プジョー i-Cockpitをとことん追求するコーナー。
今回はとうとう、i-Cockpitの肝。メーター類含む「ヘッドアップインストルメントパネル」。ステアリングの上から見える、視線移動の少ないと評判のメーター類は、どのような使い勝手を提供してくれるのだろうか。
i-Cockpit インストルメントパネル
乗ると、わかる。と言われても、突拍子もないデザインに乗る気も失せる、という人もいるかもしれない。クルマのメーターはステアリングの中にあったほうが良いのじゃー、という人の気持ち、判らなくはない。
私も散々、ステアリングの中に見えるメーターを眺めていたし、そこに浮き出る細かい計器には心躍る。ある程度の幅と高さがなければ、読み取れる情報も読み取れないじゃないか?と批判するのも、わかる。
しかし私は、そんな偏見はとりあえず置いて、一旦乗ってみよう、と言いたいぞ。
自由なデザインがカッコいい
i-Cockpitが普通のコックピットよりも勝る点。1つ目は「デザイン」だ。有無を言わさずカッコいいと言えるだろう?特に、旧式にこそなるけれど、プジョー308のコックピットのカッコよさったらない。
確かに高さは足りないが、横に広がったメーター配置。中央部にあるデジタル表示は控えめではあるけれど、必要充分と言えるだろう。
ある程度スポーティなイメージのあるプジョー車を裏切らず、タコメーターが必ず装備されるところも、良いポイント。
雑誌では違和感がある、と言われるタコメーターは右から上がる逆タイプ。しかし、速度計とあわせて「羽を広げるように見える」とはツイッターで知り合った、とろろさんの一言。フランス車に乗るのだから、エレガントを受け入れようじゃない。
プジョー208も中々。コンパクトカーらしく「キュッ」と小さく身構えるけれど、ナビ画面との視線移動の少なさが良心的。タコメーターは普通のクルマと同じ、針が左から上がるタイプ。
徐々に改良を加えて、他のモデルへ展開されたのだなと分かる。208さん、お疲れさまでした!次期型はフル液晶に変わるよう。
308からさらに発展した、508や3008の新生代 i-Cockpitのメーター類。12.3インチフル液晶でカラフルで。認知性の良さが光っているね。
タコメーターはやはり、右から上がるタイプ。どうやら今後のプジョー車はすべて、反時計回りタイプになるようだ。
ディスプレイの表示は切り替えができて、(たしか)ウインカーレバーについたスイッチで燃費計やらレーンキープの具合やらが表示できる。それでも、慣れないうちは写真の通り、デジタル速度計が良いと思う。視線移動せずに視界に表れるスピード表示。見やすいことこの上ない。
ステアリング操作中もメーターがしっかり見える
i-Cockpitの利点。その2は、ステアリングの操作中でも表示を確認できること、だ。
小径ステアリングに手を置いて、ぐっと曲げてカーブする。その際、シフトポジションやタコメーターを見たい人もいるだろう。
ステアリングより上にメーターがあるのがi-Cockpitのスーパーメリット。手がメーターを遮ることはほとんど無く、いつでも情報をチラ見できる。308GTiのようなスポーツモデルであるならば、尚更有効なメーターポジションではあるまいか?
ちなみに、ナイトビジョン(508にオプション装備)は夜中にタコメーターに表示される。いきなりディスプレイに人影が映るのでビックリするのだが、その前に音で知らせてくれる。これもこれでビックリするが(笑)、やはりあれば便利な機能である。
無用なコストアップがない
i-Cockpitの利点その3。私が個人的に、かつ勝手に感心しているポイントとして、プジョー車全てのクルマがヘッドアップインストルメントパネルを装着すること、イコール、他のメーカー車のようにヘッドアップディスプレイのオプション装備を増やさなくて済むことだ。
最近流行りの、フロントウインドウや、その近くに映し出される速度計。上位グレードに装着し、価格差を生み出す装備であったりするのだが、視認性を上げる=安全性を上げるのだから、グレードの差をつけずに装着するべきではないだろうか。
プジョー i-Cockpit は、全てのプジョーに乗る人に、視線移動が少なく視認性の高い、ヘッドアップインストルメントパネルを提供する。メーター類は必ずクルマに装備されるもの。高い視点の位置に標準装備として置くことで、全体でのコストを上げずに、安心安全をユーザー全てに届けることができる。
プジョーの良心の表れ、と言えるだろう。
活用にはコツがいる?
褒めてばかりでもツマラナイ。一応、気になる点も上げておこう。
人間の目は視点を移動したとき、一緒にピントも変えている。このピント合わせは疲れる要素のひとつだが、他メーカーのクルマとの差はあまりないように思える。他メーカーのメーター類も、奥行きがあるように見せるなど工夫を施しているからだ。
そして、いざメーターを見る時は、標準よりも小さなヘッドアップインストルメントパネルは視認性が格段に良いとは言えず、それこそ慣れが必要になる。
個人的には、運転中は前方をよく見ておき、視界に入るデジタルスピードメーターで速度を意識する、というような運転を心がけると、i-Cockpitの本領が発揮できると考えている。実際308SWを運転しているとき、あまりメーターを意識せずに運転できるようになったこを伝えておきたい。
そして、少し小さいメーター類に慣れた時、カッコいいメーター類はあなたのドライブの良き相棒となってくれることだろう。
あとがき
i-Cockpitのインストルメントパネルのお話でした。
パネルだけに焦点をあてると、いまいち良さが伝わらない感じがします。全ての要素が集まった時の本領を、最後に伝えられたらいいなと思っています。
個人的には、今の所308が一番カッコいいメーターを装備している、と思っています(・∀・) 自分の車だから当然なのだけど、アナログメーターを装着するのは今や 208、2008、308に308SWだけとなりました。
しかし、アナログメーターのカッコよさよりも、視認性の高いフル液晶に変わる流れは仕方がないよなあと、少し寂しく感じますね。