「プジョーは猫足」の評判は事実であると言い切りたい

プジョーの「猫足」のお話。

 

猫足という言い方は、日本人が昔付けたフランス車全般に向かって言ったニックネームだったり、そもそもジャガーの足回りを言っていたところから始まっていたりするらしい。

 

猫足と聞くと、路面のゴツゴツを”ネコの足のようにしなやかに”吸収してソフトな乗り心地を提供してくれるような感覚を覚えます。でも実際には、”カーブの外側に向かって足をネコのように踏ん張って姿勢を作り、スイッと跳ねて姿勢を戻す”感覚も猫足だと言うじゃない。

 

昔の表現が今に当てはまるかはわからないが、現代のワタシたちが信じるべき「プジョーの猫足」が何なのか、しっかり検証したいと思います。

 

この記事は、2020年5月30日に公開した記事を改変・追記しリニューアルたものです。この記事はニューモデルが出る度に、更新される予定です。

 

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Peugeot 508 の猫足感

アクティブサスペンションが演出するハイテク猫足

基本になる現在の「プジョーの猫足」はどのモデルだろう?これは最新モデルについて触れるのが一番だろう。プジョーの考え方は、プジョーの最新モデルに注ぎ込まれているからだ。

 

Peugeot 508 / Peugeot 508SW は、アクティブサスペンションを持つ、機械じかけの猫足カーです。その乗り心地は素晴らしく、路面のザラつきなんて気にならない、想像通りの猫足です。(代車 走行距離 4500 km)

 

着座位置が随分低く、重心の低いスポーツカーのようなフィーリングが楽しい。外の景色を楽しむとは言えないけれど、その分車の揺れが抑えられてて、サルーン的な乗り味が「大人」「上質」を伺わせます。

 

Peugeot 508SW フロントから眺めが美しい
張りのあるボディと、印象の違う柔らかな乗り味が魅力の Peugeot 508(SW)。一般道、高速道路、どこを走っても快適だ。

 

大きな揺れをゆったりと越える

ただでさえ揺れの少ないプロポーションに、アクティブサスペンションが付いているのだから、ほとんど揺れない、と思われたが、実際には違うのがフランス車らしい面白さ。

 

大きなショックを2発で収束させる。最初はふわっと浮いて、次にはスタッと着地する。ドイツ車に見られるような、揺れを一発で収束させる硬さとは違う。柔らかく、風のように舞っては路面に吸い付き、また舞っては、最後はしっかり踏ん張ってくれる。

 

個人的には、この乗り味が現代プジョーの猫足なのだろうと思っています。理由は、フラッグシップだからです。自社の最高の車には、自分たちの最高の技術を盛り込んで、最高にコダワリったクルマをつくるのは当然ですから。

 

静かな車内、細かい揺れの無さ、大きな揺れのゆったり感。アクティブサスペンションをつかい具現化したこの乗り味こそが、音を立てずにスルリスルリと歩み寄る、猫足を指すに違いない。

 

  • 大人で上質な乗り心地は フラッグシップに相応しい
  • 路面のザラつきを徹底的に感じさせない アクティブサスペンションに価値がある
  • 大きな揺れはリズミカルかつゆったり収束

 

Peugeot 308 の猫足感

軽快に柔らかな足回り

それに比べると、Peugeot 308 / Peugeot 308SW は方向性の少し違う足回り。(所有車 走行距離 8000 km)

 

細かい揺れを車体に伝えずに走る快適思考は、しかし508のように「強くシナヤカ」ではなく、「軽快に柔らか」のほうが合っている。多少スポーティに振られている感じがしなくもない。( 308SW は 308 より若干足回りは固くなっているようです)

 

路面の細かい入力は軽く飛び越える印象です。ノイズが少なくなるように調整がされている。大きめな入力は、一旦サスペンションで受け止めて、グイッと粘り強くボディへ跳ね返す。

 

大きくウネルような路面では、やはり緩やかで大きな揺れにまとめ上げる。508でも体験したこの動きは、プジョーの目指すサスペンションセッティングを感じることができて楽しいのです。

 

重心の高さは乗り出し当初は不安でしたが、5000 km を超えたあたりで落ち着きが出てきた。508 に比べれば固めだけど、品に欠ける感じは微塵もない。あくまで路面は柔らかくつかみ取り、素早く、快適にボディへ伝える印象です。

