プジョー 308SWに乗っていた2年半は、とても濃い経験を積み重ねることになる2年半でした。田舎探し+引っ越しツアラーであった308SWが私にもたらしたものは、「フランス車は壊れるんじゃない。ちょっと機嫌が悪くなるだけだ。」という、おおらかさ。新しい物好きが故にシビックのハイブリッドに飛び付いちゃったけれど、車に対する優しい気持ちは、プジョーでつちかい、その後の愛車は受け継がれます。
今回は、ブログを書く上で調べた「プジョーのいろいろ」を余すことなく紹介。プジョーを楽しむための知識・歴史をお裾分けです!それでは、久々のプジョー話しといきましょう。
プジョーのスピードメーター小話
元祖i-Cockpitは?
プジョーって、私の中ではWRCのイメージが強かった。205をドリームキャスト用ソフト「セガラリー」で楽しんでいた当時、父親がジェミニを持っていて、小ささと箱型ボディが似ていたので、205ゴッコして遊んでたっけ。
紆余曲折あって、我が家にプジョー208がやってきたことがありました。308SWの機嫌が悪く、入院中に代車として遊びに来た二日間、ちょっと懐かしくなったので、嫁さまと一緒に夜のドライブに出かけることに。ところが208に乗った時、ちょっと驚いた。i-Cockpitが目の前に現れたではありませんか。
まこまち こんな小さい車にも(失礼)i-Cockpitが(笑)
嫁さま 運転はできるの?
まこまち 大丈夫そう…メーターが見づらいけれど…
そう、Peugeot i-Cockpitを一番最初に採用した車が、プジョー208だったんです。その後、我が愛車プジョー308で進化し、3008・508で完全デジタル化してひとつの完成を見ます。つまり、アナログに針が数値を指し示すi-Cockpitは、プジョー208と308のみ。このレア度、私の中では大感激。(世界的にはメチャメチャ売れてる2車種だけど。)
ちなみに私が見づらいと言ったメーター、スピードメーターが右側に配置されていたんです。
タコメーターは反時計回りに慣れすぎた
一番に確認する速度メーターは、視界に映りやすいところに配置すべき、という持論から、少し見づらいと感じてしまった208のi-Cockpit。タコメーターも左から針が上がっていくタイプ。反時計回りになって、速度メーターとコンボで翼を広げるような動きになるのは、308(T9)からなんですよね。
ところで、プジョーのスピードメーターは日本車と違い、10km/h 30km/h 50km/hとなっているの、お気づきですか?なんでも、フランス本国の交通事情によるものらしいです。
日本車も、こういう特徴的なアピールしたほうが良いとと思うんですけどね。
プジョーのヒエラルキー問題
輸入車を選ぶのって、目的の車種をこだわりを持って選ぶところもあって、「ヒエラルキー感」はあまり意識しません。ヒエラルキー感とは、日本車のようなクラウン・ビスタ・コロナ・カローラみたいな序列の事です。もちろん、メルセデスベンツやBMWのように、ゴリゴリヒエラルキー推しなメーカーもあるのですが、ことプジョーは各車種の性格が違うものだから、ブロガーたちの間ではヒエラルキー弱いねってなっていました。
これには、エンジンがほとんど共通だということもあるでしょう。トヨタ・クラウンは6気筒、カローラは4気筒と差別化するのが日本車、ところが、プジョー508に搭載される最強エンジンが、プジョー308にも搭載される(2リッターディーゼルエンジン)のがプジョー流。すると、消費者の目には、内外装の豪華さや作りの良さ、足回りの差、などで比較するしかなくなります。
ところがーー508でアクティブサスを試したところーー
まこまち これが508のアクティブサス!ポチポチ…コンフォートモードだよ!
嫁さま なんか、フワフワしすぎねー
まこまち えぇと…(ポチ)スポーツモードだよっ
嫁さま なんか、硬いねえ〜(汗)
私たち夫婦にはちょうど良いポイントが見つからない。さらには、プジョー208のサスペンションストロークなどは、508顔負けなところもある。もう、どれを選んでも満足だし、どれを選んでも後悔しそう。こんなに悩ましてどうするってんだい、プジョーさんってわけです。
その答え、パワーオブチョイスでとうとう差別化される!?プラグインハイブリッドが、プジョー508に搭載。エンジンとバッテリー走行を組み合わせ、スパッとフラッグシップの面目を保った!と思ったら、E308が現れるという。
フラッグシップが下位車種に負けることがある…ホント、ヒエラルキー無視ありがとうございます、と言うしかありません。(もちろん総合力では508は圧倒的ですけどね。)
プリンスで繋がるプジョーのエンジン秘話
官能性能MAXのプリンスエンジン
プジョーのエンジンの逸話は、私の知る限り2つあります。ひとつは、BMWとの共同開発エンジン。その名も「プリンスエンジン」。
2022年ごろの、プジョー508に搭載されていたのが最後になる、1.6Lガソリンエンジン。モーターのようにクオーンと澱みなく回るエンジンで、フラッグシップへの搭載も頷ける出来。まあ、初代の308にも乗っていたんだけど、そのあたりは前章のとおり、ですね(笑)
プジョーはプリンスエンジンの共同開発によって、BMWの技術力の高さを学んだと言います。対するBMWは、プジョーの量産化技術を学んだワケです。お互いの得意分野が、お互いの役にたつ。素晴らしいことです。我が社もそういう意欲的なこと、やって欲しいなあ。
歴史の長い20Xシリーズにもプリンスの血
もうひとつ、これも同じ「プリンス」絡み。日本のとある自動車メーカーがプジョーのエンジンを参考にした、という話です。時は第二次大戦前。まだ日本の自動車会社が芽生え始めるかどうかのころ、日本にプジョー202がやって来ました。
その車を手にしたのは、石橋正二郎氏。タイヤで有名なブリヂストンのオーナーです。石橋氏は欧州に渡航する知り合いに、一番売れている車を買ってきて欲しいとお願いしたそうです。では、なぜタイヤ屋さんがエンジンと関係するのか?
