ボルボ・ディーゼルを中古で楽しめ!メリット・デメリットを詳しく解説

ボルボの中古車を探していると、ディーゼルモデルがあることに気づくはずです。あぁ、そういえば「第三のディーゼル」なんていうキャッチフレーズ、あったなあなんて感慨深くなる人も多いのではないでしょうか。

 

スペックを見てみれば、もう少しで 10年は経とうかというモデルであるにもかかわらず、燃費は現在のハイブリッド並に良い数値が。軽油はお財布に優しいし、輸入ディーゼルなんて乗れるのは最後かもしれない・・・ここは一丁、スウェーデン発の高級車ボルボのディーゼルを試してみようか。でも、うるさくないの?故障しないの?と不安になる方も多いハズ。

 

そんな方の為に、ボルボ歴13年、ボルボディーゼル歴では4年目、プジョーディーゼル歴3年、そして和製ハイブリッドと環境エンジン車を乗り継ぐ私が、昔、熱狂的ファンを産んだボルボ・ディーゼルについて、徹底解説いたします。

 

 

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ボルボ・ディーゼルに後悔!? デメリットは主に重さだ

どんなに良いぞと言われても、後からデメリットを聞くと購入をためらってしまいますよね(笑)。というわけで、ボルボ・ディーゼルのデメリットからお話してまいりましょう。

 

ボルボのディーゼルの大きいと言われるエンジン音は案外気持ちいい

VOLVO V40 D4 フロント側の写真

 

運転席に座り、エンジンスタートスイッチを押すと、ドロロン!とエンジン音が鳴り響く。中古の玉数の多い VOLVO V40 D4 は、もしも高級車に静けさを求めるのなら、気にしておいたほうが良いでしょう。というのも、発売当時は比較的煩くないと言われていたボルボ・ディーゼルですが、太くて低い低音は煩わしく、アクセルを踏んでいる最中は助手席に座る人と会話が成り立たないこともしばしばでした。

 

ただし、ボルボ・ディーゼルのエンジン音は、実はなかなか気持ちいい。ガラガラという独特の乾いたディーゼル音は、やっぱり日本車離れしています。某国産車のつまらないエンジン音よりも、数倍楽しい音色です。アクセルを踏み込み、「ドゥルルルル」という力強くもジェントルな音には病みつき。D4 エンジンの 400Nm 大トルクは、はっきり言ってスポーツ・エンジンです。

 

ちなみに、アイドリング・ストップでエンジンが停止すると、車の中は静かになります。このギャップはちょっと辛かったかも。時速 30km/h も出せば、エンジン音は随分静かになるから、「音」については甲乙つけがたいと思います。(アイドリング・ストップは解除できないのが辛いですが。)

 

ボルボのディーゼル車はカーブは曲がりにくくなるが直線は走りやすい

VOLVO XC60 のフロントマスク

 

ガソリンエンジンに比べてどうしても重くなるのは、ディーゼルエンジンの宿命ですね。大きな爆発に耐えられるように、ガソリンエンジンよりも丈夫にできているから、仕方がないと諦めましょうか(笑)。

 

俗に言われる「フロントヘビー」。同じボルボのT3グレード(1.5L ガソリン・エンジン)やT5(2.0L ガソリン・エンジン)と比べれば、カーブは確かに曲がりにくい。アンダーステア(カーブの外側に膨らむような感覚)も大きめ。

 

けれども、フロント・ドライブ(FF車)として欧州でも早めに切り替えたボルボだから、あまり気にかける必要はないと思います。なぜかと言えば、この動きは人の感性と合致するから。慣性が(ダジャレではないぞ)効いているから、車がカーブの外に出ようとするのは当然・・・なようにセッティングするのは、安全を意識しまくるボルボならでは。

 

ちなみに、直線の安定性は素晴らしい。どっしり落ち着いているので、人間工学に基づいて開発されたシートも相まって、どこまでも走っていけるぞ。

 

ボルボディーゼル最大の弱点 レスポンス不足で山道は多少疲れを感じる

VOLVO V40 Inscription

 

ここは、正直に言って、アクセルレスポンスはガソリンエンジンに劣ります。先程スポーツエ・ンジンだと言い切ったが、実は少しジェントル寄りなんですよね。

 

一般道などの負荷の少ないエリアにおいて、ガソリンエンジンに比べてほんの少し緩い出力特性は、ほぼ気になりません。けれども、山道ではやはりマイナス。急なコーナーでエンジンから足を離せば、次に踏み込んだときには大きなトルクがガツン!と身体に響く。タイムラグも少しある。私はここが辛くって、VOLVO V40 D4 の次に選んだのは 1.5L ディーゼル・エンジンの Peugeot 308SW でした(笑)

 