 

プジョー 308SW と冬の箱根
カーブが楽しい Peugeot 308(SW)。箱根のカーブをハイスピードで走行する楽しさは、308の持ち味のひとつ。

 

カーブで分かる運動性能

カーブを通過する時、308は姿勢を正す。ロール感を演出し、カーブの外側に沈み込むようなサスペンションセッティング。しかし怖がる必要はまったくない。なぜなら、ドライバーの身体をカーブの進行方向に向かって「構える」姿勢をつくるから。

 

ちょうど、お尻の辺りを支点に沈み込み、鼻先をステアリングで指示した方向に向けた感じ・・・カーブの外側に行くのではなく、内側に行くのではなく、行きたい方向に行く「G」を感じる。感覚で言うと、こうなります。

 

力を溜め込んで、解き放つ感覚だ。ロール感が大きいだけに、カーブでの姿勢制御は 308 がわかりやすい。508と明確に違う足回りは、これはこれであり、と思わせる!

 

慣らし運転中の「500km」到達時点では、フワフワ絨毯とコシのあるマットレスの2枚を路面に敷いたような感覚が先行していた。「2000km」まで来て、カーブでのロールを感じることができるように。走行距離でどんどん馴染んでいくのも、今のクルマにはあまり無い感覚かもしれません。

 

ちなみに、直線での安定性は Peugeot 508 以上かも。(※個人の感想です。)

 

  • タターンと越える軽快感 高速道路での直進性能は逸品
  • 5000 km 以上でサスペンションは落ち着いてくる 路面の凹凸は角を丸めつつ素早くボディへ伝えてくる
  • 大きなロール感とカーブでの姿勢制御は逸品

 

Peugeot 3008 の 猫足感

少ないピッチングは優秀なSUVの証拠

ディーラーでの試乗車、ブロガー同士の乗り合いっこで2台乗ったけど、ネガティブな印象はまったくありません。

 

私はとりわけ、背の高いクルマのピッチングを気にするけれど、Peugeot 3008 では上手く抑えられています。無いわけではないのだけど、かなり少ない。SUVはピッチングの大小で決めてもいいと思うくらい重要な要素で、3008 の足回りやボディ設計がとても良いことの証明になります。

 

そもそも、ピッチングなんて気にならないくらいに快適なんですよね。

 

良くできたサルーンの如く、小さな揺れは皆無です。Peugeot 308 よりも柔らかく、SUVらしいサスペンションのストロークを上手に使う。ちょうど、Peugeot 308 と Peugeot 508 の間のような足回り。

 

プジョー 3008 雨でも映える!
日本でも人気のPeugeot SUV 3008。塊感のあるデザインとしなやかな乗り味はベストマッチ。マイナーチェンジでスタイルの印象が変わりました。

軽快 なのにシッカリ感

ところで、プジョーの背の低いモデルに共通するようなフワフワ感は現れない。視点の高い Peugeot 3008 だからだと思うけれど、Peugeot 308 や Peugeot 508 で演出されるような「柔らかい絨毯」感覚は消してある。でなければ、きっと不安がつきまとう猫足になってしまう。

 

絨毯ではなく、上質なマットレス一本で足回りの印象をドライバーへ伝えてくる。だから路面を掴む感覚はダイレクトに感じ取れるし、フィルターが少ない分だけ安心感を得ることができる・・・そして付け加えるのなら、ストレスフリーな軽快感。Peugeot 308 を、より上品に、より軽快に、よりしなやかに。

 

しっかりストロークするサスペンションは、重いはずのボディを軽く感じさせる絶妙なセッティング。Peugeot 308 ユーザーは、きっと羨ましいと思うに違いない。しっかりと路面を捉えて、しっかりと踏ん張りを効かせて、軽快に、濃厚に走り去ります。

 

  • ピッチングを感じにくい優秀なボディコントロール
  • 細かい揺れを拭い去りつつしっかり感も醸し出す
  • なぜか軽快 小径ステアリングでボディを振っても 徹底的に安定する

 

Peugeot 208 の猫足感

小さいからこそ感じやすいストローク

プジョーに乗ってみると、足回りは基本的には「柔らかい」ことがわかるだろう。そして、柔らかいのに、大きいちからでは粘る感覚。試乗記事を読むと、「限界の手前で粘る」なんて書いてあるけど、表現はやはり、そう言うしかないと思います。

