私の手元に納車されて、はやくも5000kmを走行した HONDA CIVIC e:HEV。正直、思っていたよりも素晴らしい車で、それは輸入車に戻りたいという気持ちを鎮めてくれるくらい。自分の車選び、間違っていなかったなと常にホクホクしております。
しかし、誰もが好き好んで乗るような車でも無いのは明白。周りで買ったなんて話聞かないし、走りが良いって言われたって自動車雑誌なんて誉めてばかりでしょ?もっとバッサリとした辛口インプレが読みたいなあという方もいらっしゃる事でしょう。
そんな皆様へ、実際に5000km走行した私ならではの辛口インプレをお届け。辛口に辛口を重ねても、やっぱりよく出来た車なんですよね。心を鬼にして辛口評価致します(汗)ちなみに、今回も娘ちゃんが協力してくれました。シビックさんと娘ちゃんのツーショットは、後半で。
CIVIC e:HEV 辛口インプレ 走り編
コックピットに乗り込み、システムスタートのボタンを押す。ブレーキを踏み込み、ドライブ・ボタンを押し込んでも、空調のソヨソヨとした音しか聞こえない静かなシビック。ブレーキを静かに離すと・・・やはり無音。ステアリングには僅かな路面のインフォメーションが入るものの、足回りからのノイズはまったくない。
走り出すと、一般道で速度を上げていないにも関わらず、爽快で楽しい世界が始まる。EV走行からハイブリッド走行へのシームレスな移行も良し、アクセル・ブレーキのレスポンスはリニアで良し。これが作られた世界なのなら、エンジニアはどれだけ上手い纏め方ができるのだろう。
ステアフィールは◯でも もう少しクイックが良かった
しかし、その爽快気分を少しだけスポイルするのが、ステアリングのギアレシオ。結構ステアリングを切らないと曲がらない。シビックのような走りに振った車なら、もう少しクイックにしてほしい。
VGR(可変ステアリング・ギアレシオ)は、私のようにジワリジワリと切りまししていく人には、あまり効果が無いように思う。そもそも、最小回転半径が 5.7m と取り回しい苦労するのも合わせると、こんなにステアリングを切る必要あるの?と言いたくなる。
対処法:なし(´;ω;`)
パワー走行はバッテリーだけではNG
それでも、走ったときの印象はとても良い。試乗の時や納車当初は、エンジンが起動するタイミングがほとんどわからなかった。素晴らしいと感激した。ところが 5000 km も走ってみると、流石に理解が進んでいく。エンジン・オンはパワーメータ読みで約 10% 〜 15% の間。どんなにバッテリー残量が多かろうと、エンジンを起動してパワーをアシストする。
つまりCIVIC e:HEV のバッテリーからの出力は、最大でもシステム出力の 15% くらいまでしか出せないという事です。あまり多く出し過ぎちゃうと、バッテリーの劣化が早まるのかもしれない。でも、静かに走りたい時ってあるんですよね。
対処法:10%あれば充分加速するけれど・・エンジンで走っている感が多い車だから 積極的にエンジン音を楽しもう
アクセルを踏み込むほどバッテリーが溜まっていく
前のセクションに関連することなのですが、エンジンが起動すると加速が増すのか?と言うと、そうではない。あくまでトルクは右足の言う通り。なら、エンジンを回して余剰になった電力はどこに行くのか?正解は、バッテリーへ充電される、となります。
そんなんだから、ドライブモードをスポーツにすると、バッテリーにどんどん余剰電力が溜まっていきます。長い急坂を登り切ったら、バッテリーがフル充電なんてザラ。あまっている電力、使ってくれよと感じたことが幾度もあるんです。
対処法:ふんわりアクセルで燃費の悪い領域を電気だけで走ることを意識すべし
霞むエンジン直結感は致し方なし
そして、これは贅沢な話しなのだけれど、エンジンがタイヤまで直結していない感はあるんですよね。CVT車だって、ロックアップが機能すればエンジンとタイヤが直結する。シビックは発電と走行を分ける2モーター式ハイブリッドだし、EV車の走りに近いはずだし、旧来の価値観である直結感なんて評価に入れてはいけないものの・・・
