エアバッグ 安全を支えるハーモニー

車に乗る。ドライブに行く。知らない街を旅する。

車が好きな人であれば、この3つが嫌いだという人は皆無だろう。自分が選んだ車がたとえ、他人の車と比べて安かろうが小さかろうが、高かろうが大きかろうが、車が好きな人はこの回答に迷わず縦に顔をふると思う。

けれども車は危険と隣り合わせだ。人の足では作り出せないスピードを、いとも簡単に与えてくれる愛車。手に負えない速度で何かに当たったら、あなたは無事でいられるだろうか。

友人は。家族は。子供達は。

クルマを愛して、クルマを大事に考える人であれば、必ず真面目に考えるだろう自動車の安全性。事故にあってしまったあなた達を守る自動車の安全装備より、今回は「エアバッグ」について、ミニエピソードを交えながら考える。

ボルボV40で紅葉ドライブ 原村から見る南アルプス

この記事は、aboutVOLVO内「ボルボとエアバッグ 安全神話を支えるハーモニー 」を再編集したものです。

2019.12.18 初投稿

その自動車は安全か考えてみよう

ep1 日本人の一億分の三を守れるか

某国産車に乗っていたときに、考えた。この自動車は安全か。

SUVだから安全?エアバッグがついているから安心?速度の出し過ぎに注意すれば良い?

どれも正解のようで、正解ではなかった。これらは安全に対するひとつひとつのアプローチではあったものの、完全ではない。

いつも走る道に車がいなければ良い?ハンドル操作を間違えれば同じこと。

交通ルールをすべての人が守れば良い?人間は誰もが間違いを犯すもの。カーブの向こうからこちらへ車が突っ込むかもしれない。すると、途端に自動車に乗る事が心配になった。

家内一人、子供が二人。1億人日本人の中のちっぽけ。これさえ守れなくてどうするんだ。私は自動車の安全装備を重く捉えるようになっていった。

イベント写真 家族

【エアバッグ紹介】基本装備 デュアルモード・エアバッグ

自動車で最初にポピュラーになった、運転席と助手席に装備される正面衝突対応用エアバッグ。デュアルモードとは、エアバッグの膨張を2段回に制御できること意味している。

最新のエアバッグは他の装置と連動しており、衝突時にシートベルトを巻き上げることで乗員をシートに固定。エアバッグの膨張と人に加わるGをコントロールし、適切なタイミングで膨張圧を変化させることで負担を軽減している。

諸説あるが、フォードやメルセデスが早期より、高級車種への搭載を始めたとされている。

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【エアバッグ紹介】サイド・エアバッグは胸部を守る

世界初の乗用車への装備はボルボ850。ボルボは事故調査において、側面からの衝突で命を落とす確率が高いことを発見。ドア及びBピラーからの衝撃が頭部や胸部に伝わらない為のエアバッグを開発した。

サイドエアバッグは各社独自の拡張性を見せており、BMWでは衝突時に筒状に膨らみ乗員の頭部を保護するITSヘッドエアバッグ、メルセデスでは骨盤を保護するペルビスソラックスエアバッグなども発売されている。

RENAULT TWINGO COCKPIT

ルノートゥインゴのような小さいクルマにも、今や当たり前のようにデュアルエアバッグは装着される。

ep2 側面衝突の経験

気にしたのは、後部座席の乗員、つまり子供達だ。チャイルドシートにはそれなりにお金をかけたが、側面衝突対策はしていなかった。

自動車の側面衝突。私は一度、体験していた。そのとき衝突した場所はリアタイヤ付近。一歩間違えれば運転席に時速40km/hで突っ込まれるところだったが、アクセルを踏み込んで回避。だが、恐ろしい体験だった。

ウインドウは割れてしまったし、リアシートに載せておいたドリーム・キャストは目を回したようにデザインのとおり、正常に動かなくなってしまった。

【エアバッグ紹介】ニー・エアバッグは補助的なもの

主に運転席に装備される、乗員の膝を守るエアバッグ。自動車が大きく変形するとき、力を込めた脚は最後までブレーキを蹴り続ける。このとき自動車側の部品が脚を損傷しないようにと考案されたものだ。

だが、実際にはシートベルトをしっかり装着することで、必要とされない実証データも存在する。

2019年8月、米高速道路安全保険協会(IIHS)はニーエアバッグについて検証し、効果は少ない可能性があると報告している。

The presence of knee airbags did not significantly reduce overall injury risk for small or moderate overlap crash tests.

In fact, knee airbags in the small overlap tests were associated with elevated injury risk for the upper and lower tibia on the right and left sides. Knee airbags were also associated with increased injury risk for the right femur in these tests, as well as a reduced injury risk for the head.

ニーエアバッグの存在は、小規模または中程度のオーバーラップクラッシュテストの全体的な負傷リスクを大幅に低減しませんでした。

実際、スモールオーバーラップテストのニーエアバッグは、右側および左側の脛骨上部および下部の負傷リスクの増加に関連していました。ニーエアバッグは、これらのテストで右大腿骨の負傷リスクの増加、および頭部の負傷リスクの減少にも関連していました。

出典:米高速道路安全保険協会(IIHS)

ニーエアバッグは今のところ、機能性は限定的と言えるのかもしれない。

ep3 回避できない 制御不能とガラス片

車の側面衝突で危険だと感じたこと。それは、衝突の力が分散するので停止まで時間がかかることだ。

私の場合、リアタイヤ付近への衝突によって車が回転してしまった。シートベルトをしていなければ、頭を窓にぶつけてしまったことだろう。

飛び散るガラスも怖い。子供の目、耳に降りかかる可能性だってある。本格クロカン4WDに乗ってはいたが、自分より大きい車はたくさん走っている。窓ガラスに当たるという状況に変わりはない。

