スポーツ・セダンに期待する要素は、ボディタイプの中では最も多様でしょう。スポーツにはスパルタンな乗り味やクイックなステアリングを、セダンにはコンフォートやラグジュアリーを、そのバランスを含めて人それぞれの好みを求めてしまいます。
だから、2021年に発売されたホンダ・シビックが提案したスポーツ・セダン像は、万人受けではないでしょう。「爽快シビック」の字名は、気持ち良く走る車という印象しか残さない。これを意味するところは、そして今回の記事の主題である「乗り心地」は、正直言って乗らずに理解することはできません。
シビックの乗り心地は格上の車に勝るとも劣らない
このカテゴリーを望む人は輸入車に流れます。勝負する相手の車格は格上ばかり。しかし、ホンダ・シビックは一定のスポーツ・セダン好きの心にしっかりと杭を打つ。
納車されて一年ちょい、走行距離14,000km走破のシビックe:HEVユーザーである私が、正直なところシビックの乗り心地ってどうなの?に、丁寧に回答致します。なお、TypeRは乗れていないのでご参考まで。
ゴルフへの期待を打ち砕いたのはシビックの乗り心地
先に断言してしまいますが、シビックの乗り心地はスポーツ・セダンとしては明らかに快適です。正直、Cセグメントとは言えない世界。世界のCセグメントのベンチマークと言われるゴルフと競っても勝てると、自信を持って言えるクルマ。
何故そこまで言えるのか?それは、私が密かに狙っていたゴルフへの乗り換え検討を打ち砕いたからに他なりません(笑)
シビックに試乗の時、当時の愛車で足回りに定評のある Peugeot 308SW と比べた時に、明らかにしっとりと、明らかに揺れが少ない走りを披露。路面にヒタリと吸い付く動きを交差点の右左折でも感じ取れ、これはヤバい、大ベストセラーになって買えなくなってしまうかもと焦ってオーダーを入れたのを覚えています。
細かい動きまで緻密に調整された足回り
そして、半年を経ての納車。待ちに待ったその走りは、乗り心地、ドライバビリティが極めてスッキリで爽快なことが、わかってきます。
硬質感がありシャキッと感じる足回りは、無駄なインフォメーションを伝えない優秀なセッティング。路面が荒れていればボディはしっかり揺らしますが、ガツンとぶち当たるような不快さは一切なし。ドライバーへ的確に路面状況を伝える為に、敢えて早めにショックを収束させる。
徹底的に「ザラザラ」を嫌い、微振動はタイヤで、小さな入力はサスペンションで、綺麗にクッキリ整える。雨の日のようなしっとりとした感覚を、ドライな路面で実現していると言えば良いでしょうか。体感だけでなく耳からのザラザラも薄らいでいるから、乗り心地を更に良いものへと押し上げているのも好印象。
高速道路は大得意!フラットな乗り心地に感銘!
低速域での大きな入力は、角を丸めたような素直さと言いましょうか。タイヤにショックを任せる「バウン」でもなく、サスペンションが動かずゴムブッシュだけで受け止める「ンゴイン」でもない、あくまで、「トタン」とスッキリと強く受け止める感覚。だから、印象としてはやや硬めなのですが、足回りに底つきはなく管理された走りが堪能できるんですね。
強い入力を適切に処理できるおかげで、高速域ではフラットで快適な乗り心地を披露。路面の継ぎ目もなんなその、軽快な音だけを残して、気持ちよく爽快に走って行ける。この時の安定感あるハンドリングは一緒に乗る人にも伝わるはず。Cセグメントに居ながらに、それを超えると言い切ったのは、高速道路での走行がなにせストレスフリーであるからです。
いやいや、素晴らしい!ワーゲンともプジョーとも違う世界感。流石は走りのホンダと言ったところでしょうか。クリーンなデザインに、とても似合う乗り心地だ!