まあ、ブイブイ走りを堪能したい人だけが気にすれば良いのですけどね。それに、もしもキレの良いエンジン出力が欲しければ、①ドライブモードを変える(無料) ②ポールスター パフォーマンスパッケージを導入する(有料) と選択も残されています。(ポールスターパフォーマンスパッケージの販売は正規ディーラーに要相談。)

 

ちょっと怖い?ボルボ・ディーゼルはエンジンブレーキの効きが悪い

ガソリンエンジン車から乗り換えると、エンジンブレーキの効きの悪さにビックリすることがあります。下り坂なんて、けっこうブレーキ踏まないといけないことも。気をつけないと、簡単にレブリミットを超えてしまいます。

 

この理由、私の乗っていたV40のディーゼルエンジンにはスロットルバルブがなく、負圧を発生させられないためでした。最新(?)のボルボ・ディーゼル車には、機械で負圧を作り出す機構を持つものもあるようですよ。

 

volvo v40 大鹿村のカーブに挑む
長野県大鹿村の下り坂&カーブに挑む、VOLVO V40 D4。いや、このカーブはどんな車でも曲がりきれない・・・とにかく、下り坂のカーブでは気を使った車でした。

 

ボルボ・ディーゼルのメリット 特筆は経済性と大トルク!

先に紹介したデメリットをしっかり受け入れられれば、あとは嬉しいメリットばかり。お財布にも優しい(^^)

 

注目はやはり、大きなトルクを活用した低燃費走行、それに迫力の加速です。各社ディーゼルエンジンには、250Nm前後という控えめなトルクのものも散見するが、ボルボのディーゼルは400Nm以上。燃費と加速で2度美味しいのは言うまでもありませんね。

 

ディーゼル車の燃費と軽油代の安さのコラボはマジで凄い

ボルボV40とガソリンタンクみたいな写真

 

ハイオクガソリン170円時代において、軽油はたったの140円。ハイオクガソリン130円の時は、軽油は100円でした。満タンいれても5,000 円以上払ったことはありませんでしたね。いい時代でしたね・・・

 

石油代があがったとて、税制の優遇により、やはり軽油はガソリンより安い。この恩恵は絶大なのですが、燃費向上とのコラボレーションでランニング費がさらに凄いことになってしまうんです。はっきり言って、燃料に関係する維持費は直列5気筒ハイオクガソリンモデルの半分以下。和製ハイブリッドとも良い勝負。

 

下記表をご覧ください。私が所有していたV50(2.4L直列5気筒ハイオク)とV40 D4(2.0L直列4気筒ディーゼル)の、街中でのおおよその燃料費の目安です。旧式のボルボと新型とで比較すれば、一目瞭然。

 

V50 vs V40D4 燃費比較 V50 2.4 V40 D4
実燃費 8km/L 14km/L
1Lあたりの燃料費 170円 140円
1kmあたりの燃料費 21.25円 10.00円

 

さらに、私が V40 のあとに乗り継いだ2台とも比較してみましょう。最新のエンジンにも引けを取らない!

 

まこまちの愛車 燃費比較 CIVIC 308SW V40 D4
実燃費 19km/L 17km/L 14km/L
1Lあたりの燃料費 160円 140円 140円
1kmあたりの燃料費 8.42円 8.23円 10,00円

※ CIVIC e:HEV はレギュラーガソリン 実燃費は神奈川県川崎市(激混み地区)での実績

※2024年6月 燃料費高騰の為 表を更新致しました

 

ボルボのディーゼルの高速道路燃費は本当に良い

高速道路を走る

 

もう一度言いましょう。燃費は本当に良い! そして、高速道路では恐ろしく良い! たぶん、これだけはプリウスにも負けないはずです。

 

私の所有するボルボV40は20km/L、V40 CrossCountryで21.2km/Lという、軽自動車もびっくりなカタログ燃費。(ともにJC08モード燃費。)そして、期待を裏切らない高速道路実燃費!瞬間燃費計は25km/hを簡単に超えます。

 

まこまちの愛車 高速道路燃費比較 CIVIC 308SW V40 D4
実燃費 22km/L 21km/L 19km/L
1Lあたりの燃料費 160円 140円 140円
1kmあたりの燃料費 7.27円 6.66円 7,36円

 

ご覧の通り、ハイブリッドモデルは高速道路は思ったほど燃費は伸びず、ディーゼルの追い上げが凄まじいのです。

 

以前ロングドライブを試したいからと伊勢神宮に行ったことがありますが、神奈川県(当時の住まい)〜伊勢神宮〜長野県諏訪市〜神奈川県川崎市を、無給油周遊。こいつにはちょっと、嬉しビビリしましたね。(怖いから一応一度給油はしたけどね 汗。)

 