ホンダのエンジンが気持ち良いのがいけないのだ(爆)幸いにして高速走行ではエンジンと直結するのだが、その頃にはエンジン音ではなくロードノイズでクルマの中が支配される。静かなエンジンにした功罪というやつだが、ちょっと不満に思ってしまうのはエンジン生活が長かったからかな。
対処法:贅沢な悩み。受け入れよう(´;ω;`)
CIVIC e:HEV 辛口インプレ コックピット編
全高 1415mm は背が低いようで、そんなに低い訳では無い。ハッチバックのスポーティなルックスとは裏腹に、コックピットはかなり快適な空間が広がる。左右ウインドウが地面と平行であったり、フロントウインドウの適正配置が功を奏して、クルマがどの方向を向いているのかが理解しやすい。
こういうデザインって、昔は SUBARU が得意にしていましたよね。今は HONDA が意識して作り込んでいる様子。運転のしやすさって、色々な要素の積み重ね。近年稀に見る良コックピットだと思います。
メーター・パネルは「液晶」というだけで評価を下げる
そんな良コックピットにも不満は散見。液晶パネル、どうしても必要なのか・・・自動車メーカーがメーターパネルをどんどん液晶に変えていくのは、多分コストダウンが要因。メカニカルな部分をすべてソフトウェアでプログラムして補えること、様々な車種に展開できること、が理由。だからこそか、液晶というだけで安っぽいイメージに私の中では変わってきている。
せめて、地図が表示されれば「お金かかってるな」と感じるものを、HONDA CIVIC の液晶メーターはそうはならない。アダプティブ・クルーズ・コントロール&レーンキープ・アシストがわかりやすいし、地図なんて要らん邪魔だと言えばまさしくそうなのだけれども、高級感というところは、どうしてもアナログには叶いません。
対処法:まあ、これで満足なのだけれどもね・・・理解して買おう(´;ω;`)
ライトの操作がAUTOキープの一長一短
それと、これも新しいが故の不満点。ライトのスイッチだ。
ウインカーレバーに付属するライト点灯スイッチは、AUTO 位置に戻る設計になっている。「オフ」や「微灯」にまわしても、AUTO に戻ってきてしまう。これは慣れが必要です・・・どうやって「オフ」状態から「AUTO」に戻せるかと言うと、「点灯」にまわして、「AUTO」に戻す。ちなみに、点灯にはしっかり回るからややこしい。
AUTOライトが義務化された弊害ですね。もちろん、基本的には AUTO にしておけば全く問題ないのですが、駐車場でエンジンをかける→自動で点灯する→まだ出発しないから消灯したいというシチュエーションは度々ある・・・常にではないから、昔からクルマに乗っている人は慣れるのが大変ってわけ。
対処法:これからのクルマの標準と割り切って慣れよう(´;ω;`)
シフトポジションスイッチはやっぱり操作が・・・
こちらは新しくし過ぎた感のある、e:HEV ならではの「シフトレバーレス」。ドリンクホルダーに手が回しやすいし、スマホ置き場にも快適にアクセス。しかし、5000 km走行しても全く慣れないのが、リバースボタン。どうして「手前に引く」にしたのか、理解ができないんですよね。バックが終わった後、もう一度リバースを押してしまうんです。
なぜ理解できないのか、と言うと、「手前に引く」はオートマチック・トランスミッションのシフトレバーでは「前進」に当たるからです。そして「奥に押し込む」が「停止(パーキング)」。長年、これに慣れているんです。せめて、目視でなければ操作できない「ボタン」にすればよかったのに、リバースにだけ手前に引くギミックにしてしまった。工夫が仇となっています。
対処法:慣れるしか無い(´;ω;`)
減速パドルはギシッと音がする
コックピット編最後、エンジンブレーキ代わりに使える、減速パドル。一般道ではあまり使わないけれど、山道の下り坂ではとても役立つ機能。この機能は素晴らしいのだけれども・・・素材感が悪いんですよね。
どうもステアリング周りから音がするなぁと思ったら、こいつでした。日頃減速レバーを使わない地域に居ると、下手すれば1ヶ月以上減速レバーを使わないこともあるわけで。ちなみに、数回パドルを操作したら音が鳴り止みましたが・・・将来が不安になるポイントです。
対処法:時々使ってあげよう!
