ステーション・ワゴンは輸入車から選ぶべき

突然ですが、あなたはステーション・ワゴンが好きですか?それとも、輸入車が好きですか?

 

私は両方、大好きです。日本でも珍しくなくなった輸入車たちは、「まぁまぁ奥さん、旦那さんはやけに立派なお車にお乗りですのねオホホ。」というような、高級だからと妬まれるような印象も薄くなり、選びやすくなった、というのもあるけれど。あきらかに日本車よりも良いスタイルだとか、実用と高いドライビング・プレジャーを適度にミックスされた実用性には、惚れ惚れしてしまう。

 

カッコつけたいし、便利に使いたいし、安定感抜群の性能も欲しい、というようなクルマが好きな人にとって、輸入ステーション・ワゴンは素晴らしいアイテムに違いないのだ。

 

※この記事は、2020年8月9日に投稿された記事の、再編集版です。

 

Peugeot 508SW リアゲート

 

ところで、ステーション・ワゴンの人気は薄れ、日本では苦難の時代を迎えている。

 

国産ステーション・ワゴンに選択肢はほとんどなく、トヨタ、マツダ、スバルがなんとな土俵際という感じだが、全体を足しても日産セレナに負けてしまう、そんなカヨワイ勢いだ。豊富な種類から選びたいという人は、考えるまでもなく、輸入車に目を向けるべき。

 

けれども、初めて買う人は色々迷うかもしれない。壊れないかな・・・贅沢品って言われないかな・・・保険料は高くないかな・・・なんてね。

 

でも、私は敢えていう。そんな心配、するだけ損ですよって。そりゃ、収入に対して無理に買うのは馬鹿げているけど、そうでないなら積極的に選ぶ意味が、輸入ステーション・ワゴンにはあるんだからさ。

 

  • セダンやスポーツカーを追従する走行性能
  • ミニバンやSUVには負けない空力特性
  • 低い着座位置ならではの正しいドライビング・ポジションの成立
  • 背が低く重心が低いことによる良好な乗り心地
  • 伸びやかで大人っぽくフォーマルにも使えるエクステリア・デザイン
  • 古くからのクルマのテーマを重んじるインテリア・デザイン
  • 低いラゲッジによる荷物の積載性の良さと安定性の高さ
  • 日本車が真似できない安全性の高さ(6エアバッグが標準だったり)
  • 輸入車ならではの国外を感じさせる空気 プロバーンス!

 

ざっと考えただけでも、これだけの理由がみつかります。実用や燃費では日本車に学ぶところもあるだろうけど、明らかに優秀なデザイン・センスは、日本車が学ぶところも多いのだ。

 

Peugeot 308SW メールカートにて

 

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輸入ステーション・ワゴンの良いところ!

積載性と走行性能のバランスの良さ

絶対的に勝る、走行性能。

 

輸入車には多くのモデルが存在するステーション・ワゴン。日本で少なくなったのは、日本のクルマ社会では必要とされることが少なくなったから。海外に目を向ければ、ステーション・ワゴンはまだまだ活躍する場面が多いのです。

 

その代表的なものは「バカンス」。海外には、長期休暇を別荘で過ごす文化がある。そのため、着替えや食料(たぶん、現地調達が多いだろうけど)やら遊具など、たくさんの荷物を積む必要があるわけ。

 

そして家族全員で移動して休暇を楽しむ!ここで鍵になってくるのが、人が満載、荷物が満載の状態での高速走行。輸入ステーションワゴンに、荷物満載での高速走行が得意なクルマが多いのはこのためだ。

 

高速道路 一般道
フランス 130 km/h 90 km/h
イタリア 130 km/h 90 km/h
ドイツ 130 km/h 100 km/h
スウェーデン 110 km/h 100 km/h
日本 100 km/h 60 km/h

 

上の表は各国の最高速度をまとめたものですが、これを見ると一目瞭然。日本の最高速度は随分低い。(※一部特定道路では 120 km/h が試験運用されています。)

 

輸入ステーションワゴンは基本的に、荷物満載の状態で最高速度 130 km/h で走行しても、しっかり走ることのできる実力を持っている。ステアリングを握るとわかるけれど、日本の高速道路で 100 km/h を出した時の安心感は、別格です。

 

日本の、とくにミニバンになると、日本の道路事情だけしか考えられていないクルマが多い。100 km/h での走行は可能ではあるけれど、安定性はステーションワゴンに比べれば、イマイチと言うしかありません。

 

peugeot 308SW ラゲッジ用マット

安定感ある走り=安全性がより高い

もちろん人によっては、「ミニバンでも 130 km/h くらい出せる」という人もいるでしょう。それは間違いではないけれど、安全性への意識が低いとしか言いようがありません。

 

乗りやすさ、疲れにくさに配慮されて、ゆるゆるのステアリングフィールが与えられたミニバンは、走行性能の限界をつかみにくい。前面投影面積が大きくて空気抵抗もたくさん受け、SUVやステーションワゴンよりも明らかに条件の悪いミニバンで、無理に100 km/h 超えの走行を続けると、どうなるかな?

