【迎春】なぜ車の「走り」は私達を魅了するのか(ホンダ・プジョー・ボルボ限定)

2025年、明けましておめでとう御座います。今年も monogress は、車好きの心に沁みるようなコラムを書き続けていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

ーー なぜ車の「走り」は ーー

ーー 私達を魅了するのか ーー

 

運転席に座り、エンジンをかけた瞬間に、私達はその車が、自分の延長線上にあるような感覚を得る。アクセルペダルを踏み込むために従順に自分の意志に従うそれは、時には大胆に、時には感動的に己の意思に応えるのだ。そんな車の「走り」に、私達は魅了させられずにはいられない。

 

車は単なる移動手段には留まらない。流れる景色は日常を描きかえ、走ることそのものが目的になることもある。日常の中で得られるわずかな開放感は、わたしたちの心を動かす特別な瞬間なのです。

 

というわけで、2025年新年最初の monogress の記事は、「走りに魅了される」事実について、主にホンダ・プジョー・ボルボでの経験をもとに、楽しく感動的に紐解いていきますよ。

 

 

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車の走りの魅力:五感を刺激する体験

走りの魅了を語るうえで欠かせないのが、五感を通じて感じる体験です。ステアリングを切るたびに感じる路面からのフィードバックや、エンジン音が加速とともに高鳴る瞬間。それはただの物理現象ではなく、心の奥に直接働きかけてくるのです。それはまるで、優等生の委員長が目の前を横切ったときの残り香のように、感情に突き刺さる。

 

今の愛車 HONDA CIVIC e:HEV はまさにコレで、スッキリとしたステアリングフィールであるにも関わらず、路面のインフォメーションも適度に伝えてきてくれる優等生っぷりと、ハイブリッドとは思えないエンジン音の演出には、魅了されずにはいられませんでした。HONDA ZR-V や Volkswagen GOLF のそれぞれの魅惑を置き去りにし、「爽快」を提供してくれる CIVIC e:HEV を買ってしまった事については、若干反省しております(笑)

 

HONDA CIVIC e:HEV
HONDA CIVIC e:HEV(FL4) 315Nmのモーターの為に充電に身を捧げるエンジンは、そのサウンドで私達を魅了する。

 

HONDA FLCエンジンの咆哮はなかなかのもので、耳から入るエンジンサウンドはついつい気持ちを昂らせる。そういえば、とある保険会社がイタリアのスポーツカーとドイツのリッターカーの音を男女に聞かせたとき、スポーツカーでは全員、テストステロン(男性ホルモン)の値が大幅にあがったそう。だから、ドイツのポルシェはできる限り、人とエンジンを近づけているのかも。

 

PORSHCE 718 Boxster GTS リア側の形状
PORSHE 718 Boxter リアに積まれた水平対向エンジンの咆哮に酔いしれる贅沢は、所有したものにしかわからない。

 

スポーツエンジンの回転数がグングンと上がり、車に緊張感が漂ってくると、その先にある景色の素早い移り変わりを期待してしまう。それでもなお、許容する車の才能にも期待してしまう。勉学に励み、その答えを得るには長い時間がかかるのだが、車の加速は、感覚はそれをすぐに届けてくれる。だから車が伝えてくる「感覚」は、人を車の虜にするのでしょうね。

 

車の走りの魅力:技術は感情を後押しする

車の進化は、日進月歩。目に見える進化もあれば、日の目を見ない進化もある。それらは、ドライバーへの感覚のフィードバックの為であったり、燃費や安全性能の為であったり、様々です。トレンドに沿って味付けされている場合もあり、それを感じ、読み解くのもまた、車に魅力を感じる要素です。それはまるで、優等生の委員長がつくった卵焼きの一欠片を頂いたときの、美味いを通り越した感情に似ているのだ…

 