CIVIC e:HEV 辛口インプレ インテリア編
様々な電子デバイスを使う今、インテリア・デザインの自由度は以前に比べればかなり上がったと思う。そんな中で HONDA は、エアコン操作系の集約、共通化を上手く進めていると感じる。TOYOTA のようなアグレッシブなチャレンジ、mazda のような自分の世界は持てていない、いや、ようやく CIVIC / ZR-V で花開こうとしている予感は感じるのだ。
私は一昔前の HONDA の、ダッシュボードからメーターパーネルまで弧を描くように配置するデザインが苦手だった。あまりにもドライバー寄りすぎる感があったからだ。しかし CIVIC は、豪華ではないけれども品のあるパンチングメタルがいい味を出す。同乗者も無視しない。アコードにも波及するようで、HONDA のアイデンティティとなるようだ。
ホコリの目立つピアノブラック
ところがまあ、このパンチングメタル周辺のピアノブラックにホコリが着く・・・「スマホ守るくん」で保護しているから安心とはいえ、傷つきやすいパーツを拭き掃除するのは気が引ける。基本的には、エアーダスターのようなものでホコリを飛ばすのが正解なのかな。
対処法:ホコリなんて吹きとばせ!車内をこまめに清掃してホコリを少なくしよう
リアにUSB充電がない
これだけは声を大にして言いたい。輸入版には装備される、リアのベンチレーション近くにあるUSBスロット。どうして日本版にはつけないのか。こんなところでケチったって仕方がないじゃないか!
HONDA CIVIC e:HEV は居住性も快適性も、充分ファミリーカーになれるというのに。我が家はいつも家族4人で中央道を快適ドライブしているぞ。リアにベンチレーションを付けるということは、リアシートに座る人のことを考えてのことでしょう?ならば、今や必須となった USB 充電ポートをつけておくれよ〜
対処法:みんカラに色々載っているね・・・いつか試す!
HONDA CONNECT ディスプレイ 新型アコードの12インチ欲しい
新型アコードのディスプレイ、横幅を CIVIC から大きく変えずに、12インチディスプレイに格上げされる模様。ボリュームつまみをディスプレイ手前に移動している。うまい!やられた!と感じました。
実際のところ、今のサイズでまったく問題ないのだけれど、TOYOTA PRIUS とか mazda 3 とかの異型ディスプレイを見ると、なんだか羨ましいなと思えてくる・・・質実剛健感のある CIVIC は悪くないんですが、好きかと言われれば、そういう評価にも入ってこないデザインですよね。お茶の間のテレビみたい。
対処法:新型アコードを買うしかない!?
CIVIC e:HEV 辛口インプレ エクステリア編
重心を後ろ寄りに見せるクーペボディ。実際の重量比は、7:3でフロント寄り。それでも、リアの設置感が良いのはFFスポーツを長年手掛けたホンダならでは。スタイルは性能を裏切らない。
古き良き時代の FR 車を思い出せば、ボンネットは随分高くなった印象だろう。今の時代、FF車も FR車も立派なボンネットを積むようになった。キャラクターラインを上手に入れて高すぎ感を消し込む手法は、FFもFRも同じである。現代は駆動方式にとらわれずにデザインを評価できるのが嬉しいね。
CIVIC さん 真正面NGですね
斜め前、リアからの眺め、サイドビューと、どれをとっても頑張っている HONDA CIVIC。欧州車に乗り続けて 14 年、デザインに妥協したくなかった私として、HONDA CIVIC は合格点。ただひとつのアングルを除いて・・・
それは、フロントマスク。ガンダムフェイスを卒業したことは大変喜ばしいのだが、グリルのあたりが寂しげだ。撮影しても、どうしても黒く沈んでしまう。多少の派手さが必要か?カッティングシートで化粧直しも、ありかもしれない。
対処法:MUGENのドレスアップも良し サードパーティ製が出たら試したいなあ
青いクルマは最高だが写真加工は大変
Peugeot 308SW や VOLVO V40 に比べると、CIVIC は写真の加工が大変になった。monogress にアップしている写真は、基本的には Photoshop で加工している。CIVIC で何がつらいって、ブルーのボディカラーを鮮やかに再現するにはひと手間かかるという事。
「自然な彩度」などで鮮やかにしようとすると、ボディの青色だけが沈んでいく・・・コントラストを高めようとしても同じ。どうやら、各種写真加工ソフトは CIVIC の青を濃い色だと勘違いしているみたい。とても鮮やかな色なんですよ!