それは石橋氏が、後のプリンス自動車となる富士精密機器のオーナーであったからなんですね。当時の主力車種プリンス・セダンには、プジョー202に搭載されていた1.2LOHVエンジンを1.5Lへ拡大したものが搭載されていたと言います。
このエンジン、後のスカイラインなどにも搭載されるのですが、高級車は偏りすぎたプリンス自動車が日産に吸収されるのは、みなさんご存知の通り。プリンス店、レッドステージ店を経て、プリンス自動車という血は薄まりはしましたが、ネアンデルタール人くらいは遺伝子が残っているのかも。
プジョーとプリンス、フランスとに日産。これは切っても切れない何かの縁なのかもしれません。
パワーオブチョイスを声高らかに…その主張の原点は?
プジョーの長いディーゼルの歴史
プジョーのラインナップを見て、他の自動車メーカーとの違いを見出すのに、あまり時間は必要ないことでしょう。プジョーのエンジンは車の特性に合わせて選択されてはいるものの、バリエーションが多いわけではありません。これは先ほどお話しした通りですね。
- 2Lディーゼルエンジン
- 1.5Lディーゼルエンジン
- 1.6Lガソリンエンジン+プラグインハイブリッド
- 1.2Lガソリンエンジン
- 電気自動車
もし、トヨタが同じようなラインナップだったとしても、エンジンの選択幅はもう少し多いはず。プジョーのエンジンラインナップが、とてもシンプルかつ、なんだかディーゼル過多になったのは、なぜなのか?
それは、プジョーが「フランス最初の量産ディーゼル車メーカー」だから。プジョー403には、1.8Lで48psを発揮するディーゼルエンジンを搭載。もともとディーゼルエンジンの試作はされていたものの、量産車として搭載されたのは403からのようですが、これがヒットとなり、ヨーロッパにおけるディーゼル車のパイオニアとしての地位を確立したそうです。
早くからEVに着目!プジョーの先見の明
さらには、早くから電気自動車の開発も。プジョーVLVは、12Vバッテリーを4つ搭載し、最高時速36km/h、最大航続距離80kmという、ちょっとビックリなマイクロカー。1942年に製造されました。ドイツによる占領の中で、民間人への燃料統制の抜け道として製造されたVLVですが、結局は製造禁止の憂き目にあいます。
この時、フランスの他の自動車メーカーはビックリ!電気自動車なんて考えもしなかったそうで、戦時中にヒッソリと抜け道をさぐるプジョーの鋭さが、きっと今のE208やE2008などのEVにつながるのでしょう。
様々なパワーソースを開発し、世界の自動車開発競争に生き残ったプジョーに流れるのは、世界最古の量産自動車会社の字名が表すとおり、パイオニア精神なんじゃないかな?少し強引かもしれませんが、そう思わせるパワーオブチョイスのエピソードを紹介しました。
トラブル?あるある!でも楽しかった!
私の愛車プジョー308SWは、やはりトラブルはありましたね。前輪のセンサー不良でオフ会に出られないとか、センターディスプレイが消えてバックモニターが使えないとか、高速道路でブルブル震えるとか。
手放してしまった今となっては、楽しい思い出ででしかないんですが、所有中もそこそこ幸せだったのは、プジョーの歴史があったからかもしれません。
なんというか、多少のトラブルは問題ないと言うか、可愛い子供がヤンチャしたみたいに、またやったよコイツ感でした。こんな車、今まで乗ったことありません。そしてデザイン。外車の中では安い部類のプジョーですが、デザイン力はピカイチ。
よく「プジョーやめとけ」とか検索している人がいますが、ビクビクせずに使ってみれば良いんですよ。思わずジワる素晴らしい車だと気づくはず。
そんじょそこらの外車とは違う車。たかが外車、されどプジョー車。歴史の長さも味方につけて、ぜひ楽しんで欲しいですね。