ボルボ・ディーゼルの加速は独特の気持ち良さ

先ほどエンジンのピックアップが遅いと言いましたが、ディーゼルならではの低回転で粘りには独特の楽しさがあります。それは、1,000rpm以下から大きなトルクで加速していく、ガソリンエンジンでは味わえないエンジンの力強さです。

 

自然吸気で言えば4リッターエンジン並の 400Nm の大トルク、そしてこの高出力をタイヤへ伝えるのは、アイシン製8速AT(和製!)。最大トルク発生域が 1000 rpm 〜 2000 rpm というボルボ・ディーゼルの弱点を、うまく包み隠してくれています。

 

1000rpmくらいでゆっくりアクセルを踏み、シフトチェンジせずに加速。エンジンを回さなくとも加速する時の快感、ディーゼル・ターボならではなんですよね。

 

VOLVO V90
美しいシルエットを纏う、VOLVO V90。一生、目に焼き付いて離れない車じゃないかな?ディーゼル車はXC60、V90のみ、ディーゼルを継続販売していました。

 

ディーゼル・エンジンの将来

と、良いことづくめのように紹介しましたが、結局一番気になるのは将来性。車が無価値になると最悪ですね。

 

以前、このインポーターのおエライサンが公式に「将来ディーゼルは売れなくなる」と言っていました。実際、ボルボはディーゼルエンジンをラインナップしなくなり、2024年3月に生産も終了。しかし、走行中のCO2排出量で言えばガソリンエンジンよりも少ないわけだし、ここ数年も世界では、EV一辺倒から直列6気筒エンジンの新開発を経て、ハイブリッドを見直す動きも出ています。

 

そもそも、世界の自動車がEVになったら、電力が大変なことになります。もうしばらくは、内燃機関が燃費改善を頑張らなければならない時代が続くんじゃないかな、と思いますね。

 

VOLVO V60CC
割り切りというか、判断が早いボルボ。ディーゼルの導入は一斉だったが、終売も一斉だった!? 小規模メーカーならではの判断の速さ。念の為かジーリーはエンジン開発を続けています。

 

それに、やはりパワーソースの先行きはわからないのが、各メーカーの実情でしょう。メルセデス・ベンツやマツダは、6気筒エンジンを新開発。ボルボの親会社ジーリーにしても、他メーカーと組んで内燃機関部門を立ち上げたりしているのです。

 

実は、欧州ではエネルギー不足の観点から、EVではなくハイブリッドカーを見直そうかという風潮が出てきているようです。私はこれは、代替燃料の目処が立ちそうなことを表しているんじゃないかなと勘ぐっています。世界で見ると、アウディは代替燃料開発に意気込んでいますし、日本ではユーグレナが開発を長く続けています。ジェット燃料が作れるところまで技術はあがり、あとは効率よく生産できるかに、さしかかっています。

 

欧州メーカーたちは、EV勢を一旦排除し、その後再びEVが一番と言い出すんじゃないか・・・エネルギー論争からは、目が離せませんね。

 

ボルボのディーゼルエンジン 性能曲線

VOLVO V40 朝焼け

 

最後に、ボルボのディーゼルエンジンに関する情報を記載しておきます。日本に輸入されるボルボ・ディーゼルは、2種類がラインナップされていました。

D4エンジン搭載 V40 / V60 / XC60 / V90

出力 190ps トルク 400Nmを達成するボルボクリーンディーゼルエンジン。高燃費と高出力を両立している、ガソリンエンジンでは味わえない美味しいエンジンです。ディーゼルにつきもののアドブルーが不要なのも良いですね。

volvo-engine-paformance-d4204t14

● D4 D4204T14エンジンの性能曲線 aboutVOLVO時代の独自研究資料です

注目は、1000rpm付近でも発生する240Nmのトルク。そして1800rpm〜2400rpm付近で発生する、最大トルク400Nm!これだけ太いトルクが手元にあると、運転が楽でしかたがない。

 

D5エンジン搭載 XC90

特殊なターボブースト機構「PowerPulse」を装備しているディーゼルエンジンで、日本では XC90専用品です。最大出力235ps、最大トルク480Nmと、ボルボで一番重量のある車を動かす為の最強の心臓部。

volvo-engine-paformance-d420t2

● D5 D4204T23エンジンの性能曲線 aboutVOLVO時代の独自研究資料です

D4にプラスすること80Nmの最大トルク。重量2090kgを誇るXC90 D5を動かし、WLTCモード燃費13.6km/Lを発揮する。まだまだ燃費でプラグインハイブリッドには負けない高燃費を叩き出す。ディーゼルエンジンに負けないような、電動化モデルも待ち遠しいですね。

 

ボルボ・ディーゼルでトラブルに合わないために

ボルボXC90インテリア

 