例えば、HONDA CIVIC(FL)は、フロントサスペンションのサブフレームのリアメンバーにアルミを使用し、軽量化とサスペンション支持剛性を高めています。さらには低フリクションパーツを多用し、上質かつスッキリした乗り味を実現。この事実を知りながら走りを堪能すれば、その箇所が効率的に動いていると感じることができるはずで、愛車の魅力をグッと引き出し、堪能できるというもの。

 

CIVIC FL1 横からの眺め
HONDA CIVIC FL1 軽量化されたファミリー・スポーツ・セダンは、そのフットワークで追従を許さない。

 

さらにホンダで言えば、ハイブリッド技術である「e:HEV」は、ハイブリッド=走りのつまらない車という方程式をぶち壊した、エポックメーカー。リニアシフトコントロールによるエンジン音の階調は、そもそも気持ちの良いエンジンを作るホンダだからこそ編み出せた技術で、トヨタTHSには無い魅力。これに惹かれない車好きは、いないでしょう?

 

娘ちゃんのフィットクロスター in 長野県松本市
HONDA FIT CROSSTAR にも搭載される、HONDA e:HEV ハイブリッド。静かな走りはBセグメントの最上位を我がものとする。

 

そういえば、足回りで定評のあるプジョーにおいて、Peugeot 3008 はリアサスペンションをトーションビームとしながらも、シットリとしつつ軽快な足さばきに「コレほしい!」と思わせるものでした。特に、「トーションビームという、一見ローテクながら、ダブルウィッシュボーンのように靭やかで正確な足回り」という技術的なコダワリには惹かれるしかなかった。

 

Peugeot 308 and 508 and 3008
Peugeot 508 / 3008 / 308 は、足回りもさることながら、デザインを含めた車の完成度に驚きを隠せなかった。

 

そして、やはり私がプジョーでイチオシするのは 1.5L ディーゼルエンジン。300Nmのトルクと低燃費を両立するほか、官能的なエンジン音を軽油で楽しめる・・・! この魅惑だらけの DV5ディーゼルエンジンには、プジョーの底力を感じずにはいられません。

 

私達車好きは、それなりの対価を支払って楽しそうな車を選びます。数万点の部品の組み合わせを、やはり味わいたい。車の走りの技術を知ることで、その車についての知識が深まり、満足感を得るのです。

 

車の走りの魅力:走りの意外性は魅力への架け橋

まさか、この車がこんな性能を発揮するなんて・・・!という意外性は、意外なほど人を虜にするものです。(ダジャレじゃないぜ。)学級委員の隠されていた秘密を暴いたときの、反省感を持ちつつも惹かれていく心理のように、人は思ってもみなかった事実を眼の前に曝け出されると、目を背けられなくなるもの。

 

私の中では、ボルボがそうでした。高い安全性能や、のんびりした走行性能で誌面を賑わしていたボルボは、実は強力な心臓の持ち主だった・・・私も手にした 400Nm の大トルクエンジンは、羊の毛皮をかぶった狼のごとく様々な日本車をビュンビュンと追い抜かす。これが気持ちよくて堪らなかった!

 

VOLVO V40 D4 フロント側の写真
VOLVO V40 D4 に搭載された、400Nm のディーゼルエンジンは、フロントヘビーというストレスを打ち消す加速の楽しさを味あわせた。

 

最新のボルボのEV、EX30も、後輪駆動の 272ps モーターを搭載。そういえば、ボルボは昔からスポーツモデルを欠かさずに用意していた。この、安全に執着した優等生でありながら、暴力的な走りの楽しさを忘れないところに、結構惹かれたりするんですよね。

 

VOLVO EX30 リアからの全身像
343Nm のトルクを後輪で駆動する、VOLVO EX30。次はEVを狙いたい私にとっても、魅力的なプロダクトだ。

 

そのくせ(?)荷物もたくさん載せられるユーティリティの高さも、ボルボの魅力。今、円安の影響を劇的に受けすぎていて、なかなか買おうとは思えないけれど、ベルギー産になって円安も解消して価格も熟れたら、次期愛車の有力候補。やっぱりもう一度ボルボに乗りたいと思わせるのは、このイビツなデコボコ性能のせいなのでしょうね。