 

いきなりの突風、いきなりの路面抵抗の変化に対応できず、ふらついてしまう。場合によってはスピン、そして横転!載せていた道具どころか、大事な家族の命だって奪ってしまう可能性も。

 

オーバーだというなかれ。確かに和製ミニバンでもしっかり走るクルマはあるかもしれない。けれど、大きな空気抵抗を絶えず受けているのは間違いないし、それを小さなタイヤで頑張って耐えているんです。限界性能に近づいていることには変わりない。

 

しかも、子供にシートベルトを付けない人、ミニバン属には多いでしょう?真剣に同乗者の安全性を考える人は、そんなことはしないはず。クルマも人も、安全性への意識が薄くなってしまうのが、ルーミーで便利で、まるで家の中のようなミニバンの怖いところでもあるんですよね。

 

高速道路を走る

 

空気抵抗は1.4倍!?ミニバンとワゴンの大きな差

なら、ステーションワゴンとミニバンとでは、どれほど空気抵抗に差があるのか。簡単な計算で求めてみます。比較はイメージがわかりやすい、日産セレナとカローラツーリングのハイブリッドモデルで対比。

 

セレナ カローラツーリング
1.695 m 1.745 m
高さ※ 1.705 m 1.330 m
前面投影面積 2.889 m2 2.320 m2

※ 高さは、主要諸元表の「全高」ー「最低地上高」です。この表ではタイヤの前面投影面積は加味されていません。

 

実際にはここに、CD値というのも加味されるけど今回は割愛。しかし代表的なミニバンとワゴンとでは、空気抵抗ですでに 1.24 倍程度の差があることがわかるでしょう。CD値を入れれば、この差はさらに大きくなる。

 

さらに。

 

セレナ カローラツーリング
車両重量 1660 kg 1390 kg

 

タイヤの転がり抵抗は「タイヤの転がり抵抗係数」×「車両重量」×「重力加速度」だけど、転がり抵抗と重力加速度は同じ数値としたとしても、車両重量から加味すると約1.2倍の転がり抵抗をミニバンは受けている。

 

カローラのフロントマスク

 

そして。

 

空気抵抗
時速 100 km/h 10,000
時速 120 km/h 14,400

 

空気抵抗は時速の2乗に比例する。上の表のとおり、時速 100 km から 120 km にあがるだけで、空気抵抗は約1.4倍に膨らむ。

 

早くなればなるほど、空気抵抗は大きくなる。もともとミニバンが大きな抵抗を受けながら走っているなか、この追加パンチはキツイものがありますよね。

 

ミニバンの代表格であるセレナと、和製ワゴンの代表格であるカローラツーリングを比べてみれても、カローラツーリングが時速 120 km/h で走行するのと、セレナが時速 100 km/h で走行するときのクルマが受けている抵抗は同じくらいだと言えるのです。

 

(単純計算です。勾配抵抗や加速抵抗は同じとしています。)

 

国産車には無いスタイリッシュ・デザインを身にまとう輸入ステーション・ワゴンたち

デザインというのは好みの世界であるから、誰がどのクルマをカッコいいと言おうがお構いなしだが、スタイルは見れば見るほど、輸入車には魅力がある。

 

私の持っている写真の中から、カッコいい輸入ステーション・ワゴンをご紹介。

 

ボルボV60
VOLVO V60。FFとは思えないスタイリングはメルセデスやBMWに勝るとも劣らない出来である。このお金の掛け方によって価格が上がったのは残念ではあるのだが、モノの良さは随分良くなり、先代V60には無かった濃厚さ+軽快さを味わうことができる。

 

ボルボ納車式
VOLVO V60には CrossCountry モデルもある。オーバフェンダーはさりげないアクティブ感を主張するが、全体の品の高さと融合して知的な印象を残している。

 

