どんなクルマにも官能性能は存在する

官能的!というと、スーパーカーに乗ってビリビリしちゃうとか、セクシーな男女を見て身震いするとか、一般的には得られない体験をしてしまった時に感じる電撃的ショックのことを言う。

 

クルマの誌面でよく見るのは、甲高いエンジン音、地面に吸い付くような空力特性、表情豊かなフットワーク。とりわけ秀でた性能は、重力加速というベクトルを伴い官能的と書いてある。なるほど、人として得られる力を超えて辿り着いた世界には、生物的な身震いを感じる。官能という例えはきっとピッタリなのだろう。

 

でもこれって、普通の車では感じない事なのか?

 

Peugeot 208

 

恥ずかしい話だが、私はクルマのことを多くとりあげるブログを書いてはいるけど、あまり試乗にはいかない。気になるクルマは沢山あるが、試乗に行くくらいであれば、ドライブにマイカーを連れ出したいと思っている。

 

おかげで、クルマを比較した記事は書けない。その分愛情込めた記事が書ければ良いと思う。相対評価より深耕評価。深く味わうことに意義を見出す。(試乗ブロガーさんを否定するわけではありませんよ!)

 

人が人を好きになるように、自分に合うパートナーを選ぶように、深く愛せるクルマがあるなら、そこに官能的という表現しても良い何かはあるのではなかろうか。

 

Peugeot 308SW

 

VOLVOに11年、Peugeotに1年(笑)を過ごした輸入車生活。それまで乗っていた日本車と比べると、クルマの雰囲気は明らかに濃い。ムンムンするようなクルマの匂いは、車好きから輸入車好きに人を変えるには充分だ。

 

プジョーのステアリングを握っていると、管楽器のようなエンジン音も、深く沈むサスペンションも、いつでも私をご機嫌にしてくれる。やっぱりプジョーって、良い。素直な応答性もニュートラルステアも、長い Peugeot 308SW や大きな Peugeot 3008 でもやってのける。シンプルで真似のできない 308 のダッシュボードも良いが、複雑な造形なのに安心感を得られる 508 のインテリアも素晴らしい。

 

プジョーは、コスパの高さが信じられない。

 

プジョー 508SW ボンネット

ボルボV40と紅葉

 

ボルボの時はどうだったっけ? VOLVO V50は北欧チェアのようなセンターコンソールパネルを愛でてるだけで幸せだった・・・いやいや、直列5気筒エンジンは不思議な音を奏でるマルチシリンダーエンジンで、むしろこのクルマのおかげで、私は輸入車生活に引きずり込まれたのだ。

 

VOLVO V40はD4を選んだおかげで、「ドッカンターボ」一色だった。T3やT5なら、軽快な鼻先をフリフリできたに違いない。ただ、400Nm もの大トルクで、急な坂道を低回転で駆け上がるのは、重力を無視しているようで愉しかった。鮮明に目に焼き付く、パッションレッドも自慢だった。

 

しかし、VOLVO は色々触った中では、VOLVO V60 が愉しかった。エクステリアは惚れ込めるし、インテリアに不満は無い。ときどきシフトレバーの位置が高いという評価を見るが、高いほうがスポーティで私は好きだ。350 Nm のエンジンが、思ったよりも軽くって、ディーゼル搭載 V40 よりカーブが楽なのも幸せだった。

 

ボルボ納車式
贅沢に縦に置かれたセンターディスプレイ、少し高い位置に置いてレバー感を演出するシフトレバー。VOLVO V60のインテリアは、官能を感じることに拍車をかける。

 

ではこれらの中に、心を震わす感動はあっただろうか。

 

この問に対しては、少なくとも私には、あったのだと言いたい。官能は個人的な感じ方にバラツキがあるから、すべての人が同じように思うかはハテナがつく。でも、必ずある。

 

Peugeot 308SWなら、今の愛車だから、色濃く語ることができる。

 

Peugeot 308SW in 三浦半島

 

好みのステッチで彩られた車内に心がときめいて、他のクルマでは見たこともない造形かつ、シンプルなボタン配置のダッシュボードに笑みを浮かべる。美しく長いボディは、前後の重量バランスの絶妙なバランスで、1名乗車でのキレの良いフットワークはたまらなく楽しくなる。過剰にならないスペックのエンジンと相まって、クルマのトータルバランスの高さを感じる。

 

このクルマで街中を走ってみれば、直進も交差点もワクワクする。スピードを出さなくとも、クルマの愉しさを感じ取れる。美しいシルエットを思い浮かべながら、自分の操作するクルマがブレること無く車線の中を走り抜く時は本当に気持ちがよくて、ゾクゾクする。最高だ!と心が震える。

 

Peugeot 308SW Cockpit Photo
エロい角度(笑)みなさんも是非、この角度で写真を撮ってみて欲しい。ダッシュボードの造形美もシートの美しいステッチも、すべてをフォトフレームに入れることができるんだぞ!

 

クルマにはそれぞれ個性があって、その個性が際立っていて、運転する人のハートをつかむ。私はプジョーに乗っていても、ボルボに乗っていたときも、いつでもクルマを眺め、ニコニコワクワクしていたんだ。この感覚は、官能といってもおかしくはない。そしてこの官能は、クルマの動きのみならず、インテリアもエクステリアも含んで言えること。

 

気づく事がある。官能性能とは、期待を超えること、世界を変えること。

 

試乗の時は、クルマの良さは完全には見えていない。手荒に振り回すことも出来ないし、高速道路も山道も走ることは叶わない。慣らし運転が終わるまでは、性能も引き出せない。ひとつのクルマに乗り続けることで、そのクルマの目指す世界が見えてくる。

 

ドキドキ、ワクワク、ゾクゾク。

 

自分が最初に抱いた感覚を超えた性能を発揮して、クルマの開発者が目指した世界を垣間見た時、そのベクトルが自分にフィットし、感動を覚えたなら、これを官能的だと言うことは、誰にも否定されるものであってはならないのだ。

 

プジョー3008 フロント

 

クルマは、触る人の好みだとか、クルマへの見方によって、評価が変わる。沢山の人に支持されるくるまは正義かもしれないが、クルマとフェーズをあわせて官能を味わえば、ドライバーと自動車の歯車が噛み合えば、それこそ幸せなことであるし、そのクルマの存在理由となるだろう。

 

ハイ・パフォーマンスカーでなくても、高額輸入車でなくても、軽自動車であったとしても、官能性能は存在する。その細く狭い意思を汲みとって、愛車だと主張したい。そう言い切って、今回は終わりにしたいと思います。

 

 

追伸 考えてみれば、クルマの所有を幸せだと感じる描写をすること モーター・アーツの記事で目指したことでした。読んでいな方は、ぜひお試しを。次はどのクルマで、モーター・アーツを書こうかな。