シビックに備わる乗り心地テクノロジー
サイズから静音設計まで こだわり抜いた新型シビック
この走りの秘密は、個々に性能をブラッシュアップした成果です。
ローアンドワイドに構えたボディデザイン、クラス最大級のホイールベース2735mmは、揺れた時のボディの傾きを最小限に制御。直進安定性にも寄与します。
音の対策も徹底。Aピラーには発泡ウレタンを注入。インナーフェンダーによる遮音効果、そしてe:HEVにはアクティブノイズコントロールを装備し、逆位相の音をにより耳に届くノイズを抑制。雨の日にはBピラーあたりで若干の外の音が聞こえる時もありますが、ほとんど気にならないレベル。
シートは少し惜しいが…運転が楽しいからそれで良いじゃない
さらに、トランスミッションには変速ショックの無いCVTを、ハイブリッド車であるe:HEVはモーターによる走行と、乗り心地をシームレスな走行快適性能で追求。それでいて走りの楽しさを無断変速でスポイルしないように、リニアシフトコントロールでエンジンサウンドを意欲的に乗員に届けます。
それでもボディに伝わるコツコツは存在します。されど、大ぶりでゆったりと座れるシートにより、疲れやすさを解消。惜しいのは、ヘッドレストがもう少し低い位置にあればなあと感じるアメリカンサイズである事と、座面の張りが少々強く、3時間くらいの走行でお尻が痛くなるところ、くらい。走りが楽しすぎて、お尻の痛みも忘れてしまうのですが・・・
デザインも逸品!大人なスポーツセダンのシビック
大きめで水平基調のウインドウ、見た目が美しく飽きの来ないハニカムメッシュがあしらわれたダッシュボード、クラシックなコックピットと、何処もかしこもノイズレス。乗り心地というのは、目や耳からも感じる要素なのでした。
これらのような様々なテクノロジーにより、車全体の性格としてはスポーティでありながら、揺れる回数はできるだけ少なく、揺れた時も快適に、が徹底されている印象で、ルックスが示す通り、古臭いスパルタンからは一歩引いた大人のセダンになったと言えるでしょう。
ライバルを超えろ!シビック走行14000kmでの乗り心地総括
輸入車の代替に充分満足なシビック
私が輸入車を辞めようと考えた理由は、田舎への移住に際して、地元の方への印象を大事にしたかったから。だからやむなく終止符をうったところもあって、もしも期待外れだったらどうしようと不安でした。(ゴルフは狙っていましたが…)
というのも、私はシビックに乗り換える前は、ボルボ、プジョーと乗り継いできました。高速道路では日本車の比にならない快適性を持ち合わす両メーカー。特にプジョーは、スポーティなルックスに踏み込み幅の深いサスペンションで、乗り心地といえばプジョーだろうと、このブログでも伝えていたわけ。
ところがシビックときたら、走行ノイズは控えめだし回頭性能は抜群だし、運転支援は最高だしと、三拍子揃ってる。購入当時、移住地への往復で何度も神奈川県〜長野県の往復を担ってくれましたが、500km走っても疲れ知らずで、ストレスフリーな走行は大感激!
足回りがこなれてきた14000km、不快感など一切なく、気持ちよく週末のお買い物ドライブを楽しんでいますよ(^ ^)
シビックの乗り心地 正直に総括
確かにCセグメントの中ではスポーティで、ゴルフやカローラのようなソフトさでの勝負となった場合は、少し不利な印象。しかしそれは、車の性格を考えれば仕方がないこと。
最初はちょっと硬いと感じる乗り心地も、慣らし運転が終われば気持ちよく動く足回りと相まって快適だし、慣れてしまえば、ファミリーユースに耐える優秀なパッケージングをフルに味わえる。ホイールベースの長さを生かしたリアシートの広さも、念願の(?)リアベンチレーションもついて、子供達も大満足。(N-BOXの方が広くて良かったという意見は抹消。)
強いて要望を出すのなら、座面の柔らかさと、シートベンチレーション、シートメモリーがあれば、なお良かった。ここはZR-Vが勝るところですね。
また、LXグレードにもう少しマイルドな仕様があっても良いかも。インチダウンの柔らか足仕様とかね。
何にせよ歴史が長く、将来が期待できる日本では稀有なFFスポーツセダン。4ドアクーペとも呼べるし、実際のところハッチバックだけれども、そんなの関係ない!みんなで楽しく、シビックライフを送りましょう。
結びの瞬景
乗り心地の話だったので、娘ちゃんがコックピットに座る写真をアイキャッチに設定いたしました。大学生活エンジョイ中。とうとう運転免許を取得しますよ。
我が家のシビックe:HEVも、とうとう14000km走破。ステアリングギアボックスのトラブル以外は、順調に走っています。さすが日本車と言ったところですかね!
乗り心地は、長距離ドライブが多い人ほどオススメ。本当に良い乗り心地なんですよ。迷ってる方は、レンタカーを借りて高速道路を走ることをオススメします。爽快な走りにコロリといく事でしょう(^ ^)