どんなに良くできた車であっても、故障するようじゃ仕方がありません。かくいう私も、VOLVO V40 D4 では O2センサーのトラブルが発生。リコール対象となってはいましたが、中古車で選ぶ場合は、措置が完了しているか確認してから購入しましょう。

 

ボルボ・ディーゼル車の故障トラブル O2 センサー(煤がつく)

排気ガス中の酸素濃度を見ているセンサーで、排ガスをクリーンに保つために必須なセンサー。このセンサーの情報により、燃料の濃度を調整しているそうですよ。

 

排ガスをセンサーしているので、どうしても煤がたまります。計測できなくなると、コックピットのインフォメーションに(!)のエラーが点灯。ディーラーで清掃してもらいましょう。

 

ボルボ・ディーゼル車の故障トラブル EGR(煤がつく)

やはり排気系の部品で、EGR(排気ガス再循環装置)に煤が溜まってしまうそうです。こちらもリコール対象ですね。

 

排気ガスの冷却方法が不適切なため、排気ガス中の煤が湿気を帯びることがあり、エンジンの吸気バルブに蓄積してエンジントラブルを発生させるそうです。O2センサーとあわせて、アドブルー対応車であればこのようなトラブルにはならなかったのでしょうけれど・・・おサイフに優しいのは嬉しいですが、点検は欠かせませんね。

 

ボルボの中古車を買うなら 専門店かディーラーで!

輸入車、ディーゼル車、販売終了車・・・と、買うのを躊躇うようなフラグばかりのボルボ・ディーゼル車ですが、準プレミアムからプレミアムへの過渡期に発売されたこれらの車は、今のボルボとは違うデザインテイストで魅力がありますよね。

 

楽しいカーライフを過ごす為に、車選びで妥協してはいけません。それでも、安物買いの銭失いは避けたいところ。鉄則は、ディーラーか専門店で購入することをオススメします。

 

専門知識の無い中古車屋の車は安く売られていると思いますが、トラブル対応に自信が無いため、保証はせいぜい3ヶ月。一方、正規ディーラーは情報豊富だし診断ツールもあるので安心ですし、専門店は独自の保証をつけてくれる場合があります。多少高くっても、安心できるところでボルボを買うべきですね。

 

ボルボ・ディーゼル搭載車

ボルボのディーゼルエンジン搭載車は、以下の表のとおり。

 

モデル/グレード JC08 燃費
VOLVO V40 D4 Kinetic 20.0km/L
VOLVO V40 D4 Momentum 20.0km/L
VOLVO V40 D4 Inscription 20.0km/L
VOLVO V40 CrossCountry D4 Kinetic 21.2km/L
VOLVO V40 CrossCountry D4 Momentum 21.2km/L
VOLVO V40 CrossCountry D4 Summum 21.2km/L
VOLVO S60 D4 SE 20.9km/L
VOLVO V60 D4 Tack 20.2km/L
VOLVO V60 D4 SE 20.2km/L
VOLVO V60 D4 R-Design 20.2km/L
VOLVO V60 CrossCountry D4 SE 19.5km/L
VOLVO XC60 D4 AWD 16.1km/L
VOLVO XC60 D4 AWD Inscription 16.1km/L
VOLVO XC60 D4 AWD R-Design 16.1km/L
VOLVO V90 D4 Momentum 16.2km/L
VOLVO V90 D4 Inscription 16.2km/L
VOLVO V90 CrossCountry D4 AWD 15.9km/L
VOLVO V90 CrossCountry D4 AWD Pro 15.9km/L
VOLVO XC90 D5 AWD Momentum 13.6km/L
VOLVO XC90 D5 AWD Inscription 13.6km/L

XC60はなかなか大きいSUVだが、16.1km/Lという高燃費を達成しています。また、モデルサイクル途中でアドブルー対応車に切り替わっているようです。(2020年には切り替え済み)

 

(2020年1月 monogress 調べ)

ボルボディーゼルはまだまだ使える

VOLVO V40 大町にて いつまでも走り続けるボルボの図

 

この記事で、少しでもボルボ・ユーザーが増えれば幸いです。私はすでにボルボを降りてはおりますが・・・

 

ボルボはディーゼル・エンジンをいち早く切り捨て、EVに注力しました。それは会社規模が小さく、選択と集中をしなくてはならないからだったのですが、華々しくデビューしたのが2014年頃で、その2年後にはディーゼルを辞めると言い出しました。軽くショックだったことを覚えています。

 

でも、まだまだ日本の中古車市場には、ボルボ・ディーゼルが残っています。新車を作ることよりも、中古車をメンテナンスして乗るほうが、遥かにCO2の排出は少ないはず。せっかくですから、大トルクを持ち、燃費がよく、CO2の排出量も少ない。至れり尽くせりディーゼルエンジンに乗ってみましょう。

 

きっと素晴らしいボルボ・ライフを送ることができますよ。