ならば、カーテン・エアバッグの標準装備となっている車を探そうではないか。命を優先せずに、あとで後悔するのはまっぴらだった。

【エアバッグ紹介】カーテン・エアバッグで頭を守れ

ボルボではSHIPS機能の一部として機能する、インフレータブルカーテンエアバッグ。ボルボの全モデル・全グレードで標準装備されている、窓ガラスを覆いかくすカーテンのようなエアバッグだ。

衝撃を感知すると、どのエアバッグよりも真っ先にに展開するので破片が車内に入ることを防ぐ事ができる。さらに、大きな揺れによる頭部への衝撃を和らげる効果がある。

2007年、JNCAPで行われたカーテンエアバッグの実証実験では、その効果が実証された。頭部傷害基準値(HIC)という数値で表される実験結果において、カーテンエアバッグ無しでの側面衝突試験では「8,611」。カーテンエアバッグありでは「134」。

即死レベルは「3,000」と言うから、側面衝突がいかに危険かわかるだろう。

MINI CROSSOVER ALL4 AIRBAG

カーテンエアバッグ はBピラーに装着されている。エアバッグの効果を適切に得る為に、シートベルトの上下機構のついた車を積極的に選びたい。

【掘り下げ】守るのは脳と心臓

頭部傷害基準値=HICを少し掘り下げる。

下記に、頭部傷害基準値による頭部及び脳への影響度を表として表示する。HICとは衝突や落下などによる頭部へのダメージを表した数値で、交通事故意外にも自転車の転倒、子供が遊具から落下した際の衝撃の基準値として活用されている。

この表は1995年に米国高速道路交通安全局により、実際の事故による死体の検証をもとに、頭蓋骨と脳の損傷をデータ化したものだ。

「8,611」という数値が、いかに危険なものかという事がご理解いただけることだろう。

HIC 軽度 中度 致命的
500 80% 40% 0%
1000 98% 90% 2%
1500 100% 98% 20%
2000 100% 100% 65%
2500 100% 100% 90%
3000 100% 100% 100%

出典:NHTSA(米国高速道路交通安全局)1995年6月「FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.201 標準乗員の頭部衝撃保護のため性能要件」

MINI CROSSOVER ALL4 ISOFIX

リアシートには正面のエアバッグが無い。小さい子供を守るなら、適切なチャイルドシートを選ぶべき。

ep4 守る安心は自らを正す事ができる

安全装備の充実したクルマに乗り、家族を守りながら移動できていることの幸せを感じることができた。

大事な人を大事に運ぶ。車がその意識を高めてくれた。結果的に私の運転は”より”安全運転になり、念願のゴールド免許も手に入れることもできた。その分保険も安くなった。

 

守るものがあるのなら、決断は早いほうがいい。クルマは進化を続け、思いもよらないレベルまで安全装備を増やしている他メーカーもある。

安全運転に不安を覚える時、その不安は慎重さに変わることもあれば、操作ミスの引き金になることもある。あなたの大切な人を守る為に、先進安全装備の充実したクルマを優先的に選んでいきたい。

イベント写真 家族

【エアバッグ紹介】ボルボ 歩行者用エアバッグ

歩行者用エアバッグは、自動車と歩行者とが衝突した際、歩行者への衝撃を出来るだけ少なくする事を目的として開発された。

乗用車ではボルボがV40に世界で初めて装備。

ボルボの歩行者用保護システムは2段階で動作する。

各種センサーにより歩行者を跳ねてしまうと車が判断した時、ボンネットを10cm程度跳ね上げ、硬いエンジンへ歩行者が直接当たる事を防ぐ。

さらに、ボンネットで身体を受け止められた歩行者の頭部がフロントガラスに当たる衝撃を防ぐ為、歩行者用エアバッグが展開。人を殺めてしまうという最悪の事態を回避できる確率をあげることができるのだ。

 

エアバッグは人の命の燃えた証

何度かの事故を経験し、それでも今を生きている私はきっと、幸せ者だろうと思う。

呼べばそこに大事な人がいる。

失わない選択肢を選ぼう。

私たちは、選ぶことのできる世界の人間なんだ。

高速道路を走る

ひとつ、紹介したいことがある。

今日様々な自動車に搭載されているエアバッグの原型を作ったのは、小堀保三郎という日本人だ。この方は不運にも命を自らの手で絶っている。

エアバッグを開発したにもかかわらず、どの自動車メーカーにも相手にされない。特許を得て特許料を稼ごうという会社を経営していたからか、はたまた時代の先を行きすぎたか。とにかくエアバッグが本格的に注目されはじめたのは、小堀保三郎の没後10年ほどたったあとだ。

特許の維持にはお金がかかるらしく、経営と生活に苦しんだ小堀夫妻は、無理心中を計ってしまうのだ。

 

エアバッグの目的はもちろん、人の命を守ることだ。そしてこの機能は、使われないのであれば、それに越したことはない。

しかしどんなに事故率が下がろうとも、現代を生きる私たちは、交通戦争と言われる時代に命を落とした人々の上に立っている。死に物狂いで命を助けようと尽力した人達のことを、忘れてはならない。

それが、故 小堀氏への感謝であり、すべての安全装置の開発者への尊敬であり、人の命を預かる運転手という自分への戒めになる。

どうか、危険な運転などせずに。ともに末長く、楽しく車の将来を歩んで行こう。

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