 

足回りのダルいクルマは、路面の細かい揺れは柔らかく消しされる。けれども、大きな衝撃ではガツっと鳴ってボディへダメージを与えてくる。プジョーにはこれがない。

 

さらに Peugeot 208 は、縦方向への余裕が大きい。なにせストロークが大きいのだ。言っては何だが、2021 年のラインナップの中で最高のストローク感を出しているのは、この Peugeot 208 だと私は感じているのです。

 

たぶんそれは、身体がサスペンションに近いから。カーブの度に現れるクルマの傾き、とてもわかり易いのです。そして、EV を意識してサスペンション設計に余裕がある。ガソリン版 Peugeot 208 は、ドライバーが足回りを使いこなせる設計になっています。

 

Peugeot 208 サイドシルエット
足回りを大きく見せるホイールアーチ・ガーニッシュ。その奥には、ストローク感たっぷり重量級にも耐えられるサスペンションがついている。

余裕のあるサスペンション

交差点を曲がるだけでも、サスペンションの沈み込みを意識できる。沈み込んだところにも余裕があるから、乗っている人に不快な揺れを伝えない。だから安心して、さらにステアリングを切り込める。足回りの柔らかい、ハンドリングマシンがここにあります。

 

だからといって、ストレートがコントロールしにくいわけではない。ステアリングに対するクルマの進む方向の決定精度はかなり高く、Cセグメントイーターは頷けます。(それでも、308には敵わないあたりが、うまう調整されている感があるけれどね。)

 

足回りだけに注目すれば、バーゲンプライス!いや、インテリアもエンジンも素晴らしい。Peugeot 308もウカウカしていられない。これが Peugeot 208 の実力です。

 

  • ストローク感は 2021 年ではプジョーいち
  • サスペンションの奥にある粘りは 208 にも健在 カーブでの安定性はショートボディの割には抜群
  • 猫足復活の代名詞は いまや Peugeo 208 に渡った

 

Peugeot e-2008 の猫足感

EV ならではの重量を味方につけたコンパクト

猫足感でプジョーを選ぶとしたら、どのモデルにするべきか迷ってしまうに違いない。同じ猫足ではあるものの、モデルによって味付けが異なり、それぞれの性格に合わせられているからだ。

 

それでも、Peugeot e-2008 は歴代プジョーの中でも異質なはずだ。前幅 1800 mm 以内のボディ、SUV という背の高さ、1600 kg を超える重量。車体の安定に関わりそうな要素が皆無なのだから。

 

けれども、プジョーはしっかり仕上げてきた。重量は濃厚でゆったりとした味付けになり、Peugeot 208 譲りの大きなストロークが生きるサスペンションで、路面のザラつきを随分消し去っている様子です。全高も 1550 mm と低めにしたから、SUV でありがちのピッチングはほぼ感じることがありません。

 

Peugeot 2008 エクステリア全身
プジョーの本気を見せつけられる Peugeot 2008。商品力の高さはプジョーいちの可能性が高い。

新世代猫足の一端は濃厚味

ストローク感をたっぷりつかってコントロールを楽しむのが Pugeot 208 とするのなら、重量の特性を生かしてしっかりネットリ快適に走るのが Peugeot e-2008。テイストは Peugeot 3008 に似ているが、重さがあるだけ、e-2008 には濃厚な味付けがされている。

 

いうならば、新世代猫足のヘビー級版。跳ねると言うより、路面をしっかり掴んで離さず、濃密にゆったりとボディを揺する感覚か。

 

褒め過ぎかもしれないが、Peugeot 508 と双璧をなす新機軸がプジョーの中に生まれている、そういう印象をもつには十分の足回り。これが、Peugeot e-2008 の実力です。

 

  • 路面を離さずしっかり掴み 濃密にゆったりとボディをコントロール
  • ピッチングなど感じさせない 商品力の高いコンパクト
  • 重量級猫足の新機軸

 

プジョーの猫足の本当の姿

共通の信念に猫足を感じる

と、様々なプジョーを解説してきましたが、結局プジョーの猫足ってなんなのさ?となりますよね。

 

私は短期間(といっても、1年程度ですが)で様々なプジョーに出会いました。乗っていないのは、多分リフターくらいでしょう。どのプジョーに乗ってみても、足回りで不満が出ないのですから、大したものです。

 