 

VOLVO V60CC
優雅に、大胆に路面を駆ける VOLVO V60 クロスカントリー。デザイン+大トルクは、実はボルボの十八番なのだ。

 

意外性は、ある意味裏切りと捉えられますが、例えば気になる異性からの裏切りが好印象なものであったなら、その人の魅力は増してしまうもの。これは車にも言えることなのかもしれません。

 

車の走りの魅力:一体感と制御感

人馬一体というように、自分のコントロールに忠実に動く愛車は、とても愛しい。右足に忠実に加速する様は、自分の足が早くなったような錯覚に陥ります。フットワークが良ければ、運動神経が良くなった気さえしてきます。まさに、「手足のように動く」ことは、一体感となって走りの魅力に繋がるのです。

 

例えば、人馬一体といえばマツダ・ロードスター。同じ血統の mazda 3 も、上質にコントローラブルで乗って帰ろうかと思うほどの出来の良さでした。しかし、すべてが「一体感」だけで片付くかと言えば、そうではない。確かにスポーツカーなら、人馬一体で良いかもしれない。けれども、そうではない走りの魅力もあると私は考えています。

 

mazda3 リアから見たボディサイド
見るからに凝縮感あふれる mazda 3。そのボディの強靭さは、走りにも現れる。

 

それは、「制御感」。特に、大型でボンネットの大きなクルマで体感できますが、自分よりも遥かに大きなクルマを、上手に制御している感覚というのは、これはこれで堪らなく気持ちの良いものです。例えば、トヨタアルファードやハイエースのようなミニバンはもとより、VOLVO XC60のような大きく凝縮感のあるクルマは、それを操るだけでも楽しいと感じます。

 

VOLVO XC60 のフロントマスク
鼻先を向けたい方向へ導いたときの感動を味わえる、VOLVO XC60。

 

そして、その中間地点で上手にキャラクター付けされたのが、HONDA ZR-V。背が高く少し大ぶりな車体を、シビック譲りの軽快感で駆け抜けていく楽しさ。ワインディングでは面白いように鼻先を狙ったコースに向けていくのに、どっしりゆったり走っている時には自分の支配下に車がいるような気持ちになる。

 

それはまるで、優等生の委員長との…いや、ここは辞めておきましょうかね(汗)

 

HONDA ZR-V 外観 サイド
HONDA ZR-V は、痛快な走りと制御感どちらも味わえる、贅沢な車である。

 

そもそも車を得るということは、人がテクノロジーで編み出した、人がなし得ない力を手に入れる事と同等です。それが身体と融合しようが、支配下におきようが、力を得られたという自己肯定感は生まれるのです。それはきっと、車の走りの楽しさに繋がる…こういった感覚の得られる車を、ぜひ沢山世の中に出してほしいものですよね。

 

車の走りの魅力は 人生を捧げずにはいられない

高い車を買い、ひたすらに磨き続ける人もいるでしょう。古い中古車を安価で手に入れ、整備をする事が辞められない人もいるでしょう。私のようにノーマルで走り続ける車好きも、もちろん居ます。すべては、感動的で魅力ある走りを堪能したいからに他ならないのです。

 

箱根を下る Peugeot 308SW

 

今日私が掲げた、「五感を刺激する体験」「技術の裏打ち」「意外性」「一体感と制御感」だけが、走りを魅了する要素ではありません。気付いていない、言葉にできない様々な感動が、走りが、私たちを車の虜になる運命から逃がさない。

 

それは仕方のない事。車の根本は、自分の大事な家族を、命を、楽しく幸せに移動させる事なのです。それは生き物の幸せの根本そのもの。だから、車の走りは私たちを魅了する。そんな結論に私は至るのですが、皆さんはいかがでしょうか?