なお、私は覆い焼きツールでボディを明るく加工しています。こうすることで、目での印象に近づくようにしているんです。がんばってるぞ!
対処法:Photoshop などのアプリで一手間を覚悟!
ピアノブラック多用はやめて欲しい
CIVIC e:HEV (FL4) は、エクステリアパーツにピアノブラックを多様している。サイドミラーとドア周辺。見た目が良いのはわかるのだけれども、どうして傷つきやすいままで出荷するのだろうか・・・(すべてのメーカーに言えること!)
フロントのグリルには、ツヤテカで丈夫な素材が使われている。どうだろう、この素材を、ピアノブラックと差し替えてみるというのは?なんならオプションパーツでも良い。傷の付かないツヤテカパーツなら、皆喜んで装着するはずだ。
対処法:ピアノブラック保護材でコーティングするしかありません・・・
ベタ褒めリカバリー
重箱の隅をつつくように、細かい不満点を挙げてきました。それでも、総合的に見れば満足感の高い買い物です。
割り切りで機能が削がれているところは、Cセグメントなら致し方なし。むしろ、よくぞここまで楽しいハイブリッドカーを作ってくれましたと感謝しかない。ハイブリッドといえば TOYOTA だけど、楽しいハイブリッドが無いからこそ輸入ディーゼルに逃げるしか無かった。環境問題と走りの楽しさを両立するクルマ。HONDA CIVIC はその一つに加えるべきプロダクト。
なにせ、まっすぐ走るのがとても楽しいのです。一般道で速度を上げなくても、路面にへばりついてスッキリ走っていく「爽快」さを味わえて、わざわざ峠に走りに行こうなんて言う気にならない。常日頃から愛車といて楽しいなんて、今までは輸入車くらいでしか体感しませんでした。
走行距離 5000 km を超えて、どんどんと良い車感が出てきている HONDA CIVIC e:HEV。このクルマで皆様とお逢いできる日を心待ちにしておりますよ。
わが娘ちゃんにも、クーペボディが格好良いと教育中。また出演してくれるように交渉を重ねます!(*^_^*)
結びの瞬景
娘ちゃん 写真撮影に付き合ってあげるよ〜
まこまち ほんとう!? 服装をリクエストしていいの!? 髪型は!? 今回はね、制服スタイルではなくて私服が良いな! 元気娘をアピールするためにね! それでねっ 服装はね・・・・
娘ちゃん ・・・できる範囲内で頑張ります・・・
夏休みということもあって、暇をつくってくれた娘ちゃんに感謝。なにせ、以前出演してもらった「 1,000km走ってわかった!CIVIC e:HEV(FL4)のマルとバツ 」は、いつまでも検索流入がある超安定物件に・・・娘よ、まさかブロガーの女神なのか?
さて、クルマを選ぶ時、良いところばかりではなく、ユーザーの不満点も聞くべきですし、検索でもその兆候が見て取れます。でも、あまりに不満点ばかりを拾ってしまうと、本来の楽しいポイントを忘れてしまう結果になりかねません。
他人の意見は参考にはなりますが、結論は自分のインスピレーション、つまり、乗りたい・好きだという気持ちです。貴方のクルマ購入の決め手のひとつになったなら、この辛口記事も本望。楽しい車選びをお過ごしください。