考えてみれば、目指すところの違う各々のプジョーの足回りが、同じわけないのです。こいつらを同様に「猫足だね」って言うのは無理があるのは当然です。

 

けれども共通したポイントを探してみれば、そこを猫足と評価してもよいのかもしれません。つまり・・・

 

  • 細かい揺れを感じさせない 路面の細かい雑味を拭い去る
  • カーブでの安定性の高さと 限界手前の粘り感による安心感
  • 大きくゆったりとした縦揺れの収束性能
  • 言葉にならない 感動的な直進性能

 

感じ取れるのは、このあたり。基本をこのようにおさえつつ、車ごとの性格を明確に作っていくのが、プジョー流といったところでしょうか。

 

また、例えばパノラミックサンルーフはとっても重いオプションで、きっとクルマの挙動を変えています。けれども、こんなことができるのも、プジョーの猫足という優秀なサスペンションのおかげです。他のメーカーじゃ真似できない。VOLVO V40 のサンルーフでさえ、私は違和感を覚えたのだから。

 

プジョー自信が語る「猫足」とは

Peugeot Offical Website では、猫足の事を以下のように表現しています。

 

そもそも、フランス本国のテクニカル資料には、“猫足”に相当する言葉はないんです。これは日本のジャーナリストが、80年代のプジョー車をインプレッションしたときに語って頂いた言葉が語源になっているようですね。

 

たしかに、サスペンションが大きくストロークしたあとでも安定して路面をつかむ特性、コーナーの出口での安定した挙動といったプジョーの特徴をよく表している言葉だと思います

Le CLUB PEUGEOT

 

無用に引き締めるのではなく、ストロークを許容しつつ路面の追従性は損なわない。本来ならば浮き上がる感覚は、コントロール性を失うような感覚に陥るのだが、プジョーの車たちはそうではなく、実にコントローラブル。

 

今も昔も乗り心地のトレンド、クルマの性格は抑えつつ、クルマの挙動に猫足は携わる。伝統はしっかりと受け継がれているわけか・・・独特の乗り心地と運動性能の高いバランス。ここにプジョーらしさがあると言う結論に至りますね。

 

 

私は Peugeot 308SW を購入して1年が経ちます。どんどん良くなる足回りに、いつ乗っても感動します。クルマというのは、瞬発力も安全性能も大事ですが、乗り心地や快適性能は身体に響くところですから、重視されるポイントです。プジョー車はこのあたりを、すんなりクリアしてくれます。

 

今回の5車種を比べても、損をするような足回りはありません。日本車ともドイツ車とも根本的に違う、プジョーの足回り。体験できて私は本当に満足しています。

 

一般道も高速道路も山道も、いつまでも走り続けたい。その大満足のひとつの要素が、「プジョーの猫足」であることは、間違いないのです。

 

プジョー3008 フロント

プジョー308SWでドライブ と箱根乙女峠

Peugeot 508SW 公園にて

Peugeot 208 エクステリア

Peugeot 2008 外観

 

順に Peugeot 3008 Peugeot 308SW Peugeot 508SW Peugeot 208 Peugeot 2008

 


Peugeot 3008(GT Line BlueHDi)

前輪 ストラット

後輪 トーションビーム

ボディサイズ 4450 x 1840 x 1630 mm

車両重量 1610 kg

ホイールベース 2675 mm

最低地上高 175 mm


Peugeot 308SW(TECH PACK EDITION BlueHDi)

前輪 ストラット

後輪 トーションビーム

ボディサイズ 4600 x 1805 x 1470 mm

車両重量 1380 kg

ホイールベース 2730 mm

最低地上高 120 mm


Peugeot 508SW(GT Line)

前輪 ストラット

後輪 マルチリンク

ボディサイズ 4790 x 1860 x 1420 mm

車両重量 1540 kg

ホイールベース 2800 mm

最低地上高 140 mm


Peugeot 208(GT Line)

前輪 ストラット

後輪 トーションビーム

ボディサイズ 4095 x 1745 x 1465 mm

車両重量 1170 kg

ホイールベース 2540 mm

最低地上高 145 mm


Peugeot e-2008(GT)※写真は 2008

前輪 ストラット

後輪 トーションビーム

ボディサイズ 4305 x 1770 x 1550 mm

車両重量 1600 kg

ホイールベース 2610 mm

最低地上高 205 mm