ボルボ納車式
着座姿勢は低めで、前をしっかり見る感じ。ラフに乗らない分正しい姿勢に収まるから、疲れにくいし安全性も高い。ボルボは日本にワゴン文化を持ち込んだ立役者であり、カタログに乗らない設計がホントに上手い。

 

プジョー308SW 夕日写真
Peugeot 308SWのエクステリアの品質は上級ワゴンに劣らない、ボディペイントは何層にも塗られたような輝きを持つ。サイドウインドウ、とくにラゲッジ部のウインドウの形状は美しく、人を魅了するような伸びやかさ、アーチの末端を描いたあとに少しキックアップする処理の上手さは、508SWにも受け継がれているフランスワゴンの特徴のひとつ。

 

プジョー308SW と箱根長尾峠
日本ではFRやAWDがチヤホヤされるけれど、Peugeot 308SWの走行性能はビックリする。巧みな設計とKYBショックアブソーバーを組み合わせることで、現代の猫脚を上手に表現。高速道路を安定感高くまっすぐ走る気持ちよさは、日本車から乗り換えるとビックリするだろう。

 

Peugeot 308SW Cockpit Photo
Peugeot 308SWのインテリアは価格相応ではあるものの、形の工夫で安っぽさを感じさせない作り込み。i-Cockpit と言われる独特なコックピット形状は運転の疲労を軽減するし、ドアのグリップも程よい場所にあり使いやすい。

 

VOLVO V90
VOLVO V90。ボルボの中でも、90シリーズは桁違いにデザインが良い。一見すると V60 に似ていなくはないのだが、鼻先の湾曲ラインとボディサイドのモールが華やかさを演出する。

 

ボルボV90 コックピット
ウッドを上手に使うボルボのインテリアのなかでも、肉厚で本物感が醸し出される 90シリーズのインテリアは格別。もう少し沢山写真をとっておけばよかったな・・・

 

Peugeot 508SW
Peugeot 508SW。薄いフロントグリルが、大きなグリルの208や2008に比べて落ち着きがある。大径タイヤのよく似合う、無駄のない造形美。筋肉質なボディシルエットも魅力的だ。

 

プジョー 508コックピット
Peugeot 508SWのインテリアは、コックピットの包まれ感がオーナーの心をくすぐる。早くからタブレットを置いたようなセンターディスプレイのデザインを仕掛けてきているのも、格好よさへのコダワリを感じる。

 

このブログ「monogress」では、プジョーとボルボをメインに扱っているのだが、どちらのメーカーもワゴンの作り込みには感服だ。今は Peugeot 308SWに乗っているけど、他の3台も所有してみたい・・・ついつい横恋慕してしまうのは、輸入車ライフの痛いところだ(笑)

 

輸入ステーション・ワゴンを手に入れよう

 

peugeot 308sw リア

 

ステーション・ワゴンを選びたい。けれども、輸入車は気が引ける。ならば、クルマの何を重んじてステーション・ワゴンを選ぶのか、と問いかけよう。

 

走行性能は、燃費を考えればトヨタ・カローラはハイブリッド技術で武装されて最強のように見えなくもない。AWDがつくレヴォーグは、雪の多い地域の方には、唯一無二といえるものに違いない。

 

一方、エンジン音の色気だとか、スムーズな過給技術というところは、輸入車が秀でている部分だろう。ダウンサイジングターボの発祥は、欧州市場。日本車と輸入車とでは、力をいれているモノが違うのだ。AWDにしなくとも安定感の高い走行を見せるところも特筆だ。

 

日本車にも輸入車にも、それぞれ良いところがある。性能で選ぶのもよし、デザインで選ぶのも良し。人の好みは個性だもの、好きなクルマに乗って欲しい。

 

けれども、選択肢を狭めるのだけはやめておこう。和製ステーション・ワゴンに拘るという幅の狭さは、ハッピーなカーライフを逃してしまう可能性も無くはない。貴方の「個」を発揮するためにも、輸入されるエステートに視野を広げて、最良の一台を手に入れましょうね!

 

野尻湖とプジョー 308 3008 508

 

ところで、「田舎にっこしたら、セカンドカーを買って欲しい。」と家内が言ってビックリ。なんでも、ホンダ e に興味があると言うではないか。すると私は、いつクルマを更新すればよいのだろうか!

 

それは置いておいて・・・やはりワゴンは、男性の好むクルマのようだ。その男らしさも、格好良さの秘訣かもしれないね。