺めおいる。いく぀かの絵の前で動かなくなったず家内から聞いおいたが、どハマりしおしたったようだ。

 

鉄道も、矎術通も、私も家内も奜きなものの䞀぀である。その心を子䟛が受け継いでいるこずがわかったこずで、やはり心は満たされるのだ。

 

気持ちの良い朝を䜓隓しお、宿坊を埌にした私たちは、朝ごはんを食べたにもかかわらず善光寺門前町で食べ歩き。

 

善光寺 玅葉ず宿坊

善光寺 信州里の菓子工房 生モンブラン

信州里の菓子工房 生モンブラン。クリの颚味がうたい、ずいう䞀蚀では片付けられない、最高に矎味しいスむヌツのひず぀。朝䞀番に行くべきだ。

善光寺 門前蟲通の五目いなり

きっず隠れた名物。門前蟲通の五目皲荷は、蟲䜜物の味が滲み出お矎味しすぎる。競争率が䜎いのが䞍思議でたたらない。

善光寺門前のお蕎麊

 

シメに蕎麊を頂いた。唞るような旚さではなかったが、雰囲気を味わうには十分だ。そもそも、空腹でもないのに食事をずっおしたったのだ。味が薄く感じるのは仕方のないこずだろう。

 

もう䞀床、善光寺を眺めおから車に戻る。カメラに収めたくなる景色が倚く、ずおも䞀泊では回りきれない。次は宿坊ず、長野駅前のシティホテルで二泊も良いかもしれないね、などず家内ず話しながら、䜕床も消倱したずいうが歎史のある建物を芋お、軜くトリップしおみる。

 

◇

 

私は、善光寺に参った数倚くの人の䞭の䞀人である。今日ここに来た人が䜕千人ずいるずしお、神奈川県から来たのは䜕人か。車で来たのは䜕人か。自分が遞んだ経路できたのは、䜕人か。善光寺にしおみれば、人䞀人づ぀は特に特別ではないだろう。

 

それでも粘っお、ブロガヌ・オフの翌日に蚪れたのは、きっず私だけだろう、ずか、家族がバラバラの旅路で来たのは、我々だけだろう、ずか。自分が特別だろうずいう䜕かを遞んで、考えおみた。

 

しかし、参る人は人それぞれ、違った人生を歩んでいお、旅行ずしお来る人もいれば、仏にすがる気持ちで蚪れおいる人もいる。お朝事で聞いたのは、病の治療を願う人、孊業の成功を祈る人。そのそれぞれの願いを仏の前で読み䞊げられれば、自然ず私も、芋知らぬその人の願いが叶うよう、手を合わせおしたうのである。

 

するず、善光寺に来た自分に特別な䜕かがあるずいうよりは、参った人、手を合わせあった人たちず、少しの時間を共有できたこずに意味があるのではないだろうか、ず考え぀いた。自分の特別はあるずしおも、その特別は参拝者党おが持぀もので、しかし今の時間にそれを持ち寄った事実ずいうのは、それはずおも皀なこずだ。

 

今ここで、仏の加護に觊れようが、觊れたいが、結局答えを出すこずは、日頃の自分の行動によるずころなのではあるのだが、宗教だずか宗掟だずかを超えお、神や仏に祈るのではなく、䞀緒にいた人の幞犏を願う事。

 

これが、きっず心の力になるに違いない、そう私は思ったのだ。

 

その考え方があっおいるかどうかは、僕にもわからない。

 

遠くから声が聞こえる。

 

でも、悲しいずか嬉しいずかは、この先だっお䜕床もある。

 

その時の、心の姿勢が、肝心だよね。

 

そうずも。誰だっお、前を向くために祈るのだもの。

 

善光寺の朝

 

善光寺を埌にしお、今日の旅行が終わっおしたえば、たた家庭に戻り、地域に戻り、職堎に戻る。倧きな人の枊の䞭に戻っおいく。氎ず氎ずの混ざり合いの䞭にいお、自分が少しでも人の背䞭を抌す圹目を担えたら、ずおも嬉しい事なのだず思えた。

 

「パパ、出来立おの焌き栗を、私も早く食べたいよ。」

「庭朚が綺麗に色づいおいたから、きっず綺麗な写真が撮れるよ。」

「もう䞀床、北斎が芋たいなあ。」

 

そうだね、䞀緒に行こう。私はみんなの、その願いが叶うこずが䞀番嬉しい。そこに連れおいけるこずが、䜕よりも嬉しいんだ。

 

良い倩気だ。きっず玠晎らしい䜓隓ができるはずだ

 

玅、黄、緑の重なり合う善光寺を埌にする。心の䞭が柄み切っお、願いを䜜っお叶えるこずしか考えられない。i-Cockpitのステアリングを握っお、知らない道を行くのだった。

 

あずがき

秋の北信州ドラむブ旅行。オフ蚘事が終わったずころでメむンどころは過ぎたのですが、普通のブログのように思い出をしたためたした笑

 

旅行は秋に限る。。ずいうのは、秋に旅行に出かけたからで、春倏秋冬それぞれに良いずころがありたすが。善光寺は秋がいいね、ず粘っおみたす。

 

実は幎前に来おいるけれど、熱を出しおのお参りでしたから、元気よく芋お回れたこずがホントに嬉しかった。善光寺をもっおしおも、颚邪は治らないのです・・・いや、医者じゃないんだから・・・いい迷